愛(後)

戦(この人と壊そう)
 深く愛し、一番大切にしたい女性に対し彼はこうだ。
 正体を無くし彼女を犯した俺も、確かに俺なのだと戦士ブラックは思っている。それは真実だ。
 勇者バリーは下半身の落ち着く所が無さそうだ。
戦(痛いのかい)
 そうかも知れない。
 ジパングで彼に犯された時、彼女は三日痛かった。両足を除いた下半身に付いている全ての肉、筋骨、あらゆる神経がちくちくと痛かった。腹部の内臓にも相当来た。
 人から受けたダメージに回復呪文は無意味だった。大賢者程の術使いなら別かも知れないが。
 あの、洞窟で瑠璃に殴られたブラックの流血でさえ、薬草で直したのだ。
 しかし今回は変な場所に当る激痛などあまり無く、深い挿入も男の恥骨が激しい快感だった。
(彼に耽りそうだわ・・・・)
 だが淫ら過ぎるのはいけないと彼女は今後も爽やかを決め込む気だ。
 少し離れ男は準備する。
戦「種の無いあんたも何で?」
武「感度低くな。精神的にも萎えないと、バリーは敏感過ぎるから。俺等も結構物足りないぞ」
戦(うん・・・何となく解る。こんなしっかりしたゴムじゃな・・・・)
 戦士はテキパキとそれを着ける。ついさっきまで童貞だった男の行動だ。
勇(男って言うのは本当に・・・・)
 ヘベレケの対談
戦「俺何でお前が許せるんだろう・・・」
「そりゃ、お前がオレの事好きだからさ」
戦(はーっバカな人だねー)
武「勿論仲間としてな。バリーの事も仲間として好きなんだろ?」
「あんた俺がバリーを仲間としてしか見てないと思うのか?」
「時々そう願うオレがいるぅ・・・・」
戦(むっ!?意味深長な・・・)
戦「先生、あんた俺とバリーをくっ付けたいんだと思ってたが・・・」
「それでバリーが幸せになれるかこの頃不安さ・・・・」
戦(何をぉ!?)
「凄い恐い顔をするな。トラブルが多そうってだけだ。俺勘悪いし気にするな」
「じゃ、先生なら良いっての?」
武「・・・・・・」
「今更バリーに行く気?」
武「これからする事解ってる?」
戦(そうだった・・・・)
 大きな男は黒い三つ編みを跳ねさせ黒い女へ向かう。
戦(良いんだろうか本当に・・・・)
 何だか夜風が寒そうな色の薄い男。
武「バリーさん」ゆっくりと中年はやって来ておもむろに彼女を抱いた。
 瑠璃の匂いを感じるたび、バリーが(ずっとこうして居たい)と思うのは彼女だけの秘密だ。
 だが男の胸を引き離した。バリーは戸惑っている。
「あんた酔いが醒めてる。だからもう帰ろ。もう良いよ」
「何言ってんの?」
「あんたが何でここに来たか、あたしちょっと解ったからさ・・・」
「何でだと思ってる?」
「・・・だから・・・言いたく無いよ、いやらしいなぁ」
 彼女はうつむいた。恥ずかしそうだ。
「そんな恥かしい事?SEX見られるより?」解りつつ男はとぼけて見える。
「恥ずかしい・・・帰ろぉ・・・」
 バリーはうつむき、瑠璃の三つ編みを取っていじっている。
「満足したから帰りたいかい?」まだ男はとぼける。
勇(そう言う声は困る)
 反論も出来ず、男の美声に惑わされ真っ赤になってバリーはさらにうつむいた。
「あんたに開発されてる、あたし・・・・」
「お前が元々色っぽいんです」
 会話は聞こえない。戦士はただ二人を見ている。
(俺達は夫婦と言われた)
 ではあの二人はなんだろう。恋人、愛人、いや終わりや別れを感じさせない二人だ。そして恋人と言う言葉より恋めいて見える。夫婦、の様に生活感、契り、相性の良さも感じられない。
戦(何だ!?)残るは性別だ。
 違うなら交われば良い。夫と称された戦士は、なぜかこの男に怒りも嫉妬もない。
 バリーはその三つ編みの男に腰を取られ、二人座ってしまった。ブラックも会話が届く距離に座る。
武「水の中で女は余裕だぜ。でも行く時は腰に重い物がドッと来るってよ。イッた事ある?」
勇「ないよっ」弾くように彼女は言う。
武「お前なら気を失うかもな」
勇「あんたね!気失うまで・・・あたしを、」
武「そうならない様に気を付けようか?でもこればっかりはあんたの体なんだぞ?」
 さっきも聞いてたけどお前碌に息も出来てないだろ。
「あれは苦しそうで腫物を触る感じだぜ。男はちょっと困るね」
勇(こう言う体だもん・・・・・・)憮然として泣きそうなバリーに
武「俺、お前殺せる」表現のしようのない声が。女の胸は黒く鳴った。
「腹上死だな」ニヤッと笑う瑠璃に、バリーは高い鼓動が抑えられない。
勇(死・・・・)
 そしてその言葉を呆然と噛み締める。
武「おい、若い女がSEXで死ぬかよ」
勇「冗談だって事位解る」
武「良かったよ。」と指でバリーに進入した。
「やだっ」しかし、男の笑顔で声は止まる。
勇「あの、ね・・・・」「感覚違うだろ?」
「うん・・・・違う・・」恥骨を内側から指で握られた。
勇(うわぁ・・・・)目を閉じ骨で彼を感じた。
 水中は不思議な感覚。声は出したくないので出さない感じ。
 曲げた指で入口付近を摩擦された。彼女は目を開ける。凹凸が彼を感じる。
(うぅ・・・・・)激しい快感では無く、萎えたいやらしさが襲って来る。
 落されると言うより、自ら楽しむ感覚だ。今は。
武「そう、自分でその気に成んないと水中じゃ女はいけねーぜ」腰を取られ、男の片手で少し動かされた。指が出入りしている。
勇「・・・ぅ、・・」声では無い。女は小さく喉を鳴らしている。
武「お前が動いた方が良いんだ。感覚解るかな?」
勇「あたしが・・・・?」
武「やって。自分で動いたって死なねーから」
勇「解ったってば」彼女はしつこさに少し吹き出す。
武「ブラックさん、」青年を手招きする。
武「いやでも死ぬんだ、焦らずちょっとづつ死んでこう」女に言う。
勇(私はこんな事をしていて良いんだろうか・・・・・)
 頭によぎったが、近付いたブラックのキスで飛ばされた。
 ブラックは片足の腿にバリーを乗せた体勢。瑠璃も同じ体勢でバリーの背中を抱く。
 後から前から、まさに嬲り。
 話は付いていた。
武「さっき喧嘩に負けちゃったから、どうせ下っ端よ」
 笑ってバリーの頬にキスする。
武「俺より先にバリー抱いたんだからお前本当、俺の兄ちゃんだな。よっ兄貴。」
戦「あ、兄貴は止めて欲しい・・・・」
武「へい。」これから呼ばれ続ける事を想像して戦士はゾッとしている。
勇(うわぁー。序列が出来てるー)
 男はやはり恐い。12の歳の差を無視。さらに二人で女一人嬲ろうと言うのだから・・・・
勇「やめて・・・」中年に言う。
武「あぁ?」返事は笑顔でも応じてはくれない。
 女の背と男の胸は擦れ合って、また厚い唇同士は重なる。若い男の方はバリーの胸にキスする。
勇(あ゙ぁ゙ぁぁ・・・・)思考力は低下。爆発的に扉が開いて異様な世界へ堕ちていく。
 若い男の手は水中の女性器へ、親指でどこと言う事なく押す。女の息がもれた。
 後から抱く男にも乳房をもてあそばれ、首にキスされ続け、彼女は荒い息を男達に聞かせ続ける。
 ずっと苦しむ様な息でもがき、それで男達の息も荒くさせ、しばらくして彼女は涙声に鳴く。
「あ゙あ゙っ・・・ぁ--・・」
 彼女も少し嗄れた少し低音の声をしている。快感を得た時は彼女の物と思えない、高い可愛い声を出したり、地声よりも嗄れた声で叫んだり忙しい。
戦「バリー、何だよその声・・・・」声を塞ぐ様にブラックは彼女に口付けする。
勇「ん゙ん゙っ・・・・・っ゙」キスの間を縫って瞳を閉じた彼女は声を出す。
戦「いやらしい。お前他人の声褒めてる場合じゃねーよ」
勇(その声で言わないで・・・・)
 そして恥丘を攻められ高く鳴く。
「あんっっ」
武「そろそろ、な」
 荒い息の男と女は見つめ合う。
勇「あたしから行くの?・・・・」
武「そうだよ。またこいつに」
戦「来いよ」荒い息で若い男も迎えようとしている。冷たい命令口調。
 よくある事だ。こんな彼にバリーは可愛く反抗して、二人で可愛い喧嘩になって、すぐ可愛く笑い合って。いつもはそう終わる。
 今バリーは横を向き目を閉じて無反応だ。
勇「ヤダ。」
武「おい」
戦「何だよ」
勇「自分から行くなんてイヤだ」
戦「俺から行けば良いのかい?」
 投やりに舌打ち混じりで言う男。うなずく、様には見えなかったが、恥ずかしがってそう言う態度だ。
戦(ちぇ来ないか)
戦「動くんだぞ」そして「っ・・・」と入る。
「あ゙ぁ゙っ」水中。初めての感覚に彼女はまた低く鳴いた。
 変な入り方をしてしまった。
戦「あ。悪ぃ・・・」バリーの今の声も痛さ半分なのだ。
 しかし落ち着いて彼女の腰付きは滑らかだ。
 奥の凹凸に当る。そして暗い道をずっと経れば、彼女の最も女らしい所に彼の先端は当る。
 フワリと優しく、時にキツイ程に締められる。ゴムに邪魔されても、
戦(バリーだ・・・・)
 視力の記憶力並に、海綿体は彼女を憶えてしまっている。
 一度抱けば一生忘れ得ない女。(あぁ、バリーだ)
 心中無邪気が過ぎる男は、一人前の動きと体で彼女の首に噛み付く様にキスする。
勇(この人たまに可愛いの・・・)
 そして優しい、厳しい、強い、脆、そう。
 女につかみ所を見せない風情がバリーは好きだ。
勇「ブラック・・・・」
 息を弾ませ涙に光ったちょっと頼りない目で、バリーはブラックにせまる。
(これからあなたを攻めるの)と言う顔をする。
戦(その顔止めてくれよぉぉ)
 あまりの嬌態にブラックはふと目線を下ろしてしまう。
戦(かっ )
武(かっこわりー)
 少し俯いた青年の視線を、もっと若い女がなだめる様に追う。
 状況は変わらないながら戦士は即復活。
 ブラックにとって、バリーの色気は許容範囲を超えてしまう時がある。瑠璃は受け止められるだろうが。
戦(色気がなんだ!オレもスケベだ!)目の前の男女を睨む。
(いつかバリーの××××を○○ちゃう程△△まくってやる!)
 言葉でエロを表現しても今はかなしい。
 ゆっくりと大きな動きで男根を支えに上下に動く。
(あたしこんな事してる、)
 頭がすっきりしているので言い知れぬ罪悪感や、羞恥が襲う。しかしこの下半身の感覚が、
勇(楽しい・・・・)
 この余裕は湯の所為だ。すっきりとして、罪悪感、羞恥も全て初の感覚の湯の為だった。男を締めると女はもっと楽しい。
戦「ゔぁ゙っ・・・ぁっ」
 若い男は気兼ねなく妄りがわしい声を仲間二人に聞かせる。
 男も、血肉を湯に締められている下半身、夜にさらされた上半身。
 独特のこの状態、女に入れている男そうでない男両者、目の前の若い女にそれぞれ夢中だ。
 後の男の大きな手で女の両の乳房は鷲掴みだ。乳首も男の思うがまま。指で弾かれる事が多い。
 他はもう、押されたり摘ままれたり擦られたり・・・・
勇「いや・・ん・・・」
 バリーの息はどうしても荒い。これだから腰の動きも進んでしてしまう。
 乳首だけで彼女はもう、ちょっとイッてしまった。
 その中年の片手を時折退き、若い男が彼女の乳首をくわえ小さくなめる。
勇「やぁっ、やだよぉぉ・・・」
 涙声だ。それでも彼女の腰は動いている。またイッてしまいそうだ。
戦「うっ・・・ぅぁ゙、」戦士、バリーの乳房をつい強く握ってしまう。
 それでも指の股で彼女の乳首を攻める。
勇「いっ、あっ・・・・」高い声で女は歓ぶ。
武「兄ちゃん・・・バリーのと混ざって耳障りだ、声・・・・」
戦「止めるのは・・・無理だっ!・・・ゔぅ゙っ」
 首を落とし、むさぼると言うより堪えている男だ。
武(どれだけバリーは良いのかねー。・・・ブラックは敏感だとは何か思えんし)
 瑠璃は男の手の平で、ブラックの乳首に触れるよう胸を押し、滑らせた。バリーに没頭しているのは解るが、反応は早くない。
戦「ん?・・あ゙ぁ゙?何だ?・・・・ゔっ」
 男の手が離れるのも待たず、ブラックはすぐバリーに落ちる。
武「いやいや・・・」
武(やっぱりちょっとそうだ)
戦(気色ワル!じじいっ!)
 おっさんはとうとうジジイへ。
勇「あ----っぁぁっ」
 深い挿入のまま、細かく腰を振ると言う動作をバリーは続けていた。女の色々な物が男の皮膚に、それ越しの骨に打ち当る。
勇「・・・またいっちゃう」
 小声でサッと言う。瑠璃は動くバリーに上手く合わせゆっくりと又キスした。
武「バリー、愛してる」
戦(あ!)
 女は武闘家に寄り掛かって揺れている。
武「ま、言わなくても良かったか。ハハハ。二人共愛してるぜー。」
戦(この野郎!先に言いやがった!!)
 確かに、大きな手に地面から引き込まれる様な感じがした。腰の辺りが霧が立った様に重い。彼女は意識が飛びそうになった。その時ブラックに強く抱かれる。
 そして何かに突かれた様な短い絶頂は終わる。赤子の様に彼女は目を閉じる。
 ブラックに可愛い人だ、と言われた。
勇(この人に可愛いなんて初めて言われた)
 そして力強い男。
勇「ちょっと!」
 彼女は止まっている。
武(あ、好都合)
 水面はいくつもの湯の山を作り揺れた。
 ブラックと言う男に激しく求められて、バリーは目眩を覚える。
 そして彼女は後に何か感じる。
勇「やーーー!やだぁ!!」
 彼女の後。生殖器ではないが、独特の快感がある性感帯に男性器を押し付けられている。
勇「やめてよぉ!」
 媚びて高い声、困った泣き笑いの顔だが、
武「先だけな」歌うような美声はまだ少し酔っていた。
勇「やめて!」
 今度は低い声で威嚇、しかし喘ぎが混ざった。今彼女はブラックにも攻められている。
 そして瑠璃にその付近をゆっくり攻められる、滑らされる。
勇「あぁっあん、だめっ・・・」また低音と高音の混ざる彼女の声だ。
 三大人種がピッタリと重なり合っていて、それで一つの塊の様だ。三人全員喘いでいる。男二人に前に後に攻められる女は気も狂わんばかり。 
勇「キライ!あんたなんかキライ!」言われた中年はだが、少し入り摩擦する。
勇(うぅ・・・・)前からは若い男。摩擦は細かい動作で強い。
勇(あぁ・・・)彼女は声を奪われる快感に落ちた。
武「悪ぃ・・・俺けっこう入ってる」情
 欲を誘う中年の声がする。彼女は頭が呆然としている。
戦「バリーっ」好きな声が彼女を呼んでいる。
戦「結婚してくれっ」彼女の首に噛み付く様に抱き付いて来た。
戦「一緒になってくれ!」今まで彼女が聞いたブラックの声の中で、最高の部類だ。声は。
勇(本当なら--全くこんな場所でこんな時に--と思うけど・・・・冗談言わないでよ酔っ払い!!)
 彼は酔うととんでもない事を言い出すのをバリーは良く知っている。(自分と結婚)などは初めて言われたが慣れた物だ。体と頭の訳が分からなくなった時、急に重たい感覚か襲う。
勇「ゔゔっ・・・」
武「おっ来たな」
勇「瑠璃。・・・」
 後ろ手に彼女は中年の首に巻き付く。
 戦士はそれを見たが無言で彼女をむさぼる。
 目を開く事が出来ない彼女の唇は、瑠璃の耳に触れている。
武「俺でイキたい?」
勇「うん」
 目を閉じて、ただの息の様な消え入る小声で言う。
 男も小声だった。女もうなずくのは見せられなかった。この若い男の手前。
 彼女は瑠璃でイッた事が無いから、新しい欲を深くしたと言うのが妥当だが。
武「あははは、バリー若いっ可愛いぜ。いつかな。もう間に合いそうに無い」
 これが今日、暗い世界に入る前彼女が聞いた最後の言葉だ。
 長い、低い声を出した後首を落とし、全体重を重力に奪われ湯船に落ちそうになった彼女は二人の男に救われた。

武「起きたな」
 男の顔が見える。気を失っていたのは数分の間らしい。
武「いつかって言ったけど、今するから」
勇(あ・・・・そう・・・・うわっ!)その、固さ。
 モンゴロイドは固いと言うが、瑠璃はその見た目のまま彼女に入る。あまりに固い為、バリーの圧力に負けずそのまま入って来る。勿論ゴムは付いていない。
勇(腰にこれだけ固くなる物付けて女の人とつながる人も居るんだ・・・・)
 先程のブラックと同じ体勢だ。女は土の上、男は足だけが湯船にある。
武「あ゙--------っ。いいなっ」
 低く喉を鳴らし彼は歓んだ。極たまにしか彼のこんな声は聞けない。
 芝居の様に見えてそれは間違いだ。
 無数の凸が、濡れた厚い襞が、別の生き物の様にうごめき吸い付き、男を捕らえて淫乱に飲み込もうとする。数え切れない女を知っている瑠璃だが、こんな名器は初めてだ。
 快感に気を取られて、ブラック、否バリーに殴り掛かられても今の今は避けられ無かった。
 柔らかい皮膚同士の感覚。キスの時もそうだったがバリーにとってこの男は何か特別だ。
 快感が他の男と違う。瑠璃の方も同じ様にバリーが特別だ。
 挿入だけ、動かしもしないのに、今までの女で最高だと彼は彼女に優しい声で爽やかな笑顔で言った。
 バリーは何だか笑い出したい様な、変に嬉しくて泣きたい様な・・・・・
 すぐ抜き去る男、濡れたそれでバリーの恥丘を少し触れ、掠め、離れた。
武「これでお終い。夜の友とします」後は元気に笑う美声だ。
 見てはいけない物を戦士は見た様な気がした。二人のつながりは“毒”の様な気がした。
 そしてバリーが他の男と交わっている所を黙って見ていると・・・・
 本当は翻筋斗打って倒れ込みそうだった。想像とこの目で見るとは大違いだ。
 瑠璃のしなやかで男らしい背。惚れ惚れとする。
 自分もあれだけ立派だったろうか、彼は涙腺が痛くなった。
 バリーが好きなんだ、と同じ男として感じた。あのクールな男が本気を出して来るのかと戦士は空恐ろしい。そして彼の気持ちになって見る。
 思えば戦士が喧嘩を売って、瑠璃が買いそう(本日は買い(初)。戦士の勝利)になった事と言えばバリーが絡んでいる様な気がする。
 自分とバリーが貪り合う姿、そんな男は見ていた訳である。
 結局自分は至らない男だと彼は痛感するのであるが、それは向こうにも言える。瑠璃も結局見せ付けた。
 宣戦布告。解り易い言葉だが、戦士は瑠璃も好きだった。
戦(俺達どうなるの?)心で武闘家に問い掛ける。
 黒い三つ編みの垂れた凛々しい背は前だけを向き、返事も無い。
戦「このまま寝てて良いぜ」
武「脱衣所運んで服着せてやるから。下着は自分で付けろよ」
勇(いいよ・・・恥ずかしいな・・・・)
 しかし半分無い意識でそれに従った。
勇「あたし慰めに来たんでしょ・・・」
武「恥ずかしがってたなー。男の体で慰められるのはそんなに嫌かい」
勇「恥ずかしい・・・もうしないでね・・・」
武「解ったよ。下品な様ですが、良かったでしょ?」
勇「・・・・・うん・・」
武「ま、このお兄ちゃんが最高殊勲ですけどねハハハ」
 指を軽く指された青年も、勇者に傅こう位に思っていたが、振返ればただの暴挙だ。
 バリーに何を言われても良い覚悟があったが、彼女からの言葉は無く、
 変なおっさんから最高殊勲とは欲しくも無かった。 
 素晴らしい裸体の女を二人の大男が、囲んで、体を持ち、時に話し掛け甲斐甲斐しく服を着させている。
 三人共見事にセクシーだった。目立った。
 脱衣所の男(たまに女)達は指をくわえんばかり、よだれを垂らさんばかり。
 バリーは気付いた。
 足の無いネグロイドの中年男がフラフラと宙で遊んでいる。
勇(幽霊だ)
「アシはテドンで宿屋をやってたもんさ。仲人頼まれてよ、人生であれ程大きな頼まれ事無かったもんだからはりきってたのに・・・この世に未練タラタラよ。でもあんたら見てて成仏出来そうさ。男と女の事さ、水を差すかも知れねぇ事にアシは気負い過ぎてたぜぇ。
 その夫婦にあげようと思ってたランプな、武器屋のダチに差し出し人も言わずに預けたまんまでよ、もしまだ有ったらお前さんにあげる。今日のお礼だよ。バリーてんだねお嬢さん。生まれ落ちたのがテドンなんだねぇ、ずっと泣いてたから心配して、アシャあ付いて回ってたのよ。村の有り様にはがっかりしたろうなぁ」
勇「うん・・・」
 されるがまま、服を着させられながら何かに悲しくうなずく様な彼女に戦士は怪訝そうだ。武闘家は神妙にしている。
「泣くな泣くな、お前さんその男に愛されてるよ。元気をお出し」
勇「はい。」
 幽霊はもう天高い所で彼女の返事を聞いていた。彼女の目から遠く離れフッと消えた。嬉し泣きに泣いている彼女に
戦「バリーどうした?」話し掛ける男、
武「・・・・・・」無言の男。

 イシスの事は戦士は憶えていない事が沢山ある。武闘家も多くある。
 バリーが話すと二人で「は?」と言う事が何度あったか。
勇(だからあんた等は急に男でたまに恐いのよ!)
 しかし二人に抱かれている時幸せだった。愛を、実は彼女も感じていた。
 幽霊の言葉はその思いを更に強めた感だ。
 しかし彼は、その男、と言った。達を付けない。
 バリーを愛して居るのは一人だけと言う事か、達など付けるまでも無く両者だからなのか。
戦「愛されてるぅ?あのおっさんにも感じたのか」
勇(言っちゃ悪いけどあんたよりあの人に強く感じたよ。何でだろうね)
 戦士が憶えているのはバリーが痛そうだった(これがまたショック)のと、(結婚)だ。
戦(本気だったが相手にされまい・・・・)
 だが案外、
勇(あたしの事好きなのかしら、ウソみたい!)
 あら?と思う事はあっても仲間への愛かとバリーは思ってしまっていた。
 そう言う事をとても大事にしそうな人だ。優しいので。
 彼女に対しては、彼は破壊欲求もあるので、冷淡になったり無慈悲に成ったりもした。
 つまり、一見すればブラックは解り難い。偶々自分が女だからスケベ心を出している、悪い考え方をすれば捌け口にされていると彼女は思っていた。
 今回は様子が少し違う・・・・
勇(様な。)
戦「バリーさ、お前しか知らない男って良いか?」
勇「ん?」
戦「いや、特別に思うか。お前」
勇「思う!嬉しいよ!でもさー、他の女も知って欲しいとか思うかも。それでもお前が良い、って言われたらそれも嬉しいかも!だし」
勇(でもあたしが本当に初めてだったの?あれで?ちょっと変な時は何回かあったけどさ)
戦「あ、そ・・・・」
勇「あんたあたしの事好き?」
武「うん。まぁ」
 デカイおじさんに抱き付かれた。
勇(あ、この人がいた)
 しかし会話の横取りは頂けませんなと彼女は言う。
武「はいはい」
 イシスの時から、三人はさらに仲良くなる。
 床で寝たり宿屋のベットが大きければ三人で同衾する様になる。100%バリーが真ん中なので端の大男達は良くベットから落ちた。
 一人の男が寝ると、男女二人・・・・と言う事もあったが、
 盛り上がりを見せても最後までは中々・・・・である。
 男二人も元々良かった仲が更に良くなる。
 下手すると結ばれてしまいそうだ。
 お互いこいつが女だったらと思い合い、キスしそうになって二人泣く程笑った事があってしまった。
 それもあって戦士は夜のテドンでもバリーの事で戦士に差を付けた武闘家が、 有り体に言えば邪魔となって来た。
2008年04月12日(土) 14:18:24 Modified by dqnovels




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