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異常運転解けぬ謎

http://www.kobe-np.co.jp/kobenews/sg/00043117sg300...
2005/10/26

 「どう考えても信じられない」。尼崎JR脱線事故で死亡した運転士=当時(23)=の同僚たちは、事故発生から半年が経過した今も首をかしげる。百十キロ超でのカーブ進入に再三にわたるブレーキの操作遅れ。過去に受けた処分や日勤教育がプレッシャーとなったとの見方もあるが、事故原因の全容解明にも結びつく「異常運転」の背景、予兆は運転士仲間たちにも見えないという。運転士に何が起きていたのか。予兆があったとすれば会社を含め周囲はなぜ見抜くことができなかったのか。謎は残ったままだ。

 二十代の運転士は、同期入社の死亡した運転士が事故現場のカーブ(緩和曲線)に入ってから初めて常用ブレーキを作動させたことを、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会が九月初めに公表した中間(経過)報告で知った。

 「何でそんな運転をしたのか今でもさっぱり分からない」。そう繰り返し「全く別のことを考えていたなどよほどのことがない限り、あり得ない操作だ」と指摘する。ほとんどの同僚が「理解できない」という反応だ。

 死亡した運転士が所属していた京橋電車区の四十代の先輩運転士も「礼儀正しいまじめな子で本当に驚いている」。ただ、中間報告を見て、そのまじめさがマイナスに働いたのではという思いもある。

 死亡した運転士は昨年六月、学研都市線下狛駅での約百メートルのオーバーランで日勤教育を受けるなど入社以来計三回の処分を受けていた。ほかにも神戸線灘駅で約三十メートルのオーバーランなど処分対象外の「小さなミス」もあったという。「会社からも要注意人物とマークされていた。それがプレッシャーになっていたのかもしれない」と当時の心理状態を推測する。

 一方、体調面の異常の可能性などを指摘する声もある。社内の検査では死亡した運転士の健康面に問題はなく、事故後の司法解剖でも病気などは確認されていない。だが、名鉄新岐阜駅で二〇〇三年十月に起きた急行電車の衝突脱線事故では、それ以前の検査で「異常なし」と診断されていた運転士が、「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」だったことが事故後に判明、事故の背景の一つとされた。

 「運転士としての日常の中に隠れたストレスがあったのではないか」。産業心理学が専門の関西福祉科学大の三戸秀樹教授は高見運転士の内面をそう分析。ブレーキ操作の遅れや異常な高速走行は、「ストレスによる攻撃的行動の表れだったのではないか」としている。(山路 進)
2006年08月12日(土) 12:21:36 Modified by umedango




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