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857 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:51:40 ID:fwHNjJ4y

ふらーり、つまりシグ×ヴィーたは正義、イヤナンカチガウ
ともあれ、夜も更けたところで賑やかしを投下させてくださいな

今回、ちょっとだけ毛色が変わってるような、
いつもどおりのような、そんな感じです、お気をつけ下さい

フェイなの前提ですがあんま絡みません、お気をつけ下さい
想像の中でユーノとフェイトそんがストロベリっています、お気をつけ下さい
ああそうそう、今回ユーノが出てきます、お気をつけ下さい

前から時々チラ裏と書いてましたが、

StS観てると、どうにもユーノはフェイトそん狙いにしか見えなかったわけで、
捜査官の話は全体的にその方向で統一しているような気がしない事もありません


858 名前:或る捜査官は走らない[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:52:20 ID:fwHNjJ4y

新暦79年 12月17日、皇國暦523年 破璃砂月の21日。
第73管理世界、将都イスカンデルクーリ陥落より13日後。

連合皇国、神門水海の会議場において、大連合会議が開催された。

皇国、及びその祖を同一とする四境国。

計5カ国の代表が集う唯一の会議であり、連合における最高決定機関である。

それはともかくとしてクラナガン、年の瀬の賑わいが人の心を癒していた。

クリスマス、管理局の進める少子化及び消費支出対策の一環である祝日。

古代ベルカ聖王が12月の25日、全国を行脚し白衣を反乱分子の血に染めた事に由来する。

年の瀬の賑やかしとして、特に恋人たちに重要な祭典ではあるのだが、
管理局法第2条4項「いかなる者も、己が信仰を強要をされてはならない」
に反しているとして、違憲であると主張する識者も少なからず存在する。

そのようなインテリたちの机上の空論もどこ吹く風と、今日もクラナガン中央駅前には、
イルミネーションで飾られた巨大なツリーが、敗北主義者を模した人形を吊るしている。

新暦79年、今年もまた比較的、平和な一年であった。



859 名前:或る捜査官は走らない[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:52:53 ID:fwHNjJ4y

『或る捜査官は走らない』



その日、息も凍える夜の最中に、ティアナ・ランスター執務官が家路へと辿る果て、
暖かな部屋へと入り、今日の夕餉は何だろうかと期待に胸を弾ませた視界の中。

早めに飾り付けられたクリスマスツリーに、つま先の回った綺麗な上段蹴りを叩き込む二人、
管理局の誇る狸と鼬、八神はやて三佐とユーノ・スクライア無限書庫司書長の姿があった。

クリスマス、中止のお知らせ、などと叫んでいる。

「あ、ちょっと私は商人や狼と一緒に金塊を密輸する仕事が残っていますので」
「ランスター、それはただの犯罪だ」

踵を返した執務官を珈琲が引き止めた、烈火の将が携えられている。

暖かな珈琲カップで悴んだ指先を慰める傍ら、そういえば今日の晩御飯は何ですか、
蟹だ、豪勢ですね、などと益体も無い会話を繋げる二人の横で、虐待を受けるツリー。

「いや、驚かせたみたいだね」

一息、爽やかな笑顔で額の汗を拭きながら司書長が近寄ってきた。

狂乱の理由を尋ねれば説く、古代ベルカの聖典に記されている由緒正しい行事なのだそうだ。

初代聖王が残した聖夜の書、リア充は死ねという有名な序文から始まるそれに、
聖夜の作法として聖樹に上段回し蹴りを百蹴するべしと定められていると言う。

ああ、そういえば毎年この時期、近所の聖王教会では聖歌隊による交唱賛美歌が、
嫉妬ぱわーマキシム全開!とか何とか、やかましかったなぁと思い当たる新人執務官。

そんな歴史と伝統の重さに遠い目をしている傍観者に、手招きをする狸が居る。

「さ、ティアナも溜まりに溜まった鬱憤を込めて、さあ」
「嫌です」

そんなツリーの向こう側で手招きをする、特別捜査官の誘いを一言で斬って捨てた。


860 名前:或る捜査官は走らない[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:53:31 ID:fwHNjJ4y

「なんでや?」
「何で心底不思議そうな顔で聞いてくるんですか」

八神はやて三佐、年齢お肌の曲がり角、苦界に堕ちるには道連れが欲しいお年頃であった。

「ほら、フェイトちゃんのお肌ってスベスベやん」

突然に話題が摩り替わる、語り手の真意を量りかねて、周囲の空気に戸惑いの色が混ざる。

「それで前に、すね毛の処理をどうしているのか聞いてみた事があるんよ」

挑発なのか、ただの世間話なのか。

ともあれメモ帳を出すべきかと迷い始めた聞き手の耳に、ただ一言が届けられる。

「生えた事無いって言っとったわ」
「だらっしゃあああああぁぁッ!」

蹴った。

何か不平等とか世界の残酷さとか、そんなやるせない哀しみに満ちた蹴り足であった。

ひとり陥落と、にんまりと笑顔を見せる狸と鼬の姿が、何かもう救いようが無い有様で、
離れたところで炬燵に入っている烈火の将だけが、無駄に平和な空気を醸し出している。

そんな混沌の寝室に、喧しく突入してきた影が在った。

「えーん、はやえもん、たすけてよー」
「もう、仕方ないなぁ、なの太くんはって、誰が青狸じゃああああぁぁッ」

書くまでも無い。

「あ、ちょっと私は特急用100系の思い出ドラマに特別出演する仕事が残っていますので」
「ランスター、終電時刻は過ぎているぞ」

そそくさと、立ち去ろうとする人を引き止める炬燵の魔力、蜜柑と烈火の将も常備されている。
天板の上に焜炉と土鍋が用意される頃には、司書長が話を進めるべく問いかけていた。


861 名前:或る捜査官は走らない[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:54:45 ID:fwHNjJ4y

「どうしたんだい、なのは」
「フェイトちゃんにクリスマスの予定を聞いたら、用事があるから一緒に居られないって!」

言うが早いが綺麗に足刀蹴りをクリスマスツリーに叩き込む教導官。

格闘の才覚に欠ける教導官の、それでも百錬自得の執念で辿りついた、美しき足刀であった。
全力全壊、とか叫んでいる様からは、慣れ親しんだ模様が例年の事なのだろうと想到させる。

土鍋がぐつぐつと音を立てる頃合に、一息を入れた教導官が疑問を口にした。

「って、あれ、ユーノ君は?」
「スクライア司書長なら、さきほど大慌てで駆け出していきましたよ」

「流石に目敏いな、スクライア司書長は」

疑問と戸惑いの静寂の中、何に気がついたのかと空気が問いかける。
3人の視線を受けながら、烈火の将は取り皿の酢に柚子を絞りつつ、言葉を解きはじめた。

「つまりだな、テスタロッサがお前より優先という事は、あれだろう」

指を立ててひとつひとつ、キャロやエリオを含め、様々な事件から保護した子供たちの名前を、
預けられている施設や学院の名前を挙げていき、両の手の指を使い切ったあたりで、続ける。

「私が司書長の立場なら、そうだな、誰よりも早くテスタロッサに近づいて」

―― 張り切るのもいいんだけど、何でも一人でやろうとしすぎじゃないかな
―― え、でもせっかくのクリスマスなんだし、ユーノだって忙しいでしょ
―― 休暇、だけど残念ながら寂しい独り身でね、ヒマなのも何だし、付き合うよ

「和気藹々とした空気の中、さりげなく負い目をおわせた上でこう囁きかける」



862 名前:或る捜査官は走らない[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:55:13 ID:fwHNjJ4y

―― そうだ、じゃあ埋め合わせと言ってはなんだけど、年明けに付き合ってくれないかな
―― 年明け?
―― ああ、教会の方に出店が出てるだろ、ヴィヴィオも呼ばれているみたいだし

「書庫の責任者としても軽く視察ぐらいはしておかないとね、とか職務上の必要性も強調」

48のベルカ技のひとつ、無駄に上手い声帯模写が、脳裏に描いた情景に彩りを添える。
想像の中の二人は笑っていた、なんかもうそのまま結婚してしまえという空気が醸されていた。

「全てのお膳立てに、使い魔や義理の兄の協力を得るのも容易な立場だ、勝算は高い」

結論に至った後に一息、ぐつぐつと音をたてる土鍋の周りを見渡して、
3人分のポン酢を作り出した解説者が穏やかに問いを発した。

「で、高町はどうした?」
「付き合うよあたりでエクシードになって、勝算で駆け出していきました」

閉まりきっていない部屋の扉が、いまだぷらんぷらんと揺れている。
扇動者が仕方ないやつだと笑いながら扉を閉めて、炬燵へと戻ってくれば席には3人。

当事者が居なくなった事を確認してから、締めの言葉を告げた。

「まあ、そう巧く事を運べる度量があれば、高町に想い人を奪われるはずも無いのだが」

そのままに鍋の蓋をとってみれば、中で音を立てる蟹の足、その数は6本。

「まあなんや、ええ仕事やシグナム」

端的に言って、3人で分ける分量であった。



863 名前:或る捜査官は走らない[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:55:39 ID:fwHNjJ4y

(余談)



無限書庫仮眠室、昼なお暗き書物の闇に、香ばしい香りが広がって、溶けた。

蟹の甲羅を火にくべて、グツグツと味噌が沸いた頃合を見計らってブツを入れる、
そんな他の司書の胃袋を痛めつける行状を為しているのは、青い毛皮に包まった少女。

「本日のビックリドッキリ間食、おにぎりー」

薫りたっている蟹味噌の中に投下されたのは、三角柱と言うには少々不恰好な、
強いて言えばプラトン立体を連想させる形状のライスボール、作り手は言わずもがな。

そんな傍若無人を地で征く人影に、時折、書庫に出没している狼幼女が問いかけた。

「いや、なんでヴィヴィオはそんな年齢で、無駄に渋い食べ方をしているんだい」

言葉の向こうに、何人かの司書がフラフラと売店に蟹カマを買いに旅立っていく。

「だって、はやてちゃんの家の冷蔵庫に、蟹が入っていたんだもの」
「ああ……フェイトの娘だねぇ」

足の6本を残しておいたのは、優しさと言うべきなのであろうか。

ともあれ、蟹の爪をもらってがりがりと齧る二匹の狼、蟹を食いに去る何人かの司書、
そのままで人の家の冷蔵庫を勝手に漁るなとか言うものだから、説得力が素晴らしい。

何にせよ、粟を辞して首陽に臥し、屡空しくて顔回飢う。

当代飲むを楽しまずんば、虚名安んぞ用いんや。

蟹螯は即ち金液、糟丘は是蓬莱。

(終)


864 名前:或る捜査官は走らない[sage] 投稿日:2009/12/08(火) 01:56:26 ID:fwHNjJ4y
あとがきー

季節ネタの隙間産業、クリスマス直前話でした
2010年02月11日(木) 02:03:19 Modified by ami_solger




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