夜はこれから(仮題)

宿屋の部屋の暗がりに融けこめきれない青と黄色の服。
寝具の下には無造作に置かれた生成りの薄い服。
自分の上にあるまるまるとしたその青と黄色を冷たいまなざしで見ながら、こうなったのも当然だ、とセンシはあきらめていた。
向こうは戦闘服、こちらは寝巻きだ。気合の入り方が違う。
しかし、力ずくなのにゆっくりと首筋をなぞる舌が思ったよりもとても優しいのにセンシは驚いた。
耳の脇から首、あごの下と肩から脇。ほんのりと肌が暖かくなる。
しかし肌をさらして毎日をモンスターと接している彼女の肌の色は変化を見せなかった。
相手の男は白塗りの顔に赤い付け鼻といういつもどうりのふざけた姿だったが、さすがに服と同色の派手なとんがり帽はセンシの服の下に隠れている。
鎖骨を軽く噛む歯もとても白い。
目の前にあるのは褐色の肌に映える淡い色の金髪。
褐色に赤毛のセンシには白い肌と共に子供の頃憧れたものばかりだ。
いつもフラフラと役に立たない遊び人は意外と甘い顔立ちかもしれない。
そっと腕を挙げて遊び人の背に腕を回した。さらっとした手触りのふかふかとした服。
中身は半分くらい綿?指先で合わせ目を見つけると一気に服を引き下ろす。
あらわになったのは思ったよりも真っ白な体だった。日焼けの後もない、同業者に比べるとなまっちろいとしかいいようのないごく普通の体。
戦士として、引き締まった体ばかり見慣れているセンシには珍しいものだった。
「っ!」鎖骨から鳩尾へと舌はは移動する。ところどころに軽い足跡を残しながら移動するそれは、胸の下から這い上がっても頂上は目指さない。
膝の内側に冷たさを感じた。温まった体には冷えた手が心地よかった。
軽く円を描くようになぜられたまらず男の腹をつかんだ。
顔をあげありありと不満げに戦士を一瞥すると赤い巻き毛に隠れている耳に口をよせた。
「つかむのはそこじゃないでしょう?ねぇ?」
腹肉をつかんだ手を引き剥がし、褐色の手を待ち望んでいる彼の肉へ導いた。
「あぁぁ」
指を伸ばせば柔らかいひんやりとした睾丸にあたる。
爪先で後の穴から玉の間、そして、その先の穴へとなで上げた。
耳元で漏れる息も揺れて湿っていく。
手のひらにボールを収め握ったりこすり合わせたり。
もう片方の手はなおおも触れるか触れないかを続ける。
耳元でだんだんと切なくなる声にセンシは満足する。
やはり自分には攻める方が向いている。
「…っつめたっ」
前触れもなく自分の中に侵入し動き回る指に体をはねさせた。
あふれ出ていた密は指を受入れ、一本ではたりないと不満を漏らす。
二本目の指は中をほぐすようにゆっくりと壁をまさぐる。
親指が彼女の敏感な芽を軽くこすりあげ、さらに大きく体がはねる。
握り締めていた男の肉を負けずに強くしごいた。指の先にべたべたと汁がつく。
指についた汁を肉の先の穴、うっすらと浮き上がる筋になすりつけ、くぼみをなぞる。
「…そんなにっ、っ強く…握らないで…」
さらさらしていた彼の肉もべたべたで彼女の手のひらに吸いつき一体化するようだった。
べたべたになったそれを更に早くしごく。もっと。もっと。
彼女の手の中で肉は硬度をまし、彼女の中の指の動きも止まる。
「…やめ。つ…あっ… いくっ……あぁあっ」
男は大きくのけぞると、どくどくっと彼女の腹の上に精を放った。
まっ平らな褐色の腹の上の白い水溜りは細い糸で彼の肉とつながっていた。
一筋一筋わき腹へと垂れていく。指で一筋掬い取りまじまじと見た。
どさりと倒れこむ男の赤い付け鼻は汗でもうはずれかけている。
赤く大きく縁取られた口からは荒い息。
掬い取った白い液を出した本人に見せつけると、いくら自分のとはいえ匂いに顔をしかめた。
しかめても満足そうな顔に、幸せそうだなと声をかけ、指についたそれを自分で舐め取った。そして改めて手を伸ばし、寝具の横にかけてある手ぬぐいで腹をぬぐった。
男は彼女から離れるよう体をずらした。
「それじゃぁ…」
そっと寝具から降りようとする男の手をつかみ、は身動き取れないように組み敷いた。
遊び人の真っ白い中でも上気していた頬が、蒼ざめてくる。
先ほどまでとはまた違った、冷たい汗が背中を伝う。
そんな男を見下ろし女戦士はゆっくりと不敵に微笑んだ。
「どこへ行く?夜はこれからだろう?」


翌日彼がクマを隠すために更に顔にこってりとおしろいをはたいた事やいつにもまして足手まといだった事はいうまでもない。
2008年04月25日(金) 00:14:06 Modified by dqnovels




スマートフォン版で見る