最終更新:ID:Bbk/DH21Jg 2015年08月10日(月) 15:21:24履歴
私、エリナ=デア=フォーゲルヴァデには、ゴッドイーターになった理由が二つある。一つは勿論、お兄ちゃんの様に華麗に戦って、この世界からアラガミを滅ぼすため。そして、もう一つは"あの人"に会うためだった。
白石葵。それが、彼女の名前だった。
かつては極東支部第一部隊の隊長を務め、当時の極東支部長の陰謀を食い止めた英雄だ。
彼女との出会いは、3年前になる。私が、お兄ちゃんを亡くしてずっと泣きじゃくっていたときだった。
彼女は、私を慰めてくれた。極東に居る間、ずっと。毎日、悲しみで口を閉ざした私に優しく話しかけてくれた。
ヨーロッパに帰るときが来て、私は父と一緒にヘリに乗り込んだときだった。
そのヘリが、シユウに襲われた。その時、彼女が華麗にアラガミを切り裂き、倒した。
私はそれを見てからずっと、彼女と一緒に戦いたいとずっと思っていた。お兄ちゃんが居なくなった今、彼女は私のお姉ちゃんのような存在だった。
晴れて私はゴッドイーターとなり、胸を躍らせて極東支部にやって来た。
しかし、何処を見ても彼女の姿はない。まさか、死んでしまったのでは――いや、終末捕食を止めて、風の噂ではリンドウさんをアラガミ化から救ったと言うあんな人が簡単に死ぬわけない。
私は、エミールとの訓練をすっぽかして、支部長に彼女の所在を尋ねた。
「葵くん? ああ、彼女ならクレイドルという新たな部隊として、世界中を駆け巡ってるよ」
支部長のサカキさんは、にこやかに私に言った。
その日、私は物凄く落ち込んだ。そんな、折角極東に来たのに……でもまあ、死んではいないと分かったので、それだけでも安心した。
私がここに居れば、いつかは出会える。
そう思うと、なんだか力が沸いてきた。エミールとコウタ隊長には悪いことしちゃったな、謝らなきゃ。
それから数ヵ月後のこと、極東支部に"ブラッド"と言うゴッドイーターのエリート集団なる者がやって来た。その中に一人、見覚えのある人がいた。
ジュリウスさんやロミオさんからは、茜と呼ばれているあのゴッドイーター。その風貌はまさしく、私の憧れの葵さんそのものだった。
白い髪に蒼色の目、パーカーを好んで着ていたり、オレンジ色の帽子を付けている所。少し違うところもあるが、殆ど葵さんに似ていた。
ただ、決定的に違うところ。それは……。
「ああっ!! ご、ごめんなさい!!」
クールで凛々しい葵さんと違って、あの人――茜先輩は、ドジなのだ。
今日も、ロビーを「冷やしカレードリンク」を飲みながら歩いていると、何もないところで躓き、そのドリンクをイスに座っていたロミオさんの頭にぶちまけた。
ロミオさんは直ぐに帽子を取って、なにやら叫んでいて、茜先輩はひたすらに土下座していた。
茜先輩とは何度かミッションに行ったことがある。ブラッドだけに、戦闘技術は本当にすごかった。
私も、そんな先輩の戦闘スタイルを学ぼうとしてミッションに行った。茜先輩は私と同じチャージスピア使いなので、物凄く勉強になる。が、先輩のドジは時折、というか毎回ミッション中に発動する。
弱っているヴァジュラに止めを差そうとスピアを振り上げたその瞬間、私の背後から物凄い爆音が響いた。一体何が、と後ろを振り向くと――大爆発が起きた。
「ごっごめんなさい!! 後で何でもしますから命だけは!!」
今にも泣きそうな声で先輩は叫んだ。
後から聞いた話、あの爆発はシエルさんとのバレット改造の末に出来上がったもので、「メテオ」と言うらしい。
その破壊力と同行するゴッドイーターへの影響から使用が禁止になり、シエルさんと茜先輩はジュリウスさんにこっぴどく怒られていた。
私が先輩とミッションへ行くようになって数ヶ月。いつものようにスピアで攻撃を放つと、赤い閃光が発生した。そう、私にもブラッドアーツが発現したのだ。
「ねえ先輩!! 見て、私にもブラッドアーツが!!」
私は嬉しくなり、コクーンメイデンを倒し、後ろを振り向く。すると、茜先輩がその場に倒れ込んでいた。
「先輩!?」
私は先輩に駆け寄り、リンクエイドを施した。すると、先輩はどんよりとした顔で起き上がる。
「……後輩に、すんごい恥ずかしいとこ見られちゃった」
大丈夫です、先輩。もう何度も見てます。
どうやら、先程のヴァジュラ戦で体力を大幅に削られた後、回復するのを忘れていて、最終的にコクーンメイデンの攻撃で止めをさせられたらしい。
この人、ドジにも程がある。本当、ずっと見守っとかないとダメなんじゃ…。そんな感情がいつの間にか私の心の中に現れていた。
支部に着くなり私は先輩を医務室に運び込み、寝かせた。先輩の寝顔、やっぱり葵さんに似ている。中身は全然違うけど。私も眠くなってきちゃった……。
数時間後、私は目を覚ますと、自分の部屋のベッドの上だった。はっとして身体を起き上がらせると、ベッドの近くの机に「冷やしカレードリンク」とメモが置かれていた。
【今日はありがとうございました。あかね ついき。このドリンク美味しいよ】
小学生が書いたみたいに汚い字を読んで、何故か私はニヤついてしまった。ていうかあの人、自分の名前の漢字くらいまともに書けないのか…。
それからというものの、私は暇さえあれば先輩と一緒にいた。いつ何をやらかすか心配だからだ。母性?というか、守ってあげたいというか、そんな可愛さがあった。
そうか。分かった。これが、好きって言う気持ちなんだ。葵さんに抱いた憧れの気持ちとはまた違って、この人と一緒にいたいという気持ち。これが、恋なんだ。
とても甘酸っぱくて、心がキュンキュンする。お兄ちゃん、私、好きな人が出来たよ。
「ねえ、先輩」
私はソーマさんと先輩とのミッション終了後、先輩に話しかけた。
「ん、どうかしたのエリナ?」
「私、地獄でもついていきますからね!!」
精一杯、自分の気持ちを伝えた。…いや、これ唯の脅しになってる……私って、こう、下手だなあ。
「じっ、地獄!? し、死ぬのはやだよ……アラガミこわい……!!」
「おい、早く帰るぞ」
ソーマさんがおびえる茜先輩に言って、ヘリに向かっていった。私と先輩も、ヘリに向って歩いていく。私は、その時先輩の手を握って、彼女に微笑んだ。
「ちょ、エリナ、どうかしたの…!?」
「なっ、なんでもないですよ! あ、アナグラに帰ったら…部屋、行っていいですか?」
「葵、ブラッドって知ってるか?」
リンドウは一人とうもろこしを食べている葵に向かって言った。彼女はとうもろこしにかぶりつきながら首を横に振った。
「そのブラッドって部隊の――」
「あ、思い出した」
「何をだ?」
「ブラッドって、私の妹が入ってる部隊だよ、確か」
「そうなのか? 姉妹揃ってすげえな、まったく。名前は何て言うんだ?」
「白石茜。私の名前の葵と逆なんだ」
「お前の親御さんも中々粋な事するな」
「でしょ? 久しぶりに極東に戻りたいな〜コウタ、ちゃんと隊長やれてんのかな」
「あいつのことだから、大丈夫だろ。多分。この任務さえ終わったら極東に戻れる。ま、俺も久しぶりに極東の面々に会いたいからな。ま、がんばろうや」
「はは、ですね」
そういって二人は、食事を終えた後神機を手に取った。茜は一人、星が煌めく夜空を見上げる。
「エリナ、元気にしてるかな……?」
白石葵。それが、彼女の名前だった。
かつては極東支部第一部隊の隊長を務め、当時の極東支部長の陰謀を食い止めた英雄だ。
彼女との出会いは、3年前になる。私が、お兄ちゃんを亡くしてずっと泣きじゃくっていたときだった。
彼女は、私を慰めてくれた。極東に居る間、ずっと。毎日、悲しみで口を閉ざした私に優しく話しかけてくれた。
ヨーロッパに帰るときが来て、私は父と一緒にヘリに乗り込んだときだった。
そのヘリが、シユウに襲われた。その時、彼女が華麗にアラガミを切り裂き、倒した。
私はそれを見てからずっと、彼女と一緒に戦いたいとずっと思っていた。お兄ちゃんが居なくなった今、彼女は私のお姉ちゃんのような存在だった。
晴れて私はゴッドイーターとなり、胸を躍らせて極東支部にやって来た。
しかし、何処を見ても彼女の姿はない。まさか、死んでしまったのでは――いや、終末捕食を止めて、風の噂ではリンドウさんをアラガミ化から救ったと言うあんな人が簡単に死ぬわけない。
私は、エミールとの訓練をすっぽかして、支部長に彼女の所在を尋ねた。
「葵くん? ああ、彼女ならクレイドルという新たな部隊として、世界中を駆け巡ってるよ」
支部長のサカキさんは、にこやかに私に言った。
その日、私は物凄く落ち込んだ。そんな、折角極東に来たのに……でもまあ、死んではいないと分かったので、それだけでも安心した。
私がここに居れば、いつかは出会える。
そう思うと、なんだか力が沸いてきた。エミールとコウタ隊長には悪いことしちゃったな、謝らなきゃ。
それから数ヵ月後のこと、極東支部に"ブラッド"と言うゴッドイーターのエリート集団なる者がやって来た。その中に一人、見覚えのある人がいた。
ジュリウスさんやロミオさんからは、茜と呼ばれているあのゴッドイーター。その風貌はまさしく、私の憧れの葵さんそのものだった。
白い髪に蒼色の目、パーカーを好んで着ていたり、オレンジ色の帽子を付けている所。少し違うところもあるが、殆ど葵さんに似ていた。
ただ、決定的に違うところ。それは……。
「ああっ!! ご、ごめんなさい!!」
クールで凛々しい葵さんと違って、あの人――茜先輩は、ドジなのだ。
今日も、ロビーを「冷やしカレードリンク」を飲みながら歩いていると、何もないところで躓き、そのドリンクをイスに座っていたロミオさんの頭にぶちまけた。
ロミオさんは直ぐに帽子を取って、なにやら叫んでいて、茜先輩はひたすらに土下座していた。
茜先輩とは何度かミッションに行ったことがある。ブラッドだけに、戦闘技術は本当にすごかった。
私も、そんな先輩の戦闘スタイルを学ぼうとしてミッションに行った。茜先輩は私と同じチャージスピア使いなので、物凄く勉強になる。が、先輩のドジは時折、というか毎回ミッション中に発動する。
弱っているヴァジュラに止めを差そうとスピアを振り上げたその瞬間、私の背後から物凄い爆音が響いた。一体何が、と後ろを振り向くと――大爆発が起きた。
「ごっごめんなさい!! 後で何でもしますから命だけは!!」
今にも泣きそうな声で先輩は叫んだ。
後から聞いた話、あの爆発はシエルさんとのバレット改造の末に出来上がったもので、「メテオ」と言うらしい。
その破壊力と同行するゴッドイーターへの影響から使用が禁止になり、シエルさんと茜先輩はジュリウスさんにこっぴどく怒られていた。
私が先輩とミッションへ行くようになって数ヶ月。いつものようにスピアで攻撃を放つと、赤い閃光が発生した。そう、私にもブラッドアーツが発現したのだ。
「ねえ先輩!! 見て、私にもブラッドアーツが!!」
私は嬉しくなり、コクーンメイデンを倒し、後ろを振り向く。すると、茜先輩がその場に倒れ込んでいた。
「先輩!?」
私は先輩に駆け寄り、リンクエイドを施した。すると、先輩はどんよりとした顔で起き上がる。
「……後輩に、すんごい恥ずかしいとこ見られちゃった」
大丈夫です、先輩。もう何度も見てます。
どうやら、先程のヴァジュラ戦で体力を大幅に削られた後、回復するのを忘れていて、最終的にコクーンメイデンの攻撃で止めをさせられたらしい。
この人、ドジにも程がある。本当、ずっと見守っとかないとダメなんじゃ…。そんな感情がいつの間にか私の心の中に現れていた。
支部に着くなり私は先輩を医務室に運び込み、寝かせた。先輩の寝顔、やっぱり葵さんに似ている。中身は全然違うけど。私も眠くなってきちゃった……。
数時間後、私は目を覚ますと、自分の部屋のベッドの上だった。はっとして身体を起き上がらせると、ベッドの近くの机に「冷やしカレードリンク」とメモが置かれていた。
【今日はありがとうございました。あかね ついき。このドリンク美味しいよ】
小学生が書いたみたいに汚い字を読んで、何故か私はニヤついてしまった。ていうかあの人、自分の名前の漢字くらいまともに書けないのか…。
それからというものの、私は暇さえあれば先輩と一緒にいた。いつ何をやらかすか心配だからだ。母性?というか、守ってあげたいというか、そんな可愛さがあった。
そうか。分かった。これが、好きって言う気持ちなんだ。葵さんに抱いた憧れの気持ちとはまた違って、この人と一緒にいたいという気持ち。これが、恋なんだ。
とても甘酸っぱくて、心がキュンキュンする。お兄ちゃん、私、好きな人が出来たよ。
「ねえ、先輩」
私はソーマさんと先輩とのミッション終了後、先輩に話しかけた。
「ん、どうかしたのエリナ?」
「私、地獄でもついていきますからね!!」
精一杯、自分の気持ちを伝えた。…いや、これ唯の脅しになってる……私って、こう、下手だなあ。
「じっ、地獄!? し、死ぬのはやだよ……アラガミこわい……!!」
「おい、早く帰るぞ」
ソーマさんがおびえる茜先輩に言って、ヘリに向かっていった。私と先輩も、ヘリに向って歩いていく。私は、その時先輩の手を握って、彼女に微笑んだ。
「ちょ、エリナ、どうかしたの…!?」
「なっ、なんでもないですよ! あ、アナグラに帰ったら…部屋、行っていいですか?」
「葵、ブラッドって知ってるか?」
リンドウは一人とうもろこしを食べている葵に向かって言った。彼女はとうもろこしにかぶりつきながら首を横に振った。
「そのブラッドって部隊の――」
「あ、思い出した」
「何をだ?」
「ブラッドって、私の妹が入ってる部隊だよ、確か」
「そうなのか? 姉妹揃ってすげえな、まったく。名前は何て言うんだ?」
「白石茜。私の名前の葵と逆なんだ」
「お前の親御さんも中々粋な事するな」
「でしょ? 久しぶりに極東に戻りたいな〜コウタ、ちゃんと隊長やれてんのかな」
「あいつのことだから、大丈夫だろ。多分。この任務さえ終わったら極東に戻れる。ま、俺も久しぶりに極東の面々に会いたいからな。ま、がんばろうや」
「はは、ですね」
そういって二人は、食事を終えた後神機を手に取った。茜は一人、星が煌めく夜空を見上げる。
「エリナ、元気にしてるかな……?」
このページへのコメント
エロをくれぇぇぇえ!
もう続きを書く奴はいないんだ…
続編読みたい❗
続編希望!
ぜひこの話の続編を書いてください