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トリプルハウンドハンティング



156 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/12/14(日) 18:25:25 ID:oBHBSk8f

久々にSS書いたので4、5レスほど失礼します。
非エロ、微百合ですがご容赦のほどを。

『トリプル ハウンド ハンティング』1

シグナムが目を覚まして最初に見たものは無機質な天井だった。
ぼんやりとした頭でも理解できる、ここは自室ではない。
「む、ここは・・・?」
寝転んだ状態から身を起そうとして、しかし全身に走る激痛に顔を歪め再び横になる。
不自由ながらもかろうじて動く首をひねり、ベッドに沈む自分の体を確認した。
至るところに包帯が巻かれ、多数の検査機器から伸びたケーブルが接続されている。
どう見ても、重傷。
「はっ、我ながら酷い失態だ。だが四肢が千切れていないだけましか」
徐々に覚醒していく意識が先の戦闘をフラッシュバックさせる。
それは機動六課での任務中の出来事だった。
ロストロギア技術を転用したと思われる違法デバイス密売組織の取引の情報を入手した六課は、現場を押えるべく動き始めた。
珍しくテスタロッサの手も空いていたため、スターズ・ライトニング両部隊フルメンバーでの出動だった。
結果を先に言えば、取引現場の制圧はあっという間だ。
隊長二人の獅子奮迅ぶりもさることながらJS事件を経て大きく成長したフォワード陣の活躍も、私の目から見ても見事と言わざるを得なかった。
特に目立ったミスもなく任務は順調に終わると思われた。
しかし、密売組織は奥の手を隠し持っていた。
ガジェットドローンの亜種と思しき無人攻撃機だ。
とはいえ相手はたった一機、その程度の敵にてこずる我々ではない。
簡単にそれを追い詰めることができたが、なんと厄介なことにそいつは自爆機能を備えていたのだ。
その事実に気付いたのはたった一人、私だ。
だから私は高町とテスタロッサの制止を振り切り・・・。

しかし、私の記憶に残っている最後の光景は、視界を埋め尽くす真っ白な光。
その結果が六課の医療施設送り、と言う事は・・・他のみんなも・・・。




157 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/12/14(日) 18:27:11 ID:oBHBSk8f

『トリプル ハウンド ハンティング』2

「くっ・・・あと1秒、判断が早ければ、あと0.1秒、私の剣が速ければ・・・」

「あら、目が覚めた?」
部屋に入ってきたのは、いつものように白衣を着て穏やかな目をしたシャマルだった。
「シャマル・・・痛っ!」
「まだ起きちゃダメよ。あなたいま文字通り、満身創痍なんだから」
「すまない、私が未熟なばかりに・・・自爆を止めることが出来なかった」
「は?」
シャマルはきょとんとした顔でわずかに一文字を返す。
「仲間を守ることが出来なかった!・・・これでは・・・主はやてに合わせる顔など!」
「いや、えっ〜と、待ってシグナム」
「慰めの言葉など・・・」
「しなかったわよ、自爆」
「は?」
今度はシグナムがきょとんとする番だった。
「どういうことだ?」
「どうしたもこうしたも・・・ねぇ?じゃあ逆に聞くけど、あなたはあの自爆装置がどういうものだと思ったの?」
「・・・ふむ。
 あれはガジェットドローンの技術とは別に、ロストロギアの技術が使われていたのだろう。
 何百年か前に似たようなカミカゼウエポンと戦ったことがある。
 恐らくはリンカーコアを擬似的に再現した装置だ。
 それを意図的に暴走させることにより周囲の魔力を無差別に吸収させ内圧を高める。
 コアの魔力保有量が臨界に達したところで魔力を破壊力に変換、自爆する。
 あの魔力量なら、半径100メートルは更地になるだろう。
 これを止めるには、魔力が破壊力に変換される最も不安定な瞬間に、外部から高圧の魔力をぶつけ対消滅させるしかない。
 だから私は・・・!」
「ご名答。無人攻撃機の残骸を解析した技術スタッフも同じ様な見解よ」
シャマルはシグナムをまっすぐ見つめると、顔をほころばせて言った。
「つまり、あなたの判断は正しかった。自爆は防げたわ」
「ではなぜ私は?」
こんな怪我をしているのか。
「あなたの魔力変換資質は?」
「・・・炎だ」
「あの爆発はねぇ、自爆じゃなくて、あなたの炎が攻撃機の燃料に引火しただけみたいよ」
「・・・な?」



158 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/12/14(日) 18:28:57 ID:oBHBSk8f

『トリプル ハウンド ハンティング』3

それはなんとも間抜けな話ではないか。
己の最も得意とする炎の魔法で、敵ではなく私が自爆するとは。
だが、同時にほっとする。
「ではテスタ・・・いや、みんなは無事なのだな?」
「ええ、かすり傷一つ負っていないわ。はやてちゃんもあなたのことすっごい褒めてた」
「ライトニング副隊長として当然のことをしたまでなのだがな」
「同じくらい心配もしてたけどね」
「そうか。ところで、その・・・テスタロッサは何か言っていたか?」
「彼女もべた褒めだったわよ。
 魔力が破壊力に変換されるのはコンマ一秒にも満たないわずかな時間。
 それを見切り、斬り裂く剣技は賞賛に値する。
 あなたになら「閃光」の二つ名を譲っても良いとまで」
「ふむ」
こころなし満足げな表情でうなずくシグナム。
「ま、それはともかくとして・・・」
シャマルはびしっとシグナムを指差す。
「はやてちゃんは立場があるしヴィータちゃんは口下手だしザフィーラはアレだから、私が代表して八神家の総意を伝えるわね」
「な、なんだ!?」
そしてシャマルはおもむろに左右の側頭部の髪を一房つかむ。
俗に言うツインテールという髪型を即席で作ったシャマルは、ぷいっとシグナムから視線をそらして言った。
「あ、あんたが無茶しても別に嬉しくなんかないんだからね!!」
「・・・」
「・・・」
不自然なほどの沈黙が漂う。
シャマルはツインテールのまま硬直していた。
こ〜ゆ〜のはな、ツッコんだら負けやで、という主はやてに無理矢理教えられたお笑い十ヶ条の一つを破り、シグナムは恐る恐る聞いてみる。
「何だ、それは?」
「・・・ティアナさんの真似だけど・・・似てなかった?」
「いや、似ている似ていないの問題ではなく・・・」
「う〜ん、このほうがわかりやすいと思ったんだけど。
 要するに、あなたが六課のメンバーとして強い責任感を持ってくれるのは立派だと思うけど、
 それで無茶して怪我したら・・・私たちは悲しいわ。
 それにあなた、ときどきヴィータちゃんより無鉄砲なところがあるから」
「・・・すまない、いらぬ心配をかけたようだな。
 だがお前も言ったとおり、私の判断は正しかった。
 あれは必要な措置だ。
 もしもう一度同じ状況に遭遇すれば、私は同じ選択をする」
「はいはい、わかってますよ、あなたの頑固さは。いったい何年の付き合いだと思っているのよ?」
シャマルの古女房のような物言いに、なぜだかシグナムは死なずに済んだのだな、という安堵感を今頃になって実感した。

「お前の治癒魔法をアテにしている、というのもあるのだがな」

それは不器用なシグナムの、精一杯の信頼を示す言葉だった。
「何を・・・今更・・・、何年の付き合いだと・・・・・・」
照れるように、シャマルは言葉を詰まらせる。
「その言葉は・・・二度目、だぞ」
シャマルは包帯が巻かれた痛々しいシグナムの手を握った。
「あなたが生きてて、良かった・・・本当に良かった!」
搾り出すように言葉を紡ぐ。
それだけで、シャマルが自分をどれほど心配してくれたのかが伝わってくる。



159 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/12/14(日) 18:30:51 ID:oBHBSk8f

『トリプル ハウンド ハンティング』4


「シグナム〜!目覚めたみたいやな!?」
「よ〜、案外元気そうじゃん!」

その時、勢いよく扉を開けて侵入してきたのは、フルーツ山盛りのバスケットを抱えた主はやてと、小鍋を必死で抱えているアギトだった。
      • シャマルの舌打ちが聞こえたのは気のせいだろうか?
あまつさえ唇が「これからがいいところだったのに」と動いたように見えたのは気のせいだろうか?
「あ、あらはやてちゃんにアギトちゃん。
 せっかく来てもらったのに悪いんだけど、見ての通りシグナムは絶対安静だからまた今度に・・・」
引きつった笑顔で対応するシャマル。
「いや〜そうしたいのは山々なんやけどな、一応部隊長としてシグナムの報告を聞いとかなあかんから、ちょっとだけ」
「はやてちゃん、ここで部隊長権限を振りかざすなんて・・・卑怯だわ」
「シャマルのほうこそ検査にかこつけて寝たきりのシグナムにあんなことやこんなことを・・・」
「な!?」
「図星かい!あ、シグナム、リンゴ食べる?私剥いたるわ」
シャマルを押しのけ、真っ赤なリンゴを片手に妙な迫力で押し迫ってくるはやて。
「あ、主はやて・・・お気遣いはありがたいのですが・・・」
「そんなもんよりさ、これ飲めよこれ!秘伝の薬湯だ!ゼストの旦那もこれで元気になったんだぜ!」
アギトは小さな体で懸命にはやてを押しのけ、ほんのりと湯気を上げる得体の知れない液体で満たされた小鍋を差し出した。
その奇妙な香りに、シグナムは思わずうっと顔を背けてしまう。
「だ・か・ら、絶対安静なんです今は!シグナムの面倒は私が見ておきますから!」
シャマルはさらにその二人を押しのけ、部屋の外に誘導しようとする。
そして女三人の小競り合いが始まった。
「おい、その・・・みんな?」
出来れば静かに寝かせて欲しいのだが、というシグナムの言葉を、かしましい三人の誰もが聞いていなかった。

数分後、誰がシグナムの着替えを手伝うのかを決めるじゃんけんをしている傍らで、



『嗚呼、早く傷を治してテスタロッサと血湧き肉踊る模擬戦がしたいなあ』と呟くシグナムであった。

終わり。
2009年09月13日(日) 21:56:34 Modified by coyote2000




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