クリフト×アリーナ くろねこ

勇者たちとの旅が終わって、もう長い月日が経つ。
つらく、厳しく、そして楽しかった旅・・・。
「はあ・・・。」
サントハイムの城内からみる月は、あの開放的だった日々を懐かしく思い起こさせる。
あの時見た月が、今ではこんなに遠いい・・・。
クリフトは静かにため息をついた。
もちろん彼の頭の大部分を占めているのは神への信仰心と、それを隅へと追いやるようなアリーナへの淡い(とはいえなくなってしまった)恋心である。
無鉄砲な姫のため、強くなりたい、守りたいと必死で戦ってきた旅だった。
自分の立場を忘れるほどに、アリーナを身近に感じてしまっていた。
―――この想いはしまっておくんだ。こんな笑いの種にすらならない想いなど・・・。
クリフトは今でも教会での務めの他に、旅で身に付けた技の鍛錬を怠らない。
その努力のにじんだかたく大きな腕を窓からおろした。
もうすぐアリーナがお見合いをする。隣りの国の王子だ。
クリフトとは違う、身分ある由緒正しいお方だ。

・・・きっと、姫様を幸せにしてくれるだろう。
このサントハイムも姫様も更に幸福になるんだ・・・。
クリフトはもう一度ため息をつき、寝巻きのままドアを開け、城の外へと向かった。

湯浴みをした青い髪が風にさらわれ冷やされる。
クリフトはアリーナの部屋が見える丘の上へ腰をおろした。
姫はもうすぐ控えた見合い話などまったくしらない。
この見合い話を薦めたのが自分だと知ったら、姫は私を憎むだろうか・・・。
旅が終わってからまじめに政治を学び始めたアリーナ。
昔のように破天荒なままなのに髪型やドレスを、こうすいを気にし始めたアリーナ。
そんな姫の変わりように、次は婿をと王が望むのはあたりまえのことなのだ。
そしてその役目は信用がありブライともに一番の相談役であるクリフトに回ってきたのであった。
そしてそれを断れるはずが無い。
姫様の結婚式の日取りが決まったら、私はもう一度旅へ出よう。
ライアンさんの所へでもいってみようか・・・
その時だった。
「ぐはっ!!」
クリフトの後頭部に激しいとでは言い切れないほどの衝撃が走る!
「前のめりに倒れこみよろつきながら振り向くと、鬼神のような形相のアリーナが立っていた。」

「・・・ひ、姫さま!」
「毎日鍛錬してる割には相変わらずへっぽこじゃない!!」
「・・・すみません・・・。
と、我に返ったクリフトは、アリーナの服装に気がつく。」
「姫様、今はもう夜中です。こんな時間に一国の姫ともあろう者がそんな寝巻き姿で出歩いてもよろしいと思っておられるのですか?」
そんな口うるさいクリフトにたいして、アリーナはクリフトを冷たく見下ろした。
クリフトもそんなアリーナの態度に気づき、身を硬くする。
「・・・クリフトがきめたんだってね。お見合い。」
その瞬間、クリフトは心臓をつかまれたように息を止めた。
「・・・姫様と、お国のためです。」
クリフトはアリーナの方をみることができなかった。

「あたしがいやだって言っても?」
「それは姫様の自由です。しかしあなたの将来と国をよく考えた上で答えをお出しください。」
クリフトは立ち上がり、アリーナをふりかえりもせずに森の方へと足を進めた。
「・・・クリフト。」
静かな、かすかな声。その小さすぎる声も、アリーナの唇から漏れたというだけでクリフトの歩を止める。
「姫さ・・・」
クリフトの言葉を待たずに、柔らかすぎる体がクリフトを包んだ。

世界が反転するかのようなめまいを感じつつ、クリフトはそっとアリーナの体を押しやる。
「はやく部屋にお戻りください、姫。」
と、触れた肩がこ刻みに身に震えているのがわかった。
「・・・泣いているのですか?」
「・・・ばか・・クリフトのばかあ!!」
アリーナが力ずくでクリフトの体を地面に押し倒した。
クリフトに馬乗りのようになり、激しく胸を叩く。
「ちょ・・ちょっ・・、姫・・!!」
月の光にアリーナの泣き顔が鮮やかに浮かび上がる。
胸を叩くこぶしの力も弱い。

クリフトは軽い痛みに胸をしかめながらアリーナの腕をつかんだ。
「・・・なぜなく必要があるのです・・・。」
上半身を起こし、アリーナを正面から見つめる。
アリーナは斜め下を向いて、黙り込んでしまった。
「わたしは、本当に姫を思っての事をしたのです。国と、姫様の・・・」
そこまで言うと、アリーナがキッとクリフトをにらみつけた。
眉をひそめ、その大きな目は赤く、涙にぬれて光っている。
「・・・結婚相手は、あたしが決めるわ」
強い口調でそういうと、つかまれていた両手を振りほどき、クリフトの頬を両手でつかみ、一気にその唇をクリフトの唇へと押し付けた。
「!!」
時が、止まる。

クリフトがそれを自覚するまでに、どれくらいだったのか。
アリーナの髪がクリフトの肩にかかり、柔らかい、熱いものが唇に触れている。
その行為を認識できたのは、息が苦しいと気づいたときだった。
クリフトの頭の中を心地よさと驚きと、そして自分の立場が駆け巡る。
アリーナを引き離そうとするが、がっちりと挟まれた顔はびくともしない。
鼻での呼吸も忘れ、もうだめだと思った瞬間、ゆっくりとアリーナが体をひいた。
はあはあとクリフトは慌てて息を吸い、アリーナはじっとクリフトを見つめた。
「・・・な、なぜ・・・」
クリフトがそうつぶやくと、アリーナは泣き腫らした目を少しだけゆるめ、言った。
「・・・嫌がらせよ。」
「は?」
「あたしの気持ちだってわかってるくせに、あたしのこと姫としてしか見てないんだもん。」

―――それはちがいます!
即座に否定しようとしたクリフトの頭を、《あたしの気持ち》という言葉が駆け巡る。
アリーナは立ち上がり、座り込んだままのクリフトを見下ろして、言った。
「いいわよ結婚するわよ。あたしはすてきなだんなと結婚して子供作って幸せに暮らせばいいんでしょ。・・・そのかわり・・・」
もう一度アリーナの目に涙が光る。
「クリフトのこと、一生恨んでやる」
アリーナが影を伸ばして去ってゆく
月の光にその輪郭が浮かび上がり、闇にまぎれていく。
自分の元から去り、もうけして触れられぬ、遠くへ・・・。
アリーナを泣かした。しかしそれは彼女のその後の幸福のためへの投資であって・・・。
―――姫様は素敵なだんな様をもらって、子供を作って・・・。
その瞬間、クリフトは唇から感じた熱が全身に伝わり、自分でも恐ろしいほどの苛立ちを感じた。

―――姫様を、ほかの男に触れさせたくない・・・。
それが、常に自分の意志を封じ込めていた男の本心であり、何度も口をついて出たため息の理由でもあった。
クリフトの、何かが壊れた。

すばやくアリーナの元へと駆け寄ると強引にその腕をつかみ、腰に手を回す。
「きゃっ!!・・ん・・・ゃあっ!!」
そのまま今度はクリフトからアリーナにキスをした。

驚きクリフトから離れようとするアリーナの顎をつかみ、無理に口を開かせ舌を割りいれる。さっきのような触れるだけのものじゃない。
何度も何度も位置を変えアリーナの舌を吸い、押し戻し、歯の裏までなめるように、激しくその唇をいたぶりつづける。
はじめての感覚に、クリフトの態度の変貌に、ただただ圧倒され受け入れるしかないでいた。
抗えないほどの圧迫感と恐怖。
しかしその舌が激しくアリーナの口中をむさぼるたび、背中の方から電流が流れたようにしびれてゆく。
「だ・・だめ・・・」
やっとのことでアリーナが言葉を発すると、クリフトは口の端だけで笑って、悲しそうにささやく。
「姫様が先に私を襲ったんですよ。」
荒々しく、だけれども草の柔らかそうなところへと押し倒す。

もう一度アリーナの閉じた唇の上からねっとりと舌をおしつけ、そのまま頬、
顎へとなめ添える
そして耳元までくると、クリフトは息をはくようにして声を漏らした。
「・・・今だけ・・・わたしだけの姫になってください・・・。」
「クリ・・フト・・きゃん!」
アリーナの言葉をまたずに、アリーナの上着を一気にたくし上げた。
白い肌に大きく形の良い双房があらわになる。
隠そうとする両腕を全体重で抑えなおし、舌先でその先端をつつく。
「・・あっ!」
クリフトはアリーナの力が弱まったことを感じ、両手を使って大きく胸をもみしだいた。
根元からつかみ、形の代えた乳房へ、舌を強く押し付ける。
別の生き物のように舌をはわし、吸い上げる。
「いやあああっ!」
クリフトの頭を払いのけようとしたアリーナの両手は、いつのまにかその髪をつかみ、
自分の胸元へと押し付ける形になっていた。
そしてちろちろと舌で責めた時、アリーナの体ががくがくとゆれた。
「ああっ!!・・・んはっ・・はあっ・・はあ・・っ・・」

アリーナの吐く息が熱い。
「・・クリ・・フト・・・」
アリーナの手が、だらりと地面に落ちると、クリフトがゆっくりと顔をあげた。
クリフトの青い髪は汗で張り付き、その隙間からのぞく瞳が暗く鈍い光を放つ。
自分への戸惑いと、行為への後悔と、胸を張り裂かんばかりのアリーナへの思いが激しく交錯している、暗い瞳。
わずかに残った理性で、クリフトがつぶやく。
「・・・姫様・・。今なら私を・・止められ・・ます・・・。」
クリフトの地面をついた両手が、ギリッと土を握る。
「このままでは・・私は・・本当に・・姫を・・傷つけて・・しまいます・・・。」
そんな自分に耐えるクリフトに反し、アリーナは本当に、自分に正直に行動する。
白い腕をクリフトの首に回し、体重をかけたまま顔を持ち上げキスをした。

「傷つけて・・・。クリフトがあたししか考えられなっちゃうくらいさ、心配するような傷をつけてよ・・・。」
クリフトが腕の力を抜き、アリーナごと地面の上に体重を預ける。
アリーナはクリフト頭を抱くようにして、つぶやいた。
「ずっと・・スキだったんだから・・・」
クリフトはその声を聞いて、全てをさらわれていってしまうほどの熱い波を感じた。
そして何かが追い払われたように、言った。
「・・・神に誓います。私はこれまでもこれからも、姫様だけです・・・。」
その真剣な言葉に、アリーナはいたずらな笑みを浮かべた。
「神にじゃなくて、あたしに誓ってよ。」
アリーナがそういい終わるや否や、クリフトはまたアリーナの唇を求める。
「・・・後悔しても遅いですよ。私はもう止まりませんからね。」
軽く口付けをすると今度はアリーナが自然と口を開き恐る恐る舌を伸ばしてきた。
それを吸い、押し込み、クリフトは自分の唾液がアリーナに流れ込んでゆくのを感じた。
「・・・ん・・んん・・。」
アリーナが少し苦しそうにその唾液を飲み込んでゆく。
目を閉じたまま、コクリコクリとのどを鳴らす。

そしてクリフトはその大きな手をアリーナのスカートへと伸ばした。
硬く閉じた腿を、大きく撫で上げ、巧みに薄い下着をおろしてゆく。
アリーナは腿を擦るようにしてクリフトの手から逃れようとしたが、その手は執拗に裏側、付け根を追いかけてやまない。
ついに下着が自分の足首からも消えてしまったことにアリーナは気づいたとき、クリフトの大きく熱い手は、確かにその場所をさぐりあて、優しく指を添えていた。
「あ・・・んン・・・。」
耐え切れずアリーナが声をあげると、クリフトは目を細めてささやいた。
息を吐くように、いつものクリフトからは考えられないほどに、意地悪い声で。
「やらしいんですね・・すごく・・濡れてる・・・」
「い・・意地・・わるぅ・・んんんあっ!!」
割れ目からあふれている蜜を指先に取り、一気に芽に擦りつけた。
アリーナの体を揺らすように激しく、その芽だけを上下に揺らす。

「ふああああっ!!」
アリーナがクリフトの背に両手をまわし、すがるように嬌声を上げた。
「・・・だめえっ・・だめなのぉ・・!」
またアリーナの体がガクンガクンと揺れ、背に回していた腕から力が抜ける。
頭を地面に打ちそうになるところを、クリフトが優しく抱きとめた。
「・・・ンはぁっ・・はっ・・。」
アリーナの熱い息をうなじに感じたクリフトは、突然体を起こし、アリーナの腿を掴んで腰ごと持ち上げ、一気に左右に割り開いた。
「・・いやああっ!!」
アリーナが真っ赤になって、手で部分を覆おうとしたので、クリフトはその手首を片手でまとめて押さえつけた。
月の光をテラテラと反射して輝くものがクリフトの眼にまぶしくうつる。
「・・・すごい・・・ひかってますよ・・・ココ・・・。」
「ヤダぁ・・!」
アリーナは開放された手で顔を隠してしまったが、クリフトはかまわずその部分に顔を近づけていった。
唇がその芯にふれそうなったとき、ふうっとはいたクリフトの吐息に、びくりとアリーナの体が震えた。

それに反応して少し顔を上げたクリフトはわざとそれに息がかかるように言葉を発した。
「・・どうしたんです?姫・・。触れても・・いないのに・・・感じ・・ましたか?」
「ちが・・・!!あ・・・あああっ!!」
突然、クリフトはその芽を舌ではじいた。
そうかと思うとねっとりと押さえるように、そして痛いほど吸い上げるように、器用に舌を動かしてまたアリーナを際まで追いつめる。
「や・・や・・や・・・ンん・・!!・・だめ・・おかしく・・な・・ちゃ・・」
そうアリーナが喘いだが、ほんとにおかしくなりそうだったのはクリフトのほうであった。
突然舌での愛撫を止め、荒い息で、アリーナにのしかかる。
「・・姫様・・、もう、我慢、できません・・・。」
アリーナは朦朧とした意識で、クリフトをもう一度起き上がらせ、また舌を絡めながら、もどかしい様にクリフトのシャツのボタンをはずしてゆく。
そしてクリフトのモノにてをあてて、吸われ過ぎて紅くなった唇から、うかされたように声を漏らす。
「・・・熱い・・・」

そこまでが、クリフトの本当の限界だった。
アリーナの膝の裏を掴み、上へ持ち上げその濡れた部分に自分のモノをあてがう。
「・・・初めてですし・・痛いと思いますが・・・」
「・・・うん・・・」
「優しくはしませんよ。」
言葉に反し、クリフトの表情はひどくあたたかかった。
「・・いいよ・・はやく・・きて・・。」
クリフトの脳裏に、また一筋の痛みが走る。
しかし、もう後には退けない事はわかっていた。
神にも、王にも、これでは忠誠も何も無い。
そう、自分に残されたプライドはもう、ひとつだけ。
―――アリーナ姫を、愛している。
自分の半身を、アリーナの中に突き立てた。
「ひっ・・いいいいい!!」
半分ほど入っただけで、アリーナは悲鳴をあげ、痛みをこらえて顔をしかめた。
クリフトは軽く息を吐いてから、今度はもっと強く、根元まで押し込む。
アリーナの顔は痛みからくる汗と涙でぬれきっていた。
「・・・クリフトが・・はいってる・・・。」

アリーナは少し表情を緩めてから、クリフトの胸に手を当てて、言った。
「・・・あたしから・・・離れようと・・しないで・・・!!」
「ひめ・・さま・・。」
「・あたしだけの・・クリフト・・なんだから・・」
「そうです・・。わたしは・・あなただけの・・。」
「・・・ずぅっと・・そばに・・いてよ・・・?」
「・・・言われなくても・・・結局・・わたしは・・そうしたのでしょうね・・・。」
クリフトは耐え切れず腰をひいた。
ぐちゅっという音と共に、赤色の液体が流れ出てきた。
もう一度、腰を打ち付ける。
闇夜の沈黙の中に、かすかな虫の声と、二人の吐息、卑猥な濡れた音だけが溢れ出す。
ぐちゅっ・・ずっ・・ちゅ・・ぐちゅっ・・
だんだんアリーナの痛みも腰のほうからの痺れに変わってきていた。
「・・・もっと・・ん・・」

クリフトの汗が、アリーナの汗が、熱が、どんどん一つになってゆく。
クリフトはアリーナの腰をがっちり掴むと、快感をむさぼるように激しく動かした。
アリーナはそんなクリフトにしがみつき、ただただ声をあげつづける。
「・・ひ・・姫・・愛・・して・・ま・・す・・」
クリフトがやっとのことで声に出すと、ありーなは抱きついたまま舌先を触れ合わせる。
「・・あっ・・ああ・・・んんあ・・ツ・・フト・・クリフトぉっ!!」
「・・・誰にも・・渡し・・たく・・ないん・・ですっ・・。」
「・・ん・・んんんん・・んはっ・・はあっ・・!も・・も・・だめぇ・・!!」
アリーナは、自分の体がばらばらになってしまうのではないかと思った。
そしてクリフトは、締め上げられるような快感に、このままアリーナの中で消えてしまいたいと思った。
ついに思考が消えて、頭の中が真っ白になった瞬間、クリフトは自分の全てを、アリーナの中に放出した。
どくどくと中に注ぎ込まれるのを感じて、アリーナもまた、大きくはねた。

ずるんとモノを抜き取ると、クリフトは全身から力が抜けどさっと、アリーナに倒れこむ。
―――なんて心地よい後悔なんだろう・・・。
もう戻れない一線を超えてしまったクリフトの心は、いつのまにか柔らかい何かになっていた。
アリーナもまた、不思議な達成感につつまれていた。
「・・・あたし、傷ついてない・・・。だってやっぱりクリフト、優しいんだもん・・・。」
二人はまた、初めは躊躇いがちに、次第にねっとりと口付けを交わし始めた。

「は?・・・今、いま、なんと・・・?
王の間。
あの情事から三ヵ月後、クリフトは今、大変な事態へと巻き込まれていた。

アリーナのお見合い話はあれからすぐ取りやめになり、もう一度、婿探しが盛大に行われていた最中。
王にアリーナが公言してしまったのだ。
「あたしは、ずえええええ―――・・・・・ったい、クリフトとしか結婚しないから!!!」
それを聞いた王は、眼を丸くして、なるほどといわんばかりに頷いた。
「・・・そおかあ、そうだったなあ。こんな頭が切れて、力があって、アリーナに恋している男はいなかったな。」
「は?」
クリフトはあまりの展開にただただ呆然とする。
そしてブライも口を挟んできた。
「そうですな、王。神官という立場もこれまた新鮮ではないですか!!」
ブライと王は、顔を見合わせ《こりゃ盲点じゃった!》といわんばかりの大笑い。

「んで、クリフトよ。」
「は、はあ。」
「あのとおりのおてんばなのは、おまえが一番わかっているとおもうが・・・」
そのとき、アリーナが突然口を押さえて駆け出した。
クリフトはばっと立ち上がり、アリーナを追いかけようとする。
「大丈夫ですか、姫!!」
しかし、ふと王の前であることに気づき、しぶしぶ先ほどの席に戻った。
王がうれしそうにクリフトにいう。
「・・・アリーナを、これからも愛してやってくれ。」
「・・・王!!」
そしてよろよろとアリーナが戻ってきた。

クリフトが神経を尖らせたようにいい詰め寄る。
「大丈夫でしたか、姫!また何か拾い食いでもしたんではないでしょうね、あなたは一国の姫としての・・・」
アリーナが何かを呟いた。
「は?」
「・・・できたみたい。」
「・・・あの・・・今・・・なんて・・・?」
アリーナが両手をあげて叫んだ。
それも、大声で。
「クリフトとの・・あ・か・ちゃ・ん・が、できちゃったよおおおおお!!」
周りの侍女たちや家来たちが、いっせいに声をあげた。
《ウワアアアアアアアアッ!!》
王はあくまでも楽天的に、
「こんなに早く孫が見れるとは・・・。」
ブライはいやらしい眼で、
「何じゃ、あのお見合い話を突然止めさせたのはそういうことだったんじゃな!・・・やることやっとったんじゃのお!」
クリフトに抱きつくアリーナ。
クリフトの胸に、熱い熱いものがこみ上げる。

―――アリーナ姫に誓います。私はこれまでもこれからも、姫様だけです・・・
2008年12月27日(土) 04:37:43 Modified by test66test




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