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それぞれの優しさ12



395 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 00:24:53 ID:I3XHTVyE

『フェイト執務官、男が見つかった! 緊急出動を頼む!!』
「クロノ提督! 場所は!?」
『それが……ミッドの市街だ!!』
「なっ……調査では管理外世界を渡り歩いていたはずじゃ!?」
『やつの作戦だ。管理局を追放された魔導師たちを幻術で操って撹乱させられていた』
「だからってなぜこんな近くに……」
『やつの目的は管理局の壊滅だ。局員時代の上層部への逆恨みだな。
 現在市街地に強力なフィールドを展開して、一般市民全員が人質状態だ。
 フィールドが強力過ぎてある程度のランクの魔導師でないと対応できない。
 だがやつの撹乱作戦のせいで高ランクの魔導師の多くは管理外世界に出ている。
 今、現場の近くで訓練中の空隊が緊急で向かったがいつまで持つかわからない』
「わかりました! 今から向かいます!」
『待て! ティアナはいるか?』

突然名前を呼ばれて驚いた。
「はいクロノ提督、何か!?」
『男は人質解放の条件として君を要求している』
「え……!?」

そうか、あいつはあのときあたしが欲しいとそう言っていた。

『君が現場に行くのは危険だ』
「いえ、行かせてください! あいつはあたしが……絶対に捕らえてみせます。
 それに、あたしが行かないと人質が危険なままになります!」
『そうか……確かに君が行かないとやつはロストロギアを暴発させかねない……
 すまない気をつけてくれ、頼んだぞ』
「はい!了解しました」


「ティアナ、ほんとに大丈夫?行ける!?」
「もちろんですフェイトさん、早くあいつを捕まえてこの事件を終わらせましょう!」
「了解、一緒に……終わらせよう」
「はい!」
「シャーリー飛行許可をお願い! 行こう、ティアナ!」

あたしとフェイトさんはバリアジャケットをまとい、すぐに現場に向かった。







396 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 00:26:56 ID:I3XHTVyE

「サンダー」
フェイトさんがバルディッシュを構える。
「フォール!!」
フィールド内の敵に向かって攻撃を繰り返す。
敵はほとんどが元管理局の魔導師達だ。
管理局を追われたような犯罪者まがいのもの達だとはいえ
幻術で操られているのだ、非殺傷設定で攻撃するしかない。
おまけにあのデバイス……いや、あれはデバイスと言えるのか。
あの男と対戦した記憶が蘇る。
武器とも言えない異形を成した魔導師たちに目を背けたくなる。

「ヴァリアブルシュート!!」
あたしも攻撃を繰り出すが、倒れても倒れてもぼろぼろになって攻撃を返してくる。

「フェイトさん、操られているからキリがありませんっ」
「そうだね、フィールドの外からは限界があるし
 自分の意識で攻撃してるわけじゃないから限界を超えても向かってくる
 幻術をかけている本人を倒さないとだめだ!」
「あたしがフィールドの中に入ります!」
「だめだよ! 狙いはティアナでもあるんだ、私が先導する、フォローして!」
「でも、きっとフィールドの中は幻術の影響が……」

あの日のフェイトさんは幻術のせいで……いやなことを思い出す。

『フェイト! 今応援部隊が君たちのいる場所に着く
 幻術をかけられる人数にも限りがあるだろうからそれである程度は分散できる』

「ありがとうクロノ! ティアナ、フォローしてもらえるね!?」
「……わかりました!」

フェイトさんは、いつもあたしを守ってくれる……。
だったら、この人の背中を守るのはあたしだ!

「シャーリー! 首謀者の座標は!?」
『はい、座標K427、フェイトさん達の位置からはフィールドの逆側です!』
「了解! ティアナ、行くよ!!」
「はいっ!」
あたし達はフィールドの中に突撃した。







397 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 00:28:14 ID:I3XHTVyE

『フェイトさん、現場の映像入りました!』

現場に向かう途中、シャーリーさんから通信が入った。
フェイトさんの前に展開されたモニターにはあの男と異形の魔導師たち
それに応戦している味方の魔導師達が映し出された。
必死に応戦しているが、多くが倒れているのが目に入る。

たまたま近くで訓練していた隊らしいけど……
「今応戦しているのは1203空隊です!」
「1203空隊!?」
フェイトさんが驚きの声を上げる。

モニターの中で激しい戦闘が繰り広げられているのが見える。
どんどん倒れていく味方の魔導師の中で1人、男と互角に渡り合っている魔導師がいた……

「なのはっ!!」

男と渡り合っていたのはエクシードモードのなのはさんだった。
……なのはさんが教導中の隊だったんだ。

よりによってと一瞬思ったけど……でも戦いの場でこれほど心強い人はいない。
現場に着くまでなのはさんに任せておけば……。
あたし達にはなのはさんなら大丈夫という甘えがあったのかもしれない。
その甘えが無ければフェイトさんはあんな目に合わなかったのかもしれないと
後で後悔することになるとはまだこのときは気づいていなかった。

「ティアナ、急ごう!」
「はいっ!」

男と決着をつけるため、なのはさんを助けるため、早く行かなければ。







398 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 00:31:58 ID:I3XHTVyE

 ***

「エクセリオン! バスターーー!!」

わたしの攻撃の爆音と舞い上がった煙の中から現れた男はほとんどダメージを受けていない。

「残念だなぁ〜効かないぜ〜管理局のエースオブエースもたいしたことないなぁ。
今度はこっちの番だぜ、はははー!」

男の右手が鎌のようになって攻撃してくる、同時に左手からは砲撃が放たれた。

"Round Shield"

「くぅ……う……」
鎌はかろうじて防御したが、砲撃の方はかなりのダメージを受けた。
魔法がうまく制御できない……有効な攻撃を出せないうえに防御も中途半端になる。

これが、幻術の影響?
やっかいだ……それにさっきから頭痛がして魔法に集中できない。

『なのは! 聞こえるか!?』
「クロノくん!」
『今そちらに応援空隊とフェイト達が向かっている、もう少しだけ耐えてくれ!』
「了解!」

フェイトちゃんが来てくれる、それまで何とか持たせれば……。
時間を稼ぐためにも近接戦では不利だ。
「シュートバスターーー!!」
一撃を入れて男が防御した隙にわたしは空中へ飛んだ。
「レイジングハート!」
"Knockout by buster"
直接砲撃でダメージを与える!
「ディバイーーーン!バスターーーー!!」
爆音を上げて砲撃が命中した……さすがにこの攻撃では男もダメージを受けただろう。

「ぐはぁ……ちっ! ちょっと痛かったなこれは……」

それでも男はまだ立っていた……魔力を制御しきれていないから威力が弱いのか。
「お前、邪魔だな……おい、早くティアナを呼べよ。
 あいつを俺の思い通りに動かせればこんなところでもたもたする必要は無いんだ。
 オレと同じくらいのレベルで幻術を扱えるだろうあいつがいれば
 管理局なんてあっという間に制圧だからなぁ」

「ティアナを……あなたの自由になんかさせないっ!
 あの子は、わたしにとってもフェイトちゃんにとっても大切な仲間だから!
 ティアナは、わたしが守る!!」







399 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 00:33:39 ID:I3XHTVyE

「ああ〜ん? うるせぇなあ、管理局のお仲間ごっこはどうでもいいんだよ……。
 ああ、でもフェイトっていうのはあの金髪ねえちゃんだろ?
 くくくっあいつはオレの幻術に1度やられてるぜー?」
「あなたなんかがフェイトちゃんの名前を口にしないでっ!!」

わたしはレイジングハートを構えた。
「なんだよ、随分肩入れしてるんだなぁあのねえちゃんに。
 オレはてっきりティアナと何かあるんだと思ってたぜ?
 あの世界でずっと監視してたときも随分仲が良さそうだったしなぁ」

頭に血が上った。
それは一瞬のことだったけど、戦いの場で余計なことを考えるなんて……。




気が付いたらわたしは墜とされていた……。




「うぁ……く…………」
レイジングハートを支えにかろうじて立ち上がったが、身体が動かない。
今受けたダメージと、幻術の影響か……もはや魔法を使う気力もない……。

「ははは、何だか知らないがオレはお前の弱いところを突いたみたいだなぁ。
 楽しいぜ、管理局のエリートも俺の前では役に立たない!
 でもお前みたいなヤツはオレの計画には邪魔だ……完全に潰しておかないとなぁ」

男がわたしに攻撃をしかけてくる。
さっきと同じ鎌と砲撃の同時攻撃、それも完全に殺傷設定だ……。


――わたしはここで終わりなのかな……最後にフェイトちゃんに会いたかった
――正面から愛してるって言ってもらうはずだったのに


痛いのは、いやだな……少しくらいは防御できるかな……


死を覚悟した瞬間


「なのはっ!」


最愛の人の声が聞こえた。







400 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 00:35:46 ID:I3XHTVyE

 ***

フィールド内のせいかモニターの映像が乱れる。
フェイトさんと共に男のところに向かいながらあたし達は時々見える映像を確認していた。

なのはさんが戦っている。
エクシードモードで最強の状態なのに……なのはさんは劣勢だ。
やはり幻術が影響しているのか。

『ティアナは、わたしが守る!』

もう、笑いかけてすらもらえないと思っていたのに……
なのはさんの優しさと強さに、涙が出そうだった。
あたしの憧れのエースオブエースは、今でも変わらずあたしを気にかけてくれてる。

なのはさんを、助けなきゃ。

またモニターの映像が乱れる……男が何を言ったかは聞こえなかった
なのはさんが戦いの最中に隙を見せるなんて信じられなかった。

でもなのはさんに一瞬の隙が出来た瞬間。
あたし達が見守るモニターは残酷な現実をつきつける。




なのはさんが、墜ちた……。




「く……なのはっ……」
フェイトさんがスピードアップする、あたしでは追いつけない。

もうすぐ、もうすぐなのに。
現場が見えてきた。
レイジングハートだけを支えにかろうじて立っているなのはさんに男が攻撃を仕掛ける。
殺傷設定の攻撃。
なのはさんはもう防御する気力も失っている様子で。

だめだ、間に合わない……

そう思った瞬間

"Sonic Move"

フェイトさんが瞬間的に移動した。
それは、真・ソニックフォームで……。







401 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/08(土) 00:37:23 ID:I3XHTVyE

「フェイトさんっ!!」

最悪の光景がフラッシュバックする。
これじゃ……あの時とまったく同じ……
あたしを身体だけでかばったフェイトさん。

あの時と同じようにバリアもシールドも無しでなのはさんの前に出る。
あの時と違うのは、男の攻撃が殺傷設定で、しかも鎌と砲撃の同時攻撃。


フェイトさんは、死ぬ気……!?


いやだ! フェイトさんっ!

真・ソニックフォームのフェイトさんの動きはあたしでも追いきれないはずなのに
まるでスローモーションの様に感じた。

「なのはっ!」

叫んだフェイトさんが砲撃の煙に包まれて
その煙の間から一瞬見えた男の鎌からは血が滴り



フェイトさんの身体を貫いていた……









412 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/09(日) 00:07:49 ID:8Q/3fqWE

「フェイトさん!!」

いやだ、そんなのいやだ、フェイトさん!!

フェイトさんを貫いた鎌の攻撃、そして完全殺傷設定の砲撃。
両方を受けて無事でいられるはずがない、いやだ、フェイトさんを失うなんて!

砲撃の煙がはれてあたしが見たのは……

「くぅっ…………はっ……なの、は……大丈夫?」
「フェ……トちゃん、うん、なんとか……」

生きていた……フェイトさんは鎌に貫かれていたけど、急所ははずしていたようで。
そして、砲撃も確実に殺傷設定だったのに……避けていた。
受け切れなかったわけではない、避けたんだ。
もう全ての気力も失っていたはずのなのはさんがシールドを展開して防御していた。

あのときは完全にあたしをかばったフェイトさん。
でも、今意図的に砲撃を避けたのは、なのはさんの防御を信じたから……。
なのはさんもあの一瞬で鎌の攻撃はフェイトさんが受けると信じて
力を振り絞って砲撃を防御することだけに専念した……。
幻術で制御もままならないのに、フェイトさんが、来てくれたから……。


敵わない……2人の信頼関係は、絆は
命をやり取りする戦いの場でさえ切れることは無いんだ。


フェイトさんの身体が崩れ落ちそうになるのをなのはさんが支える。
フェイトさんは自分を貫かせたまま鎌を掴み男の足元にバインドをかけて動きを封じた。

「ティアナ……あと、お願い…………」
意識を失いそうになりながら言うフェイトさん。
「ティアナなら……出来る、ね……?」
フェイトさんを支えながらなのはさんがあたしに苦しそうに笑いかける。

やっと、2人のもとに辿り着いたあたしは男と対峙する。

「ぐぅぁ……ちくしょう!」
鎌の右手と足元はフェイトさんに拘束され動けない
だが残りの左手をあたしに向け、さもあたしなど左手1本で十分だというように笑う。

「よ〜う、ティアナ、やっと来てくれたか! こいつらはもう使い物にならないぜぇ。
お前にもとりあえず痛い目見てもらう、オレの言いなりになってもらうためになぁ」







413 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/09(日) 00:10:04 ID:8Q/3fqWE

許さない、この男のせいでフェイトさんも、なのはさんも傷ついた。
あたしを信じてくれる、強くて優しいこの2人を守りたい。

……まだ、実戦はおろか訓練でも全力で使ったことは無いけど。


これしか、無い。


「クロスミラージュ!」

"Load cartridge"

カートリッジを装填する。

"Converge start"

あたしの周りにオレンジの光の粒が輝き魔力が集束される。
なのはさんに伝えてもらったこの魔法で、あたしは、蹴りをつける!!


「ティアナ! 遅い、遅いぜーーーー!」
男があたしに向かって砲撃してくる。
殺傷設定のその砲撃はあたしを直撃した。

「ふはは〜ティアナ! これでお前はオレの言いなりだ! 管理局もオレに跪く!!」

砲撃の煙が消えたそこには誰もいない。
「なっ!?」

「フェイクシルエットよ……あたしたちの得意な戦術、でしょ?」
「しまっ――」


"Starlight Breaker"


「スターライトーーー!! ブレイカァァーーーーー!!」


轟音とまぶしい光を放ちクロスミラージュから放たれた攻撃で



男は地面に崩れ落ちた。







414 名前: それぞれの優しさ [sage] 投稿日: 2008/11/09(日) 00:12:22 ID:8Q/3fqWE

「ティア、ナ……よく、出来た、ね……1人で、も練習してたん……だね」
「なのはさんっ!」
すでに意識の無いフェイトさんを支えきれずに崩れ落ちるなのはさんに駆け寄る。
なのはさんの意識も途切れそうだ。

「なのはさんっしっかりしてください!」
「ん……ちょっともう……限界、かな。
 ティアナ……わたしとフェイトちゃんを……守ってくれて、ありがと……う」

なのはさんが意識を失ったのと同時くらいに、応援の空隊と救護班が到着した。


***


『ティアナ、聞こえるか』
「クロノ提督……」
『フェイトとなのはは今本局の医療センターに収容された
 フェイトは重症だが……2人とも命に別状は無いそうだ』
「そうですか、よかった」

心底ほっとした。

『操られていた元魔導師達も正気に戻って投降した。
 よくやってくれた……ティアナ、ありがとう。
 あとの処理は僕の指揮でやるから、君はもう現場を離れてくれて構わない』
「了解しました」

大切な2人を守れて良かった……。
あの2人を失ってしまったら、あたしはどうしたらいいかわからない。
あたしが傷つけてしまった2人に、あたしはまだ何も償えていないのに。


フェイトさんは何があってもあたしの気持ちを否定しなかった。
なのはさんはきっと事情もわからないまま、あたしのもとへフェイトさんを送り出した。

優し過ぎる2人にいつも笑顔でいてもらうために。
戦いの場で気づかされた2人の絆を断ち切ってしまわないために。

あたしは自分に絡みついた鎖を、自分で解きに行かなければならない







それぞれの優しさ13
2009年08月30日(日) 21:19:09 Modified by coyote2000




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