『チャイコフスキーがなぜか好き』（亀山郁夫）

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『チャイコフスキーがなぜか好き』（亀山郁夫著　PHP新書）

目次

プロローグ　レクイエムとしてのロシア音楽　10

第1章　メロディの謎、またはノスタルジーという経験の全体性について

なぜロシア音楽なのか　30
永遠のノスタルジー　34
感傷について　37
山田耕作はロシアに何を感じたか　39
メロディの全体性について　40
熱狂とアイロニーの表象　42
熱狂の歴史的起源　43
ノスタルジーと暴力　46

第2章　ロシア文化の二分法
１　正統の都モスクワ　都市と音楽文化（Ⅰ）　50

古代ロシアと音楽　50
スムータ、ロシア悲劇の根源　53
混沌からの脱出　55
1994年モスクワ　57
終末都市のコンサート　60

２　異端の都サンクトペテルブルク　都市と音楽文化（Ⅱ）　63

永遠の白夜―1994年のペテルブルク　63
ペテルブルクの誕生　65
地球上でもっとも抽象的な架空の町　68
革命、戦争、国家崩壊　70
場の精神（genius loci）　73
世界にムラヴィンスキーあり　74

第3章　熱狂とノスタルジー―十九世紀のロシア音楽

十九世紀の作曲家たち　78

①憧憬からの出発―ミハイル・グリンカ（1804～57）　86
②偉大な日曜作曲家―アレクサンドル・ボロディン（1833～87）　92
③根源をのぞきこむ―モデスト・ムソルグスキー（1839～81）　97
④エキゾティシズムと洗練―ニコライ・リムスキー＝コルサコフ（1844～1908）　105
⑤熱狂的なルネサンス人―ピョートル・チャイコフスキー（1840～93）　113
　弦楽セレナーデ／アンダンテ・カンタービレ／白鳥の湖／偉大な芸術家の生涯、ロココ風の主題による変奏曲／エフゲニー・オネーギン／ヴァイオリン協奏曲／ピアノ小品集「四季」／ピアノ協奏曲第一番／交響曲第五番

第4楽章　暴力とノスタルジー―二十世紀のロシア音楽

世紀初頭のモダニズム　144
革命後のアヴァンギャルド　150

⑥すべては恍惚から生まれる―アレクサンドル・スクリャービン（1872～1915）　158
⑦ノスタルジーの技法―セルゲイ・ラフマニノフ（1873～1943）　165
⑧原始回帰と禁欲主義―イーゴリ・ストラヴィンスキー（1882～1971）　173
⑨歴史を突きつける抒情―セルゲイ・プロコフィエフ（1891～1953）　181
⑩歴史との対話―ドミートリー・ショスタコーヴィチ（1906～75）　194
　交響曲第一番／ムツェンスク郡のマクベス夫人／交響曲第五番／弦楽四重奏曲第八番、ピアノ三重奏曲／二十四の前奏曲とフーガ／交響曲第十五番

第5章　知られざる現代ロシア音楽

「雪どけ」後のロシア音楽　218

⑪物質化された抒情―エジソン・デニソフ（1929～96）　223
⑫超越するタタール―ソフィア・グバイドゥーリナ（1931～）　226
⑬孤高の多様式―アリフレード・シュニトケ（1934～98）　230
⑭白紙の恩寵―アルヴォ・ペルト（1935～）　234
⑮対話的宇宙―ギヤ・カンチェリ（1935～）　238
⑯ノスタルジーへの献身―ワレンチン・シルヴェストロフ（1937～）　241
⑰霊性の喪失―ボリス・チーシェンコ（1939～2010）　244

第6章　偉大な芸術家に会った
１　熱狂の知―ムスチスラフ・ロストロポーヴィチ　248
２　限りなき有機体―ワレリー・ゲルギエフ　262

エピローグ　音楽による遺書―チャイコフスキーの死と真実　268

あとがき
主要参考文献
作曲家と作品一覧

失敗の研究