ここは2chの「トランスフォーマーでエロパロ」スレの保管庫です。

「今日のエピソードは旅にグルメにエロスに温泉特集! 視聴率は頂きだ!!」
「エロスは程々にしなさい」

ドキッ! ドッキリだらけの温泉旅行!! 旅情編

◆1
眼下に見えるのは深緑の森と、美しい河のせせらぎ。
「わぁ〜! すっごいきれ〜!!」
「うん。やっぱり日本に来たって気がするね」
…どうも皆さん、お久しぶりです。コビーです。
月日が経つのは早いもので、ハイスクールに通って、もう一年過ぎようとしています。
僕とローリは今、日本に来ています。
今はバスに乗って、A県のとある温泉宿に向かってます。
え? なんで自分達が日本に来てるのかって?
それは、単純に言えばアルバイトを頼まれたんです。ギャラクシーコンボイに。
二日前、ビデオメールで。
『ローリと二人で日本に行って、ある人物にこれを渡してほしい。
まぁ、アルバイト付きの海外旅行と言ったところかな』
…ってどっかで聞いたような感じで言われて、なにやら布に包まれた箱のようなものを僕たちの住んでるアパートに送ってこられた。
自分達は訳あって、この「モノ」を日本に送り届ける事ができないらしい。
モノが入ってる箱の大きさはだいたい30センチぐらいの長方形。
中身がなんなのかは全然分からない。それに…。
『但し、どんな事があっても届け終わるまで中身を見てはダメだぞ。
勿論潰したり、振り回したりする事もいかん。そして、乳幼児の手の届かない場所に、隠して持っていきたまえ』
と、釘を挿された。もうムチャクチャです。


『ま、いい機会だし勉強を忘れて二人でのんびり羽を伸ばしてきなさい』
司令官を引退してから、なーんかキャラ変わったなぁ。ギャラクシーコンボイ。
背景に何か、ぬいぐるみみたいなのが見えたのは気のせいだったんだろうか…?
今その箱は、僕のボストンバッグの中に入っている。
言われた通り、潰したりしないように注意を払いながら。
ローリは、
『見たい! 見てもいいよね? っつーか見せなさい!!』
と、興味津々で何度も布を取っ払おうとした。
勿論僕も気になったけど、必死になって止めましたよ。
検閲のときにも問題なく通れたから、やばい代物ではない事だけは確かなようだけど…。
ちなみに僕達は、今回はホップ達に頼らずに、ロサンゼルスの空港からここまで自分達だけでやって来た。
行きと帰りの飛行機のチケットと運賃などの費用は、「モノ」と一緒に送られてきたからタダだったけど、いつまでもギャラクシーコンボイやホップ達におんぶに抱っこじゃ、申し訳ないからね。
なお、その人物というのが誰なのかすらも聞かされていない。
ひょっとしたら、ギャラクシーコンボイと同じトランスフォーマーなのかもしれない…。
「…と、まぁこうして二人で、その人物がいるって言う宿に向かってる訳だけど」
「ねー、さっきから誰に向かって喋ってるの?」
的確なツッコミです。ローリさん。


「…うっ。つ、『常にカメラの映りを意識しながら演技する。それがスターってもんだ』って言う言葉もあるじゃない」
「なにそれ、変なのー」
そんなバカバカしいやり取りをしていると、向かい隣の席のおばあちゃんが、
「外人さんかい? 日本語お上手ねぇ」
と、話し掛けてきてくれた。
「どうも…、ありがとうございます」
僕もローリも、ぺこりと一礼。
「仲いいわねぇ〜。わたしの若い頃を思い出すわぁ〜。
あっ、そうだ。今日うちで獲ったばかり桃なんだけど、良かったら一個持っていきなさい」
「えっ? いや、知り合ったばかりなのにそんな…」
「いいっていいって。ほら、一個ずつ…ね?」
「は、はい。…ありがとうございます」
「ありがとうございました」
おばあちゃんから手渡された桃は、形は少しイビツだけど、大きくてふんわりといい香りを出している。きっと美味しいに違いない。
正直、こうした果実の状態の桃は見るのも初めてだった。これだけでも感動もの。
「(なんか、こう言うのもいいな。こう言った田舎の人のあったかさって、日本もアメリカも関係ないんだろうな。きっと…)」
と、まぁ。理由はどうあれ、こうしてローリと二人っきりで海外に行けたのは嬉しかった訳で。
「(そして…温泉と言えば……浴衣…卓球…コーヒー牛乳!
ローリと二人で…婚前旅行!!)」
期待感と下心と、何故かちょっぴり不吉な予感を感じた矢先、バスのアナウンスが目的地の宿場町のアナウンスをした。


バスを降りたときには、空はすっかり夕焼け空になっていた。
目的地の宿へは、このバス停から歩いて20分程。
お金は一応あるが、何か勿体無い気もしたので歩いて行く事にした。
だが、あまり運動が得意なほうではないローリはすぐに
「もーダメ〜! 暑い〜。疲れた〜」
と、言いながら5分ぐらいでへばってしまった。
まぁ、ロサンゼルスから飛行機(ロスまではホップに送ってもらった)、更に電車とバスを乗り継いで10時間以上経っているので無理もなくはないかもしれないが。
「まったく。まだ全然歩いてないじゃないか。情けないなぁ」
口ではそう言いながらも、コビーはちゃんとローリに手を差し伸べる。
「悪かったですねーだ」
ローリもむすっと口をしかめながらも、どこか嬉しそうに差し出された手を握って立ち上がり、そのまま彼の腕を抱きかかえるような形で寄り添いながら再び歩いた。
「…えへへ」
まるで、子猫のような仕草で甘えるローリ。
「(なーんだ。初めっからそれが目的だったか。可愛いなぁ。このツンデレめ)」
こんなワガママな面も可愛く思えてしまうのは、やっぱり惚れた弱みだろうか。
「ん、そうだ。さっき貰った桃、食べてみる?」
「うん。でも…、どうやって食べるの?」
歩む足を一旦止め、コビーは先ほど貰った桃を、バッグから取り出す。


「えっと、確か…。こうやって、皮を剥いて…」
少し試行錯誤しながらも、何とか皮を半分程剥く。
ナイフがないので不格好だが、仕方ないだろう。
そして、もう一個も同じように剥いて、ローリに差し出す。
「…はい、どうぞ」
「ありがと」
手に取ると、更に甘そうな香りが鼻に入る。
「(なにこれ…すっごい美味しそー…!!)」
「(本当は付くまで我慢しようと思ってたけど…ダメだ!)」
小腹も空いていた二人は我慢できず、一度互いの顔を見つめ、コクリと頷いた後…。
「「いただきます。」」
同時にかぶりついた。
「「うまっ!!」」
味も香りも今まで食べてた缶詰のものとは天と地の差。
二人だけでここまで来るのは正直しんどかったが、それも吹っ飛ばさせるような幸福感だった。
そんな風に酔い痴れてると、不意にローリが吹き出す。
「…ぷ」
「なんだよ、ローリ」
「だってコビー、汁がたらたらなんだもん」
「…。あ」
確かに言われてみれば、口中果汁だらけだった。
だがそれは、彼女にとっても同じ事だった。
「なにをーっ、ローリだって人の事言えるかっ」
「やーん。コビーこわ〜い」
そうやって楽しくやってる道中では、コビーはすっかり忘れていた。
バスを降りる直前に浮かんだ、あのほんの少しの不吉な予感を。
ちなみに今二人が食べたこの桃が、日本最高級の品種である事を知るのは、もう少し後の事になる。


◆2
そして、徒歩20分のところを、二倍の時間を掛けて付いた頃には、すっかり暗くなっていた。
「や、やっと着いた……!!」
「な、ナニよ…コビーだってバテバテだったんじゃない」

『旅館・大の湯』

正直に言うと、二人とも地元のモーテルのような場末のボロい宿を想像していた。
しかし、二人の眼前にある宿は、派手さはないものの、歴史を感じさせる風情を残すなかなか立派な建物である。
隣の看板を見ると『千葉ビーコン株式会社御一行様』『日本エネルゴン調査団御一行様』『鳥居範仙様』などと書かれたものが何枚か下げられている。
漢字はあまり読めないが、自分達の他にも何組か客がいるのだろう。
「…えーっと、こーゆーところに入るとき、日本語じゃなんて挨拶すればいいんだったっけ?」
二人とも、ハイスクールでは日本語も勉強してる。
ルーシー教授にも教えてもらったおかげで、日常会話は充分こなせるが、どうもこういう風に「本番」になってしまうと緊張してしまう。
「"おばんです〜"、だっけ?」
「それはちょっと違うでしょ。
"たのもー!" …じゃなかった?」
「渡世人じゃないんだから。ローリ時代劇見過ぎ」
「何よー。コビーだって一緒によく見てたじゃない」
「"ごめんなすって!"」「それじゃ任侠映画じゃん」
「"おいっすー!"」「それはドリフ」
「"ボンソワール!"」「欧米か!」(←注・コビー達も欧米人です。)
「"こんばんわ。とよとみひでよしです"」「えーかげんにしなはれ」
と、いつの間にかしょうもない夫婦漫才と化してしまう。
こんな所も息がピッタリなのは、流石と言うかなんと言うか。


「って、こんな事やってる場合じゃないじゃん!」
今更気付くな。
「えっと。ええっと〜」
少し悩んだ後、二人で同時に引き戸を開ける事にした。
「ご、ごめんくださ〜…」
「はいは〜い。いりゃあせ〜」
開けた瞬間に目に飛び込んだ、若女将らしき和服の女性の姿に、二人の目がテンになった。
「「い!?」」
「こんばんわ。ようこそ当館へ♪」
その女性は紛れもなく、ルーシー・スズキ教授本人だった。
「る、ルルルルーシーさん?????」
髪型は違うが、他人の空似ではない。完全に彼女本人である。
「そ、その姿は一体!!?? っていうか今地球にいないはずじゃ??」
「え? 私そんな事一言も言ってないわよ?」
二人はビデオメールの内容を、よく思い出してみる。
「「…あ。」」
確かに、ギャラクシーコンボイは「自分達は訳あって届けられない」とは言っていたが。「ルーシー教授が地球にいない」とは一言も言ってない。
「じゃあ、なんでここに?」
「ここね、私の親戚が経営してるのよ」
「いつ、帰ってきたんですか? 連絡くれれば良かったのに…」
「四日前よ。
ホントはね、私達も久しぶりに地球に帰って羽根伸ばしにきたんだけど、
私の従姉妹の女将さんと番頭さんのご夫婦が一週間程家を留守にするって言うんで、私が代理を頼まれちゃったの。
団体さんも入ってけっこう忙しかったから、連絡しそびれちゃったのよ。ごめんなさいね」
「へぇ〜…」
そう言いながら微笑むルーシーの和服姿は、とても様になっている。
ひょっとしたらアメリカに渡って大学教授になっていなかったら、臨時ではなく本当にこの宿で働いていたのかもしれない。


そう考えていた矢先、コビーはふとある事に気付いた。
「…ん? "達"??」
「あっ、そうだ。紹介忘れていたわね。
この方が臨時の番頭さんよ」
ルーシーがポン、ポンと軽く二回手を鳴らすと、
「ん? お客さんですかな?」
奥からスリッパで大きめの音を立てて、大柄な男性が現れた。
「「あ!」」
番頭の格好をして現れたその人物は誰であろう、アメリカ軍大佐、兼ルーシーの恋人であるマイク・フランクリンであった。
「やあ、コビーくん。ローリちゃん」
「な、何で…大佐まで?(予想はしていたけど…!!)」
「ははは。今は大佐はなしだよ。
人手不足で頼まれてしまってね。なかなか似合うだろう? この格好」
「ま、まぁ…」
そう言ってるフランクリン大佐の顔は、終止にやけっぱなしである。
勿論視線は常に、和服姿のルーシーに。
「(嗚呼、愛しのルーシー…君の為なら例え火の中水の中、エネルゴンの中…!)」
「「(し、下心見え見えやん!)」」
かつてのミステリアスな雰囲気を醸し出していた軍人としての彼は、一体何処へ行ってしまったのやら。
「ついでに今の私は、マックスズキと呼びたまえ」
「…それって、日本の野球選手じゃないですか」


でも言われてみれば、彼も大柄な体格に、番頭の法被がよく合っている。
「ちょ、ちょっと待て。ルーシーさんがここにいるってことは…。この頼まれた"モノ"って…!」
コビーは本来の目的であったモノの事を思い出し、バッグを開けて取り出す。
そして、布を全部取り払うと…。
「ぬな?」
コビーが硬直する。
「…へ?」
間の抜けた声を出すローリ。
布を取り払った箱の包装紙には、大きくこう描かれていた。

『名古屋名物 ういろう』

「こ、これ?」
「そうそうこれ! 
ドレッドロックさんに直接ここまで送ってもらったから買い損ねちゃったの!
昨日ギャラクシーコンボイさんが使いを出して届けに来てくれるって言ってたけど、
まさか君達だったとは知らなかったわ。
ありがとね〜二人とも♪」
相も変わらずの天然ボケぶりに、二人は呆れる。
通販という手は考えなかったんですか。ルーシーさん。
「(ぼ、僕達ってパシリにされたの??)」
「ル、ルーシーさ〜ん……」
「まぁまぁローリちゃん。一個あげるから」
そう言って、箱の中のお菓子を一個取り出し、ローリの目の前に差し出す。
「ま、まぁ折角だし…いただきます」
「ど〜ぞみしょれ(召し上がれ)〜」
薄い紙を剥がし、ぱくん、と口の中に放り込んでみると。
「…………。
おいっ…しー!!」
途端にローリの眼がキラキラ輝く。
一瞬、背景に少女マンガのように花が見えたような気がした。
「(ちょ、ローリ釣られ過ぎ!!)」
女の子は、美味しいものに弱い。
…と言う言葉を改めて認識したコビーだった。
「ホントにすっごい美味しい! もっとちょーだい!!」
「はいはい。半分こしてあげるからがっつかないの」
端から見れば、まるで姉妹のように微笑ましいやり取りなのだが、コビーはさっきにも増して、どっと疲れが襲う。
「それではお二人様、角の間(ま)にご案内です♪」
何処か遠くの山の、お寺の鐘の音が聞こえたような気がした。


◆3
そんなやり取りから一時間程経ったあと。
「ふ〜、気持ちいい〜…」
コビーはタオルを頭に乗せ、ひとり外の大浴場で温泉に浸かっていた。
自分達は夕食を少し遅く、7時頃に頼んだので、普通の人が夕食をしている今の時間帯ではほぼ貸し切り状態。
宴会場で誰かが歌ってるらしく、微かに歌が聞こえてくる。
ローリは流石に疲れたのか、部屋に着くなり座布団を枕代わりにして寝てしまった。
本当は一緒に入りたかったが、無理矢理起こすのも可哀想なので、毛布をかけて、自分がここにいると言うメモだけ残してそっとしてやった。
「それにしても…殆どドッキリじゃないか…。
さてはギャラクシーコンボイもグルになってるな?」
何となく、今回の旅行の全貌が見えてきた。
首謀者は恐らく……!!
「でも、ルーシーさんのあの姿、似合っていたなぁ…。
もしもローリも着ていたら…」
和服姿のルーシーから、そのまま自分の彼女をオーバーラップさせる。
「(うなじ…、時折のぞく脚…! 
……萌え……!!)」
夏に一度、浴衣姿のローリも拝んだ事はあるが、それとはまた違った色っぽさがある。
あくまで、今はコビーの妄想であるが。


「(判ります…! 和服のルーシーさんにに萌えてる大佐の気持ちがよく判ります!!
ビバ・じゃぱんびゅーてぃー!!)」
そんな妄想を思いながら鼻の下を伸ばしていると。
「…おーい? 戻ってきてよー。コビーってばー」
「わわわわわ??」
いきなり、その妄想していた愛しい人の声が自分の真後ろから聞こえてきた。
しかも長めのタオルを体に巻いているだけの、あられもない姿で。
「ろ、ローリ? いつの間に?」
「ついさっきよ。少し寝ちゃったけど、やっぱり汗でベトベトして気持ち悪いから」
「そ、そうか。…でもここ男湯…?」
「なーにとぼけてるの。ここは混浴よ。入る前ルーシーさんに聞いたもん」
「へ?」
「ほら。あそこにも書いてあるよ」
間の抜けた声を出すコビーに、ローリは向かいに立っている立て看板を指差す。
『温泉効能・体力増進、各種疾患、リュウマチ…etc』
『熊出没注意! 万が一熊を見たら、ブザーにてお知らせください』
『大浴場は、男女共用です』
看板には、確かにそう書いてあった。
「…あ。」
「ね? えっと。それじゃ、失礼します」
タオルをはだけさせ、産まれたままの姿になる。
それだけでも、コビーは生唾を飲んでしまう。彼女の裸体は、常に見慣れてるはずなのに。
そんな彼の態度を知ってか知らずか、ローリはちょっと気恥ずかしそうに脚からゆっくり湯舟に浸かり、コビーの隣に座る。


「ふ〜…やっぱり来て良かった〜…。
でもこうして温泉入るのって、北極以来よね」
「…そうだね」
2年前、ルーシー教授を初めて仲間に迎えた北極でも、こうやって温泉に入った事があった。
だがあの時は男女分かれてて、水着を着ていた。
しかし、今回は訳が違う。二人同じ浴場で、しかも素っ裸。
ハイスクールに入って一緒に暮らし始めて、一緒に風呂に入った事は何回かあるが、もっぱら一人用の狭いバスタブである。
「きれ〜…。やっぱりアメリカの星空とは全然違う…」
少しの間、二人寄り添って星空を眺める。空はすっかり日も落ち、満月と星がきらきらと瞬いている。
「蝉とかの鳴き声も違うよなぁ。喧しいだけじゃないところとか」
包んでいるのはこの星空と、まん丸のお月様。近くを流れる河のせせらぎ。そして蝉などの虫の声。
「混浴って聞いてホントはビックリしたけど…、良かった。
コビーひとりだけしか入ってなかったから…」
「僕だって。ローリのこんな可愛いところは、誰にも見せたくないからね」
寄り添う二人の体に、次第にお湯の熱さとは違った熱が籠っていく。
「コビー。あたし、幸せよ。今すっごく幸せ。
お金なんかあんまりなくったって、大好きな人とこうして旅できて、一緒の時間を共有し合えるんだもの」
「これからも…だろ」
「うん…」
そしてごく自然に、唇が重なっていった。


そして、そんな二人の姿を1キロ先の木陰から見つめる、不気味な二つの黒い影があった。
「やあ皆さん。ご存知黒いお邪魔虫・野呂イズメイズでーす」
「同ジク青イ解説者・サウン野呂ウェーブダ」
誰に向かって挨拶しているのだ。こやつらは。
ちなみに、二人の姿は光学迷彩により、コビー達からは完全に見えない。
「ッテユーカ、ナンデ私達ハばかっぷるドモヲ出歯亀シテイルノダ…?」
「よく聞いてくれました。プラネットXの再建もメドが立ち、今回俺達がこうして地球くんだりまでやって来たのは…。
スシー、テンプラー、フージヤマゲイシャー…じゃなかった、あの小僧達にリベンジする為さ!!」
「ナ、ナンダッテー!!?
ッテ…、オマエノソノ脇ニ抱エテルがいどぶっくハ何ダ?」
「……ドキっ!!」
よく見ると、サウンドウェーブのツッコミ通りノイズメイズは「日本の名所名物100選」などとセイバートロン語で書かれたガイドブックを何冊も持っていた。
「ヤッパリ観光気分ダッタンジャナイカ」
「う、うるせー。それはそれ、これはこれだ。
ちなみに、二人がここにいるってのは、バ『ピー(本人の希望により、名前を伏せております)』氏のタレコミのおかげさ」
「(何故伏字…?)…何故ダ? 何故アンナ小僧ドモニ? 恨ミデモアルノカ?」
「ふふふ…オレは2年前、あいつらにドリフの館…もとい、アトランティスで、とんでもない屈辱を味わわされたのさ…!!」
「屈辱?」
「あいつらボーヤ達に、さんざん芸人扱いをな!!(本編35、36話参照)」
そうして、その時に起こった出来事を洗いざらい告白するノイズメイズ。
「…返ッテ、美味シインジャナイノカ?」
「お前まで芸人扱いかよ!
でもまぁあいつらバカップルどものせいで、オレはイジられ役のポジションを決定付けられちまった…」
「デ、ドウスルツモリダ? マサカ…」
「安心しろ。野蛮な事はしやしねー。その代わりに…!」
ゴニョゴニョと、サウンドウェーブに耳打ちする。
二人のオプティックセンサーが、同時にキュピーンと輝いた。
「…そんで、こうやってバカップルどもの恥ずかしい現場を盗撮しちまおうって寸法よ…」
完全な腹いせ。しかもやる事がセコい。
「…たいとるハ、『盗撮バカップル・愛の湯けむり旅情イグニッション』デ決マリダナ」
「オメーセンスねーよ」
そんなバカコンビの野望も知る事なく、恋人達は更に盛り上がっていた。


「ん…んむ、は、んんっ…!!」
深く、情熱的な口付け。
お互いの瞳は、うっすらとではあるが閉じられていない。
二人ともそれなりに経験を積んだだけあり、お互いにどんなキスが好きなのかもよく把握している。
勿論、その後の事も。
「んはぁ…、桃の味がするぅ」
「さっき食べたからね。でも…」
名残惜しそうにコビーが唇を離すと、ローリの豊かに成長した乳房に手を伸ばし、
優しく弄び始めた。
「僕は、こっちの桃も食べたいかな」
「ん、ダメよ…。ここじゃ、人が来ちゃうよ」
「大丈夫だよ。ここは奥まってるし…それに夜で湯けむりでぼんやりとしか見えないから、
声をあんまり出さなきゃバレやしないさ」
「そう言う問題じゃな…ひゃうっ?」
彼女が戸惑っている一瞬の隙に、コビーは顔を移動させて、さっきまで弄っていたローリの胸の先端にある、頬に負けないぐらい桜色に色付いた果実を味わう。
「やっ、ちょ…ああん」
「それに…、我慢できる訳ないよ。此処に来るまでずっとお預けを喰らっていたんだから…」


舌と歯を使い、丹念に乳房を愛撫していく。
反対側も左手で乳首をつまんだり、くりくりと刺激する。
「ふぁ、ああっ…! そんな、胸ばっかり…!」
「…胸ばっかりじゃ、ダメなんだ?」
そう言って愛撫をやめ、屈託のない笑顔を見せるコビー。
「意地悪」
"天使のような悪魔の笑顔"とは、こう言う事を言うんだろうなとローリは思った。
「ん、じゃあ…」
いつものバスタブとは違い、直の岩のまま彼女を座らせる訳にはいかない。
コビーは取り敢えず、ローリがさっきまで巻いていたタオルを畳んで、岩の上に敷いた。
「じゃあ…ローリ。ここに座って。脚開いて」
ローリは耳まで真っ赤にして恥ずかしそうに、一回頷くと彼の言われるがまま、そのタオルの上に座って脚を開いた。
濡れて肌に絡み付いた黒髪、そしてお湯に浸かったのと便乗し、快感で肌が程良く桜色に染まった彼女の身体は、なんとも言えず色っぽい。
そこはもう既に、お湯以外の液体が溢れ出てきている。


「凄いな。もうこんなに感じてたんだ」
「コビーの…、せいだもん…」
「そうかな?」
こいつは、いつの間にこんなに意地悪になったんだろう。
しかしそれでも、言葉は意地悪になっても、コビーは絶対に無理強いはしない。常に優しさが感じ取れる。
「触るよ」
呟くようなコビーの声に、ローリは恥ずかしそうに一回頷く。
それを見た直後、花弁を指で左右に広げ、中の莟に舌を這わせた。
「あっ…! はぁぁっ!!」
ローリの背筋に、ゾクゾクとした電流が走る。
コビーもまた、敏感に感じてくれる彼女の姿に快感を覚えながら、舌を使っての愛撫をどんどん続けた。
クリトリスを刺激し、周りの花弁を舐め、時折指でする時のように中に挿入していく。
溢れ出る蜜にも、むしゃぶりつくように吸いつく。
その蜜はローリの太腿と、コビーの口の下、顎から温泉にぽたぽた落ちていった。
クンニを続けていくうちに、自分の下半身から込み上げてくる猛りを抑えられなくなったコビーは舌を秘部から離し、ローリに湯舟に入るように目で合図した。
軽く頷き、再び湯舟に入るローリ。


「我慢できない…! もうこのまま、挿入るからね…!!」
荒く息を立てるコビーの顔には、先ほどの余裕は微塵もない。
おへその辺りに擦り付けられた彼のペニスは、お湯の熱と自らの熱で、熱くそそり立っている。
ローリは身震いしながらも頷き、コビーの背中に腕を回した。
「うん…! 来て、コビー…!!」
言葉を聞き届けた瞬間、コビーは腰を前にゆっくりと、力強く動かし、暴発寸前の逸物を彼女の膣内に鎮めていく。
「ク、あ…!! うぁああっ!」
何時もよりもねちっこい愛撫で敏感になっていた事もあり、軽く達してしまうローリ。
コビーも思わず射精してしまいそうになるが、力を入れてグッと我慢した。
「んぁっ…コビー…、熱い、よぉ…!!」
「はぁ、ああ…。僕もだよ…。溶けてしまいそうだ」
「うん…! 溶かして。あたしをもっと溶かしてぇ…! コビぃ…!」
「……判った…!」
ローリの背中に腕を回し、彼女が倒れ込んだりしないように気を使いながら、コビーは腰を動かし始めた。
最早自分でも制御が効かなくなっているのか、その動きは非情に荒々しい。
ローリの膣内はお湯と愛液で濡れていたおかげか滑りが非情に良いにも関わらず、締め付けはまったく変わっていない。
むしろ緊張のせいか、何時もよりも狭く感じ取られた。


「あっ! は…激し……ひゃぁっ!」
二人の動きと同時に、バシャバシャと水面が刎ねる。
そんないつもと違う、獣のようなセックスにも、ローリのカラダは機敏に反応し、
自然と彼の動きに合わせて、自分も腰を動かしていた。
「く、あ…ローリ…凄いよ、ローリッ」
「あっ、あ! コビー…ふぁっ! ああんっ!!」
何時人が来るかもしれない。声を出してはいけないはずなのに。そんな背徳感が二人を更に燃え上がらせていった。
声を出しちゃいけないのなら…。
「ッ、ローリ…! こっち向いて…」
「あっ、あ…、コ、ビー? …んっ!?」
コビーは彼女の整った形の顎をそっと掴み、自分の顔のほうに向けさせていきなり口付けをする。
「んーっ! ンっ、ん…!! ん、〜…」
ローリも最初は驚いたが、すぐに抵抗をやめ、彼の動きに合わせる。
舌が自然と、蛇のように絡まっていく。
涎が互いの口から零れ落ち、息苦しい程なのだが、二人にとってはその息苦しささえも、今では快楽の一つであった。


「んむ、ぷぁっ…! ローリっ、愛してるっ、ロー、リッ…!」
「ふぁっ、あ、あたしもぉ…! コビぃ、あい、してるのぉ…!!」
更に激しく腰を動かし、高みに登ろうとする。
最早自分自身の体温なのか、逆上せてしまっているのかさえ判らなかった。
さっきまで気になっていた入ってくる人の事も、どうでも良くなった。
「や、あっ! コビー…!! あたし、もう、ダメぇ…!!」
「僕も、ローリ…! 出すよ、このまま、出すからね…!」
「うん…! うん! 来て、来てぇコビー…んんっ!」
抱きしめ合う腕に力を込め、再び口付け合う。
「んんっ! ん、んんんんんーっ!!」
ローリの一番奥にコビーの熱い欲望の塊が注がれ、二人は同時に達する。
「くっ、う…! ロー、リっ……ッ」
「か、はぁ、あ…コ、ビぃ…」
絶頂の開放感と気怠さが二人を遅い、少しの間二人は繋がったままその場の岩にもたれていた。
「はぁっ、は…ローリ、大丈夫か…?」
「ん、はひっ…! うん、へいき…」
「のぼせないうちに部屋に戻って…美味しいもの食べような」
「うん…」
お湯から上がる前に、二人はもう一度、熱烈なキスを交わしていた。


「…ゴチになりました」
「ごちニナリマース……!!」
そんなバカップルのやり取りを一部始終盗撮していたバカコンビの顔は妙にツヤツヤしてスッキリしていた。
「それにしても盛大だなぁ、お二人さん…。これで8年後(本編最終話参照)に結婚するまでにガキがいねーってのはあり得ないんじゃねぇか?」
「チャント避妊ハ心得テルンダロ。夢ヲ一緒ニ叶エル約束ヲシテルラシイシナ」
「だが…、弟の成長した姿を見れて、ティム兄ちゃん嬉しいぞ…!!」
「チョット待テ。きゃら違ッテルゾオ前」
「うるせー。お前だって掛け持ちしてるくせに」
二人がそんなやり取りをしている最中、後ろからヌッと出てくる影があった。
「デ、コノびでおヲドウスr…ヒデブッ!?」
一撃。
サウンドウェーブが吹っ飛ばされた。
「ワ、私ノ出番コレダケカ…? がくっ」
いきなり不意打ちを喰らい、失神するサウンドウェーブ。
「テッ、てめぇ何もん…だ?」
ノイズメイズの後ろに現れたのは、自分達程に巨大な熊だった。
しかもただの熊ではない。白と黒の絶妙なバランス。
食肉目。クマ科。ジャイアントパンダ属。別名、シロクログマ。熊猫。
勿論、本物ではなく着ぐるみなのだと言う事は一発で判った。
「な、何だぁ? この某保険会社に出てきそうなパンダは!?」


「…私だ!」
そう言って、巨大パンダは頭を外した。
その中には、なんとギャラクシーコンボイの顔があった。
「ゲッ! 何でお前がここに! って言うか何だそのコスプレは!!?」
(上戸かクロミアちゃんを期待してたのに〜…)と、心の奥で呟くノイズメイズ。
「今の私は、ギャラ熊シーコンボイだ。
ちなみにこれは先々代司令官御用達の『熊ンドスーツ・TypeP』だッ」
「…日本に合ってないじゃん」
「…。と、ともかく。さっきからずっと見ていたがこうしていたいけな少年少女達を盗撮した罪は重い!
制裁を受けてもらうぞ!!」
「え? ちょ、ちょっと待て! あいつらもう既に下半身はオトナ…」
「真っ向唐竹暗黒剣!!!」
「それは悪の華を咲かせるコンボ…ぎゃあああああ!!!」
<ノイズメイズさんがボコボコにされております。しばらくお待ちください。>
「今回はこれで勘弁してやろう。だがこのデータは没収だ」
「って…さっきから見てたって、アンタも覗いていたんじゃn」
「宇宙を守れ! トランスフォーム!!」
「(す、スルーしやがった!!)」


◆4
それから十数分後。
コビーとローリは浴衣に着替えたが、ローリはけだるそうな表情で、ふらふらと歩いていた。
「おいおい…。大丈夫?」
「…だーいじょーぶー」
まぁ、さっきまであれだけ温泉でハッスルしてしまったんだから無理もなくはないが。
二人して歩いていると、コビーがふと、売店のほうに目が行った。
「そうだ。なんか飲み物買ってくるよ。何がいい?」
「…ん〜。ポカリ〜…」
「判った。ひとりで歩ける?」
コクコクと頷くローリ。でもコビーは心配でならなかった。
「それじゃあたし、先にお部屋行ってるね〜…」
「無理するなよ」
「りょーかーい」
ひらひらと手を振るローリを心配になりながらも見届けたコビーは、取り敢えず売店に向かった。
「えっと…。ポカリは…あった」
冷蔵庫の中から、目当ての飲み物を二本取り出す。


「二本で、240円になりまーす」
そしてレジで清算を済ませると、レジの隣で漫画を読んでいる黒髪の少年にこう呟いた。
「…で? 今度はどんなワナを仕掛けてくるつもりなんだ?
…バド」
ピクン、と反応する少年。
「ナ、ナンノコトアルカ? 
ニポンゴムツカシクテワカラナイアル」
「話せてんじゃん」
「「………」」
暫しの沈黙。
黒髪の少年の方が大きく息を吐いた。
「…バレちゃってた?」
少年が、おもむろに自分の髪を掴むと、それはするりとズレ落ち、代わりに金色の髪が姿を現した。
コビーの実弟、バドである。
結局のところ、二人っきりでの旅行どころか2年前の仲間が全員一つ屋根の下に集合していた。


「うん。玄関に『鳥居範仙様』の看板が掲げてあったんでピンと来たよ」
「ヘヘへ…あからさまだったからね〜」
バドももうジュニアハイ、中学生だが、こういった天真爛漫さは全然変わっていない。
「どうやって泊まったんだ?」
「ギャラクシーコンボイに送ってもらった。ちなみに、父さんと母さんも来てるよ」
「ええっ!? 来てるの??」
「今はね、大宴会場で千葉何とかって会社の社長さんと飲んでるよ」

ここで、その大宴会場に場所を一旦移してみましょう。
コビーの父は、バドだけでなくコビーとその恋人のローリもここに来てるとはつゆ知らず、
今日始めて知り合った会社の社長とすっかり意気投合して、お酒を飲んで歌っていた。
「「規格通りのシヤワセよ♪ アミノ無くてもパルスで育つよ未来人〜…」」
「よっ、千葉社長に飛び入りの人、カッコいいぞ〜」
と、千葉社長の部下、遠藤副社長たちが囃し立てる中、
「もう、あの人ったらこんなにハメ外して…もう知りませんよ」
と、ぼやきながら今日五杯めの冷酒をいただくコビーの母だった。


再び、コビーとバドに視点を戻してみましょう。
「…てなわけで、こっちはこっちで楽しくやってるからね。
ま、父さん達にはボクから上手くつじつま合わせとくから、安心していいよ」
楽しそうに話すバドの姿を見て、コビーはホッと一息、息を吐いてから呟いた。
「…バド」
「なんだい?」
「ありがとな」
「………」
小さな声だったが、バドにははっきりと聞き取れた。
正直、怒られるかと思ってたバドは少し戸惑ったが、やがて理解した。
「すっかり忘れてたよ。僕とローリが付き合って、ちょうど今月で二年めだって」
そう。今月七月は、コビーとローリが正式に交際を始めた月だった。
バドは勉強とギリギリの生活、アルバイトに負われてる二人をねぎらおうと、今回のドッキリじかけの企画をこっそり仕掛けたのだった。
ちなみに今回の事を何も知らないのは、ローリとルーシー教授、そしてコビー達の父と母だけ。
もちろんフランクリン大佐も知っていた。
「いゃあ、準備もなしにぶっつけで計画したんだけどね。ギャラクシーコンボイなんかけっこう気合い入ってたよ」
「で? これからどうするんだ?」
「んー…ヤメにしちゃった」
「へ?」
「ホントはにーちゃん達ちょっぴりからかおうと思ってたんだけどね。
二人の楽しそうな顔見てると、なーんかどうでも良くなっちゃってさ」
「そっか…」


二人でそんな会話をしていると、向かいの廊下から、女の子がひとりこっちに向かって手を振ってきた。
「バドくーん! なにやってるの〜?」
黒髪のポニーテールの少女。どうやら日本人らしい。
年格好は、バドと同じぐらいだろう。
「あっ、ユウコちゃ〜ん!」
「…えっ? バ、バドあの女の子誰…?」
「ここで今日仲良くなったんだよ。
んじゃあ、ボクも彼女が待ってるんで、これで〜」
「おう…。ってちょっと待て! お前確か学校でも……」
「へっへ〜んだ。ボクにーちゃんよりモテるんだかんね〜」
ぺろっと舌を出し、さっさとその娘のところへ去っていくバド。
密かに、バドの瞳がキュピーンと輝いていた。
「(フフフ…。ボクはヤメにすると言ったけど、ボク以外のドッキリはヤメにしないとは言ってないよ…!)」
そんな弟の姿を、コビーはしばらく呆然とするしかなかった。
「(バド…、我が弟ながら恐ろしい侠(おとこ)だ!!)」
13歳にして既に女殺しの風格を漂わせる弟に、恐ろしさと更なる不吉な予感を感じたコビーだった。

「この雰囲気のまま、後半へ続く!! by先々代司令官」

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