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本当に好きな人-後編

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278 :名無しさん@秘密の花園 [sage] :2008/03/01(土) 20:51:46 ID:pB1fBSiF
279 :本当に好きな人 後編 [sage] :2008/03/01(土) 20:52:18 ID:pB1fBSiF
280 :本当に好きな人 後編 [sage] :2008/03/01(土) 20:52:49 ID:pB1fBSiF
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282 :本当に好きな人 後編 [sage] :2008/03/01(土) 20:53:56 ID:pB1fBSiF
283 :本当に好きな人 後編 [sage] :2008/03/01(土) 20:54:36 ID:pB1fBSiF



本当に好きな人後編投下します
なのフェイの話です
4レス使用します

注意書き
  • なのはがユーノと結婚してます

ちなみに前編は>>109-117、中編は>>210-215です


 
一週間の任務を終え、フェイトは自宅へ帰ると、電気もつけずにソファに座り込んだ。
 仕事自体は違法研究者を無事逮捕し、めでたしめでたしなのだが、フェイトの表情は沈んでいた。
 仕事が忙しい時はよかった。何も考えなくてもすむから。でも仕事は終わったのだ。
 今はなのはのことで頭が一杯になってしまっていた。
 これからもなのはと会わなくてはならない。ヴィヴィオを悲しませないために。
 自身の想いは鍵をかけて心の奥にしまったはずだった。
 しかし、なのはに名前を呼ばれる度に少しずつその鍵は壊されていく。
 今度会ったら、容易く鍵は破壊され、抑えられなくなった想いが溢れ出してしまうだろう。
 そんなことになったらなのはは困るに違いない。ユーノと結婚したのだから。
 なのはの幸せを願うならそれは駄目だ。

 フェイトは思考を中断するために、普段は飲まない酒に手を伸ばした。
 はやてが地球土産と言って置いていったブランデーをグラスに注ぐ。
 度数を確認すると四十度だったが気にせず一気に呷った。
 舌が痺れ、喉が火傷しそうなくらい熱くなる。
 空きっ腹に突然流し込んだものだからぎゅるると胃が抗議の声を上げた。
 酒にあまり強くないフェイトはそれだけで酔ってしまった。
 ソファに横向きで座る。膝を抱えて顔を伏せると涙が流れ出した。
 ピンポーンとインターフォンが鳴る。
 泣いていたフェイトは居留守を決め込むことにした。
 何度目かのインターフォンの後、鍵を開けて誰かが部屋へと入ってきた。
 顔を上げて確認するとその誰かははやてだった。
「フェイトちゃん? 電気もつけんと……」
「ごめん。電気はつけないで」
 掠れた声に何かを察したはやては、そっとフェイトの後ろ隣に腰を下ろす。
 体育座りの背中に慈しむような声で話しかけた。
「どうかしたん?」
「なのはと会ったよ」
「そっか……大丈夫やった?」
「辛かったけどなんとか。なのはとは友達として会えそうだよ」
 フェイトは歯を食いしばるようにして言った。
 肩を震わせる姿はまるで少女のように小さく弱々しく見え、
 はやてはそっと後ろから包み込むように抱きしめた。
「ええよ、フェイトちゃん。泣いて、ええよ」
 フェイトは一度鼻をすするとむせび泣いた。
 嗚咽を聞きながらはやても涙を流し抱きしめる手により力を込めた。

「なあ、フェイトちゃん」
 フェイトの嗚咽が小さなものになり、しばらくしてからはやては呼びかけた。
「私じゃなのはちゃんの代わりになれんやろか?」
 フェイトが体を強張らせるのをはやては感じた。
「私じゃフェイトちゃんを癒せんのやろか?」
「なのはの代わりなんていないよ」
 フェイトは掠れた声ではっきりとそう口にした。
「それにはやてははやてだよ」
「せやね、フェイトちゃんの言う通りや」
 はやてはフェイトの耳にキスをするように口を近づけて囁いた。
「フェイトちゃんが好きや。大好きなんや。せやから、なのはちゃんの代わりやなくて、
 私を好きになって欲しい」
「ごめん、はやて」
 明確な拒絶に一瞬びくりとしたはやてだったが、すぐに平静を装った。
「なのはちゃんのこと、やっぱり好きなん?」
「頑張って嫌いになろうとした。けど、無理だった」
「でも、なのはちゃんは……」
「わかってる。それでも好きなんだ」
「そうやって想い続けて、フェイトちゃんは幸せになれるん?」
「わからない……」
 はやてはそっと手を離すとソファから立ち上がり、フェイトの真横に佇んだ。

「フェイトちゃんの想いがどうか報われますように」
 はやてはそう言って屈みこむと、フェイトの頬にキスをした。
 見上げたフェイトにはやては涙を零しながら微笑んだ。
 そして、さよなら、と言って出て行った。
 ソファの上にいつの間にか置かれた合鍵が、月明かりに照らされていた。

「ユーノ君にお話があります」
 帰宅したユーノは一度目を瞬かせてからゆっくりと頷いた。
 寝室で部屋着に着替えたユーノがリビングへ行くとエスプレッソが湯気を立てていた。
「これこの間通販で買ったやつで作ったの?」
「うん。エスプレッソマシンだっけ? 飲んでみて」
「体が温まる。おいしい」
「よかった」
 そう言ったなのははエスプレッソに全く口をつけていなかった。
 伏目がちななのはにユーノは優しく問いかけた。
「それで、話って?」
「うん……」
 なのはは両手で持ったマグカップをゆっくりと三回転ほどさせてから口を開いた。
「別れて、欲しいの」
「……」
「離婚して欲しい」
 ユーノは深く息を吐いた。
「どうして?」
「好きな人ができたの。だからもう一緒にはいられない」
「その人とは今、その、付き合ってるの?」
「ううん。その人は私の気持ちを多分、知らない。それに、もしかしたら嫌われてるかもしれない」
「浮気をしてるってわけじゃないんだね。その上、嫌われてる可能性もある。
 それなのに突然離婚って……話が飛躍してるよ」
「そんなことない。その人を想っているのは、ユーノ君を裏切っていることだよ。
 それに、その人に想いを伝えたいんだ。結婚したまま告白はできない」
 なのはのまっすぐな目を見てユーノは苦笑した。
「僕じゃ、だめなのかな?」
「ごめんなさい」
 あまりと言えばあまりな即答に、ユーノは視線をマグカップへと落とした。
 気を取り直すように中指で眼鏡を直す。
「それじゃ、その人に振られたら僕のところに戻って来る、ていうのはどう?」
 冗談めかしたつもりのユーノの表情はとても真剣なものだった。なのはは首を振って答えた。
「……その人が私の初めて好きになった人なんだ。この年になってようやく初めて恋をしたの。
 ううん、そうじゃなくて、ずっと前から好きだったんだと思う。気付いてなかっただけで」
「僕のことは好きじゃなかった、てこと?」
「友達としては好きだった。でも恋じゃなかった。ごめんなさい。
 もっと早く気付かなきゃいけないことだったんだよね……」
 ユーノはふるふると首を振る。
「いや、いいんだ。なのはがよくわかっていないところに僕はつけこんだんだ。
 強引にいけばなのはを手に入れられる、そう思って柄にもなく押していった。
 そんな方法じゃ結局なのはを手に入れることはできなかったんだよ……」
「ごめんなさい」
「もう謝らないで。いつかこうなる気はしてたんだ。わかってたことだったんだ」
 ユーノは寂しそうに笑った。
「最後に僕のお願いも一つだけ聞いてもらえるかな?」
「私にできることなら、なんでも」
「別れた後は、できたら友達として接して欲しい。以前のように」
 なのはは目を大きく見開いた後、頷いた。
 その答えに満足したユーノは残りのエスプレッソを一気に飲み干して立ち上がった。
「その人とうまくいくといいね」
 背を向けてそう言うとリビングを出て行った。
 なのははようやくマグカップに口をつけた。それはまだほんのりと温かかった。

元六課隊舎のすぐ近く、桜の名所として名高い公園にフェイトはいた。
 しかし、開花時期には少し早く、まだつぼみなため、園内は人がまばらだった。
 なのはからどうしても会いたいというメールが来たのは一週間前だった。
 了承の返信を出すと、すぐに予定を聞かれ、答えると、日時と場所を指定したメールが送られてきた。
 できれば、ここだけはやめて欲しかった。それがフェイトの率直な感想だった。
 何と言ってもここはなのはの『ご報告』があった場所であり、あの悪夢の舞台なのだ。
 今回もショッキングなご報告があるのではないだろうか。赤ちゃんできました、とか。
 それは駄目だ。別にユーノのことは嫌いじゃないが、それだけは駄目だ。
 そんなことになったらどうしよう。
 フェイトは頭痛のあまり頭を抱えた。
「フェイトちゃん、大丈夫?」
 ずきり、と胸が痛む。作り笑顔を上げると、なのはが心配そうに眉を顰めていた。
 大丈夫だよ、とフェイトが答えると、
「少し歩こ?」
 なのはがフェイトの手を取って歩き出す。フェイトはつんのめりそうになりながら一緒に歩いた。
 不思議とフェイトの胸は痛まなかった。
 小学生の頃、満開の桜の下でこうやって歩いたのを思い出したからかもしれない。
 なんだか懐かしい気持ちになって、まるであの頃に戻ったような気になって。
 なのはのことが大好きで、毎日がとても楽しくて。なのはは結婚なんてしてなくて。
 フェイトは穏やかな笑みをたたえた。
 なのはも満面の笑顔で、二人は実に数ヶ月ぶりにゆっくりとした時間を過ごした。

 ぴたり、と二人同時に足を止めた。園内でも一際大きな桜の木。
 まだつぼみとは言え、その様相は堂々としており、人目を引くものだった。
 そして、正になのはの『ご報告』の場所だった。
 なのははすっと手を離すと、フェイトに対峙した。
「フェイトちゃん」
 なのはが真剣な眼差しを向ける。フェイトは自分の悪い予感が当たったことを確信した。
「ご報告が――」
「嫌あああ!」
 フェイトは目をつぶり、耳を塞ぐ。身を固くして、涙を流した。
「フェイトちゃん!?」
 驚いたなのはが手を伸ばす。フェイトは強くその手を払った。
「嫌だ! 聞きたくない! なのはの『ご報告』はもう嫌あ!」
 なのははしばらく困惑していたが、そっと近寄ると、耳を塞ぐフェイトの手を
 自らの掌で包み、優しくさすった。
「聞いて、フェイトちゃん。私、高町なのはは、この度、離婚しました」
 フェイトはきつくつぶった目を見開き、力なく腕を下ろした。
「え……?」
「ユーノ君と離婚したんだ」
「……」
「えっと……驚いた?」
 フェイトはしばらく呆然としていたが、気を持ち直して一番気になることを問いかけた。
「……どうして、離婚したの?」
「好きな人が、出来たから」
 フェイトは予想外の答えに息をのんだ。
「それは……ユーノ以外の人ってことだよね?」
「そう。その人は――」
「待って。私もなのはに話したいことがあるんだ。先に言ってもいいかな?」
「いいけど……」
「なのはには好きな人がいるというのにこんなこと……。いや、それでも伝えたいんだ。
 なのは、好きだ」
「え……?」
「初めて名前を呼ばれた時にきっと私は恋に落ちたんだ。それからどんどんどんどん好きになって。
 でも、伝えられなかった。傍にいられなくなるかもしれないって思うと怖くて。
 そんな風にしていたら、なのはは結婚してしまった」
 フェイトはそこで一息ついた。なのはは泣きそうな顔をしていた。
「すごく辛かった。諦めることも出来なくて。気持ちを伝えなかったことをすごく後悔した。
 だから、もう一度言うよ。好きな人がいるのに、ごめん。でも、なのは、君が、好きだ」
 なのはがぼろぼろと大粒の涙を零す。フェイトはそっとなのはの肩を撫でた。

「ごめん。困らせちゃったね」
「違うの。困ってなんかいない」
「でも、なのはには……」
 なのはは首を振って、フェイトを見上げた。
「その好きな人っていうのはフェイトちゃん」
 フェイトは目を見開いたまま首を捻った。
「私はフェイトちゃんが好き。初めて会った時からきっと好きだったの。
 ずっと一緒にいたいって思ったの。
 でもその気持ちがなんなのかわからなくて。今更になってようやく気付いたんだ。
 これが好きってことなんだって」
 見る見るうちにフェイトは顔をぐしゃぐしゃに歪めていく。
 フェイトはなのはを強く抱きしめた。それに答えるようになのはも優しく抱き返した。
「なのは、大好きだ」
「私も大好きだよ、フェイトちゃん」
 二人はしばらくそうやって抱き合っていた。

 フェイトは少し体を離して正面からなのはの顔を覗き込むと不思議そうな顔をした。
「どうしてそんなに泣いてるの?」
「嬉しくて」
「嬉しくて泣くことって本当にあるんだ」
「フェイトちゃんなんか涙が滝のようだよ?」
 なのはが人差し指でフェイトの涙を拭って、ほらね、と微笑む。
 本当だ、とフェイトも笑って、右手をなのはの頬にそえた。
 なのはが目を閉じる。フェイトはゆっくりと顔を近づけ、唇を重ねた。
 二人の涙は陽光を反射してきらきらと輝いていた。



以上です
>>123氏が書かれたような展開も魅力的でしたけど
なのフェイなんで結局こんな感じで落ち着きました

まだ短いエピローグが残ってるんで明日にでも投下します


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2008年04月21日(月) 16:40:52 Modified by gonn90




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