王子×王女

「ねえ、レックス。」
「何?」
「私たち、もう子供作れるかな。」
レックスは双子の妹のその一言にひっくり返りそうになった。
が、何とか踏みとどまった。
「だ、誰か好きな人ができたの?」
タバサの言い方が紛らわしかったために自分が意味を取り違えただけだ。
多少無理があるがそう思い込み聞き返すと
「何で?」
「何でって……。じゃあ何でそんなこと聞くの?」
「だって旅をしてる時にお父さんと一緒にいるとお父さんが小さい時にできた子供だって誤解されたでしょ。
ならもう作れるのかなって。」
「じゃあできるのかもしれないけど……。」
試してみるつもりじゃないだろ、という言葉は飲み込んだ。
さすがにデリカシーがない。

「レックスのお嫁さんになる人、羨ましいな。」
レックスは全くつながりがない話にわけがわからなくなる。
「え?」
「レックス、かっこいいから赤ちゃんもかっこよくなるんだろうなと思って。」
ああ、そうか。
レックスは何となくつながりが見えてきた。
要するに自分がその内立派な母親になれるか不安なのだろうと。
「大丈夫だよ。それならタバサの子供も可愛くなると思うよ。」
「本当にそう思う?」
「うん。」
そう答えると突然タバサが顔を自分の顔の前に伸ばしてきたのに驚いて飛びのく。

「……タ、タバサ?」
「じゃあ私とレックスの子供ならかっこよくなる?それとも可愛くなると思う?」
一瞬あっけにとられた後、タバサの顔が赤くなっているのに気付いた時、レックスは自分の顔が熱くなっていく感覚に襲われた。
なぜなのか、それを自覚するのに少し時間がかかった。
でもいけない感情だ、それは、持っては、禁断だ。
無茶苦茶な語順で言葉がレックスの頭の中に浮かぶ。
「ねえ、レックス。可愛いって言ってくれるのは私のことが好きだからだよね?レックス、私、レックスのこと……」
混乱した頭でその発言を止めさせる方法を考える。
言葉を遮るだけじゃ不十分だ。手でふさぐにしてもここからじゃ時間がかかる……
タバサの自分の口と瓜二つなそれをふさぐにはそれを使うのが一番良い。
タバサの口を離したらだめだ。
考えている暇はない、ええい、行け!
そう思った時にはすでに行動は終わっていた。

結果、レックスはタバサを思いきり抱きしめてキスをするという体制を取っていた。
それに自分の腕の中でタバサが暴れている感触で我にかえって気が付く。
「ご、ごめん。でもこういう時女の子の方から言わせるのは悪いと思っちゃって……。
今気がついた。僕はタバサが好きだったんだ。ずっと。」
「レックス、私もレックスが好き。
何で私がレックスを「お兄ちゃん」って呼ばなくなったかわかる?
だってそれって兄妹の呼び方でしょ。気づいてもらえなくてもいいけどレックスが好きだから……。
でもそれじゃ我慢できなくなって受け入れられなくてもいいからって思って……。
嫌われちゃったらどうしようって……。」
途中からは泣きじゃくりながら言っているためつながりがなくなっていくがレックスはタバサの言いたいことがよくわかった。
タバサを優しく抱きしめるとタバサの髪の毛が鼻をかすめた。
その柔らかな匂い。
駄目だ、もう。

レックスは右手をタバサの体から離すと少しかがんだ。
そのまま右手をタバサのひざ裏に持っていく。
「レックス?」
「先に言っとく、ごめん。」
「ひどいよ。」
タバサはそう言って、笑った。
できる限り優しくタバサをベッドに乗せる。
レックスはタバサに覆いかぶさると再びキスをした。
口を離すと銀色の糸ができる。
そしてこのままでは服を脱がせられないし脱ぐこともできないと気付いた。
タバサの横に自分自身を横たえる。
これまでもここにいるときは同じように2人とも同じベッドで寝ていたのに今はまるで感じ方が違う。
これ以上行ったらこれからはさらに変わってしまいそうな気がする。
「後悔、しないよな。」
「レックスとならしない。絶対。」
レックスは自分に言い聞かせたつもりだったがタバサが答えた。
タバサに確認しない自分のひどさが嫌になった。それを言わない卑怯さも。
タバサが言った通りひどい。
だからせめてもの贖罪として言った。
「ごめん。」
タバサは笑った。

レックスは自分の服を脱ぐとタバサの服もはだけさせ、下着を下ろした。
「こわいよ。」
そう言ったタバサを抱きしめ、さらにキスをする。
腕を離すとまだ成長途中の胸の突起をそっと触る。
とたんにタバサの顔の赤みが増し、レックスはそれを可愛いと思った。
口を離す。
「れっくすぅ……。」
少しすねたような口調で言う。
レックスはたまらなくなって思いきりタバサを抱きしめた。
こんなにもかわいいタバサは確かに、間違いなくここにいる。
それを確かめたくなった。
タバサも思いきりレックスに抱きついた。
「痛いよ……でも……。」
お互いの肉体を確かめ合い満足すると、いや、満足などできはしないものだが一応充分というところでお互いに腕を離し、レックスは再びタバサの胸の突起に触れた。
「あっ……うぅん……れっくすぅ……。」

「もう、いい?」
しばらくタバサの体を責めた後レックスは聞いた。
何も言わずに赤くなってうなずくタバサ。

自身をタバサの中に侵入させる。何か抵抗があったがなくなった。
タバサが顔をしかめるのを見てレックスは動きを止めた。
歯を食いしばって何とか苦悶の声を押しとどめようとしているのがわかった。
今、何か聞いたら駄目だ。そう直感し、そのまま奥まで侵入させ続ける。
思いきりタバサを抱き締めるとタバサも抱きついてくる。
掴まれた腕が痛い。だがタバサはもっと痛いのだろうと心配する気持ちとタバサの肉体を確かめることができて何か喜ばしい気持ちでそれはどうでもよく思えた。
タバサの腕の力が弱まったのでレックスは自身を動かす。
「んんっ……。」
タバサの口から声がこぼれる。
このあとは何も考えず、本能のまま動き続けた。

「私の中、レックスでいっぱいだよ……。」
「僕たち、もう子供作れそうだね。」
レックスはふざけてさっき言ったタバサの質問に答えるように言った。
「本当にできちゃってたらどうするの?」
「それは……できてから心配しよう。」

2人は裸のまま抱き合いながら眠りに落ちていった。
その次の朝、グランバニア城はいつもよりも少し騒がしくなったそうな。
〜終
2013年05月23日(木) 22:28:33 Modified by moulinglacia




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