フローラ×ビアンカ

妙に寝苦しい夜だった。寝汗をびっしょりかいている。
 うとうととした浅い眠りは、明日の花嫁選びの不安のためなのだろうか。
 ビアンカは目を閉じたまま大きく深呼吸した。
 するとその時、ルドマンに与えられた一夜の部屋のドアが開く音がした。
 浅い眠りが完璧に覚め、そちらの方に頭を巡らす。
 戸口のところに立っていたのは誰か女性らしかった。逆光でよく見えない。
 薄く白いネグリジェが光を透かしているので、どうにかそのシルエットだけは認識できた。
 ビアンカは起き上がろうとしたが、頭が重くて上がらない。
 仕方なく、こう問いかけた。
「誰……?」
 人影は答えず、ドアを静かに閉めてビアンカの枕元まで歩みよってきた。
 そしてスッと身をかがめ、突如ビアンカの唇を奪う。
「う……!?」
 驚くビアンカの鼻を、甘い香水の匂いがくすぐった。
 人影は柔らかい唇と舌で、ビアンカの口腔をむさぼり、舐めまわす。
「ンッ…くぅ、ちょっ……ぅむっ…」
 ビアンカは慌てて抵抗しようとするが、どうしたわけか、体が自由にならない。
 人影は思う存分ビアンカの唇をいたぶったあと、ようやく離れた。長い髪がサラサラとビアンカの頬を撫でて流れていく。
 キスのために顔を寄せ合ったことで、ビアンカは人影が誰なのか、見てとることができた。
「フ、フローラさん…?どうして……」
「お姉さま。びっくりさせてしまって、ごめんなさい」
 ぎし…とベッドをきしませて、フローラはビアンカの上に覆い被さる。
「お、ねえ…さま……?」
「でも、昼間お会いしたときから、ずっとこうしたいなって思ってましたの。とっても素敵な方だったんですもの。フローラ、こんなにドキドキしてますわ」
 シーツの上に投げ出されたビアンカの手を取り、フローラは自分自身の左胸にあてがった。薄いネグリジェの布地越しに、暖かな乳房のぬくもりと、尖った乳首の感触が伝わってくる。
「恥ずかしい……フローラの胸、小さいでしょう。お姉さまに揉んでいただければ、もっと大きくなるかしら」
 ビアンカの手を掴んで、フローラはむりやり自分の胸を揉ませる。
「ちょっと、やめて。あたしにそっちの趣味は……」
 手をひこうとするが、さっきから不自然なほど体に力が入らない。
 フローラはくすっと笑う。
「許してくださいね、お姉さま。夕飯のワインに、ちょっと一服盛らせていただきましたのよ。だってあんまり抵抗されたら、フローラ悲しくなってしまいますもの」
 フローラはビアンカのガウンをはだけた。
 白くたっぷりとした乳房が夜気にさらされる。形のいい乳房と桜色の乳首に、フローラはほうっと吐息をもらす。
「素敵……。お姉さまのおっぱい、とってもきれい」
 言うと、止める間もなくビアンカの乳房に舌を這わせる。乳房の裏側から丹念に舐め、つうっと先端の乳首に向かって舐め上げる。
「ぁっ…ん、や、やめて…っ、フローラさ……あん!」
 カリッとフローラが乳首に歯を立てて、ビアンカはたまらず声を上げた。
「恥ずかしがらなくていいんですのよ。もっと声を上げて……」
 フローラの指が、ビアンカのお腹の辺りにたまっていたガウンをかき分けて、さらに下の茂みへと伸びていく。その間ももう一方乳首に刺激を与え続けるのはやめない。
「…はぁ、やめてったら…っ!ひ、人を呼ぶわよ」
「うふ。お姉さまったら、かわいい。こんな離れに誰も来ませんわよ」
 淫靡な笑みを浮かべると、フローラは再びビアンカに激しい口づけを与えた。
「んふ、ぁ…、ぅっ…」
「ぁあ、お姉さま、…すてき、ぅ…ちゅ、ちゅぱ…っ、んん」
 乱れた息遣いで、幾度も幾度もフローラはビアンカの唇をついばむ。
 ビアンカはそのたび頭を振って逃れようとするが、フローラの唇は執拗だった。
 やがてフローラの指がビアンカの足の間に辿りつく。緊張のためかほとんどそこに潤いがなかったことに、フローラは軽い不満を感じる。
 そこでビアンカへの口づけをやめ、今度は体のラインに沿ってゆっくりと舌と唇をビアンカの肌に触れさせていった。やがて体の中心の、金色の淡い茂みへと辿りつく。
 そのピンク色の部分を前にして、フローラはうっとりと舌なめずりをした。
「お姉さま……すぐに、気持ちよくしてさしあげますわね」
「え…な、何……?」
 問いへの答えは、行為で返ってきた。
 フローラはビアンカの充血したクリトリスを、濡れた唇でくわえこんだのだ。そしてくわえたまま、上下の唇をくりくりとこすれあわせる。
「ああぁっ、いや…ッ、ふ、く、くぅ…ぁあ、いやぁ……ん…っ」
 ビアンカは体をのけぞらせて感じていることを示した。
 フローラは一度唇を離すとクリトリスを舌で幾度か弾き、今度は中心のクレバスに狙いを定める。
 そして下の口と接吻するように唇をあてがい、わずかに染み出てきたビアンカの愛液を吸い出そうとするように、ちゅうぅっと音を立ててそこを愛した。
「……っ!ぁ…、ぁああ、駄目…ぇ、はなし、て…はぁあ、あ…んぅっ…」
 くちゅ…くち、くちゅ…
 ビアンカの敏感な部分が、フローラの舌や唇と触れ合って淫猥な音をたてはじめる。
 ビアンカは僅かに残った理性の部分で必死に抵抗しようと腰を逃げさせるが、それも薬で自由がきかない状態では中途半端な抵抗で、むしろフローラに腰を摺りつけているようにすら取れてしまう結果になっていた。
「嬉しい…感じてくださってるんですね、お姉さま」
 フローラがうっとりとした口調で言う。
「は、はぁはぁ、はぁ…何を、言うの……っ!」
「恥ずかしがらなくてもいいですわ。女の歓びは、女が一番よく知ってますのよ。フローラも修道院のお姉さま方に、よくこうしてかわいがっていただきましたもの」
 フローラはいったんビアンカから体を離し、ネグリジェを脱ぎ始める。
「ときどき説教にやってくる神父さまも、フローラのことこういうふうにしましたけれど、男性はいけませんわね。一人よがりで、汚くて。わたくし男の方は嫌い」
 完全に生まれたままの姿になると、フローラはビアンカに覆い被さり、ぴったりと体を密着させた。ビアンカの豊満な胸がフローラの重みを弾力で押し返そうとする。
 フローラはビアンカの耳元に口を寄せて、囁いた。
「ビアンカ姉さまが、あのウィルドとかいう男に犯されると思うとフローラ耐えきれませんわ。だから、あの人とはどんな手を使ってもわたくしが結婚いたします。どうせ汚れてしまった身ですもの。ビアンカ姉さまは、いつまでも男の方に肌を許さないで、きれいなままでいらして」
「バカなことを言わないで…!」
「バカなことなんて申していませんわ。フローラはお姉さまを一目みたときから愛してしまいましたの。ウィルドさんに渡すなんて、絶対イヤ!ましてや男の方のアレが、ビアンカ姉さまのここに……!」
 フローラの指先が、ぐいっとビアンカの中に入り込んだ。
「ぁうッ!」
 痛みにうめくビアンカに構わず、フローラは容赦なく指を押し込む。
「……こんなふうに入り込んで、犯して、こすって、しまいにはあのおぞましい液体を注ぎ込むんですのよ?!ビアンカ姉さまがそんな汚らわしいことをするなんて、いやです!」
 フローラは指先でビアンカの内壁をこすり上げた。
「…ぁあ、ぃや…っ、ぃ、たい…ッ!」
「あの神父がフローラにどんなことをしたか、ご存じ?わたくしの処女を奪っただけでは飽きたらず、口やお尻で……ああ!お姉さまがそんな目に遭うかと思うと!」
 フローラの口調が興奮を帯びてくるのにつれ、ビアンカの中でうごめく指の動きも激しくなっていく。
 同時に、ぴったりと密着した肌と肌を、フローラは前後運動によって擦り合わせる。
 まるで行為の激しさによってうっすらとかいた汗を、ビアンカにぬりつけようとでもいうように。
「や、ぁぁあ、ん、ふぅ…っ、やめ、て…ぁ……ぁあ…」
「それでも、ビアンカ姉さまはあの男と結婚したいとおっしゃいますの?」
「んぅ!そ…、そう、よ…ぁあ、ウィルドが……す、きよ…」
 息も絶え絶えに言ったビアンカの言葉を聞いて、フローラの顔をすっと腹立ちと絶望がよぎる。
「そう…そう、ですの……」
 フローラは身を起こし、脱ぎ捨てたネグリジェのところまで戻った。
「そこまでおっしゃるのなら、フローラはお姉さまを止められません。でも、せめてお姉さまの処女は、わたくしがいただきますわ」
 フローラがネグリジェの間から拾いあげたのは、男根の形を模した張型が先端に据えつけられた、革の下着だった。
 フローラはその下着を身につける。
 するとシルエットだけはフローラに勃起した男根が生えたような姿になった。
 フローラのしようとしていることを理解して、ビアンカは驚きと恐怖におののく。フローラはそんなビアンカににっこりと笑いかけてみせた。
「この下着ね、修道院を出るとき、お姉さま方からお土産にいただきましたのよ」
 言いながらビアンカの上にまたがる。
 ビアンカの太ももを抱え上げて、秘部を露出させると、フローラは下着の先端をそこにあてがった。
「もう十分濡らしましたから、このまま入れてかまいませんわよね」
「い、いや。やめて、お願……ぁ、あっ、……やぁぁあぁッッッ!!!」
 なんの温もりもない革で覆われた張型がビアンカの内部に入り込み、その処女膜を散らした。痛みと、無機物に処女を犯されているという屈辱とで、ビアンカの頬を涙が伝わっていく。
「ぁ、ぁああ、いや、ぁ、んっ…ん、んんっ、ぃ…や…あ、ぁ」
「お姉さま、かわいい……。ん、ふっ…もっと感じてください、お姉さまぁ…」
 張型と神経は繋がっていないので、理論的にはフローラが快感を得ているはずはない。
 けれども愛するビアンカを犯しているという幻想で、フローラは興奮と歓喜で気を失いそうなほど感じていた。
「お、お姉さまの処女は、…ぁふ、わたくしが、フローラが…ん、んんぅ、いただき、ました、わよ…ぁああん、お姉さま、そのお顔、とっても…かわいい、ですわ…ッ」
「いやぁあああ!」
 張型がぐりぐりとビアンカの膣に押し込まれる。
 じゅぷ、じゅっぷ、ぐちゃ…じゅぷ、
「い、いやぁ、はぁ、…んぁッ!!だめぇ、お願い、許し…て…ぁああぅ!」
「はぁはぁ……、んん、まだまだ…ですわ、えいっ!」
「ひぁああっ!」
 いっそう強く突き上げられて、ビアンカは恥も外聞もかなぐり捨てて喘いだ。
 ウェーブのかかった金髪が、枕の上で乱れる。
 白い腰はびくびくと震え、間断なく繰りかえされるフローラからの責めにされるがままになっていた。
 フローラは両手で体重をかけてビアンカの胸を力いっぱい揉みしだく。
「んふ、ぁふぅ…やぁ、は、ぁあ……んぁあ」
 乳首をフローラにくわえられて、ビアンカはよりいっそう限界へとのぼりつめていった。
「ぁあ、…あ、もぉ……だめぇ……っ!!」
「ぁは、ぅ…ん、だめ、ですわよ、まだイってはいけませんわ。もっと…フローラに…、乱れるお姉さまの…恥ずかしい姿を、見せてくださらない、と…はぁん!」
「で、でも…あ、ああ、だめ、イク、イク、あぁぁぁ…イっちゃう…、はぁ!あ、うっ!ぁ…ぁあぁぁぁあぁああぁっ!!!!」
 ひくんっ!びく、びくびくびくッッ!!
 ビアンカは頭の中が真っ白になるのと同時に、あれほどおぞましいと思っていた張型を自分の膣が愛しげに、思いっきり締め上げるのを感じていた。
 未知の感覚に泣きながら叫んだあと、ビアンカはぐったりとシーツの波に沈んだ。
「まあ、いけないお姉さま。まだフローラはイってませんのに。普段はあんなに凛としていらっしゃるお姉さまが、淫らに乱れてるところ、フローラもっと見たかったですわ」
「…はぁ、はぁ、はぁ……」
 ビアンカは乱れた呼吸を整えるのが精一杯で、フローラの言葉に取り合っている余裕はなかった。
「仕方ありませんわね……」
 フローラは張型を引き抜き、自分がつけていたその下着を横たわったままのビアンカにはかせた。
 びっしょりとフローラの愛液で濡れた部分が、ビアンカの秘所に密着する。
 その感触の気持ち悪さに、ビアンカは眉をしかめた。
 下着に装着されている先端の張型も、ビアンカの愛液と、処女喪失の血でぬめぬめと光っていた。その部分をフローラは、ためらうことなく自分の充血したそこに押し込む。
 騎乗位の体勢で、フローラは腰を使いはじめた。
「あは…ん、ぅう、いい、いいですわ!ぁあぁん、フローラ、お姉さまに犯されてますの、ね、すてき…ぃ、ぁはぁああ!」
 ビアンカは朦朧とした意識のまま、自分の上で髪を振り乱しているフローラを見つめた。
 ビアンカ自身に快感はない。ただひたすら、フローラが頂点に達するのを待つしかないのだった。
「お姉さま、もっと突いてぇ!あ、ぁあん、こ、こんなフローラのこと、軽蔑するのでしょ、して、してぇ…!ぁふ、ひぃ、ぁあ…ッ、いい、いい!ぁあぁぁ!」
 いつ果てるとも知らない狂乱に、ビアンカはただひたすら救いを待つ亡者のように、夜明けの訪れを願った。
 それとも、神の教えに背いた交わりをした自分には、祈る資格すらないのだろうか。
 ビアンカの頬にまた新たな涙が、一筋、つたった。
2008年04月09日(水) 23:30:24 Modified by dqnovels




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