2008/9/28日放送「経済成長」Part1

Part1
鈴木)
こんばんは,鈴木謙介です。持ち合わせのない言葉を探し求めてはや二年,三年目に突入した「文化系トークラジオLife」がここから朝の四時まで生放送です。そう,三年目なんですよこの番組。先日とある放送関係の方とちょっとお話をしていたんですけど,実はこの番組,結構高齢の方にも聞いていただいているらしくてですね,まぁ本当に嬉しかったんですけども。80歳手前の男の方に「いやー,たまに聞いてるよ」と言われて本当に嬉しかったんですけども。今後もよりいっそう精進していきたいと思っていますのでどうぞよろしくお願いします。
さてそんな三年目のlifeがテーマに選んだのが「経済成長」って言うテーマなんですね。「文化系」だって言ってるのになんでこんな経済系とか社会系みたいな話題なのかっていうその辺の話は番組内でもしていこうと思うんですうけど,実際今,世の中的にはサブプライムローン問題から飛び火した,リーマンブラザーズの破綻とか,あるいは回復していると言われてた大学生の就職率が実は今年結構伸び悩んでいるんじゃないのかとかいうことが言われていて,世界的にも国内的にも景気の面での不安な点が色々目につくようになっているんだと思うんですね。
他方で,過去三十年くらいずっと言われてきたことではあるんですけど,「成長しない生き方」というか,お金にこだわらない生き方が,団塊世代のリタイアと共に再び注目を集めてます。貧しくったって楽しい生き方,心が豊かな生き方が出来ればそれで良いじゃないかと,まあそういう話ですよね。だからまぁなんていうのかな,経済は成長した方が良いのか,それともそんなに無理することはないのか,あるいはこの10年,15年経済成長を経験していない人達って言うのが若い人達を中心にどんどん増えている訳で,「経済成長?何それ?」っていうような話もあると思うんで,今夜は出来るだけ私達の実感の部分も織り込みながら話をしていこうかなと思っているんですけど,メールも募集したいと思っています。メールの方ではですね,「経済成長」っていう言葉に対するイメージであるとか,あるいは「日本の経済成長で自分の生活が良くなると思いますか?」,あるいは,「国家の経済成長で個人は幸せになると思いますか?」などなど,まぁ「経済成長」って言うものにまつわる皆さんの考えを聞かせてもらえればな,と思います。もちろん,難しく考えて,「何パーセント上がって下がって」という話よりは,「いやいやそんなこと言ってもちょっと良く分からないです」っていうものも含めてお聞かせいただければな,と思ってますんで,メール送ってください。番組中にメールを読まれた方には,番組ホームページのイラストを描いてくれている人気漫画家の浅野いにおさんのイラストをあしらったもの,あるいは,番組のロゴ入りのLife特製バッジがプレゼントされます。バッジが欲しい方,メールの方には送り先の住所と,どちらのバッジがご希望かもお忘れなくお書き添え下さい。メールは,life@tbs.co.jpまで。さて,今夜は経済成長がテーマにお届けしようと思っているんですが,今日の一曲目はこの曲でスタートです。まぁなんか,「成長」って聞くとこの曲が一発目に出てきちゃう辺りが僕の世代だな,って感じがするんですが。では聞いてください。川本真琴で,「愛の才能」。

曲開け)
文化系トークラジオLife,今日は「経済成長」をテーマに,朝の四時まで生放送でお届けしております。
さて,今日のテーマ,「文化系」だって言ってるのに「経済成長」っていう社会系なテーマなんですけども,今日一緒に番組を進めてくれるサブパーソナリティの皆さんを紹介しながら,それぞれの「経済成長」イメージってどういうことなの?っていう所をやっていきたいんですけど,実は今日の「経済成長」というテーマを考えた人である,「R25」で編集・ライターを担当されています,斎藤哲也さんです。こんばんは。

斎藤)
こんばんは。

鈴木)
斎藤さん,「経済成長」というテーマ,メールでやり取りする中で「どう?」って話になったんですけど,冒頭から僕言っちゃいますけど,「経済成長」というテーマ自体がピンと来ないんですよ。それをLifeでどう扱うのか,っていうのもそうだし,僕自身が経済成長っていう言葉に対してよくわからんなっていう。そんなに論じるような事なのか,みたいなイメージがあって。なんで経済成長なんすか?

斎藤)
ちょっと長くなるかもしれないんですけども,今までlifeは格差とかロスジェネの話をしてきたじゃないですか。僕もその話は雑誌で読んだりとかニュースで見たりして考えてきたんですけど。
最初はフリーターニートがあって,一番最初のレベルって,「彼らは意識が低いから働かないんだ」みたいなところの話に始まったけど,そうじゃないんだと。不況で働きたくても働けないんだと,そういう構造があるんじゃないかと,っていう所まで話は来たじゃないですか。で,そうだと思うんですよ。で,そこからワークングプア論とかロスジェネ論とか格差論だとか色々出てくる中で,正社員と非正規雇用の社員の差みたいな話も出てきて,そこでじゃあ非正規雇用の人がどうしたら良いんだっていうことをかんがえるわけですけど,そこから出てきたのが,例えば正社員の既得権益を俺たちにもよこせとか,あと,同一労働,同一賃金とか,あと最低賃金なんとかしろとか,っていう話はでてきたんだけれども,でもそもそも不況を起こしたのって経済成長しなかったからじゃないかと僕は素朴に僕は思うんです。

鈴木)
まぁ「不況」って「経済成長してない」ってことですからね。

斎藤)
だったら彼らの中から「もっと日本はちゃんと経済成長しろよ」っていう発言をする人が出てきても良いはずなんですよ。もしかしたらいるのかもしれないけど,あんまり聞こえてこなかったんですね,個人的な感想としては。っていうのがまず一つ引っかかっていることなんです。
で,同時に政治の方を見ると「上げ潮派と増税派」みたいな対立があって,「上げ潮派」っていうのは経済成長することでなんとか日本を回していこうぜと。で,増税派っていうのは割とネガティブで,税金とって,もう少し財政きちんとしないとダメなんだよと。いうような対立に僕には思えるんです。で,その対立は実は文化系の中にもいくつかあって,例えば浅羽道明さんという人はの「昭和三十年代主義」という本で,日本人っていうのはもう全体的に成長しなくていいんじゃないかと思い始めている,と。買うものももうそんなに無いし,成長しない事を前提としたライフスタイルを考える時期に来てるんじゃないか,というような事をおっしゃっていて,経済学者の中でも広井良典さんとかって,「定常化」ということを言ってますよね。でも一方で,飯田さんがどうなのかっていうのはこれから聞けば良いと思うんだけど,いわゆる「リフレ派」という経済学者の,なんていうか「グループ」では無いと思うんですけど,「やはり経済成長することでなんとかしていく必要があるんだ」と。というところで色々な対立が見えると思うんですね。で,そう考えた時にでも僕の周りの人達に話を聞くと,やっぱりネガティブな人が多いんです,「経済成長」ということに関して。「もう無理だよ日本は」と。「人口も減るしさ」みたいな話があって,だとしたら,もう無理なんだとしたら,若者であったりロスジェネの人達をを救うことって非常に難しいんじゃないかと思ってしまう訳ですよ。そこの袋小路をなんとか話してみたいなっていうのが今日の話の…

鈴木)
なんと高度なテーマなんだ(笑)。割とアレですね,いくつかの問題設定がある中で,「経済成長」っていう言葉一般っていうよりも,経済成長しないことで不利益を被った人達っていうのがいて,じゃあこの人達に対して,経済成長しなくて生活を守っていくために,あるいは(経済成長)して生活を守っていくためには云々っていう対立があるはずなんだけど,現実に若い人達の中からあんまりそういう声が聞こえてこない矛盾の所をちょっと話してみたいと。

斎藤)
そうそうそうそう。

鈴木)
まぁその辺の話は,メールでも結構そのイメージに近いことっていうのはいくつかいただいているので,後でそれをやりながら詰めていきましょうか。よろしくお願いします。そして続いてはですね,もう一人サブパーソナリティで来ていただいているのが,編集者の森山裕之さんです。

森山)
こんばんは。お久しぶりです。

鈴木)
森山さんね,こう「経済成長」っていう言葉をぽんと聞いてどうですか?

森山)
なぜ僕は今日呼ばれたのかなぁ,と思って。

鈴木)
(笑)。多分それね,誰が呼ばれてもそう思うと思うんですけど。

森山)
池袋の,新橋のような飲み屋でですね,斎藤さんに「今度経済成長っていうテーマでやるから森山さん来てよ」と。分からないままに連れてこられたんですけど。

鈴木)
それ,今日新橋の飲み屋から連れてこられたみたいな感じですけど,違いますよね?(笑)

森山)
いや違いますけど。ちょっと何日か前にですね,そういう会がありまして。
まぁ僕自身は,今日話される,今斎藤さんが色々お話しになったテーマと,リスナーの考える経済成長みたいなところと,僕が巧く分からない所を橋渡しというか…僕自身が分からない所もあるんですけれども,まぁそういう形で,できればなぁと。でも私もこう見えてですね,今唯一定期購読している雑誌が「週間東洋経済」なんですね(笑)。

鈴木)
おっとー(笑)。ど真ん中ですね,経済誌の中でも。

森山)
なぜ定期購読しているかは良く分からないんですけど,

鈴木)
分かんないんすか(笑)

森山)
でもやっぱりね,なんで「週刊東洋経済」だけは毎週読んでいるかっていうと,なんかね,やっぱ切実な感じがするんですよ,雑誌の中で最も。

鈴木)
あー。経済誌っていうと他にもエコノミストとかダイヤモンドとかありますけれども。

森山)
まぁ経済誌っていうだけじゃなくて僕色んな雑誌の中から週刊東洋経済しか読んでないんですよ。

鈴木)
それまたすごい話ですね。

森山)
定期的に読んでいるのはね。あとは週刊文春も読んでるかな。ま,それくらい切実なテーマを経済誌が扱っているというのが,色んな世の中を見た時にね。僕はそういう観点からしかものを見れないけど,それがたまたま週刊東洋経済だったりするんで,僕は感覚的に選んでいるんですけど,今日もそういう感覚的に分からない所を突っ込んでいこうかな,と思っています。

鈴木)
はい,よろしくお願いします。まぁその分かんない,分かんないで言えば,そもそも経済成長というか経済そのものについて語る能力のある人は実は誰もいないというのが正直なところである訳で,一応僕も社会学という学問を生業にしてはいますけれども,経済とか市場とか,あるいは経済学的な知識とか言われると心もとないのでですね,今日はゲストにちゃんと経済学者の人をお呼びしようという事で,今日はこの方をお招きしました。駒沢大学准教授の経済学者,飯田泰之さんです,こんばんは。

飯田)
こんばんは。

鈴木)
飯田さん,全然関係無い話から入るんですけど,今週会うの実は三回目なんですよね。

飯田)
そうなんですよ。

鈴木)
しかも今週初めて会ったのにもう既に三回目なんですよね。

飯田)
でもしらふで会うのは今日が初めてです。

鈴木)
ええ,お酒飲んでないのは今日だけですね。

斎藤)
付き合い始めたカップルみたい(笑)

鈴木)
(笑)。割となんか,今回ゲストにお招きすることが決まった後に今週ちょこちょことお会いする機会がありはしたんですけども,本格的にちょっと真面目な話をするのは今日が初めてなんですが,「経済成長」というのが今日のテーマになっていてですね,飯田さん,そもそも「経済成長」が云々の前にですね,飯田さんという経済学者は,さっきちらっと「リフレ派」とかっていう言葉も出てましたけど,どういうお立場の方なんですか?

飯田)
そうですね,まず,経済学という学問分野自体がこういう文化系とか論壇とかの中でかなりアウェー感が強いんですよね。特に僕はおそらく論壇の中で何か発言をしている数少ない主流派経済学者なんじゃないかと,特に若手の中では。

鈴木)
「主流派」っていうのがあるんですか?

飯田)
そうですね,例えば日本の場合伝統的に…もしかしたらリスナーの皆さんの中ではそちらの方が馴染みのある人の方が多いのかも知れないですけれども,「マルクス経済学」とか,あとはなんていうんですか,すごく文化的な事であるとか,一番簡単にいえば言葉を使って経済学をやるグループと,数学を使って経済学をやるグループがあって,日本ではなぜか実力拮抗している中で,海外に出ると,基本的に経済学っていうのは数学的なモデルを使って統計的検証をして,っていう連中になると。で,その人達を,なんか「主流派」って言ってしまうとあまり…「主流派」の人間しか言っていないのでアレなんですけれども,ちょっと昔風の言い方で言うと「近経」,近代経済学の一員,一応枡席に加えさせていただいていると言う感じになります。

鈴木)
飯田さん自身も割と数字の側の人ということですか?

飯田)
そうですね。僕自身はどちらかというと計量経済学といって,色んな経済理論を統計的に検証していこう,というのが,一応専門の中では専門。だからますます,「文化系」のトークラジオだとアウェー感は強い。

鈴木)
そうですよね,例えば僕の知ってる「言葉を使う経済学」っていうとそれこそケインズとかね,ガルブレイスとかね,そういう人達が出てくるんで,その辺はなんとなく分かるかな,って気がするんですけど,もう数学とか言われると段々この辺に蕁麻疹が出てくる人も結構いると思うので(笑),まぁ僕も割とそんな方ですけれども…

森山)
僕の高校時代の親友が…一緒に当時同人誌やってたんですけども,やっぱり大学に行って経済学やってて,今は某銀行の総合研究所にいるんですけど,とことん突き詰めて話すと最後は絶対に意見は合わないんですよ。だから今日はそんな空気がビシビシと…(笑)。

鈴木)
おっと。早くも対決モード(笑)。

森山)
どんどんね,最後まで行くと合わないんですよ。そいつはもっと大きな所から見ていて,僕はすごく小さな所から見ているんで,なんかそこが合わないんだけど,結局でもね…

鈴木)
大きい,小さい,の差なのかな,っていうのも今日はちょっと突き詰めたいですよね。

森山)
でもね,いまだに仲良く付き合っているので,今日はそこをちょっと突き詰めたい。

鈴木)
じゃあ今日は仲良くケンカしよう。
じゃあ飯田さん,数字の話はみんな分からないと思うんですけども,まぁ一応経済学者の立場から経済成長についてお話しいただけるということでですね…

飯田)
なによりも,先ほど斎藤さんもおっしゃってましたけれども,「経済成長」っていう話が出てくると,もう経済成長できないんじゃないのか,または経済成長なんて要らないんじゃないのかっていう,まぁこれが一番普通のリアクションなんじゃないか,特に現在の日本だと,と思うんですけど,僕自身の立場としては,まず経済成長は必要であると,そしてもう一つ,そして日本は経済成長出来るんだ,というお話を最終的にはなんとか説得していけたらな,というのが。

鈴木)
これは大変ですね。

森山)
説得されませんので(笑)。

鈴木)
なるほど。メールでも割と確かに飯田さんがおっしゃる通り,経済成長は不要だとか無理だ論っていうのがかなり多いんですけども,いくつかいただいているものから,質問とかもあるので,メールを読ませてください。ラジオネーム「ロミオとロミオ」さん。22歳,フリーターの方。

メール)
経済成長なんて普段意識することはほとんどありません。新聞やニュースで偉い人達が飽きもせず色々話している事,その程度のイメージ。以前Lifeで,低賃金労働者の社会は戦争状態,というようなお話を聞き,日々バイトの中でなるほどなぁと思いつつも,結局うち等が何をしようと社会は変わらない,という諦めにも似た気持ちがありますが,経済成長という言葉にも,語る人と興味の無い人の間に明らかな格差があるように思えてなりません。

鈴木)
もう一つ,ラジオネーム「ブラウニート」さん。21歳,男性の方。

メール)
今回のテーマ,予告編を聞いたり番組サイトの文章を読んだりしたのですがさっぱり分かりません,とりあえず前提から教えてほしいのですが,経済成長ってなんですか?経済学者の飯田さんにまずは用語の説明から始めて欲しいです。

飯田)
ああなるほど。それは実際必要な事ですよね。まず二つ目の質問,用語の話からなんですけど,「経済成長」って経済学者が言った場合,基本的には「平均所得の上昇」,ちょっと専門的な言葉を使うと「一人あたりGDP」になるんですけど,所得が増えていくのが経済成長なんですね。ですからよく経済成長に対するイメージって極めてネガティブなイメージを持ってる人が多いのは,おそらく経済成長って言うと企業が企業がガーっとでかくなって,六本木ヒルズが何本も建って…というイメージかと思うんですけれども,実はそんなに普通の人々とかけ離れた所で起きている事ではなくて,日本人の平均的な所得水準,どれだけ収入があるかっていう話,それが伸びていく事が実際は経済成長なんだと。

鈴木)
なるほど。経済成長と言う意味では日本はしてないしてないと言われているんですけど,実際経済成長ってどんな感じ…日本の経済成長っていうのは,景気がなんか「いざなぎ超え」とか言って伸びてるとかって話がありましたけども,その一人当たりGDP,所得が増えた減ったと言うところで言うとどうなんですか?

飯田)
そう。90年代以降,まぁバブル崩壊以降なんですけども,ほぼ日本の一人当たりGDP,またはGDPもそうなんですけど,ほとんど増えていない。で,景気の問題がちょっと出たのでお話しするとですね,実は僕は経済成長よりも景気の方がド専門だったりするんですが…

鈴木)
「経済成長」と「景気」の違いについても後で説明してもらおうかな。

斎藤)
ああそれは知りたいですね。

飯田)
大体経済成長っていうとほぼ10年以上のスパンで見て,まぁその中で10年掛けて平均的な所得水準を見るんですね。

鈴木)
その中でちょっと上がり下がりはあるけど,ってことですね。

飯田)
そうですね,その中の上がり下がりが景気循環なんですけど,日本の場合ここ10年間本当に成長率は低い。で,「いざなぎ越え」と呼ばれている長期の…まぁこれは景気が良かった訳ではないんですね,実は。景気が拡大してた,と言って,もうコンマ1でも上がってさえいればそれは「景気拡大」なんです。

鈴木)
「プラスだ」ってことなんですね。

飯田)
「プラスだ」っていう。でも,あまりにも小さいので,で,一応公的には「景気拡大」が五十何ヶ月っていう話をするんですけど,普通それは違うだろ,っていうくらいコンマ1の拡大をダラダラダラダラ60ヵ月近く続けた,というのが今回のいざなぎ超えの正体で,実際僕自身は,景気が良い,悪いっていう判断状況,つまり景気が「良い」と言い切れる状態って半年も無かったんじゃないか,と思っているんです。

鈴木)
その場合の「景気がいい」っていうのは要するにプラスの幅がデカい,ということですか?

飯田)
あともう一つは,景気の良し悪しっていうのは日本経済の潜在水準って言う言い方をするんですが,実力みたいなものですよね,

鈴木)
難しくなってきたぞ…

飯田)
日本経済が,実力以上に頑張っちゃってる状態,これが好景気だと。で,実力を発揮できていない状態,これが不景気な訳ですよね。で,前の不景気があまりにも酷かったんで,だらだら60ヵ月良くなっても全然実力を発揮できる所まで到達できなかった…

鈴木)
結構流して,というか割とこう走ってる速度はそんなにでも無い,元々の実力からすると…

飯田)
そうですね。で,とりあえず前には進んでいるから用語の定義とか統計の定義上,「拡大」って呼んでいるけれども,実は僕は全然景気なんて良くなかったんだと思いますし,ことさら景気…やっぱり景気が良くなっても良いことないじゃねーかって話は今回の景気拡大からしている人って多いと思うんですよ。で,それは理由は簡単で,単に用語法の定義で,景気が拡大している方にあったっていうだけで,実際その拡大のペースは日本の潜在的な伸びる力に比べると全然大した事無かった,だからやっぱりどこの階層においても大した恩恵を蒙らなかったよと,いうことなんじゃないかと思いますけれども。

森山)
どこの階層においてもなんですか?

鈴木)
そうですよね,なんか金持ちがすごい増えてる感じってありますよね。

斎藤)
なんか商社とかボロ儲けしてるっていう話をね…

飯田)
そう。それ一つ言えるのは,通常景気が良いとか経済成長するっていうことの波及効果っていうのは潜在能力を超えた所までいかないとなかなか下まで降りてこないんですよね。

鈴木)
やっぱりそれは上から来るものなんですか?経済成長って。

飯田)
最初は大体上から来るものと思っていいと思います。

鈴木)
じゃあこの景気が拡大って言うんですか?一応前には進んでいた状態の時にもお金持ってる人の所にはそこそこ恩恵はあったりしたんですかね?

飯田)
ま,一つだけ日本とアメリカの場合はここしばらく,富裕層,つまり金持ってる人をどんどん減税しているので,その効果と混じってちょっと変に極端に言われ過ぎているのかな,っていうのもあるかと思います。

鈴木)
なるほど,なんかこう経済成長っていう言葉自体がこうそもそもイメージしづらかったんだけど,とりあえずこう実力以上に伸びている状態で,且つ今の日本って言うのは前には進んでいたけど実力以上には伸びていないから好景気ではないと。成長率っていう意味でもそんなに高くはない,という状態にあるというところまではなんとなく説明を聞いて分かってはきたんですが,ただまぁそこだけ,聞いてもまだ「経済成長,うーん」って感じがしてくるので,この後曲を挿んだ所でメールをまた紹介しながら「経済成長?なんやねん?」みたいなことをやっていこうと思うんですが,飯田さん,曲を選んできていただいたんですけど,これね,今週最初に会った時に二人でいきなり最初に気が合ったのが学問の話でもなんでもなくて…

飯田)
ラジオの話をしたんですよね。

鈴木)
で,その中で選んでいただいたのが,お互いにこのバンドのファンだよね,っていう事で気が合ったんですが,じゃあその曲を紹介してくれますか?

飯田)
そうですね。ちょうど僕が中学生の頃,他局の深夜番組で「エコーズ」の辻仁成という人がおりまして…

鈴木)
(笑)

森山)
なんで笑うんですかそこで。

飯田)
いや辻仁成って聞くとなぜかちょっと笑ってしまうっていうのは良くないんですが,多分比較的若い人だと,中山美穂の旦那であるとか,南果歩の旦那であるっていう…

鈴木)
南果歩の旦那であった事を覚えている人ももういないんじゃないか…

飯田)
もういないか…。で,その人が昔やってたバンドでエコーズって言うバンドがありまして,そのエコーズで「Oneway Radio」という曲を。
2008年09月30日(火) 03:42:50 Modified by ID:GqWSHUrrWg




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