http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/0000137445.sh...
2006/10/12

　尼崎ＪＲ脱線事故で、妻＝当時（５４）＝を亡くした川西市の会社員男性（５６）が十二日までに、ＪＲ西日本との賠償交渉で合意した。男性は「ＪＲへの怒りや憎しみは変わらないが、新たなスタートを切ることが大切と考えた」とコメント。これまで数遺族の合意が判明しているが、遺族が公表したのは初めて。

　男性は六月から、弁護士を介して交渉を始め、今月十一日、大阪市でＪＲ西の垣内剛前社長らと面会、慰謝料や逸失利益などの賠償内容に合意した。賠償額については明らかにしていない。十一日は妻の誕生日で、男性は近く墓前に報告するという。

　現在、長男と二男の三人暮らし。家事を分担するなど、妻がいなくなった家庭と仕事を両立させている。「（賠償交渉は）一番大きな難関で、大きな節目になった。つらい思いをした遺族だから幸せになる権利がある。ＪＲへの気持ちは変わらないが、一つ一つ解決していくことで、少しでも楽になれることを、ほかの遺族にも伝えたかった」と語った。