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シネマ・タイムズ なのは・ヴィヴィオの場合

708 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:29:39 ID:3SUMRVmp

>>707 では投下しちゃします。
3パターン目でまたまた非エロ。

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』

小高い丘の上でたたずむ狼が一匹。
吹き抜ける風が青い毛を揺らす。
眼下に広がるのは、夕日のように赤く燃え盛る大きな建物の群れ。
狼の傍らには、黒い服と特殊な武装で身を固めた男と、年端も行かない少女が横たわっている。
「む・・・ここは?」
男は目を覚ますと、もう一人の少女に声をかける。
「おい!大丈夫か!?怪我は?」
「ん・・・パパ?」
お互いの無事を確認すると、二人はがっしりと抱き合った。
男はそれからようやく、眼下に広がる光景に目を移した。
「研究所が・・・燃えている・・・」
「ザッフィーが助けてくれたの?」
少女は精悍な顔つきの狼に声をかけた。
しかし狼はそれに答えず、二人に尻尾を向けて歩き出した。
「どこに行くの?ザッフィー、あなたはもう自由なんだよ。だから・・・」
尻尾を向けたまま狼は、獰猛な牙が覘く口からは想像もできない流暢な言葉で言った。
「我は軍によって極秘に作られた生物兵器だ。我とともにあれば、必ずやその身に災いが降りかかろう」
そして走り出す。
「どうして、ザッフィー?私と・・・私たちと一緒にいてよ!!」
狼は一度だけ振り返る。
「短いあいだだったが、我の飼い主になってくれて・・・・・・ありがとう」
「ザッフィー!ザッフィーーーーーー!!!」
丘に響き渡る少女の声。
狼はもう、振り返らなかった。

〜アニメ映画 『蒼き狼 ザッフィー』 完〜




709 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:31:13 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』2

映画館のスクリーンの前で、ヴィヴィオは溢れ出る嗚咽を止めることができなかった。
「ぅう〜、ザッフィー・・・ねえなのはママ・・・ぐずっ、どうして?
 どうしてザッフィー行っちゃったの?
 これからみんな一緒になれるのに・・・ううぅ〜」
「どうして・・・かな?それはヴィヴィオがもう少し大人になったらわかるかもね」
そういってごまかしながら、なのははこの映画にヴィヴィオをつれてきたことを後悔していた。
アニメだし、対象年齢も低めになっていたから、きっと最後は大円団だろうと思っていたのに。
こんなさびしい終わり方をするとは思ってもみなかった。
「ぅう〜ザッフィー・・・」
目にいっぱい涙をためたヴィヴィオの頭をくしゅくしゅとなでながら、なのはは自分が言った言葉の意味を考え直す。
大人になったらわかる。
本当は、わかってほしくなんかない、ずっと一緒に居たいから。
ザッフィーの気持ちを理解してしまったら、ヴィヴィオが自分の中にある真実を知ってしまったら。
きっとこの子は私から離れていく。
この子は、優しい子だから・・・。
「ほ〜らヴィヴィオ、もう泣かないで。おうちに帰ったらキャラメルミルク作ってあげるから」
「・・・ほんと?」
赤い目で、ぱっと笑顔になるヴィヴィオ。
「寝る前にちゃ〜んと歯を磨くって約束できたらね」
「うん!ヴィヴィオ、ちゃんと磨くよ!!」

「「ふ〜んふふ〜んふふふ〜んふ〜んふん♪」」
夕食の後、なのはとヴィヴィオは「ザッフィーのテーマ」を口ずさみながら後片付けをしていた。
「ママ、これが最後のお皿!」
「OK、じゃあ後はママがお片づけしておくから、ヴィヴィオは約束どおり歯を磨いてらっしゃい」
「はぁ〜い!」
「もう一人でできるよね?」
「うん、ヴィヴィオ一人でできる!」
ぱたぱたと元気よく洗面所に走っていく後姿を見ると、自然と微笑がこぼれる。
なのははまだ、歯を磨かない。
どうせこの後眠気覚ましのコーヒーを飲むから、今磨いても同じだ。
後片付けを終えると、なのはは寝室に向かいベッドを整える。
買い物に甘味処巡りに映画。
今日は一日はしゃぎまわったから、ヴィヴィオはすぐに眠くなるだろう。
「磨いたよ〜」
案の定、ヴィヴィオは洗面所から寝室に直行してきた。
「ヴィヴィオ、まだすこし早い時間だけど、今日はもう寝よっか」
「ん〜寝る〜」
小さな体をベッドに横たえると、すぐに猫のように丸くなった。
「なのはママも〜」
両手をこちらに伸ばし、抱っこを要求するヴィヴィオ。
「はいはい、ちょっと待ってね」
なのはもベッドに入ると、ヴィヴィオの頭を両手で抱えて胸に埋めさせる。
ヴィヴィオは安心しきって全身を脱力させると、あっという間に寝息を立て始めた。
その安らかな寝顔を見ていると、このまま朝まで一緒にいてあげたくなるが、そういうわけにも行かない。
今も現場に出ているフェイトちゃんに申し訳ない。
数分後、ヴィヴィオが完全に寝たと確信した頃、なのはは静かにベッドから出る。
「ん〜、まま〜?」
途端に声をかけられる。
少し驚いたが、起きたわけではないようだ。
目を閉じたまま、寂しげに手探りでなのはを探す仕草に、またベッドにもぐりこみたい衝動に駆られたが、ぐっと堪える。
かわりにウサギのぬいぐるみを傍らに置いてやると、ヴィヴィオはそれを掴んで、なのはがそうしてやったようにぎゅっと胸に埋めさせる。
再び安心したように寝息を立て始めたのを確認すると、なのはは寝室を出てコーヒーを淹れて情報端末の前に腰掛けた。



711 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:33:09 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』3

ジェイル・スカリエッティ事件は終わった。
終わらせた。
しかし機動六課の面々には、未だ処理すべき問題が山ほどある。
スカリエッティ基地の崩落部の発掘、調査するほどに膨れ上がる技術面に関する疑問、書いても書いても終わらない報告書、作戦行動に対する戦術的評価と改善点の模索、破壊したあるいは破壊された建造物等の修繕、今後の方針の決議・・・。
全てのデータが紙媒体で提出されたなら、それこそ無限書庫が埋まってしまうのではないかと思えるほどだ。
なのはは、現段階で揃えられる書類を全て提出できるようにすると、続いてフォワード陣の訓練メニューを考える。
あんな事件の後だが、訓練をサボるわけには行かない。
否・・・、あんな事件の後だからこそ、訓練を欠かすべきではない。
フォワードの4人は、本当に強くなった。
六課設立時とは比べ物にならないほどに。
スバルは、戦闘機人モードと言う新たな力を手に入れた。
ティアナはすでに分隊の指揮を任せられるほどの戦略眼を持っている。
エリオの攻撃力、突破力は、あと数年もすればシグナムに匹敵するだろう。
キャロは今回の一件で安定性に欠く竜召還をほぼ完璧に使いこなせるようになった。
みんなまだまだ強くなる。
だったら、訓練の内容もより高度であるべきだ。
その力を存分にふるわせるために。
彼らが守りたいと望む人々を傷つけさせないために。
すっかり冷めてしまったコーヒーを一口すする。
ミルクも砂糖も入れていない。
小学生の頃は、この味を楽しめるのはもっと歳をとってからだろうな、少なくとも三十代・・・となのはは思っていた。




712 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:35:43 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』4

午前二時。
フェイト・テスタロッサ・ハラオウン執務官はスカリエッティ基地調査の前線指揮を執っていた。
こと科学技術面に関して、この基地は果てしないと思えるほど高度だった。
巷で天才と歌われる六課技術部の面々がそろって舌を巻くほどに。
接収された兵器の中には、作動原理さえ解明出来ないものまである。
調査活動は、さすがに不眠ではないが、局員が交代を繰り返し作業を進めることで、ほぼ不休といっていい。
フェイトは休憩時間の合間を縫って部隊長はやてへの報告書を作成していたが、さすがに肩が凝ったので数分休憩することにした。
煮詰まった思考が、くだらない希望的観測を導き出そうとする。
そういえば移動速度が光速に近づくと、体感時間が物凄くゆっくりになる、と聞いたことがある。
だったら光速で移動しながら書類仕事をすれば(周囲との相対時間と言う意味で)あっという間に終わるんじゃないかな?
しかし「閃光」の二つ名を持つ彼女だが、実際に光の速さで移動しているわけではない。
どんなに速く動けたとしても、動体視力や反応速度が追いつけなければ意味がないからだ。
そもそも、銃弾以上のスピードで動く物体は、人間の目には映らないのだから、それ以上速く動く意味はないし魔力の無駄遣いだ。
つまり屋外に置いての戦闘なら音速の等倍から2倍、つまりマッハ1〜2程度、屋内ならその半分程度でも充分なのだ。
フェイトの攻撃を避けられる者は多くない。
なのはやシグナムのように彼女の移動パターンの癖やそこから展開される攻撃オプションを知り尽くした者か、ナンバーズのように生物としての基本能力を底上げされた者、
あるいはクロノやゼストのように魔法技術だけでなく体術をも磨き抜き、さらに百戦錬磨の戦闘経験をつんだ高ランクの魔導師しかいない。
とは言え、フェイトは自分の最高速度はその程度ではないと自負していた。
う〜ん、光速の10パーセントくらいなら・・・。
でもここまでいくと、鳥の羽毛に触れただけでも交通事故より酷い惨事になるし、もしかすると重力を振り切ってしまうかもしれない。
それをふまえたうえで必要な魔法プログラムは、というと・・・。
飛行魔法、速度、魔力出力、姿勢の制御、対障害物用のバリア、慣性制御、衝撃波の処理。
意外と大仕事だ、しかもたった5秒で魔力が枯渇する。
仮に無尽蔵の魔力を持っていたとしても、これだけのプログラムを走らせるために思考能力を大幅に持っていかれてしまっては、書類仕事どころじゃない。
悲しくもFTH光速化理論は証明に失敗し、プロジェクトF.A.T.E.(フェイト執務官、亜光速で、徹夜続きに、エンドを告げる)は頓挫したのだった。
なんだか無性に慰めが欲しくなったフェイトは、夜遅いことを承知でなのはに連絡をとることにする。
顔が見たいから、念話ではなく情報端末経由で。
今日はヴィヴィオとお出かけしていたはずだ。
彼女のことだ、遊んだ時間を返上するべく夜遅くまで仕事をしているに違いない。
1コール目で返答があった。
早い。
「遅くにごめんね、なのは」
『ううん、起きてたから平気』
応答の早さから見て、彼女も情報端末に向かっていたことは間違いない。
つまり、フェイトの予想通り、今も仕事中。
「・・・やっぱり起きてたんだ。せっかくの休暇なんだから休めばいいのに・・・」
『そういうわけにも行かないよ。フェイトちゃんだって、ずっとスカリエッティの基地のほうに詰めてるんだし・・・』
このままだとお互いに気の遣いあいになりそうな雰囲気だったので、フェイトは話題を変える。
というかこちらが本命だ。
「映画、どうだった?ヴィヴィオと行って来たんでしょ?」
「うん」
「面白かったなら、今度エリオとキャロを連れて行ってあげたいんだ」
「・・・面白かったけど、あれはちょっと大人向けかな・・・エンディングがね、寂しかったから」
「へぇ〜子供向けアニメみたいなCMしてたから、てっきりハッピーエンドだと思ってた」
「ヴィヴィオ、悲しくて泣いちゃってね・・・」
「そうだったんだ」
「あ、でもね、キャラメルミルク作ってあげるっていったら、赤い目のまま一瞬で笑顔に変わっちゃって。
 それがね、もう写真に撮りたいくらいかわいくてさ!」
「・・・なのは、お母さんみたいだね」
「みたい、じゃなくてそうなの。私はなのはママで、フェイトちゃんはフェイトママ!」
「クス・・・そうだったね。私たちはママ・・・」




713 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:38:11 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』5

「ママ?」
暗闇の中で、なのはママの姿を探す。
遥か彼方、走っても、手を伸ばしても、とうてい届きそうにないほど遠くに、わずかに光る一点。
それがママだ、と言う確信がなぜかあった。
光は、徐々に消え失せていく。
「ママ?どこに行くの?」
答えない。
「ママ!ママ、置いていかないでよ!!」
走っても、手を伸ばしても、届かない。
そして光は消えた。
なのはママは振り返りもせずに飛び去った。
ザッフィーのように。

「ヴィヴィオ、朝だよ」
「・・・夢、だよね・・・」
「どうしたの?怖い夢でも見た?」
「ううん、おはよ〜ママ」
「おはよう、ヴィヴィオ」
いつもと変わらぬなのはママの様子に安心すると、ヴィヴィオは寝室を出た。
「朝ごはん、できてるから、顔を洗ったら食卓においで」
「うん!」

「「ふ〜んふふ〜んふふふ〜んふ〜んふん♪」」
朝食を終えると、また例の歌を口ずさみながら二人で後片付けをする。
「はい、最後のお皿だよ」
「は〜い・・・あっ」

がしゃん!

なのはは手を滑らせ皿を落としてしまう。
珍しい失敗だ。
「ママ、大丈夫?」
「・・・うん、ヴィヴィオ、危ないから動かないでね。今、お掃除するから・・・」
なのはは引き出しからナイロン袋を取り出して二枚重ねにすると、破片を拾い集めてそれに入れる。
掃除機をかけて細かい欠片を全て処分した。
「ごめんねヴィヴィオ。驚かせちゃったね・・・」
少し元気のない微笑。
その違和感に、ヴィヴィオは気付いてしまった。
いつも通りのはずのママは、少しいつも通りじゃない。
お化粧のにおいが、少しきつい気がした。
きっと寝不足によるクマを隠すためだ。
「ヴィヴィオは大丈夫。ママは本当に大丈夫?」
「うん♪なのはママはいつでも元気だよ!」
心配をかけまいとしたのだろう、一瞬で本当にいつもどおりに戻る。
ヴィヴィオは、その気遣いになんだか心が痛んだ。




714 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:40:45 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』6

また同じ夢を見た。
なのはママがザッフィーのように去ってしまう夢。
次の日も、また次の日も。
目が覚めるたびに、目の前には少しづつ元気がなくなっていくなのはママの姿がある。
5度目に同じ夢を見たとき、気付いた。
ヴィヴィオは遠ざかっていく光を見上げているのではなく、見下ろしていることに。
つまりなのはママは飛び去っているのではなく・・・
墜ちている。
無数の黒い腕に絡め取られて。

「くくく・・・ふっふっふっ、はぁーーーはっはっはっはっは!!!」

そのとき聞こえたのは、あの癇に障る・・・世界の全てを馬鹿にしているかのような嘲笑。
ジェイル・スカリエッティの声。

「ママ!?」
全身にびっしょりと汗をかいて、ヴィヴィオは飛び起きた。
窓の外はまだ暗い、きっと深夜だ。
息が荒い。
激しく脈打つ鼓動が治まらなかった。
「なのはママ?」
ベッドに入ったときは隣にいたはずのなのはママが、いない。
「ママ、どこ!?」
先ほど見た悪夢による不安が、いっそう強くなる。
そんなはずはない。
ママはどこにも行かない、ママは墜ちない、ママが私をおいていくはずない。
ヴィヴィオは寝室を飛び出すと、なのはの部屋に駆け込む。
「ママ!?」
「どうしたの!?ヴィヴィオ・・・」
「ママァ〜・・・」
いつの間にか涙が流れていた。
「どうしたの、悪い夢でも見た?」
「うん・・・」
そう言って、ヴィヴィオはなのはの胸に飛び込む。
いつもどおり、その小さな頭を抱きしめるながら、なのはは考える。
今までもこういうことは何度かあった。
里子に出されるかもしれないと言う不安からなのか、それともJS事件のことがフラッシュバックするのか。
原因はわからないけれど、時折ヴィヴィオは泣きながら夜中に起き出し、私の元へ駆け寄って来てこういうのだ。
「ママは・・・どこにも行かないよね?」
その言葉を聴くたびに、なのははこの子により強い愛情を注ごうと決意するのだった。

「ママは・・・墜ちないよね?」

墜ちない?




715 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:43:00 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』7

よく理解できない言葉だったが、自分の立場を鑑みると、その表現が当てはまる出来事は一つしかない。
機動六課での仕事に失敗し、犯罪魔導師やロストロギア兵器に撃墜されること。
なぜそんなことを聞くのか?
ヴィヴィオの言葉に違和感を覚えたなのはは、疑問を返す。
「どうして・・・そんなことを聞くの?」
「ママ・・・最近あんまり元気ない。眠ってないでしょ?」
確かにそうだった。
フォワード部隊の訓練と自身の訓練、JS事件の報告書の作成、人手の足りない他部署への応援、家に帰れば家事をこなしヴィヴィオを寝かしつけてから、さらに自宅の情報端末で仕事。
平均睡眠時間は3時間を切っているかもしれない。
これではベストコンディションを保つことなど到底不可能だ。
それでもなのはは墜ちない。
墜ちるわけにはいかない。
優しいこの子が待っていてくれるから。
「なのはママは墜ちないよ。ママは・・・無敵の空の魔導師だから」
「ママは・・・無敵?」
「そうだよ、ヴィヴィオ」
「うん・・・ママは無敵・・・」
あなたがいてくれるから、私は無敵でいられる。


なのはママは無敵。
その言葉を聴いて安心したのに、どうして私はまだこんな夢を見るの?
何度も何度も。
もう、全部終わったのに。
ゆりかごは破壊された。
ジェイル・スカリエッティはいなくなった。
ナンバーズは厚生施設にいる。
機動六課は再建を果たした。
なのになぜ、こんな夢を見るの?
暗闇の中で墜ちていくなのはママ。
彼女が無敵であることを象徴するピンク色の翼は、無数の黒い腕に絡みつかれて、その機能を失う。

なのはママが、墜ちて行く。
私には止めることができない。
そしてそのたびに聞こえる、スカリエッティの高笑い。




716 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 00:45:07 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』8

突然目の前の空間がぐにゃりと歪み、あの癇に障るスカリエッティの顔が現れる。
私は問いただした。
なぜこんな夢を見せる?
なぜなのはママを墜とす?
なぜ、なぜ、お前は私の頭の中から消えない?

「くっくっくっ、これはおかしい・・・聖王の鎧ともあろう君が・・・気付いていないとは、くっくっくっ」
「どういうこと?」
「ふん、君も知ってのとおり、私はすでにいないのだよ。
 恥ずかしながら、愛しい愛しい君のママを墜とすことなど私には不可能だ」
「じゃあ、じゃあなぜ?」
「君は本当に気付いていないのかい?・・・ははは、これはこれは、まことに傑作だ」
「答えて!なぜなの?」
「まだわからないのかい?彼女を墜とすのは・・・いや、墜とす可能性を持っているのは、君自身だよ。ヴィヴィオ」
そんな馬鹿な?
私がそんなことをするはずがない。
「もうそろそろ気付くべきなんじゃないのかい?」
スカリエッティの言葉を裏付けるように、いやな事実が浮かび上がる。
なのはママに絡みつく無数の腕。
それはヴィヴィオ自身から伸びていた。
馬鹿な、馬鹿な、馬鹿な・・・!
気付くべきなんじゃないのかい、気付くべきなんじゃないのかい、気付くべきなんじゃないのかい・・・。

安息を望む私の一部が、気付くなと叫ぶ。

気付くな!考えるな!・・・・・・・思い出すな!!

同時に、なくなったはずの聖王の鎧としての私が目を覚ます。





732 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:42:20 ID:3SUMRVmp

さてさて、朝っぱらから>>708-716の続きを投下。

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』9

ゆりかごは最大にして最強の兵器であると同時に、最後の逃げ道でもある。
起動するだけでも莫大なエネルギーを必要とする代物だ。
あれが必要とされる場面は、見せしめのために他国を攻撃するという場合を除いて、一つしかない。
紛れもなく、自国の権勢が覆されようとしている場面に他ならない。
聖王の逃走経路として。
そう、ゆりかごは最後の逃げ道。
その逃げ道は、機動六課の面々にあえなく潰された。
JS事件は終わった、終わったはずだ。
本当に、そうなのか?
保険と言うものの価値を考えれば、逃げ道がたった一つというのは考えにくい。
二つ・・・いや、三つだ。
最低でもそれだけの逃げ道は用意してあるはずだ。

否・・・用意してある。

「くっくっくっ、ようやく思い出したかい?」

ゆりかごは、あと二つある。
そしてそれを起動させうるのは、私だけ。
私こそが、災厄の種、開けてはいけないパンドラの箱の鍵。

「・・・だとしたら、君はどうするべきか、わかるね?
 優しい、いい子の君なら・・・わかるね?
 ふ・・ふふふ・・・はっはっはっはぁーーーー!!」

それだけ言って、スカリエッティは消えた。

私は聖王の鎧。
いてはいけない過去の遺物。
だったら私は・・・。


「ヴィヴィオ?」
真夜中に目を覚ましたなのはは、ベッドから身を起す。
隣で寝ていたはずのヴィヴィオが、いつの間にかいなくなっていた。
寝相が悪くてベッドから転げ落ちたのだろうかと思ってすぐに床を見たが、その姿はなかった。
トイレだろうか、とも思ったがそれらしい音も気配もしない。
「ヴィヴィオ、どこ?」
声をかけても、返事がない。
トイレ、台所、風呂場。
部屋中を見回してみても、いない。
そして玄関。
なのはが仕事から帰ったときに閉めたはずの鍵が、開いていた。
いやな予感がして、なのはは部屋を飛び出した。





733 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:43:58 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』10

ザフィーラは機動六課の敷地内を歩いていた。
彼の日課となっている見回りだ。
午前零時を過ぎると二時間おきに敷地を一周し、侵入者や不審物の有無を確かめるのだ。
元来があらゆる政治的思惑を超えて広域次元犯罪や前例のないロストロギア事件に先んじて介入、解決することを目的とした組織である。
それを快く思わない連中は少なくない。
おまけに地上本局が壊滅の憂き目にあっているさなか、JS事件を終結させたことで六課は世間的にも一躍有名になった。
テロや諜報活動の格好のターゲットとなることは目に見えている。
騎士教会と軋轢を持つ政治勢力、敵対する犯罪組織、反魔法を教義に据える宗教の原理主義者・・・。
我々を狙う者を列挙すればキリがない。
憂慮しながら、ザフィーラは今日も敷地のチェックを怠らない。
一部の人間は彼のことを八神部隊長が飼っている番犬だ、と認識している。
主はやてが夜天の書を使いこなし、ヴォルケンリッターの支援なしで単独で戦闘を行えるようになって久しい。
現場に出張る機会も滅多になくなったザフィーラだが、守護獣としての役目を放棄したわけではない。
戦闘に置いての守護が必要とされないのならば、せめて敬愛する主が帰る場所を守り続けよう。
そのためならば番犬と呼ばれることもやぶさかではない。
そんなことを思いながら歩いていると、所員寮の屋上に不審な影を見つけた。
侵入者か!?
獣人の人間離れした視力は、苦もなく屋上の人物に焦点を合わせる。
「・・・ヴィヴィオか、こんな時間に何を?」
ザフィーラは久しく使っていない念話のチャンネルを開いた。
「高町、起きているか?」
『ザフィーラさん!?』
返答はすぐにあったが、その声はずいぶん焦っているように思えた。
『ヴィヴィオを見なかった?今起きたら、部屋からいなくなってて』
「そのことで連絡したのだ。寮の屋上にいる。事情はわからんが、迎えに行ってやれ。・・・な!?」
『どうしたの?』
「高町、急げ!!屋上の柵を乗り越えようとしている!!」
『どうしてそんなことを!!?』
「わからん。俺もすぐに向かう!」
そして念話は一方的に切られたが、気にしている暇はない。
ザフィーラは強靭な四肢を引き絞り、一気に寮へと向かう。



ヴィヴィオは屋上の外周に張られている柵を乗り越え、眼下の光景を見る。
      • 高い。
この高さなら、確実だ。
あとは飛ぶだけ。
そうすれば自分の頭は熟しきったトマトのように・・・。

ガァン!!




734 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:45:41 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』11

屋上に通じる唯一の扉が吹き飛ばされたような勢いで開く。
開けたのは、なのはママ。
「ヴィヴィオ、そんなところで何をしてるの?危ないから、さあ、こっちに・・・」
「来ないで」
自分でも驚くほど冷たい声が出た。
なのはママが止めにくることは予想外だったが、私の心の内はもう決まっていたからだ。
私を受け入れてくれたこの人を、傷つけないために。
「来ないでって・・・ヴィヴィオ、何をいってるの?」
「それ以上近づけば、飛び降りる」
「どうして!?」
「私は・・・思い出したの。私が聖王の鎧だということを」
「違う!ヴィヴィオは・・・」
「違わない!!私は思い出したのよ!」
「一体、何を・・・」

「ゆりかごは・・・あと二つある」

「な・・・!?」
「ゆろかごは聖王の最後の逃げ道。あらゆる状況を想定して万全を期するなら、逃げ道が一つなんて事は有り得ない」
「本当・・・なの?」
「何度も言わせないで。思い出したと言ったでしょう?なのはマ・・・いえ、『なのはさん』」
全身で拒絶してやった。
もうなのはママにいい子だと思わせないように。
そのほうがきっと、ママも傷つかない。
そしてなにより私は、いてはいけない、悪い子だから。
「だからって、どうしてヴィヴィオが飛び降りなきゃ・・・」
「忘れたの?ゆりかごを起動させられるのは、私だけ。またあんなことが起こらないように、鍵は破棄しなければならない」
「そんなこと考えちゃダメだよヴィヴィオ!私たちが・・・二度と同じ過ちを繰り返させないから!!」
「・・・『なのはさん』は無敵だって言ったよね・・・」
「そうだよ、ヴィヴィオ。ゆりかごなんか、百でも二百でもママが撃ち落してあげるから・・・」
「嘘だ!!」
「嘘なんかじゃ・・・」
「事件のとき、私のためにどれだけの犠牲を払った!?もしかしたらミッドチルダは崩壊していたかもしれないんだよ!?」
「そうかもしれないけど、私たちはそれを食い止めた!」
「また同じことが起こったら、今度こそ仲間の誰かが死ぬかもしれないんだよ!?私は・・・そんなのは嫌だから!!」
私のためになのはママが傷つくのは、もう嫌だから。
だから、私は去るべきだ。

      • ザッフィーのように。




735 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:47:00 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』12

私は一歩後ずさる。
立っている場所は、もう死の淵。
「・・・レイジングハート、今は持ってないんでしょ?」
それが最後の宣告。
私の言わんとしていることが、なのはママにはわかるはずだ。
もう一歩、足を踏み出せば、地面に激突するまで5秒とかからない。
私を救うには飛行魔法だけでは足りない。
重力加速を振り切るためにフラッシュムーブ、激突の衝撃を和らげるためシールドを張る必要がある。
いくらなのはママが優れた空戦魔導師だとしても、短すぎる制限時間、おまけにデバイスの補助なしでそこまでの機動を行うのは不可能。
つまり、助けに来ても無駄。
「ヴィヴィオ・・・」
それでも、なのはママはこちらに近づく。
「来ないで・・・」
助けに来ないで。
「私、悪い子だから・・・」
私のために傷つかないで。
「私、ザッフィーの気持ち、わかったよ・・・」
私のために命を捨てないで。
「短いあいだだったけど、私のママになってくれて・・・・・・・ありがとう」
さよなら。


「ヴィヴィオーーーーーーー!!!!」


一瞬の無重力の後、襲い掛かる猛烈な加速。
迫る地面。
肌を切る風。
怖い。
怖いはずなのに・・・どうしてこんなに温かいの?
そう、まるでなのはママとベッドで眠るときのように。

「どうして・・・?」

どうして、なのはママの顔が目の前にあるの?
どうして、なのはママは私を抱いているの?
      • 答えなんて、一つしかない。
救えないとわかっていて、それでもママは来てくれた。
ごめんなさい。
ママを傷つけないつもりが、最後の最期に、こんなことに・・・。
自分が情けなくて、もうなのはママの顔を見ていることができなかった。
目を逸らして見上げた夜空に、金色に光る一条の流れ星。

ああ、私はどうなってもいいから、なのはママだけは無事に・・・。

ヴィヴィオは流れ星に願った。




736 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:49:10 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』13


「高町!!ヴィヴィオーーー!!!」
ザフィーラは叫んだ。
防護魔法の展開は間に合わない。
そもそも射程距離外だ。
どうすれば二人を救える!?
視界の隅に映った流れ星に、ザフィーラは問う。
待て、何だ・・・あれは・・・?
流れ星はまっすぐに、超高速でこちらに向かって・・・。

ズガガガガガガ!!・・・ドォンッ!!!!!

流れ星は落ちていく二人にぶつかると、勢いをまったく衰えさせる事無く地面に叩きつけられた。
それだけに留まらず、火花を散らして路面をえぐりながら滑走し、六課のオフィスがある建物の壁に激突し、ようやく止まった。
もうもうと立ち上る土煙の中で、ヴィヴィオはなのはと流れ星に抱きしめられていた。
「フェイトマ・・・『フェイトさん』?」
「フェイトちゃん!」
「何とか・・・間に合ったね。FTH光速化理論、役に立つとは思わなか・・・つぅ!」
フェイトは笑顔をゆがめて苦悶に耐える。
「『フェイトさん』・・・どうして?」
「どうして・・・なんて、そんなの、決まってるじゃない」
フェイトは身を起そうとするが、生まれたての子鹿のように失敗する。
スカリエッティの基地からたった数秒で駆けつけたのだ。
連日の睡眠不足による疲労、全力全開の飛行による急激な魔力の枯渇、複雑な魔法プログラムによる脳への過負荷。
もはや立つことすらままならないのだろう。
「なの・・は・・・後は任せるよ。ここは厳しいなのはママの・・出番・・・だから」
それだけ言って、フェイトは気を失った。




737 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:50:53 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』14

「ヴィヴィオ・・・」
フェイトの意思を汲んだなのはは、まっすぐにヴィヴィオを見つめる。
「『なのは・・・さん』」
「ザッフィーの気持ちがわかったのなら・・・ヴィヴィオは悪い子なんかじゃない」
「でも、私がいると・・・」
「誰も迷惑だなんて思ってない!」
「でも、でも・・・!私がいなければ・・・」
「誰も傷つくことは、なかった?」
「そう・・・だよ」

「私たちをなめるな!!!!」

その目には、涙がにじんでいた。

「本当に悪いのはヴィヴィオみたいな子を利用しようとするやつらだ!
 あんなことを平気で仕出かすやつらだ!
 ・・・もう二度と、あんなことは起させない!
 もう二度と、ヴィヴィオをあんな目にあわせたりはしない!!
 そのために私たちがいるんだ!!!
 そのために機動六課があるんだ!!!!
 だから・・・」

堪えきれずに幾筋もの涙を瞳からこぼし、ヴィヴィオをしっかり抱きしめた。

「死ぬなんて・・・悲しいこと、言わないでよ・・・。
 もう一度、ママって呼んでよ!
 あなたがいてくれるから、私は無敵でいられるんだよ!!」

「ぅう・・・う〜〜〜、ごめん・・な・・さい」
ごめんなさい。
ヴィヴィオはやっぱり悪い子です。
こんなにも強くて優しいママたちを信じることができなかった私は、悪い子です。

「ごめんなさい、ママ・・・ママーーーーー!!!」
「ヴィヴィオ!!」

なのはの胸の中でヴィヴィオは泣き崩れた。
今度こそ本当に、聖王の鎧はいなくなった。





738 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:52:26 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』15

午前九時。
機動六課の全メンバーが会議室に集結した。
壇上で弁舌を揮うのは、もちろん部隊長である八神はやてだ。
「え〜、以上のことから、あの最悪の兵器、ゆりかごが最低でもあと2機は存在していることが判明した。
 みんなも知ってのとおり、六課の運用期間は一年。
 我々に残された時間はそう多くない。
 恐らくこれが・・・六課最後の大仕事になると思う」
はやては机をばんと叩く。
「フェイト・T・ハラオウン執務官、及び技術局員は引き続きスカリエッティ基地の捜索。
 ただしゆりかごに関するデータのサルベージを最優先とする。
 ティアナ・ランスターは無限書庫に出向してゆりかごに関するあらゆる文献を調査して欲しい。
 スクライア司書長へはもう話を通してある」
『了解!』
「スバル・ナカジマ、エリオ・モンディアル、キャロ・ル・ルシエ。
 この三名は高町隊長の教導の下、より一層の訓練に励むこと!
 ゆりかご内における戦闘は、特殊な環境下で如何に戦闘能力を維持できるかが鍵や。
 スターズ、ライトニング両副隊長も時間の許す限り模擬戦への参加をお願いする」
『了解!』
「一般局員は緊急時における対応の徹底した洗い直し。
 避難設備、早期警戒システム、分隊の支援や運用に関する戦術・・・どれもまだまだ改善の余地はあるはずや」
『了解!』
「ロングアーチのメンバーはこのあと管制室に集合。
 今までに集めた情報を一旦整理する。
 バラバラのピースを繋ぎ合わせれば新しい事実が見えてくるかもしれへん」
『了解!』
「・・・みんな、気合入れていくで〜〜!以上、解散!!」
新たな目標を胸に駆け出す六課メンバーたち。
「グリフィス君、ちょっとこっちに・・・」
「なんでしょう?」
「私は午後からちょっとややこしいところに顔出してくる。
 今後、もしものことがあったらナンバーズをうちらの手として回してもらえるように交渉してみるわ。
 せやから昼からの指揮はまかせたで」
「了解!」
フォワード陣の4人は、これから訪れるであろうより厳しい現実を、各々の胸の内に受け止めた。
「さ〜て、これからはもっと頑張らなくちゃね、ティア!」
「あんた、張り切りすぎてドジ踏むんじゃないわよ!」
「あはは〜、だいじょうぶだって〜。・・・ところで、なのはさん、どこにいるんだろ?」
「私は朝から見てないけど・・・」
「僕も見てません。キャロ、見なかった?」
「ううん、エリオ君。見てないよ・・・」
「あの、八神部隊長・・・なのはさんは・・・?」
「あ〜、・・・今日はお寝坊さんや」
「なのはさんが!?・・・今日は雨でも降るんじゃない?」
「ま、今日ぐらいは、勘弁しといたろ♪ほら、みんな。行くで〜!」
はやては意味ありげにそう言うと、会議室を去った。




739 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/08/18(月) 06:54:33 ID:3SUMRVmp

『シネマ・タイムズ  なのは・ヴィヴィオの場合』最終話


柔らかな日の光が差し込む朝の寝室。

ベッドの上で娘を抱きしめて眠る母親がいた。

そこには、本当の親子の絆があった。



終わり。
2009年07月05日(日) 23:02:52 Modified by yotsubato




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