なぜないのか疑問だった

アナザーバージン


眼前に広がる、モンスターを召喚するための魔方陣。
その周囲は炎で包まれ、召喚が無事に執り行われなかったことを克明に示している。何せガチャドラを用いない非正規の召喚法だ、その危険性は推して知るべし。
魔方陣の中心には、少し前までは人間だったであろう燃え滓が残っているのみ。
召喚、あるいは契約の失敗により起きた悲劇。普通の人間ならば恐怖に身をすくませただただ嗚咽を漏らすか、あるいは駆け寄り泣き叫ぶでもするところだっただろうが、胸中に浮かんだのは、呆れるようなただひとつの思いのみ。

――ああ、やはり駄目だったじゃないか、と。



(……ん)

夢のせいで眠りの淵から引きずり出される、というのは随分久しぶりの感覚だった。
数年前起きた悲劇、その出来事を反芻するかのごとき悪夢。前日の疲れのせいだろうか、しばらく見ていなかったものを久々に見てしまった。目覚めとしては最悪の部類である。
……だが、目が覚めたのはどうやら夢のせいだけではないようだ。下半身が妙に涼しい。だけではなく、大事な部分が生暖かい何かに包まれているような感覚。それにほんのり気持ちいい。
視線を落としてみれば、原因はすぐにわかった。
「……おふぁよ、ごひゅひん。よふねむれは?」

少しむくれたような表情と、不満げな声。はて、何故だろうと考える間もなく、思いっきり肉棒を吸引された。それまでの奉仕で性感を高められていたせいか、その一撃で冒険者は呆気なく果てた。起きて早々、ぺニスに刺激を加えていた犯人――アルス=ノウァに、濃厚な白濁の奔流を叩き込む。
絶頂に苛まれながら、何故彼女の機嫌がよろしくないのか、その理由を考える。昨日は突如として大量発生したガチャドラの討伐へと向かわされ、へとへとになって帰ってから糸が切れたようにベッドに倒れ込み――
そこまで記憶を取り戻して、冒険者はある重大な事実を思い出す。やってしまったと言わんばかりに右の掌で両目を覆い、絞り出すように言葉を紡いだ。

「……おはよう。そしてすまなかった」
「ん、よろしい。言う前に思い出してくれたみたいだから許したげる」

言いながらも、やはりまだ機嫌は直りきってはいないようだった。それもそのはず、昨日はアルス=ノウァに精を通して魔力を供給するはずだった日だ。彼女にしてみれば楽しみにしていた夕食を理由もなく半日お預けにされたようなものだ、それは怒る。

「……まぁ、昨日はご主人も疲れてたみたいだし。でも半日お預けは辛かったんだよ
?」
「面目ない……詫び代わりと言ってはなんだが、何か要望があれば言ってほしい。私にできる範囲のことであれば尽力するよ」
「ホント?じゃあご主人、ボク最近ちょっと気になってる本があるんだけど……」
「ふむ、いくらあれば足りるかな?」
「1冊が割と高いみたいで……3冊ほど出てるみたいだから、結構要るかも」
「分かった、10000ゴールド程渡そう。それだけあれば足りるだろう。余った分は自由に使ってくれて構わないよ」
「ホント?やったー!」

彼女が物をねだるのは非常に珍しいことだ。約束を破ってしまった負い目もあり、冒険者はアルス=ノウァの申し出を快く了承する。彼女には普段のダンジョンの攻略で役に立ってもらっていることもあり、言った金額を渡すことに抵抗は一切なかった。


「……失礼します、マスター。起きていらっしゃいますでしょうか?」

話が纏まったところへ、ノック音が聞こえてくる。下半身が露出したままだったのを思い出し、冒険者は慌てて着衣を整えた。問題がなくなったところで、声の主に言葉を返す。

「ああ、起きているよ。おはよう、シャロン」
「おはようございます。朝食の準備が整いましたので、食堂までお越しくださいませ」

扉越しにシャロンの事務的な声が聞こえてくる。
これまで料理は冒険者が用意していたが、主にばかりそんなことをさせるわけにはいかないと、シャロンは寝る間も惜しんで料理の研究に励んだ。結果、短期間でみるみるうちに料理の腕前が上達し、今では主に彼女が食事の用意を担当している。

「わかった、身支度を整えてから向かうよ」
「お待ちしております。それでは」

丁寧な言葉で締め括られ、足音が遠ざかっていく。冒険者は寝台から降り、寝間着から着替えて、うんと伸びをして身体の調子を整える。前日の疲れが、未だ身体に残っているようだった。

「先に朝食を食べようか。その後で資金を渡すよ」
「はーい♪」

すっかり上機嫌になったアルス=ノウァを見て微笑みながら、冒険者は魔導姫を伴い、シャロンの後を追って部屋を出た。
……喜びを前面に押し出す彼女の表情に、微かに淫靡なものが混じっているのに気付かないまま。



朝食を済ませて魔導姫に言った通りの金額を渡し、妹から食材の買い出しを頼まれたリーザと共に出掛けていく姿を見送ってから、冒険者は部屋へと戻った。
全3冊、それも結構値の張る書物……一体どのようなものだろうか。ぼんやりと考えながら、部屋で疲労の残る身体を休ませるため、昼に鳴るよう目覚まし時計を設定して再び眠りに就く。
予定通り昼に目覚め、シャロンが作った昼食を平らげて再び自分の部屋へと戻り、適当な小説を読み始めたところで、ノックの音が聞こえてきた。
入るように促すと、買ってきたらしい3冊の本を抱えたアルス=ノウァが入ってくる。本の内容に関する質問でもあるのだろうか。

「ただいま、ご主人!早速なんだけど、ちょっとこの本に書かれていることを試してみたくて……やってみる前に、ご主人にも見て欲しいの」
「ああ、分かっ……ッ!?」

アルス=ノウァから本を差し出され、申し出を了承しようとして絶句する。本の表紙に大きく書かれている題は――"神王妃全面監修・夜の営み全書"。試したいことがあると言っていたが、もうこの時点で嫌な予感しかしない。


「……き、気になっていた本とはこれのことか……!?アルス=ノウァ、この本の情報はどこから……!?」
「リーザ姉がオススメしてくれたの!もっとご主人とらぶらぶ?になれるようにこれで勉強しなさいって!」
(あ、悪意しか感じない……!おのれリーザ……!)

魔道士三姉妹の長姉リーザはとかく人をからかうのが好きな性質をしており、今回アルス=ノウァに神王妃が監修したという本を勧めたのも、まともな理由とは考えがたい。それをあえて好意的に捉えるならば、魔導姫に正しい性の知識を得て欲しいとの考えあってのことか。
……こうして目の前に現れてしまった以上は仕方ないと、冒険者は覚悟を決めた。

(こんなものが3巻も出ているのか……。それぞれ初・中級、上・超級、地獄・壊滅級……おい待て)

おおよそ夜の営みには似つかわしくない単語が書かれているのを見て思わず頭を抱えたくなる。地獄級に壊滅級とは何だ。全能神以外にそのやり方が適した男がいるのか、と思って、どういうわけか被虐の快楽に目覚めたらしいどこぞの背徳の熾天使を思い出す。
魔導姫と共に怖いもの見たさで中身を軽く確認してみれば、案の定ハードが過ぎる営みの数々。地獄と壊滅の名を冠するだけのことはある。隣のアルス=ノウァも、「うわぁ……」と引き気味の言葉を漏らしていた。
いずれにせよ、おおよそこの本の内容が自分の身にふりかかるなどとは考えたくないものだった。冒険者はおそるおそるアルス=ノウァの方を見やる。

「……心配しなくても、地獄と壊滅級に書かれてるようなことはしないよ?ボクだってあんまりひどいことはされたくないし、ご主人絶対嫌がると思うし」
「そ、そうか、それならよかった、うん。……にしても、地獄に壊滅などごくごく一部の変わり者しか喜ばないだろう……」
「さすがにこれは……ね……」

さしもの魔導姫もこれにはドン引きといった様子で、本の内容を否定した。ひとまずこんな目には遭わなくて済むと安堵した冒険者は、魔導姫と共に残る2冊の内容を確認する。
初・中級の方は初心者向けの手順からちょっとだけ進んだプレイが実に丁寧に記されており、上・超級は多少目を背けたくなるような内容はあれど、地獄及び壊滅級と比べれば天と地ほどの差がある。
一通り確認を終え、まだ上級及び超級の内容を試すには早いだろうと、再びアルス=ノウァの方を見る。

「……せめて中級までにして貰えないだろうか」
「うん、上級と超級もちょっとね……ボク的には普通が一番だと思うよ、うん。……あれ?それじゃ買うのは1冊だけでよかったかも……?」

アルス=ノウァが良識的で助かったと、冒険者は心の底から思う。……彼女が言う通り残り2冊は不要なのではないかと思い始めてきたが、敢えて気にしないことにした。


「でも、色々やり方があるんだね……今まで口でするのと普通に挿れるのしかしたことないから、この本に書かれてるのって新鮮なことばっかりだよ」

語る魔導姫の言葉は、既に彼女が多くの経験を積んでいるであろうことを感じさせる。だが夜の営みとしての知識は乏しいらしく、案外リーザが彼女に神王妃の著書を勧めたのは、先程敢えて好意的に考えてみた通りなのかもしれない。
妙に複雑な気分を覚えているところへ、不意を突かれてアルス=ノウァに唇を奪われた。
互いに舌を絡ませあっての、深い深い接吻。唇を離すと、唾液が糸を引いて垂れ落ちる。

「……えへへ。心配しなくても、もうボクはご主人専用だよ?」

見抜かれていたらしく、無邪気な顔で告げられる。そのまま着衣を脱がしにかかられ、冒険者は敵わないなと苦笑を溢すのだった。



「それじゃご主人、試したいこと第1弾……今から、するね?」

はにかみながら、アルス=ノウァは衣服を下へとずり下ろした。形のいい、恵まれた大きさの果実が露になり、思わず視線を奪われる。
呆けている間に、剥き出しにされた剛直に柔らかい感触を覚えた。魔導姫の豊かな双丘が、冒険者の男根を包み込んでおり、谷間から先端が顔を覗かせていた。

「ふふっ……ご主人の、ボクのおっぱいで気持ちよくしてあげるね……♥」

そう言うと、アルス=ノウァは両の手を乳房にあてがい、冒険者のペニスを擦りあげ始めた。双丘の柔らかさ、ほんのりと暖かい体温、そして何より豊かな母性の象徴に、自分の息子を愛撫されているという事実。性感そのものは緩やかなものだったが、情欲は否応なしに昂らされていく。
かと思いきや、谷間から飛び出していた先端へ、舌による刺激が加えられた。不意を突かれた形となり、突然の快楽で腰を浮かせたところへ、そのまま口内へと男の弱点を咥え込まれる。続けざまに舌で敏感な亀頭をくまなく撫でられ、吸引による強烈な刺激。
押し寄せる連続攻撃に耐えられず、冒険者は呆気なく限界を迎えた。鈴口からどくどくと吹き出る白濁を、魔導姫の口内へと流し込む。

「ん……っ♥んむ、ちゅぅ……っ♥おいひ……♥」
「く、ぁ……」

尿道に残る精も一滴残らず吸い出しながら、魔導姫ははだけた衣服を完全に脱ぎ捨て、一糸纏わぬ姿となる。冒険者の剛直から一旦口を放し、体勢を変えて冒険者の上を位置取り、しとどに濡れる自らの秘所を主の眼前へと差し出した。

「これが第2弾ね。ほら、ご主人も……ボクのこと、気持ちよくして……♥」

蕩けた言葉で紡がれる、甘い誘惑。当然断る理由などなく、冒険者は目の前で露になっている女の弱点へとむしゃぶりついた。

「ひゃっ……♥あ、ぁん……♥」

溢れだした愛蜜を啜りながら、舌を這わせて包皮に包まれた肉芽を探り当て、皮越しに突いて刺激する。敏感な肉の真珠を責められて魔導姫は軽く背を反らすが、すぐに負けじと冒険者の剛直を再び咥えて奉仕を始めた。所謂シックスナインの形となり、互いに弱点を刺激し合う。


「んむ……♥まへないよ、ごひゅひん……♥ひぁ、ん……♥」
「む……く、ぅっ」

先の射精で多少は堪えられるものの、冒険者より遥かに経験を積んでいるであろう魔導姫の性技は実に巧みで、気を抜けばまたすぐに達してしまいそうだ。このままでは主として、男としての面目が保てないと思うところへ、冒険者の目に映ったのは、秘裂の上でいやらしくひくつく菊穴。

「――ひんっ!?」

興味本意で軽く触れてみると、可愛らしい悲鳴と共にアルス=ノウァが仰け反って反応する。
少しの刺激でこの反応。もしやと思いながら尻穴周辺への愛撫を続けると、やはりこれまでとは明らかに感じ方が違う。

「ご、ご主人……そこは……」
「いけないか?」
「あ……ぅ、うぅん……」

恥ずかしいのか、妙に歯切れが悪い。頬を朱に染めながらしばらくもじもじしたあと、意を決したように告げる。

「その、ね。ボク、そこ弱いの……もっと、して……♥もっと、感じさせ――ひぁぅ!?」
「では、望み通りに」

指に唾液を垂らして湿らせ、弱点だと告げられた尻穴へと中指を挿入する。ぐりぐりと指の腹で引っ掻くように肛内を刺激してやると、面白いように魔導姫の身体が跳ねた。本人が言った通り相当に敏感なようで、先程まで優勢だったはずのアルス=ノウァからの責めが止み、ただただ快楽を享受するだけとなっている。
さすがにもどかしくなり、空いた手で魔導姫の肩を軽く叩いて続きを促すと、それまでよりも弱々しい刺激が肉棒へと与えられた。

「ひ、はっ……♥ん、むぅ……♥ん、んっ……♥あ、んぁ……っ♥ま、まへなひ……かりゃ……っ♥」

喘ぎ声に交じって微かな対抗心が聞こえる。何をするつもりかと思いきや、己の尻穴にも異物が挿入される感覚。今実行していることをそのまま返され、冒険者もまた硬直する。
直後、後ろの穴から強烈な快感が伝わってくる。一体何をされたのか理解する間もないまま、反射的に挿れたままの指で肛内を抉った。

「は、ひっ……!!ぁ、ん゛ぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜ッ♥」
「ぐ、お……あぁ……っ!!」

魔導姫にもこれが会心の一撃となったようで、二人して同時に高みへと上り詰めた。剛直は口内へと気持ちよく精を吐き出し、秘裂は多量の潮を吹き出して冒険者の顔面を濡らす。
互いに弱点への強烈な刺激で息も絶え絶えになりながら絶頂の余韻を堪能し、復帰した頃には、双方とも再び情欲に火が点いていた。
先に調子を取り戻した冒険者が、魔導姫へと覆い被さる。既に固さを取り戻した肉棒を秘所へとあてがい、先端で2、3度撫で上げてやると、切なそうにくぐもる声がアルス=ノウァから漏れ出た。
熱に浮かされ、潤んだ瞳で期待するような魔導姫の眼差しを見て、もはや確認は不要だと判断した冒険者は、固く張り詰めた己の凶器で魔導姫を一気に貫いた。


「あ゛、んぅ〜〜〜〜ッ♥はっ、ひ、んぁ……♥はいって、きたぁ……♥」

挿れた途端に膣壁が収縮し、冒険者のモノをキツく締め上げる。そこへの刺激はやはり格別のものらしく、最初の一撃でアルス=ノウァはいとも容易く達した。
こうなってしまえば、あとはもう冒険者の独壇場だ。微かに残っていた理性も消し飛び、一切の遠慮なしに荒々しく突き込み責め立てる。

「ぁ、んぁ……♥ひっ、ぅ……ふぁぁっ♥」

主人から休む間もなく与えられ続ける暴力的な快楽を、情欲に蕩けきった顔でアルス=ノウァは受け入れる。
Gスポットを引っ掻かれては達し、最奥に突き込まれてはまた達し――彼女が上り詰めた数は、冒険者のそれを優に越えていた。
前戯では魔導姫がリードし、本番へと突入すれば一気に力関係が逆転する――これが彼らのまぐわいの常だった。

「ひぁ……♥あ、ダメ、またイくぅ……っ♥あ、あ、ひぁぁ♥」
「まったくだらしがないな、突き込む度に達しているんじゃないか?」
「イってるっ、ごひゅじんにいじめられるたびにイって、んにゃぁぁぁぁ♥こ、こんなのおかしっ、ボクこんなにびんかんにゃはずじゃ……ぅあぁぁ……っ♥」

会話の間に3回は達し、あまりに敏感な身体にさすがの魔導姫も違和感を覚える。
それまでの"食事"ではこれほどまでに感じることはなかったはずなのだが……主とは身体の相性がいいとでもいうのか、とかく彼女は冒険者との情事では乱れに乱れた。
微かに働く思考回路をどうにか稼働させ、魔力を使って身体の感度を抑える。普段ならこのようなことは絶対にしないのだが、このままでは責められるばかりで主人への奉仕が疎かになってしまう。その危機感から敢行した。次第に落ち着きを取り戻すアルス=ノウァを見て、主もそのことを察したようだ。

「はっ、はっ……ふぅ、っ……♥ぼ、ボクだって、ご主人のこと気持ちよくさせてあげるんだから……っ♥」
「……っ」

いじらしく言葉を漏らす魔導姫の姿に心を打たれ、それまで攻め立てるばかりだった冒険者は体位を変え、アルス=ノウァを貫いたまま仰向けに寝そべる。女性上位の体勢となり、アルス=ノウァは妖艶な笑みを浮かべた。

「んぅ……♥えへへ、ありがとご主人。でも……ボクたち魔導姫に簡単に主導権を渡しちゃダメだよ?……そのこと、今から存分に思い知らせてあげる……♥」

すっかり調子を取り戻し、魔導姫は主人の上で腰を振り始めた。途端に、冒険者の剛直にそれまでにはなかった圧倒的な快楽が押し寄せ始める。

「く、ぁ……!?」

円を描くように動く腰、肉棒を満遍なく撫で上げるかのような肉襞の蠢き……それによってもたらされる甘美な刺激が、冒険者を苛む。
これまでが敏感に感じすぎたのか、絶頂以外に収縮することのなかった魔導姫の膣内は、まるで別の生命体であるかのようにうねり、優しく、時にキツく包み込んでくる。
数多の"食事"を経験した魔導姫の性技が、ここにきてようやく発揮され――彼女とのまぐわいしか経験のない主人は、すぐに限界を迎えた。



「ん……♥ふぁ、熱い……♥」

命の奔流を、自らの神聖な場所で受け止める感覚。何度経験しても甘美極まる温かさが、アルス=ノウァの膣内を満たす。

「えへへ……まだまだ、してあげるね……♥ん、ふぁ……っ♥」

淫靡な笑みを浮かべ、魔導姫は上下運動を再開した。絶頂直後のぺニスへの強烈な快感を、そう簡単には達するまいと歯を食いしばって耐える。
が、魔導姫の搾精技術はそんな抵抗をものともせず、暴力的とも言える刺激を次から次へと送り込んでくる。時には根本を締め上げるかのように、時には全体を優しく舐め回すかのように――バリエーションに富んだ責めで畳み掛けてくる。結局冒険者はすぐに屈服し、濃厚な白濁をアルス=ノウァの膣内へと叩き込むのだった。

「ふ、ぁ……♥ふふ、まだ固い……♥ご主人ってば絶倫だね……まだまだできそう♥」
「……我ながら浅ましいことこの上ないな……一体どれだけ飢えているのやら」
「気にしない気にしない♥何度でもできるのはボク的には大歓迎だよ……♥」

行為を始めてから既に4回は精を吐き出しているはずだが、冒険者のそれは未だ固さを失っていない。それどころか、もっと貪らせろと言わんばかりに膣内でピクピクと震えている。
冒険者も奉仕を十分に堪能したか、上体を起こして程よく肉のついた身体を抱きしめ、アルス=ノウァの唇を奪った。舌を絡めて唾液を交換し、互いに深く深く貪り合う。息苦しくなってきたところで一度離れ、銀糸が垂れ落ちる前に再び口付けて魔導姫の口内を堪能する。
魔導姫が接吻に集中している隙に冒険者は無防備な臀部へと手を伸ばす。狙うは、彼女が弱点だと明かした後ろの窄まり。結合部から溢れ出る愛蜜で指を濡らし、尻穴へと突き入れてやると、痛快な反応を返す。

「――――ッ♥ご、ごひゅじん、いきなりずる、ひゃうっ!?」

感度を抑えている状態でこの有様である。これが先程の過敏な状態であったならば、あまりの快感に気を失っていたかもしれない。それほどまでに、彼女の尻穴は与えられる刺激に対して実に弱く、脆い。
目の前の主人が意地の悪い笑みを浮かべているのが見える。主導権は、再び冒険者へと移った。
強烈な快感で悶えているのをもっと見たいと言わんばかりに、肛内の指は蹂躙を繰り返す。呆気なく達したところへ、指の追加による容赦のない追撃を受け、また身体が跳ねた。

「あ゛〜〜っ♥ぅ、あ゛……ッ♥ら、め、まひゃ、イ゛ッ、〜〜ッ♥」

もはやまともに言葉を発することも敵わず、口から漏れ出るのは喘ぎ声ばかり。さすがにやりすぎたかと判断したのか、悶える魔導姫の尻穴から指が引き抜かれた。その衝撃でまた達する。
アルス=ノウァが度重なる絶頂の余韻で息を切らしている間、新たな欲望が湧き上がってくるのを、冒険者は感じていた。魔導姫が呼吸を整えるのを待ち、落ち着いたところで声をかける。



「……アルス=ノウァ。もう少し感度を抑えられるかい?」
「え……?う、うん、できるけど……一体なにするつも――」

途中まで口にして、アルス=ノウァの顔が微かに青ざめる。目の前の主人が何をしようとしているか、わかってしまった。
それを示すかのように、先程まで指が暴れていた尻穴へ、蜜壺から引き抜かれた冒険者の凶器があてがわれる。
――性感を抑えた状態でさえ乱れよがるほどの快楽を受ける場所へ、固くて熱いモノを突き込まれれば、一体どうなるか。
恐ろしく思う反面、期待してしまう。そこへの刺激は、蜜壺へのそれよりも――多分、ずっとずっと気持ちいい。

「……だ。やだ」
「う、やはりダメか。すまない、少し調子に乗りすぎ――」
「……違うの。感度、これ以上下げたくない。なんだか、もったいない気がして……」
「ゆ、指での刺激でさえあれだろう?もしそのまま挿れようものなら――」
「いいの、それでもいい!ボクのお尻に挿れて!ご主人の熱くて固いおちんちんで、ボクのお尻メチャクチャにしてっ!!もう身体が期待しちゃってるの、そうされたいって!」
「……ッ」
「それに……ボク、こっちの方は……その、まだしたことないから……ね、ご主人……ボクの、後ろの初めて……ご主人ので奪って……♥」

魔導姫の口から紡がれる、男を惑わし堕とす呪文。快楽に潤んだ瞳から放たれる、熱に浮かされたかのような眼差し。こうまでされては、冒険者に抗う術はない。抗うつもりもなかった。

「……。わかった、そこまで言うなら……君の期待に応えよう。……辛くなったら言って欲しい、無理はさせたくない」
「大丈夫、ボクなら大丈夫だから……ご主人のやりたいようにして……♥」

顔を羞恥で朱に染め、アルス=ノウァが欲望を口にする。同時に、主が挿れやすいよう、両の手を使って菊門を押し広げた。
改めて剛直をあてがい、アルス=ノウァに負担をかけないよう、ゆっくりと沈み込ませていく。未開の肉の洞穴は、極上の締まりを以て冒険者のモノを歓迎した。

「ふ、ぁ……あ゛あ゛ぁっ……♥い゛、ぅっ……♥はぁ……♥ぁ……♥」

膣内へと一気に突き込まれた時よりも緩やかな刺激のはずなのに、肛内へ少しずつ侵入してくるそれは、圧倒的な快感を以て魔導姫を責め立てる。半分ほど入った時点で1回、根本まで納まった時点でもう1回。ただ挿れただけ、それもゆっくりとした動きで、2回も達してしまった。熱を帯びた凶器が尻穴の中でピクピクと震えるその動きだけでも、さらに絶頂させられそうだ。

「だ、大丈夫か?やはりやめた方が――」
「ら、め……やめにゃいれぇ……♥もっろ、もっろきもひよくなるのぉ……♥」

心配になってきた冒険者の気遣いを、呂律の回らない言葉で固辞する。既に魔導姫の頭の中は、これから与えられるであろう暴力的な快感への期待で支配されていた。
ここまで言われたのだ。途中で止めれば、逆に彼女の不興を買うだろう。冒険者はふうとため息をつき、半ば呆れた顔でアルス=ノウァへと告げた。

「……もう知らないぞ。止めろと言われても止めないからな」
「う、ん……♥かくごは、でき――ッッッ!?!?!?」

これよりは一切遠慮はしないという宣告。魔導姫もそれを受け入れたところへ、肛内から肉棒を引きずり出し、先端が引き抜かれる直前に思い切り突き込む。その動きで深く強い絶頂に襲われ、尻穴を強烈に締め上げた。膣とはまた違う締め付けに、冒険者の顔も快楽で歪む。
だが肛虐によってアルス=ノウァが受ける快楽は冒険者の比ではない。膣内よりもキツく狭い尻穴へ挿し入れ、引き抜く動きを繰り返す度に、魔導姫からは獣のごとき喘ぎ声が漏れだし、絶頂にともなう腸壁の収縮で剛直を強烈に締め上げる。達しそうになるのを必死になって堪えながら、子を成すための聖域よりも遥かに敏感な不浄の穴へ、冒険者はなおも突き込みを続けた。


「ん゛ぁ……っ♥お゛、うあ゛あ゛……ッ♥」
「はぁっ、はぁっ……アルス=ノウァ……ッ!」
「ひ、はぁ……♥あ゛っ、ごひゅ、じ……ん゛ぃぃっ!?」

肛内を貫いたまま、腰を掴んで魔導姫の体勢を変えさせ、仰向けにする。その衝撃でまた達したのを確認すると、そのまま一息つくために動きを止めた。呼吸を整えながらアルス=ノウァの方を見ると、顔を見られたくないと言わんばかりに両腕で覆い隠していた。その隙間からも、彼女の顔はあちこちから漏れ出る数多の体液でぐちゃぐちゃになっていることが分かる。
腕を伸ばして退けようとすれば抵抗する様子を見せるが、既に快楽に侵されきった身のそれではほんの少しの時間稼ぎにもならず、簡単に引き剥がされる。

「や、ぁ……みなひ、れぇ……♥」
(……あぁ、いけないなこれは。こんな顔を見せられては……たまらない)

身体の内から嗜虐心が湧き上がってくるのがわかる。自分よりもずっと経験豊富であろう彼女をこうなるまで感じさせたのが自分であるという事実。それが冒険者を余計に昂らせた。
休憩は十分だ。冒険者はまだ息の荒い魔導姫の腰をがっしりと掴み、肛虐を再開する。直後、アルス=ノウァからまた快楽に染まりきった嬌声が溢れ出した。

「あ゛、ぁあ゛あ゛あ゛あ゛っ!?!?は、ぁぁああああっ♥うぁぁぁぁあ゛あ゛ッ♥」
「くぅっ……はっ、はぁっ……!」
「んぉおおおぉお゛お゛っ♥らめ、ひ、ひぬ……ひん、ひゃ……あ゛あ゛あ゛っ……♥」

腰から手を離し、突き入れる度に激しく揺れる豊かな双乳を鷲掴みにして揉みしだく。柔らかく、弾力のある感触が冒険者の情欲をさらに煽った。
先端の突起も忘れずに指で弾いてやると、また魔導姫の腰が跳ね、菊穴の締まりが一層強くなる。肛虐の影響でもはや全身余すことなく性感帯と化した彼女は、どこを触っても過敏に反応して高みへと上り詰めていた。
片手を豊乳から離し、無防備になっている秘部をなぞる。そこは愛液と潮で既に大洪水と化しており、愛撫する度にぐちゃぐちゃといやらしい水音が響いた。割れ目の上部でひくついている肉の真珠を摘まんで指の腹でしごいてやると、悲鳴に近い喘ぎ声が上がる。
……度重なる絶頂による腸壁の収縮で、そろそろ限界だ。他所への刺激を中断し、肩と腰を掴んで抱き起こし、両腕でがっちりと固めて逃げ場をなくす。上下に腰を揺すりながら、冒険者は再びアルス=ノウァの唇を奪った。微かに塩味が交じるが、気にも留めずに舌を絡めて口内をも蹂躙する。先とは違って快感で緩みきった彼女は、その行為をただただ受け入れるしかない。
同時に肛虐の激しさも増していく。際限なく与えられる性感の中でも、一際大きいものが背筋から駆け上がって来るのを、アルス=ノウァは感じていた。冒険者の方も、絶頂の予感と共に、精液を吹き出す準備が整っていく。

「ぐ、っ……そろそろだ、出すぞ、アルス=ノウァ……!」
「ぁあ゛っ、ぁ……♥ひ、うぁ……あぁ♥」

言葉にしようとしても上手くいかず、弱々しく頷く。それを見て取った冒険者は、最後に渾身の力を込めてアルス=ノウァの腸壁を抉った。
衝撃は快楽信号として瞬く間に彼女の脳へと伝わり、予約されていた特大の絶頂が魔導姫の中で爆発した。下手をすれば男根が根本から食いちぎられるのではないかという菊門の締め付けで、冒険者の性感もまた爆ぜる。
冒険者は両腕に込める力を更に強め、魔導姫は両の足を主の腰に絡め、達する反動で締め上げた。互いに固く抱き締めあいながら、この日最後にして最大の絶頂を、二人はまったく同時に迎えた。

「あ゛、あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ♥♥♥♥♥があ゛あ゛あ゛あ゛あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………ッ♥♥♥♥♥」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!」


獣の咆哮も顔負けの叫び声を上げる魔導姫、声にならない悲鳴を漏らす冒険者。吹き出る濃厚かつ多量の白濁、それを一滴たりとも逃すまいと、絞り出すように収縮を続ける腸壁。頭の中で火花が散り、何もかもが白に染め上げられていく。後に残るのは、圧倒的な多幸感のみ。全ての力を使い果たし、最初に迎えた夜のように繋がりあった状態で、二人して柔らかな寝台の上へと倒れ伏す。

(す、すごかった……♥こんなの、こんなの……クセに、なっちゃ……う……♥)

不浄の穴から全身へと蔓延する絶頂の余韻を感じながら、アルス=ノウァの意識は深い闇へと沈んでいく。
満足感と幸福感。その二つが調和した、至福の表情を浮かべながら。

(ああ……毎回こうだ。自分の体力の限界も省みず、どうにもやりすぎてしま……う……)

互いに本気で貪り合えば、体力が尽きるまで事に及ぶ。
これではいけないと分かっていながらも、内に燻る肉欲に毎度あっさりと屈服する己を情けなく思いながら、冒険者もまた、ゆっくりと意識を手放した。



――拠点中に轟いたアルス=ノウァの悲鳴に何事かと部屋へ駆けつけた魔道士三姉妹は、強烈な性臭の中、白濁と愛蜜にまみれ、激しい性交によってぐちゃぐちゃになった寝台の上で、信じられないほど穏やかな顔つきで寝息を立てる、一糸纏わぬ姿の主と魔導姫を目の当たりにすることになる。
夜になって目を覚ました際、二人の安否を心から心配していたライラとシャロンにはこっぴどく怒られ、こうなることを予測していたらしいリーザからは、しばらくの間、この獣のごとき情事について二人して散々弄り倒される羽目になるのであった。

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