みどり・市民派をめざす 井奥まさきが収集した情報、書き込んだ情報を整理して公開するために作った公開用のウィキです。


==========中野区の佐藤ひろこさんからの投稿の引用です============

*「女たちのオルタナティブ パートに均等待遇を!
中野区非常勤職員・賃金差別裁判の記録」
原告 平川景子・弁護団・支援する会 編
(支援する会として私も編集に参加しました)
明石書店 定価1890円

*賃金差別裁判は前中野区長時代に訴えを起こしたものだが、現田中区長を相手取っ
ての裁判になった。中野区が均等待遇であるべきだと認めたので和解した。その後民
間委託化にともなう公務非常勤職場の廃止が続いた。非常勤職員がNPO法人を立ち上
げて図書館業務の委託を受けるなど、自らが働き方の転換を行った事例もある。均等
待遇ではない公務非常勤職場は中野区では結果としてなくなっていった。
 さらに、保育園のパート職を短時間公務員に転換することが打ち出された。パート
職員の大量解雇ということで反対運動が行われた。パート職の契約更新は打ち切りに
なったが、区は短時間公務員の募集を行い、応募したパート職員全員を短時間公務員
として雇用した。パートの時より身分が安定して働けるようになった。条例には共産
党だけが反対で、賛成多数で可決した。詳しくは以下にある、委員長報告、私の条例
に対する賛成討論を読んでください。

*中野区の一般職の任期付職員の採用に関する条例
平成17年2月17日
(趣旨)
第1条 この条例は、地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律(平成14
年法律第48号。以下「法」という。)第5条第1項及び第2項、第6条第2項並びに第7条
第2項の規定に基づき、職員の任期を定めた採用に関し必要な事項を定めるものとす
る。
(短時間勤務職員の任期を定めた採用)
第2条 任命権者は、法第2条第2項に規定する短時間勤務職員(以下「短時間勤務職
員」という。)を次の各号に掲げる業務のいずれかに従事させることが公務の能率的
運営を確保するために必要である場合には、短時間勤務職員を任期を定めて採用する
ことができる。
(1) 一定の期間内に終了することが見込まれる業務
(2) 一定の期間内に限り業務量の増加が見込まれる業務
2 任命権者は、前項の規定によるほか、住民に対して職員により直接提供される
サービスについて、その提供時間を延長し、若しくは繁忙時における提供体制を充実
し、又はその延長した提供時間若しくは充実した提供体制を維持する必要がある場合
において、短時間勤務職員を当該サービスに係る業務に従事させることが公務の能率
的運営を確保するために必要であるときは、短時間勤務職員を任期を定めて採用する
ことができる。
(任期の特例)
第3条 法第6条第2項の条例で定める場合は、前条第1項第1号に掲げる業務の終了の
時期が当初の見込みを超えて更に一定の期間延期された場合その他やむを得ない事情
により、同条の規定により任期を定めて採用された短時間勤務職員の任期を延長する
ことが必要な場合で、同条の規定により任期を定めて採用した趣旨に反しない場合と
する。
(任期の更新)
第4条 任命権者は、第2条の規定により任期を定めて採用された短時間勤務職員の任
期を更新する場合には、当該職員の同意を得なければならない。

*総務委員会委員長報告
 任期付短時間勤務職員制度を導入するに当たり、今現在任用されている臨時職員数
と、この4月に募集を予定している人数はそれぞれ何人かとの質疑があり、保育園の
臨時職員数は現在188名で、募集予定数は187名、障害児学級の介助員等は現在
43名で、募集予定数は32名であるとの答弁があった。
 これに対し、これまで臨時職員として働いてきた職員について雇用を継続すべきで
はないかとの質疑があり、採用は一般公募により選考するので、応募していただけれ
ば、これまでの経験や能力、熱意などは公平に評価するとの答弁があった。
 次に、この制度導入による人件費の財政効果はどの程度と見込んでいるかとの質疑
があり、現行の臨時職員の時間単価が1,030円であり、任期付短時間職員は手当を
含めて1,274円となるため、総額で約4,500万円の増加となるが、任期の定めの
ない一般職を採用するのと比較すれば一定の財政効果はあるとの答弁があった。
 次に、この制度ができると今後は臨時職員はいなくなるのかとの質疑があり、今後
は一般職の任期の定めのない職員、任期付短時間職員、臨時職員及び特別職の非常勤
職員という体制でそれぞれを活用していく執行体制となるとの答弁があった。
 次に、任期付短時間勤務職員制度については、その制度の導入が既存の他の任用制
度に影響を与えるものではないとの国の見解が示されているが、今回の導入は今の臨
時職員の代替となるのではないかとの質疑があり、今回の制度導入は、保育園の時間
延長サービスの拡充など、この制度の趣旨を生かして区民サービスの拡充を図るもの
であるとの答弁があった。
 次に、この制度については、区長会が特区連に提示したものの、受け入れられず廃
案となった経緯がある。労使間で協議が調っていないものを、中野区だけが突出し
て、しかも先議という形で議会に条例案を出してくるのは信頼関係を損なうのではな
いかとの質疑があり、区長会では、その後、各区事項化することを意思統一し、特区
連に対し引き続き申し入れをしていく。今後とも良好な労使関係の構築に努めていく
との答弁があった。(中略)
  討論を求めたところ、1名の委員が反対する立場から、この議案は、現在臨時職
員として働いている保育園朝夕パートや小・中学校の障害児介助員を任期付短時間勤
務職員に置きかえることを目的としている。中野区では、特別区人事委員会から改善
要求されているにもかかわらず、臨時職員の任用問題について長期間放置してきた。
区はこの問題を解決するために任期付短時間勤務職員制度を導入しようとしている
が、制度の導入によって今まで区のために働いてきた人たちの首切りにつながり、区
の対応は無責任と言わざるを得ない。また、労使間のルールを破り、1カ月半という
短い準備期間での制度導入は問題だ。また、議案は、「武力攻撃災害等派遣手当を含
む」を加えるとのことだが、地方自治法上も各自治体の条例の中でつくらなければな
らないものではないため、これに反対するとの討論を行った。
 さらに討論を求めたところ、1名の委員から賛成する立場から、今まで中野区が臨
時職員の身分問題を放置してきたとの意見もあったが、だからこそ、これを是正する
ために今回制度を導入することになったのだと思う。特別区人事委員会からの意見聴
取への回答でも「異議なし」となっている。公平公正に見て、不安定な身分から安定
した身分に切りかわるというものである。手当についても今まで支給されなかった
が、この制度ではさまざまな手当が支給される。労働者の側にとって今よりも格段に
よくなる制度であり、賛成したい。また、今現在働いている方々については、不安の
ないように一定の配慮が必要ではないかとの討論があった。(中略)採決を行ったと
ころ、賛成多数で議案を可決すべきものと決した。

*佐藤ひろこ賛成討論 
 保育園の朝夕の特例保育などで、本来は6カ月雇用の臨時職員を長年にわたって雇
用してきた状態が脱法的ではないかと指摘されていたこと、また、区民にとって安定
的なサービスの拡大を目指して、中野区は23区に先駆けた新たな制度の導入に踏み
切りました。
 時給のみで6カ月雇用の臨時職員の不安定な働き方が、一般職としての身分が保障
され、期末手当、勤勉手当、通勤手当など、手当の支給による待遇改善が進んでいる
ことを評価いたします。また、何よりも区民サービスの向上の点からも評価できま
す。
 長年にわたり、普通学級の障害児の介助員は臨時職員でした。6カ月更新で長くて
も1年、それ以上長く勤務するためには一度別のところで数カ月アルバイトし、また
戻ってきてそのお子さんの介助員になるという、介助される子どもにとっても不安定
に人がかわり、働く人にとっても不安定な働き方が続いておりました。これが何とか
ならないかと長年にわたって要望してきましたが、なかなか改善がされませんでし
た。ようやくこの制度導入よって大きく改善されることになります。子どもにとって
は自分になれた人に続けて介助を受けることができ、3年たってさらに応募すれば、
また3年続けることができ、子どもにとっては小学校の6年間、なれた人に介助され
る状態も実現できるという、安定した状態が実現されます。大変、臨時職員は低い時
給だけで働いてきたところです。しかし、時給換算でも大幅にアップし、介助員の処
遇の改善も実現しました。
 介助員が43人から32人に募集が減るかのような説明もありましたが、常勤換算
の定員は32人ですが、実際はローテーションで勤務するので、募集する介助員の数
は変わらないということです。1障害児学級に1人の介助員の配置は変わらない。来
年度は3学級ほどふえる予定でもあるので、来年度、募集する介助員数も現在と変わ
らない、あるいはふえることも予想されます。
 また、保育園においては、延長保育や特例保育の保育者が現在よりも身分が安定し
た状態で保育が行われることは、子どもたちにとっても保護者にとっても安心できる
体制ということができます。延長保育のさらなる充実を期待することができます。ま
た、この制度の導入により、まだ23区では実現していないゼロ歳児に対する特例保
育の道筋も見えてきました。
 将来的には均等待遇を目指す短時間公務員制度の導入を期待するところです。しか
し、現在、国の法律で原則3年とする任期が定められ、完全な均等待遇にはまだ至っ
ておりません。今後、さらなる国の法律改正、任期の定めの見直しなどさらに均等待
遇、ワークシェアリング社会を目指すための改善を図っていくことが求められている
と思います。
 中野区のこの新たな制度がパートで働く人々の労働条件の向上につながり、そして
何よりも区民の方々のサービスの向上につながることを期待し、賛成討論といたしま
す。

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