もの書きの能力と創作能力は別次元
文章を書くのがうまくても、オリジナルストーリーをまったく思いつかない
人がいる。
面白い話を次から次へと思いつく人でも、文章がうまいとは限らない。
文章もダメなら、話を作る才能もない人だっている。
そして、文才と創作能力の両方に秀でた人が存在する。
世の中の人間を文才と創作能力で分けてみると、このように4種類に
分類できる。そして、ぼくはどうやら最初のグループに属する人間の
ようだ。
20年くらい前に雑誌編集者をしていたとき、友人の影響で小説家を
志したことがある。必死でストーリーを考え、キャラを立て、ノートに
あらすじを書きためていった。一部は原稿用紙に書き始めもした。
それがお蔵入りした原因は、映画「アマデウス」と、栗本薫のエッセイ、
そして藤田宣永・小池真理子夫妻との会食で得られた共通の感触
だった。
「アマデウス」では、サリエリが音符ひとつの書き直しもないモーツア
ルトの楽譜を見て、彼我の才能の違いを思い知る。モーツアルトは
頭の中で鳴り響く音楽をただ紙に写し取るだけで、偉大な作品が作
れていたのだ。ベートーベンも、ものすごい勢いで音符を書き連ねて
いる最中にインキが切れ、音楽が去ってしまったとおぼしい楽譜を
残している。
栗本薫は自著の中で、「どんどん書きたいことがわき上がってくるの
に、書くのが追いつかない。時間がほしい」と述懐している。藤田・
小池夫妻は、ぼくの質問に答えて、「泉のように出てくるから、書く題
材に困ったことはない」と証言した。手塚治虫も、「描くのが遅くて、
着想が作品にしきれていない」と言っていたそうだ。
つまり、創作に手を染めようとするなら、アイデアや題材が処理に困
るくらい出てくることが大前提だということに、気づいてしまったのだ。
モーツアルトのミドルネームである「アマデウス」とは、「神の恩寵を受
ける者」という意味である。創作には神の恩寵である「途切れること
のない能力の吐出」が才能として必要なのだ。
文豪にはなれるはずもないとわかっていたが、そこそこの小説が何
本かは書けると思っていた。だからその事実に気づいたときにはシ
ョックだった。
それから20年。書くことで糊口をしのいでいるが、創作にはいまだ
に未練がある。登りたくても手が届かない山のような存在なのだ。
人がいる。
面白い話を次から次へと思いつく人でも、文章がうまいとは限らない。
文章もダメなら、話を作る才能もない人だっている。
そして、文才と創作能力の両方に秀でた人が存在する。
世の中の人間を文才と創作能力で分けてみると、このように4種類に
分類できる。そして、ぼくはどうやら最初のグループに属する人間の
ようだ。
20年くらい前に雑誌編集者をしていたとき、友人の影響で小説家を
志したことがある。必死でストーリーを考え、キャラを立て、ノートに
あらすじを書きためていった。一部は原稿用紙に書き始めもした。
それがお蔵入りした原因は、映画「アマデウス」と、栗本薫のエッセイ、
そして藤田宣永・小池真理子夫妻との会食で得られた共通の感触
だった。
「アマデウス」では、サリエリが音符ひとつの書き直しもないモーツア
ルトの楽譜を見て、彼我の才能の違いを思い知る。モーツアルトは
頭の中で鳴り響く音楽をただ紙に写し取るだけで、偉大な作品が作
れていたのだ。ベートーベンも、ものすごい勢いで音符を書き連ねて
いる最中にインキが切れ、音楽が去ってしまったとおぼしい楽譜を
残している。
栗本薫は自著の中で、「どんどん書きたいことがわき上がってくるの
に、書くのが追いつかない。時間がほしい」と述懐している。藤田・
小池夫妻は、ぼくの質問に答えて、「泉のように出てくるから、書く題
材に困ったことはない」と証言した。手塚治虫も、「描くのが遅くて、
着想が作品にしきれていない」と言っていたそうだ。
つまり、創作に手を染めようとするなら、アイデアや題材が処理に困
るくらい出てくることが大前提だということに、気づいてしまったのだ。
モーツアルトのミドルネームである「アマデウス」とは、「神の恩寵を受
ける者」という意味である。創作には神の恩寵である「途切れること
のない能力の吐出」が才能として必要なのだ。
文豪にはなれるはずもないとわかっていたが、そこそこの小説が何
本かは書けると思っていた。だからその事実に気づいたときにはシ
ョックだった。
それから20年。書くことで糊口をしのいでいるが、創作にはいまだ
に未練がある。登りたくても手が届かない山のような存在なのだ。
2007年01月09日(火) 20:04:50 Modified by yamasans1