ここは、クトゥルフ神話TRPGのオンラインセッションに関する各種情報がまとめられているWikiです。

更新履歴《ここはシナリオページです》

20154月13日地図の追加に伴い、配布ページ変更。
20145月8日伝承の文面を変更。ヒントとして若干分かりやすくなったかも。
20143月18日少女が死んだ場合の生還方法について追記。
05/08:伝承の文面を変更。ヒントとして若干分かりやすくなったかも。
03/18:少女が死んだ場合の生還方法について追記。

1.はじめに

このシナリオは「クトゥルフ神話TRPG」第六版に対応したものです。
シナリオの舞台は、短編らしく夢の中。
それゆえ、導入に探索者同士の関係性は必要ないでしょう。
プレイ想定時間は、オンラインセッションで4時間ほど。オフラインは未想定です。

2.シナリオのあらすじ

いつものように床に就くと、夢の中で目が覚めた。
周りには見たこともない3人。そして、ワインの樽が3つ。
樽の前には、一枚の紙が置かれていた。

みんなようこそいらっしゃい、ここは楽しい試飲場。
飲めるワインはひとつだけ、すぐに目覚める美味しさだ。
ゆっくりじっくり吟味して、美味しいワインを選ぼうか。
KPメモ
探索者の目の前には、3つの扉。
それらには、それぞれ「美味しいワイン」のヒントが隠されている。
目の扉には、「美味しいワイン」を教えてくれる黒猫。
耳の扉には、「黒猫」の正体に大きく関わるアイテム。
本の扉には、「黒猫」の正体に関わる手がかりだ。

3.シナリオの背景

イギリス、セヴァン谷に住む神格、グラーキ。
「夢引き」という特殊能力により、彼は優秀なカルティストとなり得る人間の夢に干渉し、仲間に加えていた。
しかし彼の能力が及ぶのは、あまり広くない範囲だった。
遠い外国の彼の教団を広めるには、圧倒的に力が足りなかったのだ。

そこでグラーキは、ある手段を思いつく。
「夢引き」の際に、自身を受け入れるのかどうかの判断を人間任せにするのだ。
もちろん、正常な人間ならそんな誘いには乗らない。
ところがグラーキは夢のイメージを利用し、「入信する」という行為を幾重ものオブラートに包んだのだ。
「グラーキの体液が入ったワインを飲む」事で、人間は「入信する」という行為に同意した事になってしまう。
果たして探索者は本物のワインを見つけ、入信を回避して夢から覚める事が出来るのだろうか?

4.目覚めた部屋

木造の住宅のように見える部屋だ。
どこか、欧州の酒蔵のように感じられるだろう。
天井からぼんやりとした明かりが部屋を照らし、薄暗さを緩和している。
探索者から見てそれぞれ北西、北、北東の方角に一つづつ、紋章の彫られた扉がある。
部屋には目立ったものはなく、ただぽつんと3つの酒樽があるのみ。

いずれの樽の中にも、真っ赤なワインが入っている。
ぶどうの芳醇な香りが漂う、良質なワインだと感じるだろう。
KPメモ
実は、このワインの中にはグラーキの体液が混入されている。
探索者がこれを飲んでしまえば、たちまち血中にグラーキの体液が混ざり、忠実な下僕と化してしまう。
医学や化学などを使っても、分析器具が無いのでどうにもならない。

3つの酒樽

目の紋章の樽
クロネコが上に寝そべっている。面白いことにサングラスを掛けている。
彼は一枚の羊皮紙を丸めて、手のひらで弄んでいる。

制限 時間は 1時間。
時計は ちゃんと 持ったかな?
あんまり 長く 居座ると、
グサリと 毒を 打たれるよ。

<アイデア>に成功すれば、床がほとんど感じられないような速度で、下にずぶずぶと沈んでいく事に気づく。
<こぶし>か何かで床を破壊すれば、その下に得体のしれない棘があるのが見えるだろう。
様々な色の入り混じった金属の棘。探索者はそれを、本能的に触れてはいけないと感じる。

SANチェック:0/1d2
耳の紋章の樽
ミケネコが上に寝そべっている。耳にリボンを巻いている。
樽の上には一枚の羊皮紙。

お暇が あるなら 訪ねよう。
くろ、みけ、のらの 3部屋を。
どれも 楽しい お部屋です。
どこかで 誰かが 待っている?
黒目の 部屋か どこかかな。

黒目は「黒+眼鏡」ということで、クロネコの事を指す。
本の紋章の樽
トラネコが上に寝そべっている。本を象ったカバンを肩(前足?)がけにしている。
カバンの中には一枚の羊皮紙と、4つの砂時計。ひっくり返しても砂は戻らず、一定のペースで減っていく。
この砂時計は、時間管理のために使用する。

可愛い 可愛い 子猫たち。
美味しい ワインが 大好物。
味覚に 自信は お有りかな?
勇気を 出して 聞いてみよう。
「美味しい ワインは どれかなあ?」

ただし みんなで 一度だけ。

この「一度」の部分を調整すれば、難易度を上げ下げする事も出来る。

5.目の紋章の部屋

部屋の外から聞き耳ロールを行えば、「ずるずる」と何かを吸うような音が聞こえる。
その音を聞いた時点から、探索者が別の部屋に行くたびに1d3のダメージを少女は受ける。
当然だが、彼女はHPが0以下になると死亡する。
彼女が死んでしまうと、探索者は正しい道を選ぶ事が出来ない。

この部屋に入った探索者は、<目星>ロールを行う。
成功すると、ぐったりと床に横たわった少女と、その近くに何かがいたことが分かる。
星の精(ルルブ p.170)がこの部屋に居着いているためである。
<目星>に成功すると、薄ぼんやりとした星の精の輪郭が映る。
音の発生源に近づくと、真っ赤な何かの輪郭が浮かびあがる。
たっぷりと血を吸った星の精の姿だ。

星の精、不可視の吸血鬼
STR:26  DEX:11  INT:16
SIZ:36  CON:16  POW:16 

H P:26  M P:16  回避:22  ダメージボーナス:2d6
――――――――――――――――――――――――――
[技能]
カギ爪:50%、1d6+db(1d4本)
噛みつき:90%、1d6STRの吸血
[装甲]
4ポイントの皮膚、弾丸は半分のダメージ
[描写サンプル]
脈動し蠢く、大きなゼリー状の塊。
宙に浮き上がった心臓のようなそれは、無数の触手を持っている。
触手の先にはヤツメウナギのような歯を持ち、それが真っ赤に染まっている…
それは床に倒れた少女から触手を離すと、探索者に向き合った。

SANチェック:1/1d10
対抗手段
少女を救うには、星の精の脇をすり抜け、彼女を抱え上げる事が必要である。
DEXでの対抗ロールに成功すれば、星の精の脇をすり抜ける事が出来る。
抱え上げるのは自動で成功するため、もう一度DEXの対抗ロールに成功すれば、彼女を救い出し、元の部屋に帰る事が出来る。
これらのロールに失敗すれば、怒りに満ちた星の精から攻撃を受けることになる。

ただし、誰かが囮になるのなら、この対抗ロールは行わずとも良い。
もちろん、囮は星の精から2回の攻撃を受けるリスクを負うのだが。

床に倒れた少女

ぐったりと倒れ、床に横たわる少女。
全身に痛々しい噛み跡があり、先の怪物の攻撃を連想させる。
成功しなかった場合も、中央の部屋に連れて行けば目を覚ますだろう。
データ
黒猫の少女(ユキ) 外見年齢は7歳程度に見える:
STR:2  DEX:17  INT:6 アイデア:30
CON:4  APP:17  POW:6  幸 運:30
SIZ:6  SAN:30
H P:5  M P:6  回避:34  ダメージボーナス:-1d6
――――――――――――――――――――――――――
[技能]
忍び歩き:90% 回避:96%

[プロフィール]
年の瀬7歳ごろに見える少女。正体は黒猫。
喋る事は出来ないが、表情で感情を表現することは出来る。
人間とは思えないほどにすばしっこく、時たま常識では考えられない行動を取る。
が、別に取らなくても構わない。ネコは気まぐれなのだ。

探索者が何か命令しても、気まぐれに聞くか聞かないかを決める。
ただし、命を救われた恩義は理解しているため、どうしてもと頼めば確実に聞いてくれる。
…逆に言えば、ロクに確信も無く「美味しいワインを教えて」と言ってもスルーされる。

彼女の胸ポケットには財布が入っている。
中には小銭が数枚と、健康保険証。名前は「真栄原 優希」となっている。
「ユキ(優希)」は本当に彼女の名前だが、漢字や名字は実在しないニセモノ。
探索者が保険証の名前の部分を指し、「これは君の名前か」と問えば、彼女は首を横に振る。
だが、「優希(ゆき)」という名前なのか、と問えば、彼女は首を縦に振るだろう。

6.耳の紋章の部屋

この部屋に入った探索者は、聞き耳ロールを行う。
成功すれば、ひゅうひゅうと吐き気を催すような笛の音が絶え間なく流れている事に気づく。
飛行するポリプが室内を飛び回っているためである。
データ
飛行するポリプ、地下の暗黒世界からの恐怖
STR:50  DEX:18  INT:21
SIZ:50  CON:40  POW:21

H P:45  M P:21  回避:36  ダメージボーナス:5d6
――――――――――――――――――――――――――
[技能]
触肢:85%、1d10(1Rに2d6本)
突風:70%、5d6(20mごとに-1d6)
[装甲]
4ポイントの皮膚、不可視性。
物理的な武器からは最低値のダメージ。
[描写サンプル]
腐った朽木を引き抜いたような姿…
宙を飛び回るそれは、翼を持っていなかった。
得体のしれない、顔と呼べるものがあるのかすらもわからない。
頂点にはたくさんの目玉があり、その下には縦に開けた口と、横に開けた口。
そのどちらからも、呼吸を行っているようだった。
そしてそれは、聞き難い…吐き気を催すような、あざ笑う笛の音のような音を、絶え間なく撒き散らしている。
あまりに冒涜的なそれは、君たちの住む正気の世界には、あり得べからざるバケモノだった。

SANチェック:1d3/1d20
対抗手段
探索者は室内を行動する場合、ポリプの位置を察するための<聞き耳>ロールを行う。
この部屋の奥行きだと、探索者が3回の聞き耳に成功すれば、奥の部屋までたどり着けるだろう。
走って行く場合、ポリプに確実に気づかれてしまう。
ポリプから2回の攻撃を受け、それでも生きていれば奥の部屋までたどり着ける。
…もっとも、帰ってくるときも同じ手順を踏む必要があるが。

ポリプの位置を察することが出来なければ、ポリプと接触する可能性があるだろう。
キーパーは2d6をロールし、その結果を秘匿。探索者も2d6をロール。
その値のどれか1つでも一致すれば、不幸な探索者はポリプと接触してしまう。
不可視状態を解いたポリプは、探索者を八つ裂きにしようとするだろう。

部屋の奥

穏やかなキッチンのような部屋には、中央に大きなテーブルが1つだけ。

かわいい黒猫へのおもてなし。
みんな揃って召し上がれ。

テーブルクロスの上には、大きな白いお皿。
その上には山盛りの魚と玉ねぎのフライ、甘いココアが5人分(探索者4人+黒猫)用意されている。
いずれの料理からも、もうもうと湯気が立っている。

<知識>に成功すれば、猫に玉ねぎやココアを食べさせるのは厳禁だと知っている。
プレイヤーが知っていれば、知識ロールは行わなくても良いだろう。

このイベントは、「黒猫」が人間であることのヒントとなっている。

7.本の紋章の部屋

薄暗い地下室のような部屋だ。
6つの番号がつけられた本棚が、六芒星の形に配置されている。
見える範囲はそれくらいで、奥の部屋への扉があることは伝えないで良い。

この部屋には宇宙からの色が巣食っており、獲物を待ち構えている。
部屋に入った後でINT*5のロールをすれば、床一面が微かに輝く事に気づくだろう。

[攻撃手段]
宇宙からの色は、非常に手際良く攻撃を行う。
探索者が本を読んだり、何かを調べたりする度に、色に攻撃のチャンスが生まれる。
宇宙からの色のPOW(初期21)と探索者のINTで対抗を行い、失敗すれば1d6MPと1d6正気度を吸われてしまう。
あるいは、宇宙からの色のPOWと探索者のMPを比べる。
それが10を上回るごとに、犠牲者からSTR,CON,POW,DEX,APPを1ポイント吸収し、HPも1d6吸い上げる。
その度に宇宙からの色のPOWは増し、攻撃は苛烈になっていく。
[描写サンプル]
生ぬるい蒸気のような物が、口の周りを包み込んだ気がした。
すると君たちは吸い取られるような感覚、焼けつくような感覚をはっきりと認識する。
突如として顔が落ち窪み、肌が老化してヒビが入り、シワが生まれる。
立木が枯れていくのにも似たそれは、君たちに自身の末路を想像させた。

(1/1d8:常識ではありえない老化現象に対する恐怖)

以下は本棚の内容。

1 清められた聖刀

この本の巻末には、一本の純銀のナイフが挟まっている。
探索者は<刀身を清める(P.273)>の呪文を獲得し、1d3正気度を失う。
呪文のためには1POWと1d4正気度が必要である。
この呪文にはSIZ10の動物の血が必要だが…探索者の10ポイント分の耐久力でも良い。
また、NPCのネコたちから血を得る手段もあるだろう。もっとも、意思に反すれば彼らは非協力的になるだろうが。

そうして得た聖刀で、宇宙からの色にダメージを与えることが出来るだろう。
…彼らがどこにいるか視認し、上手に攻撃できればの話だが。
そして、宇宙からの色には「体力」という概念すら存在しないのだが。

2 セイレーンの歌声

呪文の使い手はその文句を歌として歌う。
成功すれば、対象は呪文の使い手の事を自分の求めるすべてだと信じてしまう。
歌い切るには1MPと5ポイントの正気度のコストが必要。
呪文の効果が続くのは4d10時間である。
歌を聞いたものはPOWロールで対抗。成功したものには何の効果も表さない。

呪文の効果が発揮されれば、色はその彼を自分の求めるすべてだと信じてしまうだろう。
それはそれは素晴らしい"エサ"だと。仲間に向くはずだった攻撃は、すべてその人物に向かう。
この呪文は他の部屋でも使え、神話生物に対する強力な手段となるかもしれない。
使用した探索者をサンドバッグにする代わり、彼らは他の探索者を見逃してくれるのだから。

3 炎の精の召喚

まるで星が流れるように、どこからともなく炎の精が出現する。
MPのコストは任意であり、1ポイントにつき10%の成功率を得る。
結果が96~00だった場合は常に失敗である。
さらに、1d3正気度のコストも掛かる。

この呪文を使うには、篝火あるいはその他の炎が必要である。
古ぼけたこの本の巻末には、火打ち石が入っている。

…この部屋は密室のため、炎の精がいる期間が長ければ、酸欠に対するロールが必要だろう。
炎の精が現れると、部屋は突如として真夏の日の下のような明るさになる。
宇宙からの色は恐怖し、たちまち地面に染みこんで、逃げ出してしまうだろう。

4 宇宙からの色

…宇宙の果てからやってきた、生命力を喰う怪物。
地球というえさ場を見つけ、我々がそうしてきたように先住民たちの命を喰らう。
それが地球に還元される事は無く、喰い終わると宇宙に帰っていく。

自然法則の違う世界から来た彼らには、あらゆる攻撃手段は通用しない。
水中や溜池など、暗くて涼しい水場に潜むことが多いため、電流での攻撃を用いた事もあるが、無駄に終わった。
一時的な足止めに過ぎなかったのだ。
強い磁場を生み出す事で彼らを閉じ込めることが出来るらしいが、それも一時しのぎの手段であるゆえ、やはり適当なエサをやって帰ってもらうのが一番だろう。

<目星>を使えば、この部屋の隅に磁場発生装置を見つける。
破壊しても、色は目の前のエサをまず喰らおうとするだろうが。

5 暗がりに潜む化生

きらきらとした微かな輝きのそれは、我々には視認することが出来なかった。
我々はただ、迂闊にそこに近寄った不運を呪う事しか無かったのだ。
錯乱した隊員たちが暴れ回り、ある者は自身の体に火を灯し、怪物から逃れようとした。
またある者は水の中に飛び込み、その場から逃れようとした。

…今こうして我々が生還出来たのは、どちらかの選択が怪物を追い払う手段として機能したからだろう。
犠牲となった彼らに感謝し、この本を終わる。

6 泉に潜む者

イギリス、セヴァンの谷の湖底に棲むのは、グラーキと呼ばれる存在である。
死者の教団を率いる彼は、日々新たな教団員を探し求めている。
彼は自身の体液を摂取させる事により、新たな不死者を創りだすのだ。

決してそれを飲んではならない。
決してそれを摂取してはならない。
もし摂取してしまえば、待つのは永遠の地獄。
グラーキの奴隷としての、永遠の隷属なのだ。

この本を読んだ者は、SANを1/1d3失う。
<アイデア>に成功すれば、あの部屋に何故3本のワイン樽があったのかに気づく。
偽物の樽があり、その中にはグラーキの体液が入っているということに。
その事に気づいた者は、SANを1d2/1d4失う。

部屋の奥

部屋の中央には、丸いコルクのテーブルがあり、その上には一冊の本が置かれている。

『黒猫の白ワイン』

質の良い葡萄と、そこから生産されるワインが銘産のとある村。
人と猫が仲良く暮らしている事でも有名なその村に、ある時大きな災厄が振りかかる。
最初にその事に気づいたのは、一匹の黒猫だった。一本の葡萄の木の近くで、彼女は息絶えていた。
口には一粒の葡萄が含まれ、半分歯の食い込んだそれからは、血のような果汁が滴り落ちていた。
その隣には、一匹の渡り鳥が崩れ落ちていた。嘴を開けてみると、そこにも一粒の葡萄。

村人たちは理解した。誰かが葡萄の木に毒を含ませたのだ。
犯人は隣村の住人だった。痩せた土地に住み、質の悪い作物しか生産せず、改善策を講じることも怠ってはいたものの、彼らは一人前の嫉妬心を持ちあわせていた。
ゆえに、質の良い葡萄の木を滅茶苦茶にし、憂さ晴らしをしようと企んだのだ。
彼らの計画は成功し、毒を含まされた葡萄の木は次々と枯れて行き、果実を啄む鳥たちも命を落としていった。
猫たちは痩せ、村人は貧困に喘ぎ、行商人たちは質の良いワインを買い求められずに困り果てた。

村人たちは相談し、■■■の女神へと救いを求める事にした。
供物を用い、猫たちと入念な打ち合わせを行い、■■は無事に成功。
隣村は壊滅し、大量の肥やしを得た土地は命を吹き返し始めた。

以来、その土地のワインには、猫たちへの感謝を示すラベルを貼る決まりになった。
犠牲となった一匹の黒猫。彼女のラベルの白ワインは今もなお、人々に愛され続けている。

元ネタは「ツェラー・シュヴァルツェ・カッツ」という実在の白ワイン。ただ、伝承的にはほとんど関係がない。
このイベントは、「黒猫」が「彼女」であることのヒントになっている。

■■■、■■の中にはそれぞれ『猫たち』、『召喚』が入ります。
猫の女神『バースト』の力により、隣村は壊滅してしまったのです。

8.「黒猫の飲むワイン」

黒猫の選んだワインが正解。
その黒猫とは、目の紋章の部屋で見つけた少女の事を指している。
彼女の選んだワインこそ、正解のワイン。

3匹の猫は、それぞれ自身のいた樽が正解のように振る舞う。
だが、それらはすべてニセモノ。猫はグラーキの体液が混入された事を知らない。
本物の樽は、目の前の樽を決められた順番で動かす事で出現する。
この順番どおりに樽を動かすことは、少女にしか不可能である。運任せで正解を選ぶ事は出来ない。

ただし、不慮の事故で少女が死んでしまう事もあるだろう。
その場合の選択肢について後述する。

壁を調べる

3つの部屋全てを巡った…「この樽たちの中に正解は無い」と確信した探索者に<目星>で壁を調べさせる。
扉の隠された壁は少し薄くなっているため、<こぶし>や<キック>で破壊する事が出来るだろう。
ただし、この方法の場合、壁の裏側に隠されたグラーキの毒棘を攻撃してしまう可能性が30%ある。
毒棘を攻撃すれば、たちまち7d3ポイントのダメージを受け、たいていその探索者は死んでしまう。

もしも最初の場面で探索者が「壁を調べる」と言い出した場合、
「壊れた壁の一部から毒棘が覗いている」などの情報を伝え、3つの部屋の探索に向かうように勧めると良いだろう。

ワイン樽を破壊する

この方法も、グラーキの怒りを買うという面では奨励されるモノでは無い。
しかし、かの神格を怒らせるという事は、彼の勧誘対象から外れるということでもある。
ワイン樽を全て破壊すると、壁という壁から毒棘が迫り出し、探索者を串刺しにしてしまう。
全身の血液が沸騰するような苦痛と共に、探索者の意識は現実世界に帰るだろう。
グラーキは探索者に対し、「お前たちなどはいらない」と言っているのだ。

ただし、この方法で生還する場合、POW*5のロールに成功する事が必要である。
失敗した場合、その探索者は死の苦痛により精神が崩壊してしまい、廃人として生還する。

「正しいネコは?」

黒猫=オスなので除外。「もてなし」を受けられない。黒いけど。
三毛猫=メスだが、「もてなし」を受けられない。そもそも黒くない。
トラ猫=メスだが、「もてなし」を受けられない。そもそも黒くない。
少女=「彼女」。「もてなし」を受けられる。黒くは見えないが、本当の姿を隠しているのなら…

9.エンディング

黒猫の白ワイン

少女が決められた順番で樽を動かすと、探索者たちの背後…目、耳、本の部屋の対面に扉が現れる。
中には芳醇なぶどうの香りが満ちていて、中央に一つの樽。
高貴な黒猫の紋章のそれは、優雅に佇んでいるようにすら見える。
入っているワインは、透き通るような白ワイン。

このワインを飲めば、探索者は天にも昇るような心地を味わう。
現世で目覚めると、死亡した探索者も蘇生している(夢の中とは言え、死を体感した事により正気度5ポイント喪失)。
目覚めた探索者の隣には、黒猫の紋章の入った、白ワインのボトルが置かれている。

1d6+3正気度を回復し、シナリオは終わる。
黒猫のワイン(クリアのご褒美)
飲むと即座にHPが3ポイント回復する。
が、代償にPOWを1ポイント永久に喪失してしまう。
対象が気絶しているなら、傷口に振りかけても構わない。

1度使うと、中身は駄目になってしまう。
そうなれば、いくら中身が残っていようと、ただの不味いワインなだけである。

グラーキの赤ワイン

芳醇な香りの美味しいワイン。
飲んだ人間は、グラーキの体液をたっぷりと吸収する。
生きている人間が飲めば、たちまちその精神はグラーキの忠実な下僕へと変化する。
下僕は「親愛なるグラーキ」の奴隷を増やすため、知人を誘ってワインを飲みたがるかもしれない。
さらに、下僕は「門の創造」の呪文を得る。行き先はもちろん、イギリスのセヴァンだ。

ワイン樽を下僕が破壊しようとした場合、彼らは即座にグラーキと精神が同化させられてしまう。
探索者の尊厳を守るため、彼らが自殺する事をキーパーは許可してあげると良いだろう。
ただし、ワイン樽はその場に残る。彼らの友人や知人が、不審なワイン樽をどうするか?
それは、誰にも分からない。

終わりに

何かありましたら、ツイッターまたはコメント欄に。
ツイッターの方は古閑未善、kogamizenで登録されています。

このページへのコメント

(続)
・何度か目を通して疑問に思ったのが、最後の『少女が決まった順序で樽を動かすと』という点。そこに対する設定(←例えば、『樽の初期位置がどこで、床の特定の位置は色が変わっている』とか、『本当のワインを得るには、決められた順序で樽を動かさないと……』と示唆する内容等)が有ればと思いました。

その他の点は、程よくロストの可能性も有り、敵も沢山出て来るし、バランスや世界観も良かったと思います。

0
Posted by 祐吟 2016年11月14日(月) 17:29:23 返信

こちらに変更後のものが有る事を知らず……(古閑未善さんのWebサイト等から)こちらより以前の版をお借りしました。

なので、以下コメントは以前の版に対するものですので、既に変更された点はスルーして下さい。

先ずシナリオは特に変更等の手を加えず、そのまま使用致しました、その上で。

・PLの意見では『なかなか確信を持って、正解を導き出すのが難しかった』との事。プレイ後、ネタばらしもある程度したのですが、ややモヤモヤが残ってしまった様です。ヒントの考え方等、KPがかなり『コレはこういう事だから』と誘導すれば、なのでしょうが、それだとPLが自力で導いた事には成りづらいかなぁと……。
(続)

1
Posted by 祐吟 2016年11月14日(月) 17:28:48 返信

初めましてコメント失礼します。とても楽しく遊ばせていただきました。そこで、版権キャラクターのリプレイ動画を作成させていただきたいのですが、このシナリオをお借りしてもよろしいでしょうか。

0
Posted by yuyu 2015年10月20日(火) 23:46:04 返信

シナリオをお借りさせていただきました。
謎解きや取り扱ってるキャラが良いと好評でした。また、今回で初KPでしたが非常に進行しやすかったので助かりました。
ひとつだけやってて気になった点として、登場する神話生物が全体的に強かったことがありました。(特にポリプに関しては見つかった時点で一人はほぼ確定死なので...)謎解きをメインにするのなら、そこまで強くなくてもいいのではないかと思いました。

また近いうちに使用させていただきたいと思います。

0
Posted by あぐね 2015年04月19日(日) 04:02:46 返信

なんかありがとうございます(*^^*)

0
Posted by アシモフ 2015年04月15日(水) 20:09:16 返信

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