なぜないのか疑問だった

魔導姫の誘惑



「魔導姫」

"異界に存在する白幻魔イルムによって生み出された、魔導書に宿る女性型の魔物。
契約した者の魔力を吸い上げて己の力に変え、創造主たる白幻魔へと献上する役目を持つとされる。
白幻魔が世界各地へとこの魔導姫が宿る魔導書をばら蒔いたため、各地で目撃例と被害報告が相次いでおり、極めて危険性の高い魔物である。
魔導書に宿っている影響なのか、存在するだけで己のものと同質の魔力を強化する性質を有しており、敵対する際にはその高い火力に注意が――"

「ご主人ー?何読んでるのー?」

明るい声で現実に引き戻される。しばらく読書に集中していた冒険者が声のした方へ顔を向けると、そこには最近仲間入りした新顔の姿があった。
人間の女性の姿をベースに、身体のあちこちに羽根のようなものが生えており、背には翼を模した魔方陣。瞳には十字の模様が付いており、人型ではあるものの、彼女が人間ではないことがよく分かる。
煌灯の魔導姫・アルス=ノウァ。それがこの新顔の名前だった。

「――ああ、ちょっと調べものをね。気になることがあって」
「ふーん?ねえねえ、そんなことよりボクお腹すいたよう」
「おや、もうそんな時間かい?わかった、なにか用意しようか」
「やったー!」

目的が果たされ、無邪気にぴょんぴょん飛び跳ねる。その様子を微笑ましく眺めながら、冒険者は読んでいた本を閉じて元の場所へと戻した。

(本にはあのように書かれていたが、どうにもこの娘がそんなに危険な存在には見えないな……)

書物に記述されていた内容と、目の前で跳ね回るアルス=ノウァの姿がどうにも一致しない。
彼女の召喚に成功した際、近くにいた同業者から「そいつは危ない」と忠告された。冒険者は「そんな大層なものを召喚したのか」程度の認識しかしていなかったが、その同業者が珍しく真剣な顔で言っていたのが気にかかった。
もっとも、そんなことを言われた当の本人が「え?ボク危ないの?」と純粋無垢そのものの顔で聞き返したのに対し、困惑気味に「お、おう……どうもそうらしい、ぞ……?俺も詳しくは知らんのだがな」と返答しているのを見て一気に信憑性がガタ落ちした。それがつい先程の話。
とはいえそんな話が上がってくるくらいなのだから何かあるのだろうと、名前を頼りに書物を漁ってみればこの記述である。
が、彼女の様子を見ている限りはどうにもそのような危険性は見受けられない。

(――まあ、警戒するに越したことはないか)

そう結論付け、冒険者はアルス=ノウァを連れて書斎を後にした。



「ごちそうさまー!おいしかったよ、ご主人!」
「それは何より。私も作り甲斐があるというものだ」

用意した料理を平らげ満面の笑顔を見せる彼女を見て、冒険者にも笑みが浮かぶ。
アルス=ノウァ以外にも何体かモンスターを召喚してはいるが、そのどれもがことごとく料理ができない、あるいは壊滅的に下手という有り様のため、食事は基本的に冒険者が用意している。
それほど料理経験がなかったため不安が残る出来映えだったが、杞憂に終わったようだ。

「さて、私はしばらく席を外すよ。少しばかり溜まった仕事を片付けなければならないからね」
「えー!遊んでくれないのー!?」
「すまないね。代わりに相手をして貰えないか、リーザとライラ、シャロンに頼んでみよう」

不満げな様子を隠そうともしない。見た目こそ成人した女性のそれなのだが、中身はまるで子供だ。そのミスマッチさが妙に愛らしい。
相手をしてやりたいのは山々だが、冒険者であると同時に研究者の身でもある以上、やらなければいけない仕事も多々ある。
頭を撫でてやると幾分機嫌が直ったようなので、宣言した通り、かつて召喚して以来冒険のパートナーとしても、助手としても手伝って貰っている女性魔術師3人に新顔の相手を頼み、冒険者は再び書斎へと戻っていった。



そして冒険者が仕事に戻ってから、数時間が経った頃。

(うん……?いけない、眠ってしまっていたか……)

連日の疲れからか、作業の途中で手を止めた際にそのまま眠りに落ちてしまっていたらしい。書斎は暗闇に包まれており、カーテンの隙間から漏れ出す微かな月明かりから、とうに夜の帳が下りていることがわかる。
うんと伸びをして意識を覚醒させ、電灯のスイッチに手を伸ばして電源を入れ、明かりを確保する。
時計に目をやれば、間もなく日付が変わろうかという時間帯を指し示していた。本来ならば切り上げて睡眠を摂る時間だが、変な時間に寝落ちしたためかまだまだ眠気は来そうにない。
仕事の続きをしなければ。そう思って再び机に向かったその時、部屋の扉が開く音がした。


「ご主人……お腹すいた……」

声の主はアルス=ノウァだった。部屋に入る時はノックをしなさいと注意しようとしたが、書斎に入る前と比べると何やら様子がおかしい。声に張りがなく、表情もどこか虚ろだ。眠気のせいだろうか?

「すまない、夕食がまだだったか。皆も腹を空かせている頃だろう、今作りに――」
「ううん、そこにいて、ご主人。ご主人の作ってくれた料理はおいしかったけど、お腹いっぱいにはならないの」
「……?それは、どういう――」

頭に疑問符が浮かぶ。料理で腹が膨れないとはどういうことなのだろうか。何かしら身体の異常でもあるのか――そう思った矢先のことだった。
先程まで部屋の入り口にいたはずのアルス=ノウァが、一瞬にして自分の目の前に現れる。完全に虚を突かれ、それが転移魔術によるものだと理解するのに、しばらくの時間を要した。
間近で見ると、やはり様子がおかしい。美しい金色の眼には光が宿っておらず、天真爛漫を体現したかのような昼間の様子とは違って、今の彼女からは何やら妖艶な雰囲気が醸し出されていた。

「だからぁ……ご主人の魔力、ちょーだい……?」
「……ッ!?ライラ!シャロン、リーザッ!!」

無害そうだった様子からの豹変。恍惚とした様子で言葉を漏らす彼女ににわかに戦慄を覚えた冒険者は、声を張り上げて"助手"を呼んだ。
だが、返答はない。いつもならこれだけの大声を出せば、すぐさま飛んでくるのだが――

「無駄だよ、ご主人。三人とも、ボクの力で気絶させてきたから。ボクが何をしようとするか知ったら、きっと止めにくるだろうし」
「……昼間の様子は、演技だったのか」
「んー、別に演技してたつもりはないんだけどなー」

――気付けなかった自分の落ち度か。警戒を念頭に入れておきながら、何という様か。
思考を巡らせながら、冒険者は椅子ごと後退を試みる。だがその動きはすぐに見咎められ、あっという間に制圧されてしまった。見た目によらず強い力で押さえ付けられ、彼女が魔物であることを実感させられる。


「逃げちゃダーメ。心配しなくても、殺したりはしないよ?まだ出会ったばかりだけど、ご主人のことは大好きになったもの。優しいし料理は上手だし」
「ならば、何故このようなことを……」
「……ごめんね。ボクたち魔導姫は、人間から魔力を貰わないと生きていけないの。そういう風に"創られた"から」

昼間に目にした、魔導姫に関する記述が頭に浮かぶ。眉唾だったが、あの記述は正しかったのだ。

「大丈夫、痛いことはしないから。むしろ病み付きになるかもだよ?」
「……今の状態は、正直言って痛いのだが」
「あっ。ご、ごめんね?でも逃げようとするご主人もいけないんだよ?」

言われて、ばつが悪そうにぱっと手を離した。……なんだろう。この様子を見てるとやはり根っこのところは昼間見た彼女に相違ないようだ。
それにしても、一体何をされるというのだろうか。吸血鬼のごとく血でも啜られるのかと内心身構えていた冒険者は、アルス=ノウァの意図が分からず戸惑う。

「それじゃ……えいっ」
「!?!?!?」

予想だにしないことが起きた。アルス=ノウァがズボンに手をかけたかと思うと、下着ごと一気にずり下ろしたのだ。自分の息子が突如として外気に晒され、冒険者は大いに困惑し、彼女の真意を理解して羞恥で顔を真っ赤に染めた。

「なっ、なっ……なっ……!?」
「うん、魔力を貰うって、こういうことなの。これが一番効率がいいんだって、なんでかはわかんないけど」
「ちょっ、ちょっと待て、待ちなさ――」
「ごめんねご主人、もう待てない」

言いながら、アルス=ノウァはまだ萎えている状態の男根を手に取り、軽く扱き始めた。未だ動揺の収まらない冒険者だったが、柔らかい手の感触が伝わってくるのを受け、不本意ながらそこを固くしてしまう。


「えへへ、おっきくなったね。それじゃ、いただきます……♪」

言うやいなや、アルス=ノウァは充血し固くなった男根を、一切の躊躇なく口に含んだ。
未曾有の刺激に、冒険者の腰が一瞬跳ねる。その様子を見て満足げに微笑むと、アルス=ノウァはそのまま口で"奉仕"を始めた。
実においしそうにしゃぶりつきながら、下で敏感な先端を刺激することも忘れない。ついぞ異性との縁には恵まれず、さらには働きづめで溜まった欲望の処理もままならなかったところに、未知の口淫による快楽。耐えられるはずもなく、冒険者は呆気なく限界まで上り詰めてしまった。

「んっ……♪ん、んぐ……♪ちゅぅ……♪」
「ぅ、ぁ……っ」

白濁を口内に吐き出されてなお、アルス=ノウァはペニスをくわえこんだまま離そうとしない。さらに尿道に残ったものも吸い出し、一滴も残すことなく飲み干した。子種にたっぷりと蓄えられた魔力が全身に染み渡り、アルス=ノウァの空腹はすぐに満たされていく。

「……ごくん。えへへ、ごちそうさまでした」

昼間と同じような無邪気な顔で、にっこりと微笑む。それを見て、何かがぷっつんと切れるような感覚を、冒険者は覚えた。

「ほら、痛くなんてなかっ……ひゃっ!?」

急に立ち上がったかと思えば、背中と足に腕を回され、一気に抱き抱えられた。いわゆる「お姫様だっこ」の体勢となり、少しばかりアルス=ノウァの顔に赤みが差す。

「あは……♪もしかして、もっとしたくなっちゃった?」
「……ふさわしい場所に移ろう。続きはそこでだ」



冒険者はそれだけ言うと、ズボンを上げて見た目だけを雑に整え、アルス=ノウァを抱えたまま、書斎から出て寝室を目指す。
女性経験などなかったところに、この刺激だ。知識だけは得ていた彼が、一度燃え上がった獣の欲望を抑えられるはずもなく。
寝室に辿り着くと、アルス=ノウァの身体をそっとベッドに横たえる。肉欲の衝動に突き動かされはすれど、乱暴な真似だけはするまいと、ギリギリのところで理性を働かせていた。

「ん……もっと乱暴にされるかと思ったけど。やっぱり優しいね、ご主人は」
「たとえ魔物であれども、いきなりこちらの意味で襲われたとしても……君は女性だ、手荒には扱うまいと決めている」
「そっか。……いいよ、ご主人。最後まで……しよ?」

誘惑するように、両の腕を主人に向かって伸ばす。とうに空腹は満たされているが、主人にしてみれば口淫のみではいおしまい、とするにはあまりに酷と言うものだろう。
何より、濃厚な精気に充てられたか、自分も先程から身体が火照って仕方がなかった。全身が快楽を求めるように疼き、秘裂からは止めどなく蜜が溢れ出す。
冒険者の方も、天を衝くかのようにに肉棒を固く隆起させており、もう我慢ならないと言うかのようにひくひくと震えさせた。
互いに準備は万端。淫靡な誘惑に応えるかのように、冒険者は魔物の少女に覆い被さった。



「あ、は……っ♪じょうず、だよ……ご主人……もっと……っ♪」

すっかり快楽に蕩けた顔で、アルス=ノウァが懇願する。
初めてのはずの愛撫は、冒険者の丁寧な性質もあってか彼女が感じるには十分であり、さらにアルス=ノウァの反応を見て効果的だと判断した動きを続ける。この繰り返しで愛撫の腕前は短時間でめきめきと上達し、気付けばアルス=ノウァはすっかり骨抜きにされていた。
豊満に実った果実には力を入れすぎないように優しく手をつける。先端の突起は片方を指で丁度いい力加減で扱かれ、もう片方は舌先で愛撫されつつ、時折口付けを落とされて吸い上げられる。
そうした胸への刺激を受けて蜜を溢れさせている秘所へと伸ばされた手で、丁寧に秘裂を撫でられ、女の弱点たる肉の芽をきゅっと摘まれる度に、腰は面白いように跳ね、潮を吹き出して幾度も達した。
口ではまだ自分の方が優勢であるかのように思わせようとするが、形勢はとっくに逆転していることは理解している。認めたくはないが。


(うう……ボクがリードしたかったのに、ご主人、短時間でこんなっ……上手く、なりすぎぃ……っ♪)
「……どうかな、アルス=ノウァ。ちゃんと気持ちよくなれているかい?」
「み、れば……わかる、でしょ……は、ひっ……ごしゅじん、ホントに、はじめてなの……ひうぅんっ!?」
「そうか。ならよかった」
「あっまって、今そこだめぇ……イっちゃう、イっちゃうからぁぁぁぁぁぁああ!?!?」

言いながら、また淫核をつまんで刺激する。またアルス=ノウァの腰が跳ね、嬌声を上げながら限界を迎えた。

「はっ……はひぃ……ぁぁ……♪きもち、よすぎるよぅ……」

まだ挿入もされていないのにこの有り様である。これであの熱くて固いものを挿れられてしまったら、一体どうなってしまうのか。熱に浮かされた眼差しで、ひくつく冒険者の凶器に期待を込める。
もはや何度目の絶頂かも定かではなく。少女の喘ぎ声は留まるところを知らず、冒険者の肉欲はますます増していくばかり。

「……息も絶え絶えのところすまないけど、もう限界だ……挿れるよ、アルス=ノウァ」
「う、ん……いいよ、えんりょ、しないで……ボクのこと、メチャクチャに……してぇ……♪」

蕩けきった声で紡がれる、精一杯の誘惑。もはや我慢することは出来ない、冒険者は限界まで張り詰めた己の分身を、一息で肉壺へと押し込んだ。

「ふぁっ……あ、あああぁぁっっ♪だ、ダメぇ、こんなの、耐えられにゃ……っ♪」
「く、うぅぅっ……!きつ、い……!」

既に快楽で蕩かされた身体には、あまりにも刺激が強すぎた。挿入された感覚だけでアルス=ノウァはあっという間に達し、密壺をぎゅうっと締め上げる。それは強烈な快感となって冒険者の肉棒に伝わり、思わず顔を歪めた。

「ひ、ぁっ……、まっへ、まっひぇまだうごかさにゃ、ぃ、やああぁぁぁん♪」
「はぁっ、はぁっ……くぅっ、アルス=ノウァ……!」
「あっ、ぁ……っ♪ひぅ、ぁひっ……ごひゅじ、ごしゅじんっ……しゅごい、ひゅごすぎるよぉ、ん、んむ、ぅうん……」



荒々しく責め立てながら、もはやまともに呂律も回らないアルス=ノウァの背に腕を回し、抱き寄せて口付けた。彼女もまた嬉しそうに応え、どちらからともなく舌を絡めて唾液を交換し合う。
しばらく続いた後に唇を離すと、名残惜しいと言うかのように糸を引いた。それでまた欲望が高まったか、冒険者は肉棒を埋めたまま少女の腰を掴んで態勢を変えさせ、再び責め始めた。
片手で形のいい尻肉を掴みながら夢中で腰を振り、もう片方で激しく揺れる乳房を鷲掴みにしては、先端をまた指で虐める。
もはや主従の別もなく。理性などとうに塗り潰され、ただの雄と雌として快楽を貪り合うその様は、獣の交合と形容するにふさわしい。

「ふぅっ、はぁっ……ぅ、ぐ、ぁ……で、る……っ!!」
「ぁっ……あ、ぁぁ……んうぅ、ああぁぁぁぁああっ!!そこ、そこはダメぇぇっ!!ひぁぁああぁぁっ!?」

理性などとうに消し飛んでいた。冒険者は欲望のままに激しく突き込みを繰り返し、魔物の少女はそれに応えて、膣内の肉襞を蠢かせて肉棒から精液を絞り出さんとする。
そんな行為の最中に、冒険者の凶器は、蜜壺の奥に潜む弱点――すなわち、子宮口へ改心の一撃を与えた。
ただでさえ極限まで性感を高められたところへの、強烈極まりない刺激。攻める方も受ける方も耐えられず、絶頂の波が背筋を駆け抜け、快楽信号が脳を焼く。

「んぁ……ふ、ふぅっ……ごしゅじんの、あったかい……♪」

男根からは欲望が吐き出され、肉壺がそれを受け止める。命の源を神聖な場所で受けとめ、アルス=ノウァは恍惚とした表情を隠すこともなく言葉を漏らす。
だがそれだけでは収まらず、瞬く間に固さを取り戻した冒険者の分身は、すぐさま蹂躙を再開した。

「ああああっ!!?まっ、まってごひゅじんっ、今ボクイってる、イってるからあああああぁぁぁ!?!?」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!遠慮することはない、もっと上り詰めるといい……!」
「ひぁっ、ぅあ、ああんっ……ゆるひて、ごしゅじん、……これいじょ、っはぁああ!こわれ、こわれる、こわれひゃうよおぉぉ!!」
「そちらから襲いかかってきておいて……だらしがない、なっ!」
「ひ、あああぁぁぁぁぁぁああ!?も、もうダメまたイくっ、イくイくイく――や、あああああぁぁぁ!!」

また最奥の弱点への一撃。その上肉芽と果実への刺激も加わり、さらに強い絶頂がアルス=ノウァを苛む。
だが冒険者の凶器はまだ固さを維持している。膣内でビクビクと震えている辺り限界は近そうだが、その前に彼女が限界に到達しそうだった。再び向かい合うように態勢を変えられ、ラストスパートをかけるかのごとく勢いを増していく快楽に脳を侵食されながら、微かに残った力で主に抱きついて口付ける。
少しでも意識を分散させて勢いを弱めようととった行為だったが、無駄足に終わった。


「出す、よ……アルス=ノウァ……!これで、打ち止めだ……受け取って、くれ……ッ!!」
「ひぁっ、ぁっ、んぅっ……うけ、とめるぅ、ごしゅじんの、あついのっ!だしてぇっ♪ボクのこと、おとして……ぇ♪」
「くっ……ああぁ、出る……出るっ!!」
「ひ、うううぅぅぅぅんん!ごひゅじん、だいすき……だいすきぃっ♪や、あああぁぁぁぁぁぁああーーーーーーっ!?!?!?」

互いに固く抱きしめ合い、一際強烈な絶頂を迎えた。
吐き出される欲望は膣内を白く染め上げ、痙攣する肉襞は残る一滴まで絞り出そうと激しく収縮する。最後の快楽の波が引くと、二人して糸が切れたかのようにベッドに倒れ込んだ。
そのまま、深い眠りへと堕ちていく。互いにまだ繋がりあったままの状態に気付かないまま、獣の夜は幕を下ろした。



下半身から妙に心地のよい快楽が伝わってくる。
このまま感じていたいような、何が起こったのか確認したいような。
とかなんとか考えているうちに意識が覚醒し、閉じた瞼をゆっくりと開くと、愛らしい寝顔が飛び込んできた。
一瞬固まった後、慌ててガバッと飛び起きる。その拍子に繋がっていた秘所から分身が引き抜かれ、伝わった快感で少女の方も目を覚ましたようだった。

「ひゃんっ……♪……あ、……その。おはよ、ご主人……」
「……お、おはよう……」

昨夜の情事をまざまざと思い出し、気まずさ全開。互いにぎこちない朝の挨拶を交わす。

「……その、あれだ。乱暴にはするまいと言ったのに、途中から配慮もなにもなく……本当にすまない」
「えっと……。いきなり襲いかかってゴメンなさい……でも最高においしかったです、ごちそうさまでした……」
「君、口で言うほど反省してないだろう。まったく……それで、腹は膨れたかい?」
「おかげさまで……向こう2日3日くらいはもちそう。ていうかコレ毎日だとボクの体がもたないよう……ご主人すごすぎ……♪」
「そ、そうか。それなら何よりだ……あ、それと君にはもうひとつ、やらないといけないことが――」

「そうよぉ?けーっこう痛かったんだからね、あれ?」

「あっ……」
「……あー」

見る見るうちにアルス=ノウァの顔が青ざめ、冒険者はあちゃーと言わんばかりの表情を浮かべた。それもそのはず、彼女は事を起こす前に、世話になった魔術師3人を昏倒させてきてしまったのだから。
その3人のうちの1人――魔術師3姉妹の長姉、リーザが気持ちのいい笑顔で扉から顔を覗かせていた。


「うふふー、この落とし前は取って貰わないと――あいたっ」
「姉様、お戯れも程々に」
「アホなこと言ってないで。マスター、その娘の魔力の供給は無事に済んだ?」

言いながら、3姉妹の次女――ライラと、末妹のシャロンが顔を覗かせる。妙な単語が耳に飛び込んできたので、冒険者は確認を取るべく口を開く。

「……何の話かな、ライラ。魔力の供給?」
「いや、ほら、その娘"魔導姫"じゃない?"魔導姫"ってのは夢魔をベースに作られてて、活動源になる魔力は主に精を通して摂取するって話だし。魔導書に宿っている悪魔が女性の姿をしてるのも、男性から効率よく魔力を回収するためだってさ」
「調べれば調べるほど、質の悪い魔物といいますか。ちなみに、召喚術で呼び出した魔導姫に関しては、1回分の射精でしばらく活動するのに十分な魔力が補給できるようです。報告が遅くなり、申し訳ございません」

そんなのは初耳だ、と言おうとしたが、昨日は詳細を調べようとしてアルス=ノウァの相手をするために中断し、そのまま残していた作業に取りかかっていたのだった。アルス=ノウァの相手を依頼する際に魔導姫の情報を集めておくよう指示もしておいたのを、今更になって思い出す。
はぁ、と大きめの溜め息が漏れ出してしまう。魔導姫のことを優先的に調べていれば――と頭を抱えそうになるが、後悔先に立たず。どちらにせよ、あれだけでは到底耐えられそうにはなかったのだが。

「利に敵ってるわよねぇ、実際こんなにえっちで可愛い女の子に迫られたら大抵の男なんてイチコロよぉ?本当、チョロいってものじゃんむぅ」
「はいリーザ姉、ちょっと黙っててねー」
「ですが、現にあまりそのような行為に出そうになかったマスターも耐えられなかったあたり、非常に効果的であると言わざるをむぐぅ」
「シャロンも静かにしててー」
「……二人ともほぼ言い終わってるぞライラ……はぁ……」

目の前で繰り広げられる漫才のようなやり取りを尻目に、怯える存在がいた。まだ自分の行為について触れられてないことに対して、恐る恐る口を開く。

「あ、あの……ボクが襲いかかったこと、怒って……ないの……?」
「まっさかー。そもそもあの攻撃あんまり効いてないわよー?」
「ぇ、ええっ!?嘘!?」
「いや、ほら……あたしたちとあんたのレベル差がね?あたしたちもう進化も済ませてレベルも最大だけど、あんたは進化したてのレベル1じゃない?でも残った魔力量的に割と切羽詰まってたみたいだし、ならあたしたちは適当に気絶したフリして後はマスターに任せよっかなーって」

……頭を抱えたくなる、とんでもない発言が飛び出してきた。
この三人と来たら……あのとき心配したのが馬鹿みたいだと、冒険者は内心思う。



「うふふー、まあ元気になって何よりかしらねー?」
「……主に仕える立場上、せめて何か連絡は差し上げるべきではないかと進言したのですが、リーザ姉様は『黙ってた方が面白そうだから気絶したフリしといてー』と……」
「あっ待ってシャロンちゃん、それ言っちゃダメなやつよー?」

……訂正。シャロンはまだ良心的だった。

「……はぁ。まあとりあえず、3人からは特にお咎めはなしということでいいんだね?あとリーザ、後で話があるので書斎に来るように」
「やーんライラちゃんシャロンちゃん助けてー、マスターに性的に食べられちゃうー♪」
「そっかー、頑張ってねリーザ姉」
「自業自得かと」
「あらやだ冷たい。お姉ちゃんの初めてが花と散らされるかもしれないのよー?」
「君たち、リーザが私に襲われること前提で話を進めないでくれるかい。……まったく、私があのときどんな思いをしたと……」
「そ、その……ゴメンなさい!もう二度と襲ったりしません!」

軽く説教を始めようとしたところへ、意を決したようにアルス=ノウァが謝罪の言葉を口にした。冒険者は空気を読み、邪魔をするまいと喉元まで出かかっていたお叱りの言葉を飲み込む。

「……ま、ちゃんと魔力も確保できたみたいだしよかったわ」
「次からはちゃんとマスターの許可を取って下さいね?」
「はーい!」
「こらこら、当の本人の意向を無視して勝手に決めるんじゃない」
「気にしない気にしない、それにどうせマスターしか魔力供給できないんだし。まさか必要以上に手を出しておいて見捨てたりはしないわよねー♪」
「くっ……本当にいい性格をしているねリーザ……!!」



意地の悪い笑みを浮かべて実に楽しそうに煽ってくる。シャロンの説明及び昨夜のアルス=ノウァの様子を見るに、本来ならば本番前に出した1発のみで事足りていたようであり、浅ましくもその先を求めて獣のようにまぐわったのは冒険者の欲望であることに違いはなかった。
そこを突かれて苦々しげに顔をしかめるが、そろそろこのお調子者に灸を据えてやらねばこのなんとも言えない苛つきは収まりそうにない。

「……はぁ、ひとまず本来果たすべき役割を放棄した罰則だリーザ、向こう一ヶ月はこの家の掃除当番を君一人に命じる!」
「ちょっ、この広いお家を一人でー!?無茶言わないでよー!!第一見捨てたのはライラちゃんとシャロンちゃんも同罪よー!?」
「あっこら、あたしたちを巻き込まないでよリーザ姉!」
「……罰則ならば甘んじて受けます、マスター。……その、命じられるのであれば伽の相手も――」
「しないと言っているだろう!!昨日のは例外だ例外!!」

わいわいがやがやと言い争いが始まる。その様子を見ながら、アルス=ノウァは主人に向かって頭を下げ、言葉を紡ぐ。

「……ご主人、その……ふつつかものですが、これからもよろしくお願いします!」
「え……あ、ああうん。よろしく。とりあえず、お腹が空いたら早めに言いなさい。……その、なんだ。供給してあげるから」
「はいっ!」

何かがおかしいと思いながらも返事を返すと、アルス=ノウァもまた満面の笑みで応える。冒険者はふっと微笑み、光の魔導姫の頭を撫でてやった。
奇妙な事になりはしたが、彼女だって大切な仲間の一人だ。しっかり面倒を見てやらねば。
気持ち良さそうにはにかむ彼女を見て、その思いを一層強めるのだった。



「お二方とも、浸っているところ申し訳ありませんが……服は着るべきかと。いまいち締まりません」
「……ソウダネ」
「……ハイ」

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