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それぞれの優しさ10



266 名前: スノウ ◆xvVhjaDbG6 [sage] 投稿日: 2008/11/02(日) 01:10:43 ID:z88SsAjF

 ―*―*―*―

ティアナと話をした後も、私は家には帰るつもりはなかった。
あの男を捕まえたら……帰らなければいけなくなる。
でもきっと私は帰らない。

ティアナはああ言ったけど……自意識過剰だとは思うけどやはり辛いんだと思う。
それに、なのはに会わせる顔が無い。
なのはを……抱くことも出来ない。
きっとなのはにはわかってしまうから。

私だって、黙っているのは辛い。
だからってなのはに知られたらどうしたらいい?
ティアナにも幻術の影響があったから……そう言ってしまう?
言えるわけがない、そんなこと。

思考の迷路にはまり込んでいたときに通信があった。
なのはからだ……毎晩この時間にヴィヴィオと共に連絡してきてくれる。
私はいつものように普段どおりに会話をして、今日も帰れないことを伝えた。
通信で話したなのはとヴィヴィオは、もう諦めているかのようだった。

そう思ったのに……1度切った通信にまた呼び出される。
なのはが、ヴィヴィオを寝かしつけて1人になってから連絡してきた。

「どうしたのなのは? もう、遅いから早く寝た方が――」
「フェイトちゃん、どうして? どうして帰ってきてくれないの?」
「だからそれは……まだ任務が終わったわけじゃないからだよ」
「うそだっ! うそだよフェイトちゃん……そんなうそがわからない訳ないじゃない!」

なのはが、泣いてる。
今までこんな風に泣いたことはなかった……
どんなに喧嘩をしてもなのははいつも私の話を聞いてくれようとして
それは私も同じで……。

今すぐ抱きしめたい……あの涙をこの手で拭ってやりたい。

「なのは、ごめん、本当に帰れないんだ……この任務が終わったらすぐに帰るから」
「それもうそだよ……フェイトちゃん、帰らないつもりでしょ?」
「そんなこと……」
「ねえフェイトちゃん、何が……ティアナと何があったの?」

ドキリと心臓が早鐘を打つ。







267 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/02(日) 01:13:23 ID:z88SsAjF

「え?何を言って……どうしてティアナが出て……」
「フェイトちゃん、相変わらずうそつくの下手だね。
 確信は無かったけど……でも今のでわかっちゃった」
「そんな! そんなことは」

なのはは……ティアナの気持ちに気づいていた?

「鎌かけるようなこと言って……ごめ、ね……フェ……トちゃ……
 なのはのこと……嫌いにならないで……」
「そんなこと! なのはのことを嫌いになるなんて絶対に無いよ!」
「じゃあどうしてっ……どうして何も教えてくれないの?
 どうして、うそをついて……帰ってきてくれないの?
 何でも話すって約束……したのに……」

――私となのはの間に秘密は無いよ、何でも話す、約束する

そうだ、私は約束をしたんだ……でも、だからって……
話してしまえば楽になるのかもしれない……でもそれは私だけのこと。
なのはは苦しむに決まっている、私の自己満足でしかない。

「なのは……ごめん、ほんとに今は言えないんだ……
 でも信じて、なのはのことを嫌いになったりなんて、絶対に無いから」
「フェイトちゃん…………ほん……と?」
「うん、ほんとだよ。なのは……愛してるよ」
「フェイトちゃん……わたしも、愛してる」


結局何も解決していない、不安な気持ちは拭ってあげられなかった。
愛しているという、私たちにとって大切な言葉を……ごまかすために使ったようで辛かった。

……なのはは、あんなに弱い人ではなかった。
どんなときでも全力全開で、いつも前を見ていて……
なのに今、私の言動で一喜一憂して……。

なのはの側に、いてあげたい。
でも、ティアナのことも放っておけない。
何もかも話してしまいたい。
でも、話せばもっと傷つける。

私の自己満足でなのはを今より傷つけるわけにはいかないから……
私はなのはの元を離れるしか……ない。







268 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/02(日) 01:14:48 ID:z88SsAjF

 ―*―*―*―

フェイトちゃんと通信で話した翌日、わたしは休日だった。

「なのはママー! 泡立て出来たよ、次はどうするのー?」
「ああ、じゃあねぇ次はこっちのボウルに卵を……ヴィヴィオ割れる?」
「うん、自分でやるー!」

ヴィヴィオがケーキを作りたいと言い出したので、一緒に作ることにした。
はしゃぐヴィヴィオと笑いあう時間が心地いい。
フェイトちゃんはいないけど……わたしにはこの幸せな時間がある。


 ***


「できたー!」
「うん、美味しそうに出来たね〜! 今日の夕食後のデザートだね!
 2人じゃ多いから、アイナさんでも呼んで食べようか?」
「……フェイトママと一緒に食べたい、フェイトママに会いたい!」

ヴィヴィオの突然の言葉にどう返していいのかわからなかった。
「ヴィヴィオ、フェイトママはお仕事が忙しくて――」
「フェイトママと一緒じゃなきゃいやだ!」

驚いた……フェイトちゃんが家に帰って来ないこと、今まで何も言わなかったのに。
「なのはママもフェイトママに会いたいでしょ?
 おうちに帰って来れないなら、会いに行ったら、だめ?」

ああ……ヴィヴィオなりに思うところはあったんだ。
わたしとフェイトちゃんの、様子がおかしいと薄々感じていたのかもしれない。


フェイトちゃんに連絡して断られるのが怖かった……
でも、わたしじゃなくてせめてヴィヴィオに会ってこの子を抱きしめてあげて欲しい。
そう思ったわたしはシャーリーに連絡をして
フェイトちゃんの都合のつきそうな時間に本局に行くことにした。







269 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/02(日) 01:16:02 ID:z88SsAjF

 ―*―*―*―

「ティアナー、クロノ提督との打ち合わせが延びてるらしくて
 あとはやっておくから今日はもう帰っていいってフェイトさんから伝言」
通信で誰かと話しているなと思っていたらモニターを閉じたシャーリーさんがそう言った。

「え? でもまだ早いしまとめなきゃいけない資料もありますし……」
なにより、昨日フェイトさんは結局家に帰らなかった……そのうえ今日も帰らないつもりか。

「ああ、いいのいいの〜! 今日は特別!」
「何が特別なんですか?」
「それがね〜内緒なの。疲れてるフェイトさんにサンタさんからのサプライズプレゼント!」

……わけがわからない、おまけに今日はクリスマスでも何でもない。
けど、嬉しそうなシャーリーさんに無理やり押し切られてしまった。
執務室の鍵を閉めながらなんだかうきうきしているシャーリーさんに聞いた。
「シャーリーさんも帰るんですか?」
「うん、私はこれからちょっと談話室に用事があってね! それじゃお疲れさま!」

鼻歌まで交えながら立ち去るシャーリーさんにあっけにとられる。
でも、シャーリーさんも最近のフェイトさんの根のつめ具合を心配していた。
何かいいことがあってシャーリーさんの機嫌がいいならそれに越したことは無い。

そう考えながら、あたしはシャーリーさんがかけた鍵を再び開けて執務室に戻った。
帰れとは言われたけど、もう少し仕事を片付けたい。
それに……フェイトさんと少し話をするべきだと思った。
これ以上フェイトさんを苦しめたくは無いから……あの夜については話すつもりはない。

でも、やっぱり帰ろうとしないフェイトさんを説得するくらいは……。
シャーリーさんが帰ってしまったならちょうどいい。
もうすぐここに戻ってくるだろうフェイトさんを、仕事をしながら待つことにした







270 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/02(日) 01:18:02 ID:z88SsAjF

さほど待たずにフェイトさんは執務室に戻ってきた。

「あれ……ティアナ、今日はもう帰っていいってシャーリーから聞かなかった?」

本当に普通に、ただ驚いた顔をしている。
「そうなんですけど……ちょっと話したいことがあったので残ってました」
「え、と……なにかな?」

少し困った顔をするフェイトさん……無理も無いとは思うけど。
「あの、変な話じゃないっていうか、えっと……」
「うん、家に帰れ、でしょ?」
「わかってるなら! どうしてですか?」
「やっぱり、私が帰らないとティアナは困っちゃう?」
「それは……その……複雑な感じで……」

あのとき、帰って欲しくないと思う気持ちがあると言ってしまったあたしが
言うことではないのかもしれない。
「でもやっぱり……あの、なのはさんのことを考えたら……」
「そうだね……でも大丈夫だよ。
 私、ティアナが執務官になるまで、見守ったらだめかな?」
「え!?」

そういうことか。
フェイトさんは、あたしが側にいる間はあたしのことを優先してくれようとしている。
まだいつになるかもしれない、あたしの旅立ちの日まで……。
この人の優しさを見くびっていたのかもしれない。
そして同時に……そんなことでは揺るがないなのはさんとの絆を思い知らされる。

あたしは、フェイトさんを苦しめたいわけでは無かった。
ただ側にいれたら幸せなはずだった。
どうして……それを忘れていたんだろう。
あの夜の出来事があたしを狂わせていたんだ。

ちゃんと、伝えなければ。。
この人を解放しなければならない。
あたしを抱いたあの夜のことを、あたしの気持ちを否定しないでいてくれた愛しい人を。







271 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/02(日) 01:21:39 ID:z88SsAjF

「あの……嬉しいです、あたしのこと、そんなに考えてくれて」

フェイトさんは、うん、と少し首をかしげながら優しく笑う。
「そう思ってもらえるなら……私を無理に帰そうとか、もう言わなくてもいいんだよ?」

「なのはとのことを気にしているなら……それは大丈夫だから」
「違うんです! あの夜のこと……あたし!」
「ティアナ、そのことは!
 全部私のせいで……ティアナの気持ちを傷つけてしまったこと
 どうやって償えばいいかわからないけど……」

「違う、違うんです、むしろあたしがフェイトさんを傷つけてて……。
 あなたの優しさにつけこんであたしはほんとのことを言えなくて……」
「ティアナ……? ごめん、また泣かせちゃったね……この話はもう――」


「あの夜、フェイトさんが抱いたのは、なのはさんなんです!」


「何を……言って…………」
フェイトさんが驚愕の表情をして……。
「あの夜、フェイトさんはあの男の幻術のせいで、混乱してて
あたしの話を聞いてくれなくて、なのはさんのとこへ、帰るって言ってて……
それで、あたし……あたし、幻術でなのはさんの姿になって……」
「そんな…………」
「だから……フェイトさんはあたしを、なのはさんだと思って……」

泣いたらだめなのに、でも、止まらない。
「そんなはず……でも、私にはちゃんとティアナの記憶が……
 そんな、ティアナ……私のためにそんなうそをつかなくても」
「うそじゃ、無いです、確かにあたしはなのはさんの姿で……
 でも、キスされて……それに耐えられなくて、だから自分の姿に戻ったけど……
 だからフェイトさんの記憶は間違いじゃなくて、でもあたし……」

「それでも! それでも私がティアナを抱いたことは事実だから! だから……」
涙が止まらないあたしを、フェイトさんが強く抱きしめた。


その瞬間


シュンッという空気の抜けるような場違いな音と共にドアが開いて


そこに、なのはさんが立っていた……。







それぞれの優しさ11
2009年08月30日(日) 21:14:26 Modified by coyote2000




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