子育ての失敗を広く浅く、ゆるやかに追跡。

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平家物語10 祇園精舎の巻(あすなろ書房)あとがき



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いうまでもなく『平家物語』は、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり…」という、有名なプロローグ(序詩)で始まります。ところが、この物語ではそれが最後に出てきます。それは、次のような理由から考えた構想なのです。
第一巻で書いたように『平家物語』は、その周辺にさまざまな物語や記録があり、そういう背景の上に成り立っています。そこでこのシリーズでは、それらの背景を物語の中に吸収した『総合版・平家物語』といったものにしたのでした。それと同じように「祇園精舎の…」という詩は、その後に語られる物語の内容を知っていてはじめて、共感できるものではないかと思うのです。むかし、琵琶法師の語りを聞いて涙を流したり、手に汗をにぎったりした人は、少なくともそうだったでしょう。
物語を読んで登場人物たちの「諸行無常」や「盛者必衰」のさまを知ってはじめて、この詩が心にひびくのではないでしょうか。だから、あえて最後に出したのです。
そして、わたしはひそかに、こんな夢をもっています。この『平家物語』を読んだ子たちに「祇園精舎の…」の詩が印象に残っていて、いつの日か原文にふれて親しみを感じ、それを読むようになる。つまり「祇園精舎」から「祇園精舎」へ―というわけですね。
最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。

生越嘉治
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