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セイドソウロング #7

821 :名無しさん@秘密の花園[sage]:2009/06/30(火) 17:03:01 ID:Za5VopWx
ふらーり、そうか、おっぱいが二つあるのは挟まれるためだったんだよ!

ナ、ナンダッテー(AA略)

などと唐突な真理開眼はともかく、7本目を投下させてくださいな

ちょっとお家騒動にまきこまれて半月ほど消費ですよ、カイジですよ銀と金ですよ
いい大人が端金に目の色変えてんじゃねえようざってぇな、ですよ愚痴ですよ

なんかツッコミより先に苦情が来たので、渋々まともな注意書きをチェー

続き物です、6話まで読んでない人はスルー推奨、お気をつけください
なのフェイぽいけどカップリングは無しです、お気をつけください



全8回予定

822 :セイドソウロング[sage]:2009/06/30(火) 17:03:43 ID:Za5VopWx

それは、遠い記憶でした。

ふざけて、じゃれあって、そんな些細な何もかもが、
いつまでも失われないと信じていた、贅沢な時間。

ただ視線を交わし、微笑んでいるだけで幸せだった日々。

戯れに問いかけた事があります。

「        」

もしも、私の名前を貴女にあげてしまったら、

「私なら、高町フェイトになるのかな」
「私だと、なのは・ハラオウンだね」

貴女は私に、言葉をくれますか。



823 :セイドソウロング[sage]:2009/06/30(火) 17:04:13 ID:Za5VopWx

『セイドソウロング #7 たましいの還る空』




微塵に粉砕された瓦礫の山に、白煙が踊っている。

焼け、砕けて嵐の去った後の如き森林の中、そこかしこに傀儡兵の破片がばら撒かれ、
無遠慮に散らばるそれらが斜に沈む陽光の下、無機質な輝きを返している。

遺跡愛好の度が過ぎている件の司書長が眼にしたら、卒倒する光景かな、とか思った。

腕の中、抱えていた迷い子が身動ぎをする。
眠りから醒めるように、穏やかに。

夢を見ていたのだろうか、僅かに開いた瞼の中に、
甘えるような色合いが見えて、すぐに絶望に染まった。

「私の……負けだね」

力無い言葉には、諦観が滲んでいる。

「おかしいな、私、負けちゃったのに」

伸びた手が、頬に触れる。

「傍に、フェイトちゃんが居てくれる」

少しだけ、怯えるようにゆっくりと、柔らかく、触れてくる。
触れたまま離れない指先が、伝わってくる体温が、頬を濡らす。

零れ落ちるままに、思う、私は笑えているのだろうか。

「なのは」

久しく口にしなかった名前に、心が緩む。

「君は本当に、馬鹿だね」
「ひどいなぁ、フェイトちゃん」

笑う声に、世界が軽くなる。

824 :セイドソウロング[sage]:2009/06/30(火) 17:04:46 ID:Za5VopWx

声色は、憑きものが落ちたかのように、無邪気に響いていた。

「ねえ、何で私と一緒に居てくれないの」

だからこれは、ただの疑問なのだろう。

それでも、何故と問いかけてくる瞳はまるで、捨てられた子犬のようで、
憐憫の情が少しだけ、何と答えたものかと戸惑ってから、言葉を返す。

「なのはが死んだ時、私はとても悲しかったよ」

腕の中に絡まる髪を撫でながら、可能な限りと落ち着いた声色で、話し始めた。

悲しかった事、泣き叫んだ事、
周りが見えなかった時の事を。

「悲しみが大きいのは、それだけその人が大事だったって事を」

その時に、殴られた痛みを思い出し、頬骨をなぞる。

「シグナムが教えてくれた」

少しだけ機嫌が悪くなった様が見て取れて、頬が緩む。

「シグナムだけじゃなくて、いろんな人が私を支えてくれたよ」

誰もが悲しみを背負い、それでも私を支えてくれた。

色々と思い出し、少しだけ笑い、穏やかに語り継いで、
落ち着いて聞いてくれている事に安堵し、ふと、思い出す。

日々の暮らしの中で、なのはの記憶が徐々に薄くなっていき、
彼女がくれた何もかもが、自分には遠くなった、穏やかな日々を。

「フェイトちゃんは、私が居なくても大丈夫なんだね」
「おせっかいな人が多すぎるからね」

苦笑に応えたのは、泣き笑い。

「私は、フェイトちゃんが居ないと駄目だったな」

そんな事ないよと、撫でる髪の下には不機嫌が居る。

「ひとつだけ聞かせて」

彼女にも本当は、わかっているのだろう。

825 :セイドソウロング[sage]:2009/06/30(火) 17:05:36 ID:Za5VopWx

今回の事件では、誰も彼もが、なのはのためを思って走り回った。
落ち着いて見渡してみれば、それは、誰にでもわかるほどに深い情。

「フェイトちゃんは、私の事をどう思っているの」

好きだよと、何の躊躇いも無く返答が出来た。

彼女のくれたたくさんの思い出が、穏やかな日々の、ほんの些細な出来事も、
時の流れに記憶が薄まって、おぼろになった今でさえ、なお迷い無く応えさせる。

「なのはが私にくれた、いろいろな感情は忘れない」

ひとつひとつを大切だと思う事が、出来る。

「思い出そうとするだけで、心が暖かくなる」

ようやくに、思い出せた。

フェイト・T・ハラオウンは、高町なのはを愛している。

ならば何故と、問いかける彼女に、静かに首を振った。

「だから、今は」

身に宿る思いを、届かない感謝を、口にする。
腕の中に居る、今はもう居ない彼女へと、伝える。

「彼女がくれた悲しみすらも、愛おしい」

たとえそれが、別れを告げる理由になったとしても。

「私は」
「貴女は」

何かを言おうとした声を、遮って告げる。

「私の、高町なのはじゃない」

単純で、残酷な拒絶の理由。

「違う、違うよ、私はここに居るよ、私だよ、なのはだよ」

首を振る。

「フェイトちゃんに会うために、いままでいろいろと頑張ってきたんだよ
 フェイトちゃんに謝りたいから、フェイトちゃんの傍に居たいから」

呼ばれる名前に、胸が締め付けられる。
思わずに受け入れたくなるけれど、でも、それではあまりに ――

「なのはは、私が死んだ事を悲しんではくれないのかな」

私が、可哀想だ。

826 :セイドソウロング[sage]:2009/06/30(火) 17:06:05 ID:Za5VopWx

そのままに意味も無く時が過ぎ、空の果てが紅に染まる。
穏やかに訪れる勿忘草色の夜が、蒼天を埋めた。

「やだ」

駄々っ子が、胸元に顔を埋める。

「やだよ」

力無い声は、濡れている。

「やだよ、フェイトちゃん、死んじゃやだよ、なんで」

ごめんねと、謝る声が、かかる声が、やがては嗚咽へと変わっていく。

「私なんかを庇っても、フェイトちゃんが死んじゃったら意味が無いじゃない
 フェイトちゃんが居ない世界なんて、私が望んでいるはずが無いじゃない」

胸を叩く衝動が、言の葉が魂に突き刺さる。

「馬鹿、フェイトちゃんの馬鹿ぁ」

夕闇の中で互いに抱き合い、泣きじゃくりながら、届くはずの無い言葉を紡ぎ続けた。



827 :セイドソウロング[sage]:2009/06/30(火) 17:06:45 ID:Za5VopWx

(高町なのは事件に対する報告)




高町なのは三佐は、数日間の無断欠勤の後に幾つかの処分を受ける。

内定していた二佐昇進の取り消し、尉官、一尉への降格、短期間の謹慎、十ヶ月間の減給、
及び三ヶ月間の特別減給処分、定年退職時に通例とされる慰労昇進の凍結、始末書提出。

公開記録に在る、無断次元渡航と無断魔法使用にしては重すぎるそれらの処分から、
暫く、クラナガンの噂好きたちが様々な憶測を飛ばしたが、やがて忘れられた。

(続)

828 :セイドソウロング[sage]:2009/06/30(火) 17:07:48 ID:Za5VopWx
あとがきー

シャマル:そういえばはやてちゃん、今回の戦闘で何やってたんです?
はやて:え……応援?

シャマル:………………
はやて:だ、だって乱戦になるなんて思ってもみなかったんやもん、や、やめて、
 そんな何しにココに居たんだコイツみたいな冷たい目で見んといてええぇぇぇ


(閑話休題)


ヴィヴィオの何がいけなかったのだろう、幼女はひとり壁に向かって問いかける
これまで自分は、ザフィーラに甘えすぎていたのではないだろうか、要反省と日記する

とりあえず、一番の笑顔で帰りを迎えよう、そして、飛びついて伝えよう

―― おかえりなさい、ザフィーラ


次回:セイドソウロング #8 「貴女の音」
2010年07月16日(金) 20:26:25 Modified by sforzato0




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