らぶれた
356 名前:304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:31:10 ID:TNU/ZU+E
こんばんは。後ろから抱きしめてが全然進まないので(ry
小学生なのフェです。4つに分けて投下します。
357 名前:らぶれた(1/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:33:07 ID:TNU/ZU+E
フェイトちゃんの下駄箱に白い封筒が入っていた。
私はそれを、ああ遂にきたんだ、と冷静に眺めた。
「ラブレターだね。」
「ラブレター?」
不思議そうに手紙をひっくり返す。
ああ、そうだった。フェイトちゃんはこういうのはよく知らないんだ。
「好きな人に書いた手紙をラブレターっていうの。
告白するときに使うんだよ。」
「え、じゃあこれ私に?」
「そうだよ。フェイトちゃん可愛いから…当然だよね。」
そう、当然だ。こんな可愛い子そうそういない。
中身だってとてもいい子だし好きになるのも無理はない。
ここにもそんな人間がひとり。
「ふーん…。でもこの人出す人間違えてるんじゃないかな。」
「へ?なんで?」
差出人の名前はないけれど、確かに表に『フェイト・T・ハラオウンさま』と
宛名が書いてある。フェイトちゃん宛で間違いないはず。
「だってなのはのほうが可愛いもん。」
…はい?
先ほどまでわずかに纏っていたシリアスな雰囲気が吹き飛ぶ。
背景がなぜかすごい顔で「おそろしい子…」って言ってるはやてちゃんに
なってるけど今はそんなのどうでもいい。
ちなみにはやてちゃんはまだ登校していない。
358 名前:らぶれた(2/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:34:51 ID:TNU/ZU+E
「え?え?私変なこと言った?」
「いや、その。でもフェイトちゃんのほうがかわい…」
「ううん。絶対なのはのほうが可愛い。絶対。」
わあい、力いっぱい否定されちゃった。好きな人にそう言って貰えるのは
嬉しいけどその本人が誰もが振り向くような美少女だからちょっとフクザツ。
「あーえっと。ありがとう。フェイトちゃんにそう言ってもらえると
嬉しいな。でも私はやっぱりフェイちゃんが可愛いと思うな。」
「絶対なのはのほうが可愛いのに…。でも私もそう言って貰えると
嬉しいかな。」
前半は不服そうに、後半はにこにこと嬉しそうに言う。
やっぱりフェイトちゃんのほうが可愛いよ。
「うん。ところで、それどうするの?」
「え?あ…」
そう、どちらのほうが可愛いかとフェイトちゃんへのラブレターは全くの別問題。
「ちゃんと読んで、相手にお返事しないとね。」
「うん…。」
ラブレターを見るフェイトちゃんの目は真剣だった。
私もラブレターを出したらこんな風に悩んでくれるかな。
手紙に何度でも書きたくなる『好き』って字を見ても
友達の『好き』と勘違いしないでちゃんと『好き』って分かってもらえるかな。
…分かってもらえないんだろうな。
手紙を大事そうに鞄に仕舞うフェイトちゃんから目を逸らす。
「行こうか。」
「うん。」
359 名前:らぶれた(3/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:36:23 ID:TNU/ZU+E
その日のフェイトちゃんは混乱の極みにあった。
朝から時計をちらちら見て、時間が過ぎれば過ぎるほど落ち着きをなくしていった。
当然のことながらみんなに問い詰められるんだけど、フェイトちゃんが
しどろもどろに呟いた「ラブレター」の一言で追求は嘘のように止んだ。
多分みんな私に気を遣ってくれたんだと思う。
有り難いけど、それと同時に辛かった。
結局私はそんなフェイトちゃんを見ていられなくなって放課後、
暇なのに適当に用事を言って一人で帰ることにした。
みんなも用事があるらしくて誰一人残らない。
フェイトちゃんはすごく緊張した顔で私に縋るような目を向けてきて
罪悪感が湧いたけど逃げるように帰った。
いや、逃げた。私はとても臆病だから告白なんて出来ない。
ラブレターの差出人への嫉妬と、フェイトちゃんが振り向いてくれない
悲しさから逃げ出した。
フェイトちゃんが追ってくることは、やっぱりなかった。
次の日。
結果だけいえばフェイトちゃんは断ったらしい。
相手は話したこともない隣の隣のクラスの男子だった。
一目惚れ、だったそうだ。
フェイトちゃんが断ったのが嬉しくて嬉しくて、
そう思う、他人の不幸を笑う自分が嫌で嫌で仕方がなかったけど
フェイトちゃんが誰のものにもならなくて本当によかった。
私はそれを、そっか、お疲れ様。とだけ言った。
みんなも似たようなことを口にして、深く聞くことはなかった。
フェイトちゃんは断ったからか浮かない顔をしていたけど
それも一日で消えた。
360 名前:らぶれた(4/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:37:26 ID:TNU/ZU+E
その次の日。
また私はフェイトちゃんと一緒に学校に行く。
一昨日が嘘みたいな昨日と同じような態度で。
他愛もない話をしながらバスを待つ。
ねぇ、フェイトちゃん。私がもしラブレターを渡したら
『私もなのはが大好きだよ。』って言ってくれる?
『これからもずっとずっと一緒にいようね。』って言ってくれる?
臆病な私には夢のまた夢の話。
フェイトちゃんはバスが来ないかと後ろをちらちら見ている。
それが一昨日の姿にそっくりでいやだった。
気付かれないようにそっと口を動かす。
フェイトちゃん、『好き』。
声にはならなかった。
おわり
こんばんは。後ろから抱きしめてが全然進まないので(ry
小学生なのフェです。4つに分けて投下します。
357 名前:らぶれた(1/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:33:07 ID:TNU/ZU+E
フェイトちゃんの下駄箱に白い封筒が入っていた。
私はそれを、ああ遂にきたんだ、と冷静に眺めた。
「ラブレターだね。」
「ラブレター?」
不思議そうに手紙をひっくり返す。
ああ、そうだった。フェイトちゃんはこういうのはよく知らないんだ。
「好きな人に書いた手紙をラブレターっていうの。
告白するときに使うんだよ。」
「え、じゃあこれ私に?」
「そうだよ。フェイトちゃん可愛いから…当然だよね。」
そう、当然だ。こんな可愛い子そうそういない。
中身だってとてもいい子だし好きになるのも無理はない。
ここにもそんな人間がひとり。
「ふーん…。でもこの人出す人間違えてるんじゃないかな。」
「へ?なんで?」
差出人の名前はないけれど、確かに表に『フェイト・T・ハラオウンさま』と
宛名が書いてある。フェイトちゃん宛で間違いないはず。
「だってなのはのほうが可愛いもん。」
…はい?
先ほどまでわずかに纏っていたシリアスな雰囲気が吹き飛ぶ。
背景がなぜかすごい顔で「おそろしい子…」って言ってるはやてちゃんに
なってるけど今はそんなのどうでもいい。
ちなみにはやてちゃんはまだ登校していない。
358 名前:らぶれた(2/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:34:51 ID:TNU/ZU+E
「え?え?私変なこと言った?」
「いや、その。でもフェイトちゃんのほうがかわい…」
「ううん。絶対なのはのほうが可愛い。絶対。」
わあい、力いっぱい否定されちゃった。好きな人にそう言って貰えるのは
嬉しいけどその本人が誰もが振り向くような美少女だからちょっとフクザツ。
「あーえっと。ありがとう。フェイトちゃんにそう言ってもらえると
嬉しいな。でも私はやっぱりフェイちゃんが可愛いと思うな。」
「絶対なのはのほうが可愛いのに…。でも私もそう言って貰えると
嬉しいかな。」
前半は不服そうに、後半はにこにこと嬉しそうに言う。
やっぱりフェイトちゃんのほうが可愛いよ。
「うん。ところで、それどうするの?」
「え?あ…」
そう、どちらのほうが可愛いかとフェイトちゃんへのラブレターは全くの別問題。
「ちゃんと読んで、相手にお返事しないとね。」
「うん…。」
ラブレターを見るフェイトちゃんの目は真剣だった。
私もラブレターを出したらこんな風に悩んでくれるかな。
手紙に何度でも書きたくなる『好き』って字を見ても
友達の『好き』と勘違いしないでちゃんと『好き』って分かってもらえるかな。
…分かってもらえないんだろうな。
手紙を大事そうに鞄に仕舞うフェイトちゃんから目を逸らす。
「行こうか。」
「うん。」
359 名前:らぶれた(3/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:36:23 ID:TNU/ZU+E
その日のフェイトちゃんは混乱の極みにあった。
朝から時計をちらちら見て、時間が過ぎれば過ぎるほど落ち着きをなくしていった。
当然のことながらみんなに問い詰められるんだけど、フェイトちゃんが
しどろもどろに呟いた「ラブレター」の一言で追求は嘘のように止んだ。
多分みんな私に気を遣ってくれたんだと思う。
有り難いけど、それと同時に辛かった。
結局私はそんなフェイトちゃんを見ていられなくなって放課後、
暇なのに適当に用事を言って一人で帰ることにした。
みんなも用事があるらしくて誰一人残らない。
フェイトちゃんはすごく緊張した顔で私に縋るような目を向けてきて
罪悪感が湧いたけど逃げるように帰った。
いや、逃げた。私はとても臆病だから告白なんて出来ない。
ラブレターの差出人への嫉妬と、フェイトちゃんが振り向いてくれない
悲しさから逃げ出した。
フェイトちゃんが追ってくることは、やっぱりなかった。
次の日。
結果だけいえばフェイトちゃんは断ったらしい。
相手は話したこともない隣の隣のクラスの男子だった。
一目惚れ、だったそうだ。
フェイトちゃんが断ったのが嬉しくて嬉しくて、
そう思う、他人の不幸を笑う自分が嫌で嫌で仕方がなかったけど
フェイトちゃんが誰のものにもならなくて本当によかった。
私はそれを、そっか、お疲れ様。とだけ言った。
みんなも似たようなことを口にして、深く聞くことはなかった。
フェイトちゃんは断ったからか浮かない顔をしていたけど
それも一日で消えた。
360 名前:らぶれた(4/4) 304[sage] 投稿日:2007/12/07(金) 18:37:26 ID:TNU/ZU+E
その次の日。
また私はフェイトちゃんと一緒に学校に行く。
一昨日が嘘みたいな昨日と同じような態度で。
他愛もない話をしながらバスを待つ。
ねぇ、フェイトちゃん。私がもしラブレターを渡したら
『私もなのはが大好きだよ。』って言ってくれる?
『これからもずっとずっと一緒にいようね。』って言ってくれる?
臆病な私には夢のまた夢の話。
フェイトちゃんはバスが来ないかと後ろをちらちら見ている。
それが一昨日の姿にそっくりでいやだった。
気付かれないようにそっと口を動かす。
フェイトちゃん、『好き』。
声にはならなかった。
おわり
2007年12月07日(金) 18:43:21 Modified by nanohayuri