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28-446

446 名前:前編1/5[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 12:36:39 ID:zU3aLpLa
SS9本目投下させてもらいます
長くなってしまったので、前後編に分けて、全12レスになると思います


通学途中に、告白というものをされた。
近くにある中学校の3年生で、毎朝見かける私に好意を持ってくれたらしい。

「で、どうするのフェイトちゃん」

なのはに聞かれて、私は困ってしまった。
どうする、というのは交際するのかどうかということだろう。

「ん……よく、わかんない」
「そっかぁ。うーん、大事なことだしね」
「そう、だね」
「でもまずは学校行こっか。遅刻しちゃう」

そう言って私の手をとるなのはの手は、少しだけ汗ばんでいた。

その日私は一日中考えた。
男の子とつきあうということがどういうものなのか、私にはうまくイメージできなかった。
魅力的なこととも思えない。
それよりも、はやてやアリサやすずかと遊んでいる方が楽しいことのように思えた。
なにより、なのはと一緒にいる時間の方が今の私には重要だ。
……うん、断ろう。きっとそれがいい。

「ためしにおつきあいしてみたらどうかなぁ?」

答えを聞いてもらおうと残ってもらった放課後の教室には、もう他の生徒の姿はない。
そして、まるで私の考えを先読みしていたかのようななのはの言葉。
もうほとんど結論を出していたのに、混乱するには充分なアドバイスだった。

447 名前:前編2/5[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 12:37:31 ID:zU3aLpLa
「え……?」
「ほら、いい人そうだったし」

なんで、そんなこと言うの。
なのはは、私があの男の子とつきあってもいいの? なんとも思わないの?
いや……それなら、どう思ってもらえれば満足なんだろう。
だいたい私は何に対してこんなにイライラしているのか、それもわからなかった。

「で、でも、あの人のことよく知らないし」
「お話してみたら好きになるかもしれないよ」

好きになる……ドキリとした。
私があの男の子とつきあう姿を想像できなかったのは、しようとすると必ずなのはの顔が浮かぶからだった。
好きな人。それは私にとってなのはのことだった。
それはもうとっくに決まっていたことのはずなのに、どうして気づかなかったんだろう。
まるでいま初めて真実を発見したかのように、心が浮き立つ。
早く。早くこの気持ちをなのはにも伝えなくちゃ。

「あのね、私、もう好きな人がいるの。だから、いいんだ」
「え、そうなの!? 誰? 私の知ってる人?」
「なのはだよ。私はなのはが一番好き」

なのはが大きく目を見開いた。唇がかすかに震えて、だけど無言で。
私のことを睨むような眼差しを向けた。
だけどそれは全部一瞬のことで。
まばたきすると、なのははもういつものようににっこりと笑っていた。

「ありがと、フェイトちゃん。私もフェイトちゃんのこと好き」
「うん!」
「でもね、私たちの好きは友だちの好きだから。やっぱり男の子への好きとは違うと思うよ」

448 名前:前編3/5[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 12:38:05 ID:zU3aLpLa
違う? 何が違うんだろう。
私が一番好きなのは、なのはなのに? それは違うことなのだろうか。
じゃあ、わたしがなのはのことを想う時に生まれる甘い気持ちとか、泣きたくなるようなせつなさとか、胸の痛みとか、全部間違ったものなんだろうか。
それは、誰が決めるの?

「わわ、フェイトちゃんどうしたの?」

動くこともできず、ただこぼれ落ちる涙を流し続ける私の目許を、なのはは優しくハンカチで拭いてくれる。
なのはの匂いがして、目が眩みそうになる。

「好きなの、なのは。私はなのはが好き……」
「私たち、女の子同士だもん。フェイトちゃんは、自分の気持ちをちょっと勘違いしちゃっただけだと思うよ」
「ちが……どうして――!」
「大丈夫だよ。フェイトちゃんにも、きっとすぐに好きな男の子ができるから」

私の話をまともに聞いてくれない。こんなの初めてだった。
なのはには好きな男の子がいるのだろうか。だから、そんなわかったようなことを言うんだろうか。
私に好きな男の子ができたら、なのはへの気持ちも薄れてしまうのだろうか。
だったら、私は好きな男の子なんて一生できなければいいと思った。

「私が好きなのは、なのはなんだよ!」

私はハンカチを持ったなのはの手首をつかんだ。
たじろぐなのはの隙をついて、その唇へ自分の唇を寄せる。
だって、言葉が通じないなら態度で示すしかない。
なのはは逃れようとして、私の腕の中でもがいた。
だけど離したくない。離せない。
なのは、なのはなのはなのは――!
私は獣になったような荒々しい感情に突き動かされて、なのはの唇を貪った。
いやらしい水音がして、ますます興奮する。
頭がおかしくなりそうだった。

449 名前:前編4/5[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 12:39:42 ID:zU3aLpLa
「……いやっ!」

我にかえったのは、自分の頬で弾けた音を聞いたからだった。
痛いと思ったのはその後で、ぶたれたのだと気づいたのはそれよりも後だった。
瞳いっぱいに涙をためたなのはが、唇をかんで震えながらうつむいている。
それで私は自分が何をしてしまったのか、恐ろしくなった。

「ごめ……ごめんねなのは。私、こんなつもりじゃ」
「どうして、フェイトちゃん」
「え……?」
「どうしてこんなことするの!?」

なのはが私を責める。聞いたこともないような厳しい口調で。

「……だよ」

私は自分の耳を疑った。
いま、なのはがつぶやいた言葉は、私が一番聞きたくない、聞いてはいけない言葉だった。

「こんなことするフェイトちゃん、嫌いだよ」

今度ははっきりと、なのはは私の目を見て言った。
私の横を誰かが駆け抜けていく。……ああ、なのはか。
なのはが去っていってしまったのか。私の前から。
そっか。
私は親友を――なのはを――失ったんだ。

450 名前:前編5/5[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 12:42:03 ID:zU3aLpLa
それから私たちの関係はぎこちなくなった。
表面上は、彼女は明るくて優しいままだった。
だけど例えば手をつなごうとする時、彼女の腕はさり気なく、でもはっきりと遠ざかるようになった。
例えば二人で座る時、私たちは以前のように寄り添うことがなくなった。
例えば二人で話す時、私たちはもう目を合わせることがなくなった。
何度も謝る私を、「もういいよ、フェイトちゃん」そう言って彼女は許してくれた。
でももう元には戻らない。私が壊してしまったんだから。
そんな様子だったから、見咎められても無理はなかった。

「なにがあったん?」

お昼休み、トイレから出る私を待ち伏せていたかのようなタイミングで、はやては私を屋上へ連れ出した。

「なにって?」
「とぼけてもあかん。フェイトちゃん、最近なのはちゃんに避けられとるやろ」
「そう見える?」
「見える。正直、いまの二人見とると息がつまりそうや」
「そっか……」
「話してくれへんの? 私じゃ力になれへん?」
「ごめん。そういうつもりじゃなかったんだ。ただ、言いづらいことだったから」
「私も、無理にとは言わんよ。でも、二人とは親友のつもりやから。何もしてあげられへんのは、ちょお寂しいかな」

はやてなら、きっと真剣に相談にのってくれる。
いや、はやてじゃなくてもよかったのかもしれない。
ただ私は、独りで彼女とのいまの状況を続けることに耐えられなくなっていたのだ。

「なるほどなぁ」

話を聞き終えたはやては、腕組みして深く頷いた。

「だから、私が悪いんだ」
「ちょい待ち。私気になることがあんねんけど」
「気になる?」
「なのはちゃんの気持ちや。なのはちゃん、フェイトちゃんにちゃんと答えてないやん」
「え、だって、なのはは私のこと嫌いって――」
「ちゃう。それは、フェイトちゃんのしたことについてや」
「あ……。で、でも、そうだ。友だちの好きと男の子への好きは違うから、私のは勘違いだって」
「それこそ、一般論や。どこになのはちゃんの気持ちが入ってんねん」

本当だ。言われるまで気づかなかったけれど、私はまだ、何もわかってなかった……?
はやては得意げに笑って、私の肩をポンと叩いた。

「そ・こ・で、私に考えがあんねんけど……のる?」

451 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 12:44:02 ID:zU3aLpLa
これで前編終わりです
後編は後ほど投下予定です

454 名前:後編1/7[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:17:59 ID:zU3aLpLa
「なのは」

翌日管理局での訓練前に、私は彼女と二人きりになるタイミングを見計らって切り出した。

「私ね、なのはの言うとおり、男の子とつきあってみることにしたんだ」
「……え? そ、それ、この前の人?」
「ううん、あの人は断っちゃった。あのね、はやてに紹介してもらった人なんだ」
「はやてちゃんに?」
「そう。写真も撮ったんだよ。見る?」

私は携帯電話を開き、昨日はやてに撮ってもらった画像を見せた。
私と、背の高い男の人が二人並んで写っている写真だ。顔立ちはなんとなく、クロノに似ている。
どこかぎこちなく見えるけど、初々しくてかえって良いとはやては言っていた。

「カッコイイでしょ?」
「う、うん、そうだね」

食い入るように見ていた彼女は、私の声で顔を上げた。

「どうかな」
「う、うん……」
「喜んでくれないの?」
「あ、よ、よかったね。優しそうな人みたいだし」
「ありがとう。今度なのはにも会わせるね」
「うん……楽しみにしてるよ」

彼女が薄い笑顔を浮かべたところで、携帯のコールが鳴った。
昨日登録したばかりの名前が表示されている。
私は3コール目で通話ボタンを押した。

「あ……昨日は、ありがとうございます。あの、デート、楽しみにしてます。はい、はい……それじゃ」

455 名前:後編2/7[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:18:30 ID:zU3aLpLa
電話を切ると、すぐに彼女が口を開いた。

「つきあってる人?」
「うん」
「そうなんだ。デートするの?」
「ん、次の、日曜日」
「そっか。楽しみだね」

淡々としたぶつ切りの会話。味気なくて、広がりもない。
なんて義務的なんだろう。

「あ、それじゃ、私今日こっちだから」
「うん、それじゃ」

別れて彼女の背中を見送ったけれど、いつもと変化があるようには思えなかった。


「みんな遅いなぁ」

中庭で、私とはやては二人きりだった。
いつもどおりお昼ごはんを食べようと、アリサとすずかと、それから彼女を待っているのだが、一向に現れない。

「ちょお、私見てくるわ。もうおなかペコペコで我慢の限界や。フェイトちゃんここで待っててな」
「うん、わかった」

あれから、私ははやてに言われたことを忠実に実行していた。
彼女には、毎日彼との写真を見せている。それも手をつないだものとか、腕をくんだものとか、恥ずかしいけど日に日にエスカレートした写真を。
電話も彼女の前でする。必要以上に楽しそうに話してみせるのは、意外と難しかった。
そして、一度彼に会ってほしいと頼んでいるのだが、彼女はなかなか首を縦に振ってくれなかった。
用事があるとか、仕事が入ったとか、はぐらかされてばかりだ。
本当にこんなんでどうにかなるのだろうか。
彼女のよそよそしさはむしろ、だんだんひどくなっている気さえした。

456 名前:後編3/7[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:18:53 ID:zU3aLpLa
「は〜」

目蓋が重い。
このところ考え事ばかりしていて、よく眠れていないせいだ。
はやてたち、遅いなぁ。
起きてなきゃと思うのだが、私の意志と無関係に目は閉じてしまう。
なんでこんなことになってしまったんだろう。
もう、はやてたちがいなければ彼女と一緒に食事することさえままならなくなってしまった。
ついこのあいだまで、あんなに仲良くやっていたのに。
うそみたいだ。
目を覚ましたら、私の周りには何もなくて。今までのは全部夢で。また、アルフと二人きりで。
やだ。そんなの嫌だ。怖い……。
お願い、傍にいて。不安でどうにかなりそうだよ。
うそじゃないよって言って。夢じゃないよって、抱きしめて。
あなたがいないと、私はこんなにも弱いんだ……。

スッ――

不意に人の気配を感じた。
はやてが戻ってきたのかな。
私はなんだか目を開けるのが億劫で、そのままじっとしていた。
どうやら私は泣いていたらしい。
はやてがハンカチで目許を拭いてくれている。
……あれ?
違和感を覚えて、私の心臓は一瞬大きく跳ねた。
この香り、はやてじゃ……。
鈍くなった頭の回転が答えを出すより先に、私の唇に触れるものがあった。
覚えてる。忘れられるはずない。
この匂いも、その感触も。

457 名前:後編4/7[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:19:31 ID:zU3aLpLa
「なのは!」

はやてじゃない。
なのはの匂いだ! なのはの唇だ!
私は叫びながら目を開けて、ほとんど同時にその人へ手を伸ばしていた。
逃げる寸前だったのか、背中を向けたなのはの右腕に私の右手がかかる。

「待って。待ってなのは」

なのはは、かまわず前へ進もうとする。
離さない。ここで離したら、きっともう二度となのはは私の許へ来てくれないから。

「逃げないで……」

しぼり出すように訴えると、ようやくなのはは動くのをやめてくれた。

「こんなの、嫌なんだ。ぎこちなくて、他人みたいで。嫌なんだ……」
「……大丈夫だよ、フェイトちゃん。私たち、お友達だよ」

振り向いたなのはは、私よりもよほど泣いていた。
大粒の涙をポロポロとこぼして、笑顔のままで泣いていた。

「なのはが友だちだって言うなら、それでいいよ。でも私はなのはが好き。友だちよりも、ずっとずっと、好きなの」
「うそだよ」
「うそじゃない!」
「だって、フェイトちゃん彼氏いるじゃない」
「つきあってみればって言ったの、なのはだよ。すぐに好きな男の子ができるって、なのはが言ったんだよ」
「そう、そうだね。ほら、ね。本当だったでしょ。私より、ちゃんとその男の子の方が好きでしょ?」
「ううん、違う……」
「何が違うの! たくさんデートしたくせに。楽しそうに電話してたくせに」
「でもドキドキなんかしなかったよ! 手をつないでも腕を組んでも、嬉しくなかった。なのはじゃないんだもん!」

458 名前:後編5/7[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:19:59 ID:zU3aLpLa
なのはが息を呑む。
そして私たちは、とても久しぶりに目を合わせた。
それから一秒か、二秒か、お互い身動きを忘れたように固まってしまう。

「なんで、あの時、あんなに無理やりキスしたの」
「なのはが、好きだから。どうしても好きって伝えたくて」
「怖かった。乱暴で、フェイトちゃんが、別の人みたいに思えて」
「ごめん」
「だから私、どうしていいかわかんなくて」
「ごめんね」

手を離しても、なのははもう逃げようとしなかった。
だから、今度は私がなのはに訊かなくちゃいけなかった。

「どうして、キスしたの?」
「してない」
「うそだよ」
「してないよ」
「どうして、うそつくの……」
「だって好きなんだもん!」

弾けるようになのはが叫んだ。
まるで、溜めこんでいたものを溢れさせるように。

「フェイトちゃんが私のこと好きって言ってくれて、嬉しかった。両想いなんだってわかって」
「なのは……本当、に?」
「でもすぐ、ダメって思った。女の子同士だもん」
「だから、私のこと突き放したの?」
「そうだよ」
「なんで。そんなのおかしいよ。お互い好きなのに、女同士だからって……」
「周りに知られたら変な目で見られちゃうんだよ!」
「……もし、もしそんなことになったら、私がなのはを守るよ。だから――」
「違うよ!」

459 名前:後編6/7[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:20:28 ID:zU3aLpLa
なのはは自分の身体をぶつけるような勢いで、私にしがみついてきた。

「私はどうだっていいんだ。でも……フェイトちゃんが、フェイトちゃんがそんな目で見られたら嫌だよ。私のせいで、フェイトちゃんが。だから私にキスなんてしちゃいけなかったんだよ!」
「なのは……」

優しいなのは。大好きななのは。
やっぱり私は、あなたに守られてたんだね。
だけど私は、そんななのはの気遣いを無視するように、目の前の愛しい人を抱きしめた。

「離して、フェイトちゃん」
「やだ」
「わかってるの? 誰かに見られたら」
「いいよ。私はいま、みんなに見せつけてやりたい気分なんだ」
「フェイトちゃん……」
「なに?」
「私、すごいヤキモチ妬きなんだ」
「うん」
「あの男の子、やだ」
「そうだね。じゃあ別れるよ……ヴィータとは」
「ん……んんっ!? ヴィータ!? ヴィータちゃん?」

涙も引っこむくらい驚いたなのはに、私は笑みを押し殺した。
つまりそれが、はやての作戦だった。
変身魔法を使ったヴィータに彼氏役をやらせて、なのはの本音を引き出す。
祝福されるようなら、脈はなし。だけど、ちょっとでもそれ以外の反応を示すようならまだ可能性はある。
顔がクロノに似たのは、モデルにしたからだった。

「ひ、ひどぉい。それじゃ、あの電話とかデートの話とか全部うそ?」
「あ、それは本当。一応。ちゃんとしないとリアリティがなくてすぐバレるからって、はやてが」
「うぅ……なにそれ〜」
「あんたがうじうじしてるから悪いんでしょ」

460 名前:後編7/7[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:20:55 ID:zU3aLpLa
そう言ってなのはの背後から歩いてきたのはアリサだった。
隣にはすずか、一歩遅れてはやてもいる。

「アリサちゃん、すずかちゃん。用事ができたから、お昼は来られないって」
「ごめんなさい。なのはちゃんとフェイトちゃん、二人きりにしてあげたいって。はやてちゃんが」
「ズバリ、読みどおりやったやろ。なのはちゃん、もうそろそろ爆発する頃やろなぁって」
「ホント、たいした狸だわ」

結局、アリサもすずかも、私の知らないところではやての作戦に乗っていたのだ。
どの時点からはわからないが、二人は私の気持ちを、もしかしたらなのはの気持ちも、知ったことになる。
それは意外なことだった。
だって、二人ともそこに悪い感情を持たずに協力してくれたということだから。

「は、はわわ。あ、あの、これは、違うの、その私とフェイトちゃんは――」
「それはもういいって」

慌てて、おもちゃみたいに両手をバタバタさせるなのはの頭を、アリサは押さえつけるみたいに叩いた。
ピタッと動きが止まるのもおもちゃみたい。

「いったいこの中の誰が、あんたらを変な目で見るってのよ」
「少なくとも、私たちは応援するわ」

親友たちに囲まれたなのはは、すっかり赤面して私にもたれかかってきた。
たぶん、一気に力が抜けたんだろう。私も同じだった。

「なのは、私最近わかったことがある」
「ほえ?」

この世は理不尽で、うまくいかないことも多くて、頑張ってもむくわれなかったりするけど、でも――

「世界って、意外と優しいんだ」
「……そう。きっとそうだね」
「うん」

なんと言っても、私となのはを出逢わせてくれたんだから。

「ねえ、なのは。一つ聞いてもいい? 私がキスした時、本当に怖いだけだった?」

その答えは、聞かなくても想像できたけれど。
なのはは一つため息をついて、困ったように目尻を下げると、囁くようにつぶやいた。

「決まってるでしょ。ホントはね、すごく――」

461 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/10/27(火) 16:22:06 ID:zU3aLpLa
以上です
ホントは前編4/5でレイニー止めしようかと思ったんですが、そんなたいしたものを書いてるわけじゃないので自重しましたw
ちなみにフェイトたちは中2くらいのイメージで書きました
2010年02月10日(水) 19:20:46 Modified by ami_solger




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