政治経済法律〜一般教養までをまとめます

 法というものは人間が実際に社会生活の必要上から社会規範として作り出したものであり、その時代と社会の実情に応じてその内容もさまざまである。このように、現実に人間社会で定立され行われている法を実定法という。これに対し、人間が人間である以上、人間社会が人間社会である以上、人間の法定立行為に基づかなくとも、時代を超え場所を超え普遍的に妥当する正しい法が存在する、という考え方が、法学には古代ギリシアの昔からあり、21世紀の今日でも一部にある。この法が自然法であり、このような考え方を「自然法論」あるいは「自然法思想」という。だが、自然法の存在を肯定する論者の間でも、自然法の法規範の内容および自然法の根拠が何であるかについては、その学説が一様でない。しかし、自然法論者に共通しているのは、自然法はその普遍的な正しさと妥当性ゆえに実定法より高次元の規範であり、実定法の基本原理としてそれに妥当の根拠または基準を与えるものだと考えることである。したがって、自然法に反する実定法は無効という帰結になるから、自然法論は悪法批判に有効な理論根拠を提供する*1。このような自然法の存在を認めるか否か、また、法の概念の中にこれを含ましめるか否かについては、議論が分かれている。一方、自然法の存在あるいはその認識可能性を否定し、法の存在が認識可能な実定法に法学の対象を限る立場を「法実証主義」あるいは「実定法主義」という。

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