執務官の憂鬱
291 名前:執務官の憂鬱[sage] 投稿日:2007/10/15(月) 00:57:16 ID:Zc3nCJaF
時空管理局本局、無限書庫。そこで私――フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは不快極まる『何か』に苛まれていた。
朝確かに感じていた穏かな気持ちとか、なのはとの待ち合わせ場所へ向かう時の妙なくすぐったさ。楽しい気分が霧散していく。
一体自分は如何したというのだろう。なのはにユーノ、3人で会うのは本当に久しぶりで。現に此処へ来るまでは本当に楽しみだった。
けれど……どうしたんだろう。
なのはが楽しそうに笑っている。いつもならその太陽のような笑顔を見てるだけでなんだか私も楽しい気持ちになって、それで……
聞こえてくる楽しげな会話がどこか遠い、私を照らしてくれていた太陽がかげっていく。
世界が暗い。
「……ちゃん、フェイトちゃん!」
ぇ、あ……ぅ。
頭が回っていない、急に覚醒させられた思考がついていかない、……わっ!
なのはが私の手を引いていく、止まっていた思考を置去りに、強引に。
つきあたりを左に周った所の袋小路に私は追い詰められる形になってしまっていた。
なのはどうしてそんな顔をしてるの?
「どうしたの?なの「フェイトちゃんこそッ、どうしたの?なんだか気分悪そうだったよ?」
あぁ、またやってしまった。心配させてしまった。
なのはは自分の事となると私が、皆がどれだけ心配しても大丈夫の一点張りの癖に
こと他人の事となると幾ら大丈夫といっても決して退いてくれない。
気分の悪い、この情けない理由も話すことになってしまうかもしれない……。
心底自分を軽蔑する、体調は悪くない。私はなのはの気を惹きたかっただけなんじゃないの?
なのはは優しいから……とめどない負の感情の奔流、いっそ泣いてしまったらスッキリするかな?
ほら、またなのはに甘えようとしてる……嫌いだ、大嫌い。
292 名前:執務官の憂鬱[sage] 投稿日:2007/10/15(月) 00:57:46 ID:Zc3nCJaF
「大丈夫だよなのは。どうしてそんなこと言うの?」
私はなのはを安心させるためなけなしの思いで言葉を紡ぐ。
なのはは優しく微笑みながら私を抱きしめてくれた、なんでだろう?
暖かい。
日向にいるような暖かさに心の底で強張っていたモノが溶けていく、私を苛んでいた不快感が消えていた。
おずおずとなのはを抱きしめ返す。
「フェイトちゃんは自分の事だとなんでも我慢しすぎちゃうよね、私でよかったら言って欲しいな
フェイトちゃんが笑ってくれたら私もなんだか楽しいんだよ、ね?」
あれだけ荒れた心が凪いでいく、これだけで解決できるとは我ながら安い。
もう私は私を許せていた。光がもれだす。
「じゃぁ、なのは笑って欲しいな。私だけを見て」
私は、その日最高の笑顔でスマイル0円を要求した。
「にゃはは、おやすい御用だよ!フェイトちゃん」
私を照らしてくれる、その眩しさに目を細める。
世界は光に満ち満ちていた。
時空管理局本局、無限書庫。そこで私――フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは不快極まる『何か』に苛まれていた。
朝確かに感じていた穏かな気持ちとか、なのはとの待ち合わせ場所へ向かう時の妙なくすぐったさ。楽しい気分が霧散していく。
一体自分は如何したというのだろう。なのはにユーノ、3人で会うのは本当に久しぶりで。現に此処へ来るまでは本当に楽しみだった。
けれど……どうしたんだろう。
なのはが楽しそうに笑っている。いつもならその太陽のような笑顔を見てるだけでなんだか私も楽しい気持ちになって、それで……
聞こえてくる楽しげな会話がどこか遠い、私を照らしてくれていた太陽がかげっていく。
世界が暗い。
「……ちゃん、フェイトちゃん!」
ぇ、あ……ぅ。
頭が回っていない、急に覚醒させられた思考がついていかない、……わっ!
なのはが私の手を引いていく、止まっていた思考を置去りに、強引に。
つきあたりを左に周った所の袋小路に私は追い詰められる形になってしまっていた。
なのはどうしてそんな顔をしてるの?
「どうしたの?なの「フェイトちゃんこそッ、どうしたの?なんだか気分悪そうだったよ?」
あぁ、またやってしまった。心配させてしまった。
なのはは自分の事となると私が、皆がどれだけ心配しても大丈夫の一点張りの癖に
こと他人の事となると幾ら大丈夫といっても決して退いてくれない。
気分の悪い、この情けない理由も話すことになってしまうかもしれない……。
心底自分を軽蔑する、体調は悪くない。私はなのはの気を惹きたかっただけなんじゃないの?
なのはは優しいから……とめどない負の感情の奔流、いっそ泣いてしまったらスッキリするかな?
ほら、またなのはに甘えようとしてる……嫌いだ、大嫌い。
292 名前:執務官の憂鬱[sage] 投稿日:2007/10/15(月) 00:57:46 ID:Zc3nCJaF
「大丈夫だよなのは。どうしてそんなこと言うの?」
私はなのはを安心させるためなけなしの思いで言葉を紡ぐ。
なのはは優しく微笑みながら私を抱きしめてくれた、なんでだろう?
暖かい。
日向にいるような暖かさに心の底で強張っていたモノが溶けていく、私を苛んでいた不快感が消えていた。
おずおずとなのはを抱きしめ返す。
「フェイトちゃんは自分の事だとなんでも我慢しすぎちゃうよね、私でよかったら言って欲しいな
フェイトちゃんが笑ってくれたら私もなんだか楽しいんだよ、ね?」
あれだけ荒れた心が凪いでいく、これだけで解決できるとは我ながら安い。
もう私は私を許せていた。光がもれだす。
「じゃぁ、なのは笑って欲しいな。私だけを見て」
私は、その日最高の笑顔でスマイル0円を要求した。
「にゃはは、おやすい御用だよ!フェイトちゃん」
私を照らしてくれる、その眩しさに目を細める。
世界は光に満ち満ちていた。
2008年01月20日(日) 20:53:53 Modified by saitoudesu89