ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫の避難所です

「ところでヒバリ、最近どうなのさ?」
「うん?何がですか?」
朝。人も比較的まばらな時間帯のエントランスにおいて、つかの間の休息を満喫する二人の少女。
「とぼけなさんなって。タツミさんのことだよ」
「またそれですか…。リッカさんも懲りませんね…」
竹田ヒバリと楠リッカは10代の女子らしい雑談に興じていた。
「そうは言うけどさ、リンドウさんとサクヤさんの結婚式見て、何か思うところがあったんじゃない?」冷やしカレードリンクを啜り、リッカが訊ねる。
未だに愛飲者は彼女だけのようである。
「確かにとても素敵でしたし憧れましたけど…。それはタツミさんとは何ら関係ありません。
リッカさんこそどうなんですか?」
「ん?私?」
「ちょくちょく聞きますよ、リッカさんのこと。なかなか人気があるみたいですよー?」
「いやー私はほら、今は神機いじったりしてる方が割に合ってるからさ。そういうのはまだいいかなーって」
「そんなこと言って、実は誰かとひそかに…なんて」
「ないない」
笑いながら否定するリッカ。
アラガミによって荒廃した世の中においても、年頃の女子の共通の話題は変わらないようだ。
「でもさ、悪い気はしないんでしょ?」
「うーん…」
思案顔になるヒバリ。
大森タツミの彼女へのアプローチはアナグラ内において知らぬ者はいない程有名であり、最早アナグラ名物の一つと化している。
そんな彼に春が来るのは…
「そうですね、確かに悪い気はしませんね…。でも私は期待されるような気は全然ありませんよ?」
どうやらまだまだ先の話のようだ。
「今はオペレーターの仕事がありますし、適合する神機が見つかったらそっちの訓練もしないといけませんし…」
「相変わらず固いなーヒバリは。タツミさんも可哀想に…っと、噂をすれば」
そう言ってリッカが顔を向けた先には丁度エレベーターから歩いてくるタツミとブレンダンがいた。
ヒバリを見つけたタツミは手を振りながら彼女に声をかけようと
「ヒバリちゃーん!おっはよ「「ヒバリさんっリッカさあぁん!!」」うぶぁっ!?」
…したところをアリサとカノンに突き飛ばされていった。

「「ハァハァハァハァ…」」
「ふ、二人ともどうしたんですか?」
息も絶え絶えにグボロ・グボロも顔負けな勢いでやって来た二人に訊ねるヒバリ。
それに息を整えつつアリサが答える。
「リーダーがっ、リーダーが壊れましたっ!」
「「はぁ…?」」
わけが分からないよ、といった顔になるヒバリとリッカ。
「レイジさんがっ、おかしいんです!」
続けて大声でとんでもない事を言うカノン。
「今日はいつもと違うといいますかっ、別人といいますかっ」
「そうですっ!あんなリーダー見たことがありませんっ。本当にあれリーダー!?双子とか堕天種とかじゃないですよね!?」
人間であるかどうかさえも疑われるアナグラのエースである。
「ちなみにどんな感じでおかしいの?」
「「うっ…」」
リッカの問いに言葉が詰まる二人。その顔は湯気が出そうな程に赤い。
「どうしたんですか?顔もすごく赤いですよ?」
「あ、あの、えっと、その…。いつもよりカッコよく…なっていたといいますか……」
「うぅ…その…いつものリーダーより大人っぽくて、色気があるというか…」
「「はぁ…」」
一体何が彼女達をここまで動揺させているのか。ますます分からない、という感じのヒバリとリッカ。
「まぁ、もうすぐこちらに来ると思いますし…。直に確かめてみましょうか」
「それもそうだね」
百聞は一見に如かず。事情を知らない二人はそう判断した。

「お、どうやら来たみたいだね」
こちらに歩いてくるレイジを発見したリッカは彼に挨拶をする。
「やあ、おはようレイジくん…」
そして
「あぁ、おはよう。リッカ」
そのまま固まってしまった。

(この胸の高鳴りは何だろう…?何だか、初めてウロヴォロスのコアを見たときよりもドキドキしてるよ…)

比較対象が他に無かったのだろうか。
リッカらしい感性と言えるが。
そんな彼女に、ふいに何かに気づいたレイジが訊ねる。
「ん?リッカ、今日は汚れてないんだね?」
「へっ?あ、あぁそうだねっ!今朝はシャワー浴びてきたからねっ!そのせいじゃないかなっ!?」
動揺冷め止まぬうちに聞かれた質問に早口で答えるリッカ。
整備班である彼女は神機使い達の出撃前と帰還後の神機の整備や調整、パーツの開発などに携わっており、
作業機械の潤滑油や作業中に出る煤や埃で身体が汚れることが多い。
洗ってもすぐにまた汚れてしまうことが多いことに加え、
ハードな整備班の仕事が終わるとシャワーも浴びずにすぐ寝てしまうことも多いため、2・3日汚れたまんまということも多々ある。
一応女子としてそれはどうなのか?という疑問はあるが、本人は大して気にしておらず、
今朝もたまたま暇な時間ができたからシャワーを浴びてきた、という程度なのだ。
「そうなんだ?本当に?ちょっと確かめてみてもいいかな?」
「えっ?いいけど…確かめるって、何を?」
予想外な返答に思わず返事をしてしまうリッカ。髪の洗い具合だろうか?などと考えていると、
「じゃあ失礼して…」
と、彼女の顔に手を沿わせ
「え?え?何を…?」チュッ

彼女の右頬に口付けた。

「「「「………………」」」」
凍りつくエントランスの空気。プリティヴィ・マータやカリギュラにもおそらく作り出せないだろう、そんな空気。
そして、真っ先に解凍されたのは
「ふにゃっ!?にゃああぁぁっ!?」
突如前触れもなく頬にキスをされたリッカ本人であった。
「本当だ。微かに石鹸の匂いと味がしたね」それをよそにキスの感想を述べるレイジ。どうやらそれが確認したかったらしい。
「りりりりリーダー!?何てことしてるんですかっ!?」
そこに同じく凍結から復活したアリサがくってかかる。
「リッカさんになんてうらやま…じゃなくてっ!なんてとんでもないことしてるんですか!?どん引きですっ!」
全然引いてるようには見えないアリサである。
「どうしたんだアリサ?…もしかして、やきもちかな?フフッ言ってくれればいくらでもしてあげたのに…。可愛いなアリサは」
そんな言葉と共にアリサの顔に手を当て、言った。

「それで、どこがいい…?唇?」

「はぅっ!?………」ドサッ
倒れてしまうアリサ。
要リンクエイドだ。
「…それにしてもリッカ」
「何!?何!?今度は何!?」
目の前で卒倒したアリサを尻目に、レイジは今なお混沌の極地にいるリッカに向けて微笑み、告げた。

「機械油や汚れを付けた顔で働くリッカももちろん素敵だけど…。やっぱり、綺麗な顔を見せてくれるリッカも俺は好きだよ?」

「ふわぁっっ!?」
どうやらもう一人リンクエイドが必要になったようだ。
「バ、バカな!?あのリッカが!?」
「花より団子より神機の楠嬢が!?」
「純潔さえも神機に捧げたともっぱらの噂のリッカさんが!?」
「人間の男に落とされるなんてっ!?」
周囲から漏れる驚嘆の言葉の数々。一部不名誉なものが漏れているが、今となっては本人の耳には届くことはないだろう。

「これは確かに…。かなり様子がおかしいですね…」
そう呟くのは事の顛末を見ていたヒバリ。
現在、一緒にいたカノンが自身の許容範囲を遥かに逸脱した光景を前に再び灰になってしまったため、生き残っているのはヒバリだけになってしまっていた。
そこへ、二人を撃沈させてきたレイジがやって来る。
「おはよう。ヒバリさん」
「レイジさん、おはようございます」
いつものようにオペレーター、竹田ヒバリとして挨拶を返すヒバリ。
(何だか分からないですけど、私まで倒れてしまっては収集がつかなくなってしまいますからね…)
流石はフェンリル極東支部のオペレーター。その冷静さと判断力は並外れたものがある。
しかし
「って、え?」
ヒバリの手をとるレイジ。
「あの…レイジさん?何でしょうか?」
「いや、挨拶が遅れてしまったちょっとしたお詫びだ」
そう言って彼は、彼女の手のひらに軽くキスをした。
「!? レイジさん!?」
驚きを隠せないヒバリ。無理もない。昨今、お詫びに手にキスなんてする人間はなかなかいないのだから。

「離せブレ公!あの野郎っ!ヒバリちゃんに!」
「落ち着けタツミ。昔の欧米では、あれくらい挨拶のようなものだ」
「じゃあ俺もヒバリちゃんに挨拶するぅっ!」
ここにもう一人いるようだ。

「こんなことで許してもらえるとは思ってないけど…」
「い、いえ!全然気にしてませんからっ!」
と、ヒバリは赤くなった顔で答える。
早速、さっきまでの冷静さが危うくなってきたようだ。
「フフッ…今日も綺麗で可愛いね、ヒバリ」
(レイジさんに呼び捨てにされたっ!?)
レイジとヒバリはほぼ同い年なのだが、彼女の方が職場の先輩ということでレイジは普段「さん」付けで彼女のことを呼んでいる。
彼女は別段こういったことを気にする性格ではない、はずなのだが。

「くそぅ!あいつ、ヒバリちゃんのこと呼び捨てにしやがった!俺だってまだ「ちゃん」付けなのにっ!」
「だったらお前も呼び捨てで呼べばいいじゃないか。私も呼び捨てで呼んでいるぞ?」
「うっ…。ヒ、ヒバ、ヒバリ……ちゃぁぁんっ!呼べねぇ!俺にはまだ呼べねぇ!」

代わりに気にする人がいるようだ。

(な、何これ…?今日のレイジさんは本当に変です…。…でも…この感じはいつもより…。
って…おお落ち着くのよ私!こんなの、タツミさんに毛が生えたようなものじゃないっ!)
「今日のレイジさんはおかしいです!こんな人前でリッカさんやアリサさんにあ、あんなことするなんて!信じられませんっ!」
と、彼女がまくし立てる。
「?……あぁ、そうか。妬いてるんだ?」
「どうしてそういうことになるんですか!?」
「そうか…寂しい思いをさせてしまったんだね。ごめんね?」
「いえ、そういうことではなくてですね…」
「これからはもっとヒバリのことを気にかけるようにするよ」
「…………」
まったく話が通じないレイジに辟易するヒバリ。
(や、やっぱり、いつもタツミさんに言ってるみたいにはっきりと言わないとダメなのかな…。よ、よし…!)
「そ、そういうのは結構です!嬉しくありませんし、私そんな気全然ないですからっ!」
(よし!これで…?)
そんな期待をしていたヒバリだが、

「そういうのは…俺の目をちゃんと見て言って欲しいな」

「ひっ!?…ひぅ……」
返り討ちである。
顔を真っ赤にして俯く彼女には、最早何も対抗する術がない。
「ふふふっ…。素直じゃないな、ヒバリは…」
そう言うと彼は、おもむろに
「でも…」
ヒバリの額に

「そんな素直じゃないヒバリも…俺は大好きだよ」チュッ

二度目のキスをしていた。
「ひゃぅぅぅっ!?」
最後の砦が、崩壊する音が聞こえた。
「「「「うおおぉぉぉっ!?」」」」
そして湧き上がる謎の歓声。
「な、難攻不落のヒバリ嬢がっ…!?」
「あの笑顔で何人もの男どもを落としてきたヒバリさんが……」「あんな…容易く…」
「何だ…何なんだ!?あの男!?」
「あれは…本当に柳隊長なのか…!」

口々に紡がれる驚愕の色を含んだ言葉の数々。
誰もがこの状況を信じられず、それ以上に、この状況を作り出した男があの柳レイジだという事実を信じることが出来なかった。
しかし、そんな中
「ちょっと待ったぁ!」
この男だけは違ったようだ。
「てめぇ…俺のヒバリ…ちゃん、に何してくれてんだぁぁ!」
叫び、レイジの前に対峙するタツミ。まるでハンニバルのように炎を纏わせているかのような気迫に静かになる周囲。
「タツミさん?」
「……レイジよぉ」
話始めるタツミ。
「俺達…一緒に戦って馬鹿やって…そうやって今までうまくやってきたよな…?」
その「馬鹿」が先日の鑑賞会であった。
「俺はな…お前の事を仲間…友とも思っていた」
「………」
「だが、今は違う…。俺はなぁ…」
そこでタツミは、先程から両手で顔を覆ってうずくまっているヒバリを見、再びレイジ向かい言った。
「ヒバリちゃんを泣かせる奴を…許すわ「泣いてませんっ!」けにはいか…って、あれ?」
実は顔が赤いのを隠していただけだったりするヒバリであった。
「えーと……。と、とにかく!今のお前は俺の敵だっ!覚悟ぉっ!」
そう言って、彼は己が敵と定めた相手に飛びかかっていった。



「どうしてそんなことになってしまったのだろうな…タツミよ」
ブレンダンはエントランスの床でorzになっているタツミに問いかける。
あの後、何の苦もなく返り討ちにあった挙げ句
「タツミさんに何と言われようとも、どんなことがあろうとも…。タツミさんは俺の大事な仲間で…友達ですよ」
などと言われ、力と器の大きさの差を見せつけられたタツミは抜け殻のようになっていた。
「…しかし、本当にどうしたものだろうか」
ブレンダンはエントランスを見渡す。
最初の四人を始めとし、現在エントランスには何人もの戦死者が出ており、惨々たる様相を呈していた。
全て、レイジ一人によるものである。
「どうやら今日の彼は普段とは大分様子が違うようだが…。まあ、そんな日もあるのだろうな。
しかし、任務に支障がでないか心配だ」
そんなことを言いながら、彼は一向に復活の兆しを見せない相方の対処を考えていた。

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