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34-191-200

えらく長くなってしまったのでまだ未完成ですが、SSを投下させてもらいます。
なのはさんにうっかりキスマークを付けてしまったフェイトさんの受難。
後半フェイトさんがちょっとヤンデレるので苦手な人は要注意。10レスぐらいで。



水音が響く。
淫液の音。舌の絡みあう唾液の音。
くちゅくちゅとわざと音を立てて響かせる。

「やっ、あ……フェイトちゃ……」

なのはの体は甘い毒のようだ。
どれほど抱きしめてもけして飽きることなどなく、もっと、もっと、と求め続け、貪っていく。

「も、う……あ、ああっ―――」

ビクリと一際大きく体を跳ねさせて、しばらく痙攣した後になのはの動きが止まる。
体に触れても、荒い息で応えるだけ。
ここまで、かな。これ以上は明日の仕事に障りそうだ。熱い体を抱き寄せ、目を閉じる。

なのはが感じてくれたこと。
そのことに充足を覚えながらも、焦がれ求め続ける炎が消えず、燻り続ける。
目の前の人にしがみつき、欲求を堪え、堪えようとして……なのはは何かに気づいたように飛び起きた。

「ああーーーーーーーーーーーー!?」
「な、なのは?」
「フェイトちゃん!」
「はい!」

「キスマーク付けたら駄目って言ったでしょーーー!!!」

悲鳴に近い声を上げ、なのはが指し示したのは左鎖骨の少し下。
そこには暗がりでもはっきりと見える、私がなのはに触れた証が残っていた。

「ご、ごめん!」

まずは謝る。
常日頃言われていたとは言え全くの無意識でしたこと。ただただ、なのはを求めてできた跡。
けれど、なのはがキスマークを付けられたくない理由はよく分かっていたから申し訳なく思う。
キスマークなんて誰に見られても多少は気まずいものだけれど、その中でも特に、

「もー……明日からヴィヴィオとお風呂入れないなー。フェイトちゃん早めに帰れる?」
「うん、何事もなければ。明日は私が一緒に入るよ」

問題なのはヴィヴィオだ。
今この場ですら見える紅。明るいお風呂場では誤魔化しようがないだろう。
見られてそれは何かと問われても、私との情事の痕跡だと答えるわけにはいかない。『ねえ、なのはママ。そこ赤くなってるの怪我してるの?大丈夫?』
『これ?大丈夫。怪我じゃなくてフェイトママとエッチした時の跡だよ』
『!?』

正直に答えたらヴィヴィオグレちゃうよね……。
グレなくても多感な時期だからショックを受けるに違いない。
うん、駄目だ。今は誤魔化せても、いつか知ってしまう時が来るかもしれないからやっぱり良くない。
…………いつか、なんて来ないでほしいものだけど。

「ごめん、なのは」
「もういいよ。次からは気をつけてね」
「うん」
「でも……これが消えるまでエッチ禁止」
「!!!」

衝撃が走った。
いやでも、私が悪いのだし2、3日程度で消えるだろうから我慢しよう。
……2、3日程度。2、3日も。明日も明後日ももしかしたら明明後日も。
…………拷問のような気がしてきた。

「あの……抱きしめるのも駄目かな?」
「ん、それくらいならいいよ」

往生際悪く交渉する私に寄り添ってきたなのはを捕まえておく。
これで最低限の心の平穏は確保できた。

「キスは……?」
「……ちょっとだけなら」

よかった。それなら数日は辛うじて耐えられそうだ。
とりあえず許可をもらったので早速唇を触れ合わせる。
柔らかな甘い感触に、少しばかり引っ込んでいたなのはを求める情動が胸を焦がす。
すぐに物足りなくなってもっと繋がりたくなって舌を挿し込み、なのはもいつものように絡めようとして……

「んくっ……フェイトちゃん、深くしないで……」
「!?」
「いやそんなこの世の終わりみたいな顔しないでください。……それされると私がしたくなっちゃうからダメ」
「うう……分かりました」

ちょっと甘えたような口調で窘めるなのはに襲いかかりたくなるのをどうにかこうにか堪える。
ある意味誘っているような台詞だけれど、しつこく迫ってもその気にさせる前に怒らせるだけだ。
なのはが一度決めたことを簡単に覆せるなら苦労はしない。
……まあ、その意志の強さが好きなところでもあるのがまた困りものなんだけど。

「深くしなければいいんだよね?」
「う、うん」

よし、ならば。と再び顔を寄せ、唇を奪う。
舌は入れない。下唇を軽く吸い、甘美なそれを味わうように愛撫していく。「ん……も、う……なんかえっちだなぁ、フェイトちゃん」

困ったようななのはの言葉に少し考える。
私はそんなにエッチなのかな?
ただ、君が愛しくてどうしようもないだけなのに。
こうしてないと気が触れてしまいそうなくらいに君が欲しくてたまらないだけなのに。

私がイヤラシイと思えるのだとしても、それはきっと、なのは、君の甘い毒が全身に回ったせいだ。



「……そんなにがっかりした顔しないで」

翌日の夜。
寝室で二人きりになっていそいそとなのはのパジャマのボタンを外した私。
いまだはっきりと見える色についつい落胆の表情を浮かべてしまった。

「ああいや、これはその……」
「まあ、見ての通りだから今日は我慢してね」
「………………」

がっくり。
弁解の余地のない程に肩を落としてしまう。

…………………………………いや、気を取り直そう。
エッチは出来なくてもイチャイチャは出来るのだし、落ち込んでいるのはもったいない。
と、顔を上げようとするとふわりと頭を包まれた。なのはの柔らかな感触で。

「そんなにしたかったの?」
「えと…………はい」
「そっか」

軽い溜息と共に響く少し嬉しそうな声。
なのはの胸元に顔を埋めたまま、宥めるように頭を撫でられた。
ふにゃりと力が抜け、甘い花の蜜のようななのはの香りで鼻腔が満たされくらくらする。
時折頭に口づけをされているような感覚。
ますます力が入らない。ぐらんぐらんと揺れる頭を抱えられるままになのはに身を預けた。

「ッ!!」

耳を食まれビクリと体が震えた。
そして、咥えられたまま舌でなぞられ息が荒れる。

(こ、これってエッチに入らないの?)

喉元から出かかった声を飲み込んだ。
止めて欲しくなかった。もっとなのはに愛される幸せを感じていたかった。

「ふ……ぁ……あッ―――」耳の中を舌で触れられて堪えていた高い声が上がる。
直接脳に響くようななのはの甘い吐息と水音に支配される。

「フェイトちゃん……」

熱を帯びた囁きに、期待で胸が膨らむ。
けれど、なのははグッと抱きしめる手に力を込め大きく息を吐くと

「…………おやすみ」

と言った。
な、生殺しだ。生殺しだ。生殺しだ。
ひどいよ、なのは。と顔を見るとその瞳は熱情で潤んでいて、我慢していることが伺えた。
我慢するくらいならしてくれればいいのに、と思えど、
行為に至れない原因が私にあることを考えると口に出すこともできない。
すり……と猫のように頬をなのはの首筋に擦り付けてねだってみる。

「ごめんね……」

ああ、今日はもう駄目だ。静かな声を聞いて理解する。
心の中でう〜と唸り声を上げ目を閉じた。



次の日の夜。
キスマークが消えているかもしれない日の夜。
こんな時に限って仕事が終わらず、帰宅は深夜になってしまった。
寝ているなのはを起こさないようにそっと隣に潜り込む。

「ん……ふぇいとちゃん?」
「あ、ごめん。……えっと、ただいま。とお休み」
「おかえり……」

半分眠ったような声で言うとなのはは私の背に腕を回した。
そのままくうくうと寝息を立てだす。

(あ〜〜〜〜〜〜、なのは可愛いなぁ!もうっ!)

叫んで抱きしめたままゴロゴロ転がりたくなる。けど我慢。疲れてるのに起こしたら駄目だ。
はだけた肩口に目をやるとそこには色味は着いていないようだった。
なのはのぬくもりを抱いて、明日だ、明日。と念仏のように唱えて朝を待った。



「フェイトさん、なんだかそわそわしてますね」
「えっ、そうかな?」デスクワークの最中、シャーリーに指摘されて慌てて気を引き締める。
知らぬ間に今夜のことを考えてしまっていたのだろうか。
いけない。仕事に集中しようとなのはのことを思考の外に追いやろうとした。
心の中心が占拠されているのはどうにもならないから難しいけれど、他のことに集中することぐらいは出来る……はずだ。
けれど、シャーリーはふと思いついたように言ったことに心を乱される。

「なのはさん、シャマル先生のところにいらしてたみたいですもんね。診察の結果が気になってるんでしょうか」
「えっ、いつの話?」
「今日ですけど……あれ、もしかして……」
「聞いてないよ、私」
「あああ……し、仕事しましょうか!ほら、これ片付けないと!」
「うん」

失言したと慌てるシャーリーに落ち着いて返事をする。少なくともそう見えるように。
通院日は明日のはずだ。
放っておくと、仕事にかまけて病院に行かなくなるなのはを管理するのも私の役目だから当然知っている。
変更があったことをなのはから聞いていなかったことで不安を感じたけれど、
何かあればシャマル先生の方から直接連絡があるだろう。と心に立ち込めかけた暗雲を振り払う。


また……深夜になってしまった。
帰宅したのはもう夜というより朝に近い時刻。
なのはは眠っている。例の件を尋ねるのは明日にして、今日こそは起こさないようにとそろりとベッドの中に入って行く。
けれど、

「フェイトちゃんお帰り……」
「ご、ごめんっ。起こした」
「いいよー。フェイトちゃんの顔見られて嬉しいから」

うっすらと目を開けて眠たそうにしながらも、ふにゃっと笑うなのはに癒されて何もかもどうでもよくなりかける。
が、起きたのなら一つだけ確認させてもらおう。

「なのは、今日、というか昨日シャマル先生のところに行ったんだって?」
「あー……言うの忘れてた……シャマル先生出張だから診察の日にちずらしたんだ」
「ああ、なるほど……―――!?」

頷いた私だったが、寝返りをうつようにゴロンと仰向けに転がったなのはの襟元がはだけ、見えたそれに目を疑った。
そういえば、シャーリーの同期の管理局員に診察室の近くでサインをねだられたとか、その辺から伝わったのかなーとか、
もうほとんど寝ているように話すなのはに相槌を打ちながらもその言葉は頭を素通りする。

どうして?どうして、キスマークがあるの……?

てっきり消えていると思っていた。
昨日の時点でそう思っていたし、シャマル先生に診察してもらった後だから、
内出血(キスマーク)も治療されていてあるはずがないと思い込んでいた。

私が付けたのと同じ場所。
私が付けたのよりも色鮮やかに思える刻印に縫い止められたように口が動かない。
そうして、疑問をぶつけられないまま見つめているうちに、なのはは寝入ってしまった。何でも無いことなのかもしれない。
昨夜私が見間違えただとか、私が寝ぼけて付けただとかもそんなところだろう。
穏やかな寝息を立てるなのはをそっと抱きしめて、軽く触れるだけの口づけを落として、揺れそうになる心を抑えた。



翌朝、なのははもう既に居なかった。ヴィヴィオも学校だ。
誰も居ない家で目覚め、用意されていたご飯を温め食べる。
いつもどおり美味しいなのはのご飯。けれど、少しだけ味気なく感じるそれを平らげると仕事へ向かった。

―フェイトちゃん、今日の帰りは何時くらいになりそうかな?
―まだ分からない。けど、晩ご飯には間に合いそうにないよ。ごめん、なのは。
―いいよ。お仕事頑張ってね。

今日も忙しい。
私用の連絡を取る時間はなかなか取れず、昼過ぎになのはから来たメールに大分遅れて返信した。
なのはからのメールは私のエネルギーの源の一つであり、その最たるものだ。
だけど、今は……

「なんか、冷たい……」

独り言ちってしまう。
普段ならもう少しふざけて、冗談混じりに早く帰ってくるよう催促するものだ。
なのはの言動に一喜一憂してしまう私が冗談だと分かるように。
『フェイトちゃんが居ないと家が広く感じるなー。寂しくて私が死んじゃう前に帰ってきてね♪』
といった感じで。
こんなメールでも見た瞬間私は焦ってしまうけれど、なのはに愛されていると実感出来るだけで満たされる。
それなのに、簡潔で。簡潔過ぎてなのはの心が見えないメール。
忙しい私に対する気遣いは感じるし、なのはだって忙しくて余裕が無いのかもしれない。
けれど、でも。……ぞわり、と心の奥底で不穏な何かが鎌首をもたげる感覚がした。


帰宅途中の車の中で溜息をつく。やはり遅くなってしまった。
こんな時間ではもう眠ってしまっているだろう。
合わないときはとことん合わない私となのはの生活。
事件に合わせて仕事内容が変動する執務官と、今は比較的勤務時間が定まっている教導隊員なのだから当たり前といえば当たり前。
長期任務の最中とは違い、隣で眠れるだけ幸せだと自分に言い聞かせながら車を走らせる。

「あれ?電気点いてる……?」

高町家を見上げると、なのはの部屋に明かりが灯っていて首を傾げる。

「ただいまー……」

もしなのはが起きてたとしてもヴィヴィオは間違いなく寝ているはずだ。
出来るだけ物音を立てないようにしながら小声で家の中へ声を掛けると、同じく足音を殺したなのはが奥からやってきた。「おかえり、フェイトちゃん」
「うん、なのは。まだ起きてたんだ」
「……ちょっと話したいことがあって。フェイトちゃん疲れてるだろうけど……」
「聞くよ」

歯切れ悪く言うなのはにあまりいい話ではない予感がした。
お風呂に入ってゆっくりしてからでいいとなのはが言ったから入ってはみたものの、
湯に浸かっている最中も嫌な方向へ嫌な方向へと思考が飛んでゆっくりするどころではない。

「ああっ、もう!」

声を上げ、ザパッと音を立てながら湯船の中から立ち上がる。
どうして私はいつもこうなんだ。マイナス思考になんて囚われたくないのに。
乱暴に体を拭いて、髪を乾かすのもそこそこになのはの待つ寝室へと向かった。

「フェイトちゃん、やっぱり疲れてる?」

ベッドの上に腰掛けているなのはが私の顔をジッと見つめて言った。
おそらく顔色の芳しくない私に、したかったという話を告げるのを迷った様子のなのは。
話を進めるように促すと、ゆっくりとパジャマのボタンを上から一つ、二つと外す。
そして、襟元を軽く引っ張った。

「―――ッ!?」
「これ、のことなんだけど……」

言いづらそうにしているなのはの言葉は耳に入らない。
私の視線はなのはの胸元に釘付けになっていた。
点々と咲いた桜色の印。明らかに私が付けたものより多いそれ。

ダレガ、ツケタノ?

シャマル先生?ヴィータ?それとも、名前も知らないなのはのファン?
知りたい。知りたくない。
相反する感情がドロドロと渦巻いていく。

「あのね……―――んっ!?フェイッ……ん、んむ……」

言わせたくない!今は、他の人の名前を聞きたくない!

遠慮がちに口を開いたなのはに感情が爆発した。
噛み付くように唇を合わせ、なのはの口を塞ぐ。
そのままベッドの上に押し倒し、口腔を犯すように舐っていった。
暴挙に出た私に混乱したように逃れようとするなのはを押さえつけ、行為を続ける。
けれど、舌を挿し入れてもいつものように舌を絡めてはくれない。なのはの舌を捕らえられずに苛立ちが募る。
唾液を流しこんでも飲んではくれず、暴れるなのはの口元から零れ出る。

満たされない想いをもてあました私は、首筋、そして胸元へと唇を這わせ、赤を上書きするように強く吸い上げる。

「フェイトちゃん!?駄目だってば!!」口が開放されたなのはは声を上げ、私を制止しようとする。
が、止まらない。昏い炎が一層燃え上がり心をチリチリと焼く。

「なんでっ……私にはいつも駄目だって言うのに……誰が、こんな……!」

抑えていたものを吐き出すように言葉にする。
吸い上げる。きつく、きつく。二度と消えないことを望む強さで。
ずっと、こうしたかった。ずっとずっと、我慢してたのに!

激情をぶつけると私とは逆に、なのはの動きがピタリと止まる。
人形のように動かないなのはに私はむしゃぶりつく。
何も考えず。なのはが欲しい、と心の命じるままに。

けれど、

「……離れて」

耳元で響く冷たい声。
何度か聞いたことはある。
けれど、今まで私には向けられたことのなかった冷徹な声に冷水を浴びせられた心地がした。

「レイジングハート、お願い」
『……All,Right』

砲、撃……?
反射的に身を強ばらせた私の肩を押し、なのはは身を起こした。

そして目の前に現れたモニターに映し出される映像。
レイジングハートに頼んだのはこの事のようだ。
すっかり気勢を削がれた私は呆然と画面を見つめるのだった。




―――今より二日前のこと。高町なのはは困惑していた。
愛する人に抱きついて眠ったような記憶は朧気にあった。
だからその愛する人、フェイトが隣で眠っていることは当たり前。
だが、当たり前ではない行動を取っている彼女に困惑していた。

「んっ……んー……」

なのはの胸元に縋りつき、むずがるような小さな声を上げて肌に吸い付いているフェイト。

「あのー、フェイトちゃん?」

声を掛けても反応はない。
完全に寝入っているフェイトを無理に起こす気にはなれないなのはは困り果てていた。

(フェイトちゃん可愛いけど……また跡付いちゃうよ〜)なのはは心の中で嘆くが、もう完全に手遅れであった。
せっかくほぼ消えかけていたキスマークはフェイトによって再び、以前よりも強くなのはの肌に咲いていた。

「……エッチお預けになっちゃうよー、いいのかなー」
「う〜……」

なのはが切り札を取り出すと、フェイトは泣きそうな声を上げてより強くなのはにしがみつく。
起きているのではないか?と一瞬疑うなのはだったが、それならこんな行動には出ていないだろうと思い直す。
次に考えたのは酔っている可能性。軽く匂いを嗅いでみるが、いつもの優しい落ち着く匂い。アルコール臭等はしない。

「仕方ない、か……」

フェイトの香りで満たされたなのはは細かいことを放り投げてしまった。
後悔は朝になってからしよう。と吸われるに任せてフェイトの頭を撫でると、
次第にフェイトは穏やかな幸せそうな表情になり、けれどなのはに吸いつくのは止めず、色濃い印を付けたのだった。



その翌日。
なのはは本局医務室のシャマルの元を訪れていた。

「なのはちゃん、いらっしゃい。今日はどうしたの?」
「調子はいいんですけど、ちょっとシャマル先生じゃないとまずい理由がありまして……」

最近のなのはの体調はそれなりに安定している。
主治医のシャマルでなくても出来る程度の検査しか必要ではなかった。
本来ならば、シャマルが出張でもわざわざ診察日をずらす必要などなかったのだ。
理由を説明しようと、上着を脱ぎ、シャツのボタンを外したなのはの胸元に見えた赤い痣に目を見張るシャマル。
けれど、なのはの顔に浮かんでいるのは苦笑混じりの照れ笑いで、
誰が付けたものだかすぐに理解したシャマルの表情は笑顔に変わった。

「あらあらあら、相変わらず仲が良いのね〜」
「あはは……フェイトちゃん寝ぼけてて」
「なるほどね。他の先生には言いづらいわよね」
「すみません、シャマルさん」

シャマル相手でも恥ずかしいことは恥ずかしいが、気心の知れた相手の方が見せやすいというなのはの選択。
気安い態度とは裏腹に、頑なで秘密主義的なところのある困った患者の信用を得られていると実感してシャマルの口元が綻んだ。
ただ、一つ懸念材料が浮かぶ。

「でも、寝ぼけてそんなことするなんてフェイトちゃん大丈夫なのかしら。
 普段しないことをするのは何かのシグナルかもしれないわね。不安そうにはしてなかった?」
「心配かけちゃってるのはいつものことですから……。それと、他にも心当たりはあるんですが……」
「言いづらいこと?」
「はい……私だけのことならともかくフェイトちゃんは人に聞かれたくないと思いますし」
「無理にとは言わないわよ。私もそっちは専門じゃないしね。でも困ったことがあればすぐに言いなさいね」
「はい、ありがとうございます。シャマル先生」精神疾患に近いほどの心配性であるフェイト。
睡眠時の行動は心の中の不安が現れたものではないかと指摘するシャマルに、心当たりの有り過ぎるなのはは曖昧に答える。
おそらく初めにキスマークを付けた時は、なのはにどこへも行って欲しくない、側に居て欲しいと望む心が現れたもの。
そして、次……昨晩付けられたのはそれに欲求不満が加わったせいだろう。
フェイトを、自分を、戒める意味でなのはが科したセックス禁止令が大きな要因。
なのはを求めるフェイトが可愛くて愛しくて、危うく約束を破り掛け、寸止め状態にしてしまったのもまずかった。

「どうする?それも治療する?」
「……このままでいいです。せっかくフェイトちゃんが付けてくれたんだし……」

キスマークを消すかと尋ねるシャマルになのはは否定した。
なのはもキスマークを付けられるのは本当は嬉しいのだ。どこにいてもフェイトの存在を感じられるようで。
ただ他の人に見られるのは良くないから、理性を働かせて普段は拒否しているだけだ。
消した方がいいのかもしれないが、傷のように扱ってフェイト以外の誰かに消されたくはなかった。

「はいはいご馳走様。いいわねぇ、若い人たちは」
「いやでも、肉体年齢はシャマルさんの方が若いじゃないですか」
「何を言ってるの!このぷりっぷりのお肌!憎いわ、憎らしいわっ、なのはちゃん!」
「や、やめてくださいよー」

露になったなのはの肌をツンツンと指先でつつき、本気とも冗句ともつかない台詞を吐くシャマル。
こんなふうに時々じゃれ合うようにしながらも、真面目に診察もして、その日の検査を終える。
検査結果は良好であった。(一部内出血を除く)


その夜、高町なのはは困惑していた。
時が巻き戻ったかのように、昨晩と同じ状況に置かれていたのだ。
ベッドで眠っていたなのはに抱きついて胸元に顔を埋めているフェイト。
叩き起そうかとも思った。けれど、幸せそうなフェイトの寝息に手が止まる。

はあ、となのはは溜息をつく。
二日続けてのことだから癖になってしまっているのかもしれない。
明日、きちんとフェイトと話そう。
眠っている時にしていることと、その解決策について。
睡眠時のことを責められても困ってしまうだろうから、なるべく穏便に。フェイトが気に病まないように。
もしどうしても治らないのならシャマルに相談することも視野に入れて。
どれほど遅くともフェイトの帰りを待ち、腰を落ち着けてゆっくり話そうとなのはは決めた。

実際に見た方がわかり易かろうと、レイジングハートの内部に記憶されている自分の映像、
問題になっている部分の編集を彼女に頼み、なのははフェイトの帰りを待つ。

そして現在に至る―――
2010年10月16日(土) 22:22:43 Modified by nanofeisuki




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