最終更新: cogas_uasanbon 2014年02月19日(水) 01:34:21履歴
- ロジバンがどんな言語で、どのような文法でできているのかを知る。
いきなりロジバン講座に入ってもいいんだけど、背景知識として知っておくといいかもしれないことがあるんだよ。
ほうほう。それはぜひ知りたいかもしれない。
ロジバンについて全く知らない人は、wikipedia を見れば大体分かるかな。
え、説明放棄?
…ちゃんとやるもん。ざっくり説明していくよ。まあ、本編に特に支障はないから飛ばしてもいいよ。
いや、それは流石に……。
これが割と大事だったりするのよ。エスペラントやアルカに比べて難しいと言われるのは、それらと違ってロジバンが工学言語だからなのよ。
ん?エスペラントもアルカもロジバンも全部同じ人工言語じゃないの?
確かにどれも人工言語ではあるんだけど、さらに細分化すると、この3つはどれも違うジャンルなのよ。
- エスペラント = 国際補助語
- アルカ = 架空言語
- ロジバン = 工学言語
ほう。
細かい話はしないけど、工学言語は「言語の機能に関する仮説を実験、証明するために発明された言語」なんだよ。
だから、誤解を招くかもしれないけど、ロジバンには別に世界に普及するとかいう意図が最初っからないんだよ。
へえ。エスペラントとは向いてる方向が違うんだね。
そういうこと。だからその分、難解な概念があったり、ややこしいところが出てきちゃう。でも、そういう部分こそロジバンの魅力とも言えるかもね。
これは私自身の意見だけど、「ロジバンは現代の言語学的知見をふんだんに取り入れた言語」とも言えるね。
サピア=ウォーフ仮説を調査する人工言語から生まれた。*1
サピア=ウォーフ仮説って?
言語がその話者の世界の見方に影響するっていう仮説のことだよ。*2
じゃあロジバンを使えば、どんな言語よりも世界への見方が広がるってこと?
理想はそれだけど、まだ実証されたとは言えないかな。一応そういうのを目指しているってことで。
ただ、私の意見としては、ロジバンで見える世界は「ロジバンの世界」でしかないかなと思うよ。「見える世界が広がる」というより、「真新しい望遠鏡を手に入れる」という感じ。
ロジバンという望遠鏡から見える世界は、確かに他の言語のものとは違う不思議なものかもしれない。でも、どれが優れているとかはないと思うよ。
あの言わずと知れた述語論理 をベースにしているの。
言わずと知れてるの…?
いや、分かんないけど…。だから、述語論理を学んだことのある人はロジバンもとっつきやすいと思うよ。
逆に、述語論理を学んだことがなくても、ロジバンを学ぶことで述語論理を学びやすくなるかもしれない!
なるほどねー。
修飾関係が曖昧だったり、構文解釈にゆらぎがあったりしないということね。
ほほう。必ず構文解釈はひと通りに定まるんだ。
そう。だからこそ、コンピュータによる解析が容易というわけです。
そして、気をつけて欲しいのが、別に意味論的にも厳密というわけではないということ。
意味論的には非厳密ってどういうこと?
一応、人工言語だし、どんな人にも合う言語を目指してはいるのよ。文化的差異が顕著に出るのはやっぱり意味論だからね。そこにはゆとりを持たせてあるの。
なるほど。
他にも、ロジバンは厳密というイメージが強いけど、その裏腹にむしろ文脈類推をすることが多いんだよ。これは意味論的な厳密を求めていないからこその利点だね。
厳密なのに曖昧。なんだか面白いね。
こう書くと、「意味が曖昧なら話なんてできないじゃん」という声も聞こえてきそうだけど…。そう感じた人は分析哲学の入門書を読んでみるといいかもね。「意味とはなにか」についてもう一度考えてみよう。*5
制約とは?
「この品詞の語の末尾は必ず子音にしよう」とか「必ず二重母音を含もう」とか「この種類の語は5文字」とか。
ああなるほど。綴り方にルールを設けてるのね。
そのおかげで、語の形を見るだけでそれがどんな種類の語なのかが分かるという素晴らしいメリットがあるんだよ。
それはありがたいかも。
簡単に言えば、「ここからここまでが名詞」とか「ここからここまでが関係節」というように、「この構造はどこからどこまで」というのを明示する語があるんだよ。
自然言語にはあまりないよね。
そうだね。この「括弧」「括弧閉じ」の語のおかげで、ロジバンは統語論的に厳密でいられる、と言っても過言ではないかも。ちなみに、「括弧閉じ」の語のことを終止詞と言ったりします。
ロジバンの造語法はなかなか目を見張るものがあるよ。
造語って言ったら、うーんと、漢字と漢字を組み合わせて二字熟語を作る感じだよね。「体」と「温もり」で「体温」みたいな。
そうそう。ロジバンの造語法はそれによく似てる。熟語用の部品を基本語それぞれが持ってて、それを組み合わせて作る。{valsi}「単語」の部品{vla}と、{liste}「リスト」の部品{ste}を組み合わせた{vlaste}「辞書」とかね!
へー。ところで、基本語なんてのがあるんだね。どれくらいあるの?
まあ、ざっと1000語くらいかなあ? 理論上は基本語1000語を覚えてしまえば、造語法を駆使してありとあらゆることが言えるようになるよ。理論上は。
ま、世の中そんな甘くはないよね。*6
こんなものかな?
うん。すごくざっくりだったね。
あとはこの情報社会に任せよう。なんだか「難しい」イメージしか植え付けられなかった気もするね。
ロジバンの「難しい」には2つあると思うんだ。ひとつは、統語論的非曖昧のために伴う難しさ(ややこしさ)。自然言語ではテキトーに言ってたことを、ロジバンはきっちり決めようとするときがあるから、そういうときは難しく感じるかもしれない。もうひとつは、概念的な難しさ。たとえば、ロジバンの文構造は述語論理をベースにしているわけで、自然言語にはなかなか見られない構造なんだよね。だから、その述語論理っぽさが難しく感じたりするかもしれない。でもここで言っておきたいのが、概念的難しさと語学的難しさは必ずしも比例しないということだよ。むしろ、少し複雑なアイデアを練り込んであるからこそ、文法的にはすごく簡単になっているということのほうが多いからね。
喋り過ぎた。そら起きてる?
なんとか…。とりあえず頑張るよ!
- ロジバンは工学言語のひとつで、サピア=ウォーフ仮説を証明しようとする人工言語から生まれた。
- ロジバンの文法は述語論理をベースに設計されているが、感情を表す言葉もたくさんある。
- 構造の始めと終わりを表す語が適宜用意されているので、統語論的には非曖昧だが、文化中立を意識して意味論的には曖昧である。
- 形態論(語の綴り)と品詞(語の種類)が対応しているので、見た目から品詞が分かるようになっている。
- 造語法が入念に設計されているため、比較的簡単に新しい単語を作ることができる。
→発音
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