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ビターヴァレンタイン

381 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:13:54 ID:n35HvpCS
流れ切って悪い。

>>340
久しぶりに、サイトにアップと同時にこっちにも投下してみようと思う。

>>369
感想来るときは結構くるかな。
あんまり感想来ない時と差が違いすぎて出来の良し悪しがわかりすぎて困るけどw

>>380
期待してる!

ヴァレンタインでフェイト→なのはの片思いですが投下してもいいかな?

383 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:25:58 ID:n35HvpCS
ビターな内容なんで、苦手な人は回避お願いします。

385 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:29:18 ID:n35HvpCS
「アリサちゃん、すずかちゃん、またね」
「二人ともまた明日」
 学校からの帰り道、わたしとフェイトちゃんがアリサちゃんとすずかちゃんの二人に別れ道で挨拶をする。
これはいつもの出来事、少し違うとしたら、二人がこれから受験に向けて勉強するのと、はやてちゃんがいないことかな。
 最近はやてちゃんは仕事だけじゃなくてミッドチルダに引越しするための準備に忙しくて中々学校へ来れないみたいで。
だからこうして最近だと5人揃うことも稀で、わたしとフェイトちゃんが仕事の休みの時は4人で帰ることが多い。
 それと今日はヴァレンタインだから、
はやてちゃんが来れる様ならチョコレートをあげようかなって思っていたんだけど、
やっぱり駄目みたいで一つ余っちゃった。今度あった時にでも渡そうかなと思うけれど、
生チョコレートだからそんなに日持ちもしない。隣を歩くフェイトちゃんに余分にあげようかな。
 いつも何か作るといつも食べてくれるし、甘いもの大好きだしね。
「ねえ、フェイトちゃん。はやてちゃんにもチョコレートあげる予定だったんだけど、
来れないみたいだから余っちゃったんだけど、フェイトちゃんもう一ついる?」
 そう思って声を掛けてみたけれど、反応が無くて。
「フェイトちゃん?」
 どこかぼんやりと様子が変で何か考えるようにして、遠くを見ている感じ。
 もう一度さらに呼んでみても返事がなくてやっぱり何か変。
今日ずっとこんな感じだった、どこかそわそわして落ち着きが無くて何処か上の空で、
呼んでも反応が遅かったりする。
 特に今はおかしい。足だけは止まらず同じ歩幅で歩いているけれど、
いつもなら名前を呼べばすぐに向けてくれる眼差しが、こちらを向くことが無くて、
何か悩み事があるのかなって心配になる。


386 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:31:39 ID:n35HvpCS
 まだ学校にいた時はここまで酷くはなかったんだけどなあ。そう思っていると、いつもの分かれ道に差し掛かる。
 そこに来てやっとフェイトちゃんの足が止まり、わたしのほうへ視線を向ける。
「フェイトちゃん、今日変だけど、何かあったの?」
「なのは、大事な話があるんだけどいいかな?」
 私の質問には答えず、思いつめたような瞳で見つめられ思わず頷く。
「えっとね……」
 どこか躊躇するように、顔が少しずつ徐々に赤く染まり、そのうち耳まで真っ赤になる。
「フェイトちゃん?」
「あの、えっと」
 そわそわと落ち着きが無くなって、何か困ったように鞄に慌しく手を突っ込み少し大きな袋を取り出して、
その中から綺麗に包装された赤い包みが出てきた。
「これ、なのはに貰って欲しくて作ったんだけど、受け取ってもらえるかな」
「うん、もちろんだよ」
「あ、あのね、なのは。私、なのはの事が好きなんだ」
「えっ? わたしもフェイトちゃんのこと好きだよ?」
いきなりの言葉に思わず疑問系で答えてしまい、そのまま包みに手を伸ばす。
「違うの、そうじゃなくて、なのはの言う好きじゃなくて、友達としてじゃなくて一人の女の子としてなのはが好きなんだ」
 真剣な言葉に思考が停止し、そのまま延びてしまった手が包みじゃなくて指先に触れた。
 フェイトちゃんの手震えてる……。
 どうして?
 ううん、フェイトちゃんの言葉で答えは分かっている。そう思っただけど、思考が追いつかない。
「それって……恋愛感情としてなの?」


387 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:33:18 ID:n35HvpCS
「うん」
 思わず、そのまま包みを受け取ってしまった。
 そして沈黙が重い。
 フェイトちゃんの顔を見ると完全に真っ赤で、瞳は懇願するような色を帯びていて、見つめるとすぐに顔を背けた。
 フェイトちゃん。
 心の中で大切な親友の名前を呼ぶ。
 そうわたしにとってフェイトちゃんは親友。だけど親友でしかない。少なくとも今までそんな気持ちを抱いたことは無い。
それにわたし達は女同士で好きだと言われてもどうしていいのか分からない。
 これが隣の学校の男の子に言われていたなら断った。
いや、男の子だけじゃなくて同じ学校の子でもすぐに断ったと思う、だけど相手はわたしにとって一番の友達とも言える相手。
「なのは……」
 苦しくて辛そうに、どこか縋るような表情で名前を呼ばれても答えられない。
 早く何か言わないといけないそう思っても、まるで言葉を忘れたかのように何もいい言葉が思い浮かばない。
 さっき触れた指先が震えていたのを思い出す。きっとすごく悩んで、考えて、そして勇気を出して告白したんだと思う。
 今まで告白されたことは何度かある、だけど今まで恋愛対象として誰かを好きになったことが無くて、
そして申し訳なく思いながらも普通に断ることが出来た。
だけど今、それが出来ない。わたしはフェイトちゃんに恋愛感情を持っていない、断らないといけない。
 けれど――


388 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:34:15 ID:n35HvpCS
「ねえ、フェイトちゃん。この包みってチョコレート?」
 こんなことしか言えない、少しでも先延ばししたくて。
 フェイトちゃんの悲しむ顔が見たくなくて。
「え!? うん。味はなのはみたいに美味しくないかもしれないけど、なのはを想って一生懸命作ったんだ」
 はにかみながら照れた様に呟く姿が可愛かった。
 すごく可愛くて愛しく思えた、だけどそれは恋愛感情とは違うものだと思う、これが恋愛感情だったら良かったのに……。
 これ以上見てられなくて顔を伏せてしまう
 すごく胸が痛い、こんな気持ち初めてだった。
 フェイトちゃんは頑張ってわたしに想いを伝えてくれた、だから返事を返さないといけない。わたしの言葉で――傷つけないといけない。
「ごめんね、なのは。迷惑だったよね」
 わたしの様子に察して、フェイトちゃんのほうから呟くように囁く。
「そうじゃない。違うの」
 弱々しく力ない言葉。
 何が違うんだろうか、現に今わたしは困っている。だけど、どういえばいいのか分からないけれど、迷惑なんかじゃない。
「女の子が女の子のなのはを好きになるのってやっぱり変だよね?」
「そんなことないよ! わたしはそう思わないから」
 力いっぱい強く否定する。
「本当に?」
「うん」
「じゃあ……」
 どこか期待するような声色で、希望を秘めた眼差しでわたしの次の言葉を待つ。
 ああ、ごめんね。フェイトちゃん期待させちゃったよね。
「ごめん」
 持ち上げてから落すなんてひどいね。
「フェイトちゃんのことそんな風に思えないから。友達としては大好きだけど、だけど……ごめんね」


389 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:34:57 ID:n35HvpCS
 わたしの言葉を聞きながら俯いていく姿が嫌だった。
 本当は誰よりも傷つけたくない人なのに。
「そっか」
 フェイトちゃんはそういうと顔を上げていつもの様に笑う。
「ごめんね、なのは。ありがとう」
 けれどその笑顔が痛々しくて、わたしには泣いている様にしか見えなかった。
「フェイトちゃん」
 駆け寄ろうと思っても、足は地面に縫いついたように動かなかった。今すぐ抱きしめたかった。
優しく抱きしめて泣いていいんだよって一緒に泣いてあげたかった。だけどわたしにもうそれは出来ない。
「やっぱりごめんね、なのはを困らせちゃったよね」
 涙が溢れてしまう、口を開こうとしても嗚咽ばかり漏れて。
だから、必死に頭を横に振る。違うんだって、どうしてフェイトちゃんが謝るの?
 貴方はわたしに勇気を出して想いを打ち明けてくれたのに。その想いを受け止められない自分がもどかしい。
 どうしてわたしはフェイトちゃんに恋愛感情を持てないの?
 全て受け入れてあげたい大切な人なのに。
「泣かないで。なのは」
 涙で歪んだ視界が、何度手で涙を拭っても治らない。
「ねえフェイトちゃん。これからも友達でいてくれる?」
 ひどいお願いかもしれない。だけどそれでも大切な親友だから。
「当たり前だよ、なのはは大切な親友だから」
 どこか哀しそうに頷く姿に、言葉を間違ったんだろうかと思う。
「でもフェイトちゃんはそれでいいの?」
「わたしはなのはの傍に居られたら幸せだから……それだけで十分だよ」




390 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:36:34 ID:n35HvpCS
 温度計でチョコレートの温度を測る。
「よしっ」
 今日二度目のチョコレート作り。明日はヴァレンタインでみんなの分と、
そしてそれとは別になのはに想いを伝えたくて別に作っている。
 ヘラでチョコレートをゆっくりと丁寧に想いを込めて混ぜていく。
 仕事の時よりずっと緊張する。毎年この季節、
チョコレート作りをするから何度目かの作業でそこそこ慣れたものだけれど、今回はいつもと違う。
 今年で中学校も卒業。みんなとはばらばらになる、なのはとも今みたいに頻繁に会えなくなるから、
だから明日ずっと言えなかった想いを伝えたくて、私の精一杯の想いを込めて作る。
 なのははどう思うだろうか、私は女の子なのに変に思うかもしれない、
それが正直怖い、怖くて仕方が無い。そう思うだけで恐怖に頭がおかしくなりそうだけど、
でも今回を逃せばいつ伝えられるか分からないから。ほんの少しでも可能性があるなら、
私はそれに賭けたい。普段賭け事とは無縁の私だけれど、今回だけはそうは言ってられない。
 どんなチョコレートを作ろうかと最初は迷ったけれど、
オーソドックスにハート型のチョコレートにすることに決めていた。
 チョコレートを冷蔵庫で冷やして、ホワイトチョコレートを使って飾りつけをする。


 次の日、朝おきると、いつものようにシャワーを浴びて、綺麗に寝汗を流していく。
 1年以上前から続けてきた行為。なのはの前では少しでも綺麗な自分で居たかったから。
だから頑張って早起きするようになった。
 家を出て、通学路、いつ渡そうかとそわそわしながら4人で登校する。
今日はやては仕事で学校へは来られないらしい。
 朝からもう学校ではチョコレートの交換が行なわれたりしていた。
その様子にちょっと焦りながらも、まだ時間はあるし休み時間でもいいよねと思いながら、なのはと一緒に教室の3年2組へ。
 昼休みになると、いつものメンバーで集まって机をくっ付けると早速お昼ごはんで、
渡すタイミングが中々訪れなかった。
 結局、毎年と同じでみんなでチョコレートを交換して、チョコレートを食べる。
私はみんなに配られるものと同じだけれどなのはから貰ったチョコレートが嬉しくて、
お腹が一杯なのを理由にして帰ってから食べる旨を伝えた。ただの友チョコだとしてもゆっくりと一人で食べたかったから。
 そんな風に過ごしていると、既に帰り道。アリサとすずかにまた明日と挨拶してなのはと二人だけ。
 どうしよう……。

391 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:37:48 ID:n35HvpCS
 どうしよう、どうしよう。
 今日に限って移動教室ばかりで告白する時間も取れず、話をする時間が取れなかった。だから帰り道、
今言わないと駄目なんだけど、既に頭の中はパニック状態だった。
数日掛けて考えた告白の台詞も頭の中から消えてしまい、あるのは焦燥感ばかりで、うまく切り出せなかった。
 刻一刻となのはとの別れ道に近づく。
 とうとういつもなのはと別れる場所へ到着してしまう。
 ほんの少しでもいい勇気を出さなきゃ。
「フェイトちゃん、今日変だけど、何かあったの?」
 なのはへ視線を向けると帰ってきたのはいきなりの質問。だけど私は余裕がなくて、ただ必死に言葉を紡いだ。
「なのは、大事な話があるんだけどいいかな?」
 なのはが頷き。
「えっとね……」
 言葉を続けようとして緊張して続く言葉が出なくなり、
自分でも顔が真っ赤になっているのが分かるぐらい熱くなり、体中から冷や汗が出る。
「フェイトちゃん?」
「あの、えっと」
 緊張して、混乱し続ける頭は、思うように動いてくれなくて。
 どくん、どくんと心臓の音がうるさい。それが余計に緊張感を煽る。
 何か言わなきゃ、早く……早く。こういう場合どうすればいいのか分からない。
 兎に角チョコレートを渡そう。ああ、そうだ。渡して告白すればいい。
 鞄に慌しく手を入れ、袋を取り出すと、これから行う事のせいか震え続ける指先で苦労して、
その中から綺麗に包装された赤い包みを出す。
「これ、なのはに貰って欲しくて作ったんだけど、受け取ってもらえるかな」
 何処か可笑しく。何もかも忘れそれでも、口が動く。自分の意思とは切り離された様に。
 緊張のしすぎで口の中の水分がなくなりカラカラに行く。
「うん、もちろんだよ」
 嬉しそうに頷く姿に言葉を続ける。
「あ、あのね、なのは。私、なのはの事が好きなんだ」

392 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:39:01 ID:n35HvpCS
 どこか現実感の無い中、声を震わせて思い切って想いを告げる。
 言ってしまった……。
 今まで考えて来た様な言葉も出なく。全然思うように告白できなかった。
そんな自分にがっかりしながらもなのはからの返事を待つ。
「えっ? わたしもフェイトちゃんのこと好きだよ?」
 なのに、なのははそんなことに気づいてくれず、ただきょとんとしてしている。
「違うの、そうじゃなくて、なのはの言う好きじゃなくて、友達としてじゃなくて一人の女の子としてなのはが好きなんだ」
 言葉を荒げ強引に現実に引き戻す。
 分かって欲しい、私は友達としてではなく、一人の女の子としてなのはが好きだって。
そして誰もよりも貴方が好きだって伝えたいのに、うまく言葉に出来ない。それがもどかしい。
 私の言葉に息を呑む音が聞こえた。
 包みを受け取ろうとしていたなのはの指先と手が触れ合う。指先の震えがなのはに伝わってしまうんじゃないだろうかと、
震えを止めようと何度思ってもうまくいかない。
「それって……恋愛感情としてなの?」
「うん」
 なのはが包みを受け取り、返事がなく空気が重くなる。
 なのはとの間の沈黙が辛い。
 私はなのはが好きだと告げた。そしてなのはの質問に肯定してしまった。もう引き返すことは出来ない。
 蒼い瞳はどこか悲しげで思わず目を逸らしてしまう。
 これ以上目を合わせられなかった。
 やっぱり変に思われてしまったのかもしれない、私は女の子、そしてなのはも女の子。
なのに私は告白をしている。なのははどう思っただろうか?
 答えを聞くのが怖くて今すぐ逃げ出してしまいたかった。
断られるかもしれないと思っていた、そんなの嫌だった。だから今まで告白なんて出来なかった。
 どうして告白なんかしてしまったんだろう。今更ながら答えが聴きたく無い。悔悟の涙を流してしまいそうだった。
 だけどすぐには答えてくれない。どれぐらい二人の間に言葉が無かったのか分からない。


34 名前:ビターヴァレンタインの人[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:42:25 ID:LNXVgoSY
「なのは……」
 これ以上の沈黙に耐えられなくて、そっと大好きな人の名前を呼ぶ。
「ねえ、フェイトちゃん。この包みってチョコレート?」
「え!? うん。味はなのはみたいに美味しくないかもしれないけど、なのはを想って一生懸命作ったんだ」
 予想外の言葉。
 告白の答えじゃなくて戸惑いを感じ、
でもなのはが私の作ったチョコレートに興味を持ってくれたのがすごく嬉しい。
 だから驚きながらも、嬉しくて思わず弾むような声で答えてしまう。
 だけど、そんな私の言葉になのはは困ったような表情を浮かべて顔を伏せてしまう。
 ああ、そっか……。
 分かってしまった、興味じゃなかったんだ。
なのはは私を傷つけたくなくて返事をしたくなかったんだ。
 なのはを困らせてしまった。
 だめだな私は。
「ごめんね、なのは。迷惑だったよね」
 心の中で呟いたつもりだったのに声が零れ出てしまっていた。
「そうじゃない。違うの」
 なのはの困りきった力の無い言葉に悲しくなる。
「女の子が女の子のなのはを好きになるのってやっぱり変だよね?」
 自傷気味に呟く。
 本当は肯定して欲しくない。
 貴方に認めて欲しかった、この想いを。
「そんなことないよ! わたしはそう思わないから」
 顔を振って力いっぱいなのはは私の言葉を否定して、私の想いを肯定してくれる。
「本当に?」
 恐る恐る確認するように問う。
「うん」
「じゃあ……」
 諦めかけた心が期待してしまう。
 なのはとの未来を思い描いてしまう。

35 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:45:14 ID:LNXVgoSY
「ごめん」
 本当に悲しそうな一言だった。
 そして言葉を続ける。
「フェイトちゃんのことそんな風に思えないから。友達としては大好きだけど、だけど……ごめんね」
 言っている意味が理解できなかった。ううん、したくなかった。脳が拒絶してしまう。
 呆然として、そしてゆっくりと言葉を理解するにつれ、
今の顔をなのはに見られたくなくて、俯いて隠す。
 なのはを好きになって4年、長かったのか短かったのか一般世間じゃどうなのかよくわからない。
だけれど自分にとっては長かった。ずっと伝えたかった想い。
いつも溢れてしまいそうだったこの気持ち。
言葉に変えるとすごく短い言葉。だけどどんなに言葉を、時間を費やしても伝えきれない想いだった。
 けれど、終わったんだ。
 涙が溢れそうだった、きっと泣いてしまったら私はこの場で泣き喚いてしまう。
だから必死に、これ以上なのはに迷惑かけたくなくて。
「そっか」
 くしゃくしゃに歪んだ顔を必死に誤魔化して、顔を上げて笑おうとする。
私は上手にいつもの様に笑えているだろうか?
「ごめんね、なのは。ありがとう」
「フェイトちゃん」
 そんな哀しそうに名前を呼ばないで、なのはがそんなに哀しむ必要は無いんだよ?
どうしてそんな傷付いた様な顔をするの?
やっぱり私のせい? 
「やっぱりごめんね、なのはを困らせちゃったよね。泣かないで。なのは」
 涙を流しだすなのはの姿に心が痛い。涙を拭ってあげたい、
けれど私の想いがなのはを泣かせてしまった。
 そんな私がなのはの涙を拭っていいのか分からなかった。
 目の前でなのは、何度も手で涙を拭って、
「ねえフェイトちゃん。これからも友達でいてくれる?」
 その言葉に驚いてしまうがすぐに返事をする。

36 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:46:20 ID:LNXVgoSY
「当たり前だよ、なのはは大切な親友だから」
 嘘。
 私はもう普通に親友なんて思えない。
けれど少しでも私を必要だって言ってくれるなら貴方の傍に居たい、そして貴方を哀しませたくないから。
「でもフェイトちゃんはそれでいいの?」
「わたしはなのはの傍に居られたら幸せだから……それだけで十分だよ」
 これも嘘。
 もし本当にそう思っているなら、私はなのはに告白なんてしていない。嘘なんだよ、なのは。


 家に帰り、部屋に引き篭もった。
 部屋に入ると同時に床にへたり込みながら我慢していた涙が溢れ出す。
 帰る前自分がどんな風になのはと別れたのか自分でもよく思い出せない、
ただひたすら これ以上その場に居たくなくて逃げるように帰ってきた。
 だけど私頑張ったよね? 下手な告白だったかもしれない。
結果も駄目だった、だけどきちんと伝えられたよね。
 今だけは自分を褒めてあげたい。そう思わないと心が壊れてしまいそうだった。
 涙が止まらず、鞄からなのはがみんなに配ったチョコレートを取り出す。
生チョコレートで作られたトリフチョコ、一つ摘んで食べる。
 ふんわりと溶けてすごく甘いのに、カカオパウダーでほろ苦く感じられた。
 二つ、三つ、少しずつ口に運びゆっくりと味わうように食べる。
全部食べ終わったら私の想いを捨てよう。そう思っているのにうまく消えてくれない……。
 溢れ続ける涙をぽろぽろ零しながらさらに一口。
 なのはは私に『親友』でいること求めた。傍に居ることを許してくれるならもうそれでいい。
 それ以上望まない。
 私は親友であり続けるから、だから傍にいて。

37 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:48:25 ID:LNXVgoSY
 家に帰ると、お母さんに今日は夜ご飯を要らない旨を伝えて、すぐに自室に飛び込む。
今一人になりたかった。部屋にはいるとベッドに座り、
茶色の鞄から綺麗にラッピングされた包みを取り出して眺める。
 フェイトちゃんから貰ったチョコレート。
これは学校でみんなと交換し合ったものじゃない。わたしだけに作られたもの。
 そのままベッドに寝転がりながら、制服が皺になるかなって思ったけれど、
そんなことよりも今だけはフェイトちゃんの事だけを考えて居たかった。
 今日の告白を思い出す。フェイトちゃんの表情を思い出す度に辛くなってしまう。
 目尻に涙が浮かぶ。
 もっとどうにかできたんじゃないかと思ってしまう。
 私を置いて帰っていくフェイトちゃんの後姿はまるで迷子になった子供みたいでとても寂しそうで、
儚く消えてしまいそうだった。本当は走って抱き締めてあげたかった。
なのに、それが出来なかった……。
 頭の中でぐるぐると何度も再生され、何時間こうしていたか分からない。
いつの間にか日も落ち、部屋の照明をつけないと真っ暗になっていた。
 灯りをつけると、手に持った包みをじっと見つめる。
 丁寧にラッピングされた赤い包み。綺麗に傷をつけない様に包装をはがすと、
茶色い箱が出てきて、中を開けると、大きなハート型のチョコレート。
ホワイトチョコレートで『大好きななのはへ 愛しています フェイトより』と書かれていた。
 フェイトちゃんは、「チョコ捨てていいから」って言っていたけれど捨てられるはずがない。
これはフェイトちゃんがわたしのために作ってくれたものだから。
 今のわたしはこれを食べちゃ駄目なのかもしれない、だけどそれでも……。
 一口食べると、甘い味が口の中に広がる。
「あっ」
 そんな声が漏れた。
 美味しかった、こんなに美味しいチョコレートを食べたのは初めてだった。
フェイトちゃんの想いが沢山詰まっていて、たった一口それだけで胸が一杯だった。涙が頬を伝う。
 それ以上食べる事が出来なかった。

38 名前:ビターヴァレンタイン[sage] 投稿日:2008/02/13(水) 01:49:56 ID:LNXVgoSY
以上です。石投げないでくださいねw


規制食らうと面倒ですね。
やっぱり以前よりも厳しくなってる。
2008年02月13日(水) 01:55:23 Modified by nanohayuri




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