滝の洞窟

「これが水のリングかぁ……」
台座の上には小さな青い指輪が置かれていた。
指輪の中央にはめられた宝石からは、静かな青い光が放たれている。
「きれい……」
ビアンカはその青い光を不思議そうに眺めていた。
しかし、確かに不思議な指輪ではあるけれど。
何もこんな危険なところにあるものを結婚指輪にすることはないのに。
金持ちのやることってつくづく分からないわね。
ビアンカはそう思いながらも、リュカのほうを振り返った。
「よかったね、リュカ。これでフローラさんと結婚できるんでしょ?」
「…………………」
リュカはビアンカの問いかけに答えなかった。何かをじっと考えているようだ。
「どうしたの? 途中で戻ったプックルたちのことが心配なの?
 それなら大丈夫よ。きっともう、船で私達の帰りを待ってるんじゃない?」
ビアンカは明るく微笑んだ。
「さ、水のリングも手に入れたことだし、わたしたちも帰りましょ。ね?」
だがリュカはその場を動こうとしない。
「ねぇリュカ。もしかして……フローラさんとの結婚、迷ってる?」
ビアンカの核心をついた質問に、リュカはぴくりと反応した。
ビアンカは、やっぱりね、といったふうに肩をすくめた。
「そんなことだろうと思った。……でも、何をそんなに迷ってるの?
 フローラさんと結婚すればお金持ちになれるし、
 何よりも天空の盾が手に入るんでしょ? 迷うことなんて何もないじゃない!
まったく、リュカったら昔っからそうよね、つまんないことで悩むんだから」
ビアンカは一息つくと、今度はリュカをからかうように言った。
「それとも、何か結婚したくない理由でもあるの?
 誰か他に好きな人がいるとか」
「……分からないかい?」
不意にリュカが口を開いた。
「え……?」
そんなんじゃないよ、とむきになって否定するかと思ったのに。
ビアンカは、予想外の反応に戸惑った。
「僕が今何を考えているのか、君には分からないのかい?」
リュカは表情を全く変えずに、ほぼ同じことを繰り返した。
相変わらず何を言っているのかよく分からない。
一体どうしたんだろう。
さっき戦った踊る宝石にメダパニでもかけられたんだろうか。
「ねぇリュカ、どうしちゃったの? いきなり変なこと言って……」
言いかけてビアンカははっとした。
リュカが何かを言いたげに、まっすぐこちらを見ていることに気がついたのだ。
「リュカ……?」
ビアンカが洩らしたつぶやきに反応するかのように、リュカはビアンカの方に向かってゆっくりと歩き出した。
まさか。ビアンカは思わず後ずさった。リュカは1歩1歩近づいてくる。
とうとう、壁ぎわまで追いこまれてしまった。
ビアンカはあたりを見まわしたが、もう逃げ場はなかった。
足元から、冷たい水の感触が伝わってくる。ビアンカは思わず身震いをした。
「ちょっとリュカ、……どうしちゃったの?」
ビアンカの問いかけに対するリュカの答えは、行動で返ってきた。
「!!」
いきなり肩をつかまれ、ビアンカはバランスを大きく崩した。
「な、ちょっと、何するの、やめてよ!」
リュカは、そのまま一気にビアンカを押し倒した。2人は水の中に倒れこんだ。
「きゃあっ!」
水飛沫があがり、ビアンカとリュカはずぶ濡れになった。
リュカはビアンカの手首を捕まえて抑えつけようと、腕を伸ばして来た。
「リュカ、やめてってば!……やめなさい!」
ぴしっ、と乾いた音が洞窟の中に響いた。
ビアンカがリュカの腕を振り払い、彼の顔に平手打ちを食らわせたのだ。
リュカが一瞬ひるんだ隙に、ビアンカは水の中から抜け出すと、洞窟の出口に向かって逃げ出そうとした。
だが、リュカは素早くビアンカの腕をつかんで引き戻した。
「やっ!」
そして、今度は洞窟の冷たい床にあお向けに押し倒されてしまった。

「いや、やめて!」
ビアンカは、リュカに抑えつけてられている手首を必死に振りほどこうとした。
しかし、長い冒険をしてきたリュカの力に女の力で勝てるはずもなかった。
「お願い、正気に戻って……!」
ビアンカは泣きそうな声でリュカに哀願した。
だが、リュカは静かに微笑を浮かべながら答えた。
「僕は正気だよ、ビアンカ」
その微笑みは、彼の普段の笑顔そのものだった。
「リュカ……」
ビアンカはブルーの瞳に涙をためていた。
そこにはもはや、普段の気丈なビアンカの姿は影ほどもなかった。
リュカは、ビアンカの手首を抑えていた手を離し、彼女の首の後ろにまわして頭を持ち上げた。
そして、自分の唇を彼女の口に近づけていき、口づけをした。
「ん……んん……」
ビアンカは思わず目をつぶった。涙が彼女の頬を伝って床に溶けた。
と、リュカが舌を入れ、ビアンカの舌にからませて来た。
「んんん………んっ……!」
ビアンカは大きく体をよじらせた。体を動かさずにはいられなかった。
リュカの舌はビアンカの舌を求めて、彼女の口の中をさんざん動きまわった。
ビアンカはどうしていいか分からず、されるがままになっていた。
ひとしきり口づけが終わると、リュカはビアンカの服に手をかけようとした。
「や、ちょっ…………」
ビアンカは反射的に両腕で胸のあたりを隠した。
だが、力強いリュカの手は彼女の細腕をいとも簡単に払いのけてしまった。
水に濡れたビアンカの服は、彼女のからだにぴったりとはりついている。
おかげで、彼女の全身のラインはくっきりとうかび、腰のくびれから胸のふくらみの頂点に至るまではっきりと見えた。
リュカは、ビアンカの着ている服を少しずつめくりあげていく。
やがて、ビアンカの豊かな乳房が完全にあらわになった。
ビアンカはリュカから目をそらした。顔が赤くなるのが自分でも分かった。
そんな彼女の様子を見たリュカは、くすくすと笑った。
「かわいいなぁ……こういうのは初めてなの?」
ビアンカは、顔を赤く染めたまま一言も発さなかった。
「初めてなんだね?」
リュカはまた笑った。
「そうか、でも心配することはないよ。
 ぼくがちゃんと、いろいろ教えてあげるから」
そういうとリュカは、ビアンカの胸の谷間に自分の指を滑りこませ、ゆっくりと愛撫をはじめた。

「あん……」
ビアンカは思わず甘い声をあげた。
自分でも、こんな声を出せることに正直驚いた。
リュカは彼女の声を聞くと、わざと驚いた表情を見せた。
「へえぇ……ビアンカって、そんな声が出せるんだ。初めてなのに?
 意外だなぁ。けっこうエッチなんだね」
リュカはまた、くすくすと笑った。
「それじゃ、こうすればもっと喜んでもらえるかな?」
リュカは両手でビアンカの乳房をわしずかみにした。
「…あっ! ……あん……はぁ……あ……ああっ……」
リュカの手の動きに合わせるように、ビアンカは喘いだ。
自分は今いいように弄ばれている。昔は泣き虫だったはずのリュカに。
自分の方がいつも上にいた。それなのに。
ビアンカは、屈辱と羞恥心でいっぱいだった。
同時に、こんないかがわしい行為に対しても快感を覚えつつある自分。
もともとプライドの高い彼女は、今ここにいる自分を認めたくはなかった。
今の自分が、この上なく情けなくものに思えた。
「気持ち良さそうだね。もっとやってほしいだろ?」
ビアンカの心情を無視するようなリュカの言葉に、彼女は首を横に振った。
だが、そんな意思表示はもはや何の意味も成さなかった。
リュカはビアンカの拒絶には構わず、固くなっている彼女の乳頭に舌先で軽く触れた。
「ひっ……」
一瞬、ビアンカの全身が大きく反り返った。
リュカはなおも執拗に、硬直しきっているビアンカの乳首を舌先で転がしていく。
何とも言いようのない感覚が、ビアンカの体を駆けめぐった。
「ああん……あ……あん……」
ビアンカの喘ぎ声が徐々に大きくなっていく。
リュカは両手に力をこめ、ビアンカの胸を強くもみしだいた。
「…うっ……いやぁ……はぁ…はぁ……っああ……!」
ビアンカは激しく息をつきながら、さらに乱れていった。
彼女の水に濡れた黄金色の髪が乱れ、よりいっそうリュカの心をかきたてた。
リュカはビアンカの太腿のあたりに手をやり、
ゆっくりとスカートの中に入れていく。
ビアンカはびくりと反応して叫んだ。
「……いや、やめて、そこはダメ!」
彼女の悲鳴にはかまわず、リュカはパンティーの上から、乙女の最も大切な部分をまさぐりはじめた。
「あ、いや……いやぁ……!」
ビアンカはまた全身を震わせた。
「かなり気持ちいいみたいだね?」
リュカがいやらしく尋ねてきた。
「違う……そんなんじゃない……あっ……!」
リュカがビアンカのスカートを脱がせると、ついに彼女の下着に手をかけた。
「お願い! 見ないで!」
ビアンカは必死に懇願した。だが、リュカが聞き入れるはずもなかった。
リュカはビアンカの白いパンティーをずり下ろした。
透明な糸が1本、彼女の下着からだらりと垂れている。
彼女の大事な部分はすでにかなり濡れており、透明な液体であふれていた。
「へぇ、こんなに濡れてたのか……」
リュカはいかにも驚いたふうに言った。
「こうなってることを隠して、いやだなんてウソをついてたのかい?」
リュカは例によってくすくすと笑った。
ビアンカにとって、今までで一番不気味に感じたリュカの笑いだった。
「じゃあそろそろ……始めようか?」

リュカは自らの着ていた服を脱ぎ捨てた。
彼の股間のそれは、すでにかなりの大きさになっていた。
ビアンカは、これからあれが自分の中に入ると思うと、恐怖に戦慄した。
だが、リュカはいきなり挿入してはこなかった。
そのかわり、ビアンカの胸の谷間にモノを挟むと、彼はゆっくりと前後に腰を振り始めた。
「…あっ…はあっ……」
ビアンカはすでに息が上がっていたが、新しい刺激にすぐさま反応した。
さらに大量の愛液が彼女の秘部からこぼれていく。
リュカは少しずつ腰の動きを早めていき、すぐさま絶頂を迎えた。
「うっ……!」
少々かすれた声で囁くと、リュカは頂点に達した。
先端からどろどろの白濁液が飛び出して、ビアンカの顔面を襲った。
リュカは白濁まみれのビアンカの顔を見ると、満足げに笑みを浮かべた。
そして、股間から伸びている肉棒を突き出して、ビアンカに命令した。
「さあ、ビアンカ……きれいにするんだ」
ビアンカは首を横に振ったが、リュカは彼女の口に無理矢理サオをねじ込んだ。
「んんっ……」
口の中に精液独特の味が広がっていく。ビアンカはむせ返りそうになった。
リュカは腰を動かして、ビアンカの口の中で棒を暴れさせた。
「んっ! んむっ! んんっ……!」
「いい子だ……よし、きれいになったかな」
しばらくして、リュカはビアンカの口からサオを引き抜いた。
先端からは透明な液が、つつ、としたたり落ちている。

「それじゃ、今度はビアンカの顔をきれいにしてあげようか」
リュカはそう言うと、ビアンカの顔にかかった自らの液を舌できれいに舐めとっていった。
「ひゃあん……」
リュカに顔を舐められるごとに、ビアンカは甘い声をあげた。
目をつぶり必死に耐えているビアンカの姿に、リュカはさらに欲情した。
「さて、と……これからが本番だよ」
そう言うと、リュカは次の行動に入った。
指先でビアンカの秘所に触れ、割れ目をつつ、となぞっていく。
「あっ……!」
ビアンカは身体を大きく反らせた。
あまりに大きな衝動に、身体を動かさずにはいられなかったのだ。
リュカは割れ目に指を浅く入れ、かきまぜるようにして動かした。
くちゅくちゅという、いやらしい音が辺りに響いた。
「…あん……いや……お願い、もう許して……っっあっ!」
ビアンカはまた大きく身体をよじらせた。
リュカの指は徐々に奥のほうへと侵入していく。
と、指の動きが止まった。リュカは納得したような表情を浮かべた。
「よし、もう十分入るね。……それじゃ、行くよ」
そして彼はついに、ビアンカに挿入した。

「あうっ!」
鋭い痛みがビアンカを刺し貫いた。リュカが処女の証を奪い取ったのだ。
彼は腰を動かしつつ、少しずつ奥へと侵入していった。
「…はぁっ……あ……ああっ……はぁはぁ……っあ……!」
突かれるたびに、ビアンカは切なく、時に激しく声をあげた。
今まで一度たりとも男の侵入を許したことのないビアンカの秘部は、リュカをとてもよく締め付けた。
先ほど発射したばかりのリュカだが、旺盛な彼の性欲はすぐに回復した。
「……いいよ、すごく……」
リュカが耳もとで何かを囁いた。だが、ビアンカの耳には届かなかった。
ビアンカは痛みを忘れるほど、今まで体験したこともないような、身体の底からこみ上げてくる快感と興奮をたっぷりと味わっていたのだ。
先ほどまで感じていた屈辱感や羞恥心すら、もはやどこかへ行ってしまったようだ。
「…くっ……あ……あんっ……はぁっ……ああっ……あ……!」
ビアンカはもう、声をあげていることなど気にしなかった。
リュカの動きに合わせて身体をうねらせ、時折耐えきれずに甘い喘ぎをもらした。
リュカは腰の動きをさらに大きく、激しくしていった。
それにつれて、ビアンカの身体の動きと喘ぎもさらに大きくなっていく。
やがて、2人同時に絶頂が訪れた。
リュカはビアンカの中に、自らの液をたっぷりと放出した。
「ああああっっ!!」
ビアンカは今までで最も大きい声をあげた。
下腹部のあたりに熱いものがほとばしるのを感じた。

そして、静寂が訪れた。

どれくらいの時間が経っただろうか。
2人の影は、絶頂を迎えた時の状態のまま全く動かなかった。
やがて、先に口を開いたのはビアンカだった。
「リュカ……どうして……どうしてこんなことを……?」
声が震えている。彼女はすすり泣いていた。
「決まってるだろう? 君が欲しかったからさ」
リュカはあっさりと答えた。
「そんな……」
たったそれだけのために、私はこんな目にあわなきゃならなかったの?
ビアンカの表情はリュカにそう訴えているようだった。
リュカはそんな彼女の表情を読み取った。
「そんなにいやだったの?でも、そういう君だって十分楽しんでたじゃないか。
 かなり気持ちよさそうにしてたよ?」
「……それは……」
ビアンカは口ごもった。確かに、耐えがたいほどにおぞましい行為だったが、自分も快感を味わっていたことを彼女は密かに自覚していた。
決まりが悪そうに目をそらした彼女を見て、リュカは納得したようにうなずいた。
「……そうか。あまり満足できなかったってわけだね。
 それじゃ、今度こそ気持ち良くなるようにしてあげるよ」
リュカはいやらしい笑みを浮かべると、ビアンカの胸にむしゃぶりついた。
「え?…………あっ」
彼女にとって、天国とも地獄とも言えるような時間が再び訪れた。
台座の上でかすかな青い光を放つ指輪は、
激しく絡み合う2人をただ静かに見つめていた。
2008年04月10日(木) 07:26:26 Modified by dqnovels




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