ダンビラムーチョ×ゼシカ 139@Part11

不運が重なりすぎた。
ベルガラックの兄妹に頼まれた護衛の任務のため、サザンビーク城より、サザン湖方面に南下していたパーティーは、ダンビラムーチョとベホマスライムの集団に襲われた。
昨夜の食事に盛られた薬が残っていたため、眠い目をこすりながら移動していた一行は、完全に不意打ちをくらった恰好になり、戦闘開始直後に、一方的に攻撃を受けてしまう。
ザラキは不発に終わり、更にベホマスライムには武器での攻撃が命中しない。
体力の無さと身の守りの低さ故に、最も傷の重かったゼシカを癒すために放たれたベホマは、錬金により完成したばかりの光のドレスの効果により悉く術者自身に跳ね返り、回復のリズムが狂う。
態勢を立て直す間もなく、まず回復役のククールが斃れ、次にはその蘇生に意識を集中していたエイトが斃れた。
ヤンガスは重傷のゼシカを庇いながら奮戦したが、多勢に無勢。バイキルトで攻撃力の上がったダンビラムーチョの一撃の前に、あえなく力つきてしまった。
残るのは立っているのがやっとの自分のみという状況の中、ゼシカはこれまでの人生の中で、最も死を身近に感じた。
ベホマスライムが、ゆらゆらと宙を漂いながら近付き、触手を振り上げる。
今の自分の体力では、その一撃でさえも致命傷となるだろうと目を閉じたその時、ゼシカの全身に癒しの魔力が注ぎ込まれた。
ベホマの呪文の効果だった。
敵であるはずの魔物による回復呪文によって全快したゼシカだが、両脇からダンビラムーチョに刀を突き付けられ、反撃に出ることは出来ない。
「人間にも、こんなムチムチした女がいるんだな。ウィッチレディやデスセイレスよりも、胸はデカいんじゃないか?」
「服の上からだとわかりにくいな。中に何か詰めてるかもしれないぞ」
そう言った一体が、光のドレスの肩口を掴み、力任せに引き裂いた。豊かに盛り上がる乳房が、服の破れ目から飛び出した。
「きゃあああぁ!」
突然の辱めに、ゼシカは悲鳴を上げて座り込んでしまう。
「見たか? どうやら本物だ。これは楽しめそうだ」
ダンビラムーチョたちは、舌なめずりしながら、ニヤニヤした笑みを浮かべてゼシカを見下ろしている。

「ゼシカ! 大丈夫か!?」
ミーティア姫と共に物陰に隠れていたトロデが、ゼシカの危機に堪らず飛び出した。
「ダメ! トロデ王、逃げて!」
「そうはいかん! 家臣を守るのは王たるものの務めじゃ!」
トロデはひのきのぼうを片手に、勇ましく魔物に立ち向かおうとするが、ベホマスライムの一撃の前にあっけなく撃沈する。
「うぬぬぬ。ワシが人間の姿に戻れば、こんな魔物どもなど敵ではないのに」
無念そうに呟くトロデに、ダンビラムーチョがトドメをさそうとする。
「待って! やめて!」
ゼシカはトロデに覆いかぶさるようにして、振り下ろされた刃の前に身を投げ出す。
段平は、ゼシカの体に達する直前にピタリと止まった。
ダンビラムーチョの舌打ちする音を聞きながら、ゼシカはこの魔物たちが自分をどうしようとしているのかを、はっきりと悟った。
「お願い、やめて。私は何でも言うこと聞くわ。だからこれ以上、仲間には手を出さないで」
「ゼシカ! 何を言うんじゃ!」
抗議するトロデの耳元で、ゼシカは囁く。
「トロデ王は世界樹の葉でエイトかククールを蘇生して、みんなを助けて。それまでは私が時間を稼ぐわ」
ほんの数分、自分一人に魔物の意識を集中させられればいい。本来の仲間の力なら、この程度の魔物たちに敗れることなどないはずだと、ゼシカは信じていた。
「無いんじゃ」
「えっ?」
トロデの意外な言葉に、ゼシカは耳を疑った。
「ワシもまずはエイトたちを蘇生しようと思った。じゃが袋の中を探しても、世界樹の葉は一つも無いんじゃ」
確かに一度に一つしか買えない世界樹の葉を買いだめは出来ない。だが常に命の危険が伴う旅。最低一つは保持しているはずだった。

「まさか、そんな……」
「まさかでも、無いものは無い。こうなったら、お前一人を犠牲にはせん。ワシも最後まで戦うぞ」
「何をゴチャゴチャ話してる」
ダンビラムーチョが、ゼシカの腕を掴んでトロデから引き離そうとする。
「ダメ、ヤケになっちゃダメよ。一旦逃げて。スキを見て、皆をキメラの翼で不思議な泉まで連れて行って。私は大丈夫、一人でなら逃げることだって出来るわ」
ゼシカをひきずり立たせたダンビラムーチョは、トロデに段平を振り下ろそうとする。
「やめて!」
ゼシカは、ダンビラムーチョにしがみつく。
「トロデ王、早く逃げて! みんなをお願い!」
ややためらいながらも、トロデはゼシカの言葉の通りに、その場を走り去った。
トロデの姿は魔物にしか見えない。だから魔物たちも、敢えて深追いしてまで殺そうともしない。
「なめたマネをしてくれたな」
ダンビラムーチョは、露になったゼシカの胸を鷲掴みにし、大きな舌でゼシカの首すじをなめ回す。
「ひっ……」
痛みと嫌悪で足が竦むゼシカを、乱暴にひったてるように移動を始める。
「犯して殺すだけには惜しい。しばらくは飼って生かしておいてやる。少しでも長く生きたければ、俺たちの機嫌を損ねないことだ」
それは、ゼシカにはむしろ好都合だった。
仲間たちが倒れている場所から離れられれば、トロデはすぐに引き返し、不思議な泉へ飛んで皆を蘇生してくれるだろう。
ゼシカ自身にも、逃げ出す算段はあった。
ルーラを使えない彼女は、常にウエストのポーチにキメラの翼を忍ばせてある。
頃合いを見計らってそれを使えばいいのだ。

サザン湖のすぐ脇に、大きな岩に囲まれていく一角がある。
その中の岩の一つを押すと、一枚岩のように見えていた大岩が左右に開き、真っ暗な洞窟の入り口が姿を現す。
中に入ってしまえば、もうキメラの翼は使えない。
仲間たちからは充分に離れたし、時間も経過した。今頃は全員、不思議な泉で蘇生しているだろう。
そう判断したゼシカは、イオラの魔法で魔物たちを怯ませるつもりだった。
だが、突然ダンビラムーチョの手に口を塞がれ、呪文を口にすることが出来ない。
「どうも何か企んでるようだな。その手はくわんぞ」
ゼシカのポーチをむしり取り、中身を地面にぶちまける。
「キメラの翼か。これで逃げるつもりだったんだな」
キメラの翼は無残に引き裂かれ、薬草などもメチャクチャに踏みにじられる。
「油断のならない女だ。しっかりしつけてやらんとな」
ダンビラムーチョがゼシカの口を塞いだまま、半ば抱えるようにして洞窟の中へと引きずり込むと同時に、洞窟の入り口は再び、ぴったりと閉じ会わされた。

真っ暗な通路を進み洞窟の最奥までくると、僅かに漏れる外の光が、岩壁に繁殖しているコケに反射し、やや明るい空間となっていた。
地面に投げ出されたゼシカは、目が慣れてきたこともあってか、周囲の状況を正確に見ることが出来た。
この周辺の魔物のアジトにでもなっているのだろうか。ダンビラムーチョ、ベホマスライムの他にも、タップデビルやドルイド、ランドゲーロといった魔物たちがゴロゴロしていた。
軽く30匹を越える魔物たちは、ゼシカの姿を認めると、その目にギラギラとした欲望の色を見せる。
「い、や……」
体が竦んで起き上がることも出来ないゼシカは、ドルイドのマホトーンにより呪文までもが封じられ、状況はますます絶望的なものになる。

ゼシカを連行してきたダンビラムーチョが、普段は戦闘の邪魔になるために体の中に収納してあった肉棒を取り出し、ゼシカの顔面に突き付ける。
人間の男のものさえ見たことの無いゼシカにとって、その巨大さと醜悪さは直視できるものではない。思わず顔を背けるが、容赦なく髪を掴まれ、向き直させられる。
「口をつけろ」
「……えっ……?」
名家の令嬢として育ってきたゼシカは、年の割には性への知識は乏しい。
性行為そのものはさすがに知っているが、男性器に口をつけるなど、想像の範囲外だった。
「咥えてなめろと言ってるんだ。俺様自身に忠誠を誓え。そうすればしばらくは生かしておいてやる」
そう言われてもまだ呆然とするばかりのゼシカの首に、ダンビラムーチョは刀を押し当てた。
「モタモタするな!」
洞窟内に響きわたる怒声に一瞬身を竦めながらも、ゼシカは恐る恐る、ダンビラムーチョの怒張に唇をあてがった。
その柔らかい感触に、先端が触れただけのダンビラムーチョの巨根が脈打つ。
「口を開いてくわえ込め。歯は立てるなよ。もし噛み付きでもしたら……」
ゼシカの首に当てられた刃が微かに動き、うっすらと赤い血が滲み出る。
恐怖で歯の根が合わなくなりそうなゼシカだったが、必死に堪えてダンビラムーチョの肉棒を口に含んだ。

殺されるわけにはいかなかった。
ゼシカは、今度のことで仲間の足手まといになってしまった自分を許せなかった。
今回の敗北は、自分が回復魔法を使えないせいだと思っていたのだ。
仲間の回復魔法すら跳ね返してしまう光のドレスの性能のせいなのだが、自分自身で回復魔法が使えていたなら、立て直し不能になるまで戦況が悪化することは無かったはずだ。
仲間の無事を見届けるまで、魔物などに命を奪われることは許されない。

ゼシカの小さな口では、精一杯広げたところで、先端をくわえ込むのが精一杯だった。
だがダンビラムーチョは、戦闘で重傷を追いながらも気の強い目で自分を睨み続けた人間の女が、跪いて自分の男を象徴するものに屈服する姿を見るだけで充足していた。
「そうだ。そのまま舌を使って、先端をなめろ」
ゼシカはおとなしく命令に従う。
舌を動かす度に、咥えた怒張がピクピク痙攣して大きさを増し、先端から不気味な匂いと味のする汁が滲み出す。
胃の腑が引っ繰り返りそうな嫌悪に、ゼシカは耐え、その汁を奇麗になめ取っていく。
ダンビラムーチョは満足気にその姿を眺め、その場にいた魔物に声をかける。
「よし、お前達もいいぞ。ただし、中には挿れるなよ。一番目は俺様だからな」
その声に、それまで成り行きを見守っていただけの魔物たちが、一斉にゼシカの体に取り付く。ベホマスライムやランドゲーロは、触手や舌を服の中に差し込み、あっという間に光のドレスをボロボロに引き裂いてしまう。
タップデビルや、他のダンビラムーチョは自分の肉棒を無理やりゼシカに握らせてしごき、あぶれた者は、髪や太ももや二の腕に怒張をこすりつける。
辺りが、むせ返るような臭気に満ちていく。
魔物が触れてる部分から透明な液体がこぼれ、それに濡らされていくゼシカの体は、妖しいまでになまめかしい。

全身を魔物の玩具にされているゼシカから、気力が奪われていく。
勢いを増していく魔物たち動きに対して、身動き一つ取れずに、されるがままになるしかない。生臭い息を吐きかけられ、息苦しさに頭の芯がボウッとしていく。
それまで、ただゼシカの舌の動きに任せるだけだったダンビラムーチョが、ゼシカの頭を掴み、突然激しく動き始める。
凶悪な固さと大きさを誇る肉棒に喉元まで突かれ、ゼシカは吐き気に襲われるが、唇の端から苦悶の声を漏らすのが精一杯だ。

まるでタイミングを合わせたかのように、魔物たちが一斉にゼシカの体を目がけて、精液を吐き出した。
人のそれとは明らかに違う、緑や紫、毒々しいオレンジといった液体で、ゼシカの全身が穢されていく。
ゼシカの頭を押さえ付けたまま、ダンビラムーチョもまた、ゼシカの喉の奥めがけて精を放った。
「んーーーーっっ! うっ、う〜〜〜〜〜〜っ!!!!」
口の中に溢れる液体のおぞましさに、ゼシカは必死で身を振って逃れようとする。
だがダンビラムーチョは、ゼシカの頭にかけた力を緩めない。
遂にゼシカの喉が苦しさに耐え切れずに、口腔内の液体を飲み下し始める。
それに気をよくしたダンビラムーチョは腰を前後させ、ゼシカの顔面を打ち付けながら、ありったけの欲望の濁流を放ち続けた。

「うっ、うっく……。ひいっ、っく……うう〜〜」
ようやく口が自由になったゼシカは、地面に膝を着いて泣き出してしまった。
心の中で、仲間たちに救いを求めてしまう。
だがルーラでは、町や遺跡などへしか移動は出来ない。
自分たちが襲われた何もない草原は、キラーパンサーをとばしたとしても、最も近い都市のサザンビークから二時間はかかる。
最低でもそれだけの時間、この魔物たちの凌辱に耐えなくてはならないと思うと、恐ろしさで体の震えが止まらない。
「お願い……もう、やめて。もう許して」
鞭や杖を振り回し、勇ましく魔物に立ち向かう、普段の彼女の姿はそこにはもう無かった。

魔物にとって、人間が脅える声と表情は、何よりの快楽だった。
涙ながらに助けを求め、許しを乞う姿を踏みにじることが、至上の悦びである。
そんな魔物に、涙を浮かべて哀願することなど、欲望を煽るだけの逆効果でしかない。
ダンビラムーチョは、わざとゆっくりとゼシカににじり寄る。股間のモノは、再び恐ろしい大きさに回復している。
「いや……。お願い、来ないで」
ゼシカは身を竦ませながらも逃れようとするが、周囲を魔物の群れに囲まれていて、逃げ場などどこにもない。
ダンビラムーチョはゼシカを組み伏せ、大きな舌で精液で汚れたゼシカの顔をなめ回した。
「イヤーーーーーー!!」
ゼシカの悲鳴が洞窟内に響く。

ダンビラムーチョは、ゼシカの豊かに盛り上がった胸を揉みしだきながら、泣き叫んで身を捩るゼシカの姿に、心が満たされていくのを感じた。
我が身を盾に仲間を逃がそうとしていた、力強く真っすぐな瞳を持った女が、自分の体の下で泣くことしかできずにいる。
生意気にすましていた顔が、涙と精液でグチャグチャになっているのを見るのは、気分が良いものだった。
だが、次にゼシカの口から発せられた言葉は、ダンビラムーチョのカンに障った。
「たす、けて……」
先刻まで目に涙を浮かべ自分を見つめ、許しを乞うていたゼシカが、顔を伏せてこの場にいない誰かに呼びかけていることが、許しがたかった。
苦痛や屈辱を与え続け、誇りも何もかも、粉々に打ち砕いた上で、無残に殺す。
魔物にとっては、それは本能なのだ。捕らえた女を嬲るのは当然のことでしかない。
だが、ダンビラムーチョの心には、それを越えるような、不思議な独占欲のようなものが芽生えていた。
自分以外のものを見ることは許さない。自分だけのことを考えさせたかった。
快楽を与えてやっても良い。上品にとりすました顔が、あられもなく肉の悦びに乱れ、自分にしがみついて淫らな声をあげるのを想像すると、胸が熱くなるような気がする。
もしそうなったら、殺す必要もないかもしれない。
もしも、この女が自分に敵意や恐怖、嫌悪以外の目を向けてくれるのなら……。優しい笑顔を向けてくれるのなら、たまには優しくしてやるのも悪くはないだろう。
まずはこの体に、人間の女もただの牝にすぎないことを教えてやろう。
光のドレスはもう見る影もなく、ただ一枚だけ、頼りなくゼシカの身を守ってくれていたショーツを、ダンビラムーチョは容赦なく引き裂いた。
「いやああぁぁぁぁぁ!!」
魔物にとっての快楽であるはずのゼシカの悲鳴が、不思議とダンビラムーチョの耳に、悲しく響いた。

【ザラキ】
死の呪文が低く響き、ゼシカにのしかかっていた者も含め、数体のダンビラムーチョの息の根が止まる。黒いもやのような魂が抜け出た肉体もまた、一瞬で煙のように消滅する。
ウイングエッジが炎の鳥の姿となり、魔物を焼きながらなぎ払っていく。
オノから放たれた真空の刃が、裏返ったランドゲーロを切り裂く。
上体を起こしたゼシカが、魔物の群れの向こうに見たのは、赤いバンダナと、トゲの付いた帽子と、銀色の髪。
魔法が、剣が、斧が、残った魔物たちを血祭りにあげていく。
「ゼシカ、無事じゃったか。間にあって良かった」
いつもは洞窟などには入ってこないトロデとミーティア姫までが、ゼシカに駆け寄ってくる。
「いや、完全に無事ではないようじゃな」
全裸に近いゼシカの姿に、トロデは慌てて馬車から毛布を取り出して、着せかけてやる。
「ううん、無事よ。ありがとう、助かった。でも、どうしてこんなに早く?」
助けが来るまで、どんなに早くとも二時間はかかると諦めていた。ゼシカがここに連れ込まれてから、まだ30分も経っていないはずだった。
「あったんじゃ。世界樹の葉が」
「えっ、どこに?」
パーティーが敗れた地点には、世界樹の葉を持つウドラーも出現する。
もしや、トロデが奮戦して、魔物からそれを奪ったのかとゼシカは考えた。思わず、見直してしまいそうになった。
「錬金釜の中じゃ」
「……えっ?」
「魔法の聖水と一緒に入っておった。エイトが入れたそうじゃ」
あまりのアホらしい展開に、ゼシカは頭痛がしそうだった。
そうしている間に、怒りでテンチョンの上がった男三人により、洞窟内の魔物は全滅していた。

魔法のビキニに着替え、サザン湖で汚れた体を洗っている間、ゼシカは忙しかった。

錬金釜で作った光のドレスの為に、ゼシカに大変な思いをさせてしまったと謝るエイトに
「それはエイトのせいじゃないけど、世界樹の葉を釜に入れたんなら、ちゃんとみんなに報告して、買い足しときなさい!」
と説教し。
「ゼシカのねえちゃん、あまり気にしない方がいいでがすよ。よく言うでげす。『虫にさされたと思えばいい』って」
と、ピントのずれた慰め文句を言ってくるヤンガスに
「それを言うなら『犬に噛まれた』よ。もう少し言葉の勉強しなさい!」
とツッコミを入れ。
「大丈夫だからな、ゼシカ。たとえゼシカが●※#@や、↑○◆★や、¥√♭♂☆♪〒なことされてたとしても、俺の愛は変わらないぜ」
と、放送コードにひっかかる単語を連発するククールに
「あんたの愛なんていらないわよ、このハレンチ男!」
とメラを投げ付ける。

「もう、言っておくけどね。おかげさまで、私は何もされてませんから! 助けてくれて、どうもありがとう! だから、変な想像しないでちょうだい」
男連中は、ゼシカが魔物たちに陵辱されようとしてる時に、呑気に斃れていたことに、完全にしょぼくれている。
「しょうがないわよ。あんたたちは、私が付いててあげないと、どうにもならないんだから」
打たれ弱いのに回復呪文が使えないことで、いつも守られているばかりだと思っていた自分が、仲間のためになれたことが、ゼシカは嬉しかった。
最後はやはり助けられてしまったが、心の中で求めた救いが死んだ兄ではなく、今この場にいる仲間たちであったことも、ゼシカの心をくすぐったいような気持ちにさせた。
少しずつ、兄の庇護から離れ、自分が築き上げた絆の上を力強く歩き始めている証だ。


「おお、そうじゃ。これを返すのを忘れておった」
ギャリング兄妹の待つ竜骨の迷宮に向かう途中、トロデがゼシカのポーチを手渡してきた。
「皆を蘇生させてから、すぐ後を追ったんじゃが、見失ってな。これがあの岩のところに落ちてなければ、洞窟の入り口になっているとは気づかんかったじゃろう。よく機転を利かせたのう」
それは洞窟に入る直前にダンビラムーチョに奪われて、捨てられたものだ。それが目印となってくれたという。

脱出の機会を奪い、自らの檻の中にゼシカを捕らえるための行動であったはずなのに、それが結果的に彼女を救う行動になった。
もしそのことを知ったなら、思いをとげられぬままに死んだダンビラムーチョは何を思ったことだろうか……。
ポーチを湖に投げ捨てることもせず、目印のような場所にそれを打ち捨てたのは、無意識のことだったのか。
それがたとえ魔物であったとしても。
死者は何も語ることが出来ない。

   終
2008年12月27日(土) 20:11:31 Modified by test66test




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