34-527-532
ちょっと病んでるフェイトさんで恋人同士ななのフェイ話を投下します。6レスぐらい。
時期は決まっていませんが、聖祥は卒業しています。
『……何回目やったっけ?』
『覚えてるけど言うのはちょっと』
『んー、まあ私も具体的な回数が聞きたかったわけやなくて……』
『うん、心配だよね』
お手洗いへと席を立ったフェイトちゃんの姿を見て、こっそり念話を飛ばしてきたはやてちゃんに私は同じく返した。
今は、長期航行任務から帰還したフェイトちゃんを慰労するという名目の元、
高町家でささやかなパーティーを開いている真っ最中。メンバーは聖祥時代からの仲良し五人組。
はやてちゃんと会話をしたように残る二人も思うことは同じのようで、表情にフェイトちゃんへの心配が浮かんでいる。
無言のまま、紅茶やジュースをすすり2,3分ほどか。
「ごめん、みんな……」
申し訳なさそうな表情で帰ってきたフェイトちゃんに、たまりかねたようにアリサちゃんが言う。
「もー! フェイトあんた、どっか具合でも悪いの? 体調悪いのに無理して参加しようとするんじゃないわよ!」
「ご、ごめん、アリサ。ちょっと……うん、お腹の調子悪かったんだけど、もう大丈夫だから……ごめん」
「本当に、大丈夫なの? フェイトちゃん」
「大丈夫。ごめん、なのは」
頷いて、元通りに私の隣に座ったフェイトちゃん。
本人がこう言うなら、と違和感の残ったまま再開されたパーティーは、けれど直ぐに元の和やかな雰囲気に戻った。
パーティーと言ってもみんなで楽しく食事をしながら会話をする、小さな頃よくしていたことと変わらないけれど、
こうして全員揃うのは久しぶりのことで、いくら話しても話し足りない。
「へぇえええ〜〜、すごいねーフェイトちゃん」
「や、その……偶然だよ。たまたま」
「そんなことないって。さっすが私の自慢の恋人さん♪」
「あう……」
航行中に古代遺物を悪用しようとした魔導師に遭遇し逮捕した、というフェイトちゃんの話を目を輝かせながら聞く。
遭遇したのは偶然かもしれないけど、逮捕できたのは実力だよね。
もっと自信を持っていいのにな、フェイトちゃんは。なんて思いながら照れ笑いを浮かべる彼女をみつめ、
主役であるフェイトちゃんの任務のことやみんなの近況報告をしているうちにまたたく間に小一時間、楽しく過ぎる。
そして、その辺りから――フェイトちゃんの様子がおかしくなっていった。
口数が減り、ソワソワソワソワと落ち着かなく目線をさまよわせる。
頬が上気していて……まるで酔っているように目が潤み、トロンとしているけれど、お酒なんてここにはないはずだった。
「フェイトちゃん、大丈夫?」
「え、な、なにが?」
「なんだか落ち着かないみたい。ねえ、またお腹の調子が悪かったり、他に何かあったりするなら、無理しないで」
「なのは……」
心配で仕方なくてじっと目を見つめていると、フェイトちゃんは飛び上がるように立ち上がり、
「ご、ごめんっ、お手洗いに……」
と、誰とも目を合わせないまま部屋を出ていってしまった。
また四人で顔を見合わせる。
こうして集まれる機会はそう多くはない。自分が原因で終わりになってしまったとなればフェイトちゃんは気にするだろう。
逡巡するけれど、きっとこれを言い出すのは恋人の自分の役目だと口を開く。
「…………もう、お開きにしよっか」
「そやねー、口では平気言うても無理する子やから」
「ったくもう! 無理したら慰労会の意味ないじゃないの!」
「ふふ、アリサちゃん、心配だからってそんなに怒らないであげて」
「す、すずか。心配なんて大してしてないわよ! とにかく今日はもう終わり! 主役があの調子じゃどうしようもないでしょ。
戻ってきたら無理矢理にでも医者に診せるわよ!」
アリサちゃんの指示にみんなほっとしたように頷く。
きっとみんな内心少し嫌だったのだ。
フェイトちゃんがちょくちょく席を外すことが、
ではなく、フェイトちゃんに無理をさせているかもしれないのにパーティーを楽しんでしまっていることが。
「じゃあ、鮫島に言ってうちのかかりつけの医師を……ってそっか、あんた達の場合は……」
「うん、魔力の変調もあるかもしれんし、ミッドの病院で調べてもらったほうがええやろね。私が緊急用の転送陣用意しとくよ」
「ああもうっ、はがゆいわね! あんたらのこととなると……このアリサ様ともあろうものが、無力でっ」
フェイトちゃんのために何かしたい、と思いながらも何も出来ない自分を歯がゆく思い地団駄すら踏みかねない様子のアリサちゃん。
少し、昔の自分を思い出す。魔法と出会う前の、無力感で押し潰されそうな自分を。
「無力なんかじゃないよ。アリサちゃんがそうやって思いやってくれて怒ってくれるたびに心があったかくなって、
私達に力をくれる。魔法の力は、心の力、だからね。特にそういう想いの力が大切なんだ」
「なのは……」
「それに私は、優しいアリサちゃんが大好きだから、友達でいてくれてとっても嬉しいよ」
「ば、ばっ……なに小っ恥ずかしいこと言ってんのよ!!」
「ちなみにそれは私も、もちろんフェイトちゃんもやよ」
「はやて!!」
「ふふ、みんなアリサちゃんのこと大好きだもんね。でも……アリサちゃんを好きな気持ちでは負けないよ」
「す、すずか……ってもうっ! 今はこんな話してる場合じゃないでしょうが!」
と、しばらくは、フェイトちゃんの心配はしているけれど自然な、友達と居る時の何ものにも代えがたい雰囲気で過ごす。
でも――
「………………おっそいわね………………」
「もう二十分以上は経つよね……」
イライラと心配そうに口に出したアリサちゃんにすずかちゃんが続ける。
これを弾鉄に、
「私、見てくる!!」
と言い放ち、私は部屋を飛び出していった。
足音が聞こえるように小走りにいく。
突然のことに驚いてしまわないように。恥ずかしがり屋のフェイトちゃんが気にしないように。
私と一緒にトイレに行く時もいまだに消音するフェイトちゃんだ。
私にだって音を聞かれたくはないだろう、特にお腹を壊しているのなら。
「フェイトちゃん……フェイトちゃん! 大丈夫!?」
トイレのドアをトントンと叩きながら声を掛ける。
喉から出た声は思っていたよりもずっと必死だった。それに応えるようにか細い声。
「なの、は……」
「うん! なのはだよ! フェイトちゃん!」
目の前のドアにすがりついたようにして発した声に返事はなく、嗚咽のような声が聞こえた。
「……フェイト、ちゃん?」
「……………ぅ、ぅ、なの、は……」
「うんっ、フェイトちゃん! 私は、なのはは、ここに居るよ!」
「う、ぁ……」
胸が締め付けられるような泣き声がして必死に語りかける。
そうしているうちに、カチャリとドアが開いた。
「な、のは……」
震える涙声で私の名を呼び、フェイトちゃんはポロポロポロポロと零れる涙を拭おうともせずに俯いている。
「フェイトちゃん……お腹、痛いんだよね。病院、行こ? 今はやてちゃんが手配し――」
「ちが、うんだ……ごめん。あれは、嘘で……でも、でも、私。病気みたい、なんだ……」
「ッ……どこ、が悪いの……?」
やっとのことで搾り出したフェイトちゃんの言葉に、目の前が暗くなりそうな感覚を覚えながら問いかけた。
びょう、き? 命に関わるようなものじゃない、よね?
フェイトちゃんは答えずに私の手を引き、一緒にトイレの中に入ると、パタンとドアを閉めてしまった。
鼻腔をくすぐった香りにクラリとする。
悪臭、じゃない。トイレに立ち込めているそれの正体に気づく前に
フェイトちゃんが繋いでいた私の手を自身のスカートの中へと引き入れた。
「え……えっ?」
フェイトちゃんはどこに触れさせるでもなく、私の手はスカートの中の空間でとどまっている。
なんのつもりだろうと頭の中がはてなでいっぱいになるけれど、フェイトちゃんの表情は悲しげで苦しげで。
……ここ、が病気なのかな。
そっと手を動かしてみるとすぐにドロドロとした液体で汚れた下着に触れた。
今もとくんとくんと漏れているようで黒のオーバーニーソックスにも垂れ落ちてしまっている。
…………もしかして、生理を病気だと思ったなんてオチ?
いや、そんなわけない。二人ともとっくの昔に初潮は迎えているし、
急な生理で困ったのだとしても高町家の生理用品のありかだってフェイトちゃんは知っているのだから。
手をスカートの中から取り出してみると、案の定赤く染まってはいなかった。
「おか、しいよね……私の体……」
「え、あ、いや……ごめん。何がおかしいのかよく分からなくて……」
「ずっと……なのはに触れたくて、触れて欲しくて。他の友達も居るのに、そんなになっちゃって。
拭いて、ごまかしたり、自分で……したりしても収まんなくて……みんなに、心配かけてるのにどうにもならなくて……」
つまり、これって……愛液?
と考えたところで気づいた。トイレに入ったときに感じた匂いはフェイトちゃんの女の子そのものの私を誘うような匂いだと。
……病気、なのかな。よく分からない。分からないのに安易な慰めの言葉を掛けることなど出来ない。
だから、私が今取れる行動は、取りたい行動は一つだけだった。
ぎゅっと目の前で泣いている大切な人を抱きしめた。
「……私に、触れたかったの?」
「うん……でも、こんな私じゃ嫌なんじゃ……」
「フェイトちゃんが逆の立場だったらそんなふうに思う?」
「思うわけないよ!」
「うん。一緒だよ。私もおんなじ。フェイトちゃんのこと嫌だなんて思うはずがない」
「なのはっ……!」
フェイトちゃんは私の名を呼ぶと、遠慮がちに下にさげていた手を、私の背に回した。
ああ、落ち着くなぁ……こんな場合なのにフェイトちゃんに包まれて、眠ってしまいそうな心地良さに襲われる。
でもきっと、これだけだと駄目なんだ。少し震える体が伝えてくる。
震えるフェイトちゃんを落ち着かせるように、右手で背を撫でながらも左手で彼女のお尻に触れる。
反射的に身を硬くするフェイトちゃんだったけれど、すぐに力を抜いて私の愛撫を受け入れた。
やわやわと引き締まっていながら柔らかなそこを丹念に撫でていくとしゃくりあげる声がだんだんと熱くなっていく。
「う、く……はぁ、あ……あ、なのは……」
「気持ちいい? フェイトちゃん」
「うん……なのは、なのは……ずっとこうしたかった。こうして欲しくて……気がおかしくなりそうで……」
私を求めるフェイトちゃんの声にひどく申し訳ない気持ちになる。
もっと早くに気づいてあげればよかった。そうすればこんなに苦しめることもなかったのに。
すがりついてくるフェイトちゃんを抱きしめたまま、更に感じさせようと手を秘所へと移動させる。
「ひぁっ! あ、ああっ、なのはっ、声、我慢……出来な……」
「フェイトちゃん……んっ……ちゅ……」
口を塞ぐように軽く伸びをして唇を重ねた。
私の意図に気づいたのか、ただそうしたかったのか、フェイトちゃんは二度と離すまいと言わんばかりにぴったりと唇を押し当てる。
そうして、小さな個室に響くのは熱い息と微かな嬌声。淫猥な水音だけになり、その音で支配される。
きつく私の指を締め付けながらも潤滑液で満たされたそこをくちゅくちゅと音を鳴らしながら往復し、
手前のザラザラした部分と奥を交互に責め立てていると
「っ――ぁ、ふ……ぁあ……!!」
ビクンと大きく体を震わせてフェイトちゃんが私にもたれかかってきた。
イッたみたいだ。けれど、もう少しだけ続ける。
緩やかに秘芯をいじってビクンビクンと震え続けるフェイトちゃんの反応がなくなるまでそうしていた……。
「あり、がとう、なのは。……凄く、気持ちよかった」
「落ち着いた……?」
「うん……なんか、心も体もなのはでいっぱいで……」
「ふふ、そっか。よかった……」
再びぎゅっと抱きしめあいながら睦事を交わす。
結局、病気なのかなんなのかよく分からなかったけれど、フェイトちゃんが無事ならいい。
あ……でも……
「どうしよ。みんな、待ってるよ」
「え、あ、あ……そう、だよね。心配してるよね」
「えっと……はやてちゃんが、緊急転送の準備してくれてて……」
「あう……やっぱり、病院で診てもらった方がいいのかな……」
どうなんだろう? 正直良く分からない。
今は落ち着いているみたいだけれど、またこんなことになるとも限らないし、お医者さんに頼った方がいいのかもしれない。
「と、とりあえず……みんなに話すよ。その……出来るだけ具体的なことはぼかしつつ……」
「うん……」
フェイトちゃんの言葉を受け、ひとまず私の部屋で下着を替えて……ちなみに二人とも。
それから、みんなの待つ居間へと戻っていく。
すると、なんとも異様な空気だった。
はやてちゃんは宙空に視線をさまよわせ、アリサちゃんはぎゅうっと膝の上で手を握り締め、すずかちゃんは頬を軽くかいている。
そして、皆一様に頬が赤い。
「……もしかして、聞こえてた?」
「聞こえらいでか!! フェイト! あんた声、あ、ああいうときの声! 高いのよ!」
「ご、ごめんなさい……」
「えっとなー、私らもなのはちゃんのすぐ後で追っかけてったから……まー、だいたいのことは、その……」
「あっ! 始まってからはすぐに離れたよ!? ちょ、ちょっとは聞こえたけど……」
みんなして凄く反応に困ったように顔を赤くしていて居たたまれない。
けれど、一番大事なことを確認する。
「病気、だと思うかな……?」
「あー、どうなのかしらね。フェイトが異常なほどになのはを好きなのは今に始まったことじゃないし」
「今は大丈夫なんだよね、フェイトちゃん?」
「は、はい……おかげさまで……」
「とりあえずはええんやないかな。診察を受けたほうがえーかもしれんけど、昔っから
『恋の病は草津の湯でも石田せんせでも治せへん』って言うしなー」
「恋、の病……なのかな」
「……や、どっちかっつーと別のところに突っ込んで欲しかったんやけど、
まあ、このことに関してはなのはちゃん以上の特効薬も思い浮かばんし、なのはちゃんを好きじゃなくなるなんて無理やろ?」
「当たり前だよ……」
「ほんならこのまま適度になのはちゃん分を補充しておけば問題ないんと違うかな?」
「そう、だといいな……ごめんね、みんな今日は本当に」
はやてちゃんの言葉に頷きながら心底申し訳なさそうにフェイトちゃんは頭を下げる。
とアリサちゃんが腕組みをして返事をする。
「ま、無事ならいいわよ。で、本当に今は我慢してるとかそういうのないのよね?」
「う、うん……今は、凄く……えっと……」
「あああ!! みなまで言うな!! んじゃ! パーティー再開するわよ!!」
満たされた表情のフェイトちゃんの言葉を途中で遮ると、アリサちゃんは気勢を上げるように声を上げ、
みんなそれに応えるように「おー!」と手を上げるのだった。
時期は決まっていませんが、聖祥は卒業しています。
『……何回目やったっけ?』
『覚えてるけど言うのはちょっと』
『んー、まあ私も具体的な回数が聞きたかったわけやなくて……』
『うん、心配だよね』
お手洗いへと席を立ったフェイトちゃんの姿を見て、こっそり念話を飛ばしてきたはやてちゃんに私は同じく返した。
今は、長期航行任務から帰還したフェイトちゃんを慰労するという名目の元、
高町家でささやかなパーティーを開いている真っ最中。メンバーは聖祥時代からの仲良し五人組。
はやてちゃんと会話をしたように残る二人も思うことは同じのようで、表情にフェイトちゃんへの心配が浮かんでいる。
無言のまま、紅茶やジュースをすすり2,3分ほどか。
「ごめん、みんな……」
申し訳なさそうな表情で帰ってきたフェイトちゃんに、たまりかねたようにアリサちゃんが言う。
「もー! フェイトあんた、どっか具合でも悪いの? 体調悪いのに無理して参加しようとするんじゃないわよ!」
「ご、ごめん、アリサ。ちょっと……うん、お腹の調子悪かったんだけど、もう大丈夫だから……ごめん」
「本当に、大丈夫なの? フェイトちゃん」
「大丈夫。ごめん、なのは」
頷いて、元通りに私の隣に座ったフェイトちゃん。
本人がこう言うなら、と違和感の残ったまま再開されたパーティーは、けれど直ぐに元の和やかな雰囲気に戻った。
パーティーと言ってもみんなで楽しく食事をしながら会話をする、小さな頃よくしていたことと変わらないけれど、
こうして全員揃うのは久しぶりのことで、いくら話しても話し足りない。
「へぇえええ〜〜、すごいねーフェイトちゃん」
「や、その……偶然だよ。たまたま」
「そんなことないって。さっすが私の自慢の恋人さん♪」
「あう……」
航行中に古代遺物を悪用しようとした魔導師に遭遇し逮捕した、というフェイトちゃんの話を目を輝かせながら聞く。
遭遇したのは偶然かもしれないけど、逮捕できたのは実力だよね。
もっと自信を持っていいのにな、フェイトちゃんは。なんて思いながら照れ笑いを浮かべる彼女をみつめ、
主役であるフェイトちゃんの任務のことやみんなの近況報告をしているうちにまたたく間に小一時間、楽しく過ぎる。
そして、その辺りから――フェイトちゃんの様子がおかしくなっていった。
口数が減り、ソワソワソワソワと落ち着かなく目線をさまよわせる。
頬が上気していて……まるで酔っているように目が潤み、トロンとしているけれど、お酒なんてここにはないはずだった。
「フェイトちゃん、大丈夫?」
「え、な、なにが?」
「なんだか落ち着かないみたい。ねえ、またお腹の調子が悪かったり、他に何かあったりするなら、無理しないで」
「なのは……」
心配で仕方なくてじっと目を見つめていると、フェイトちゃんは飛び上がるように立ち上がり、
「ご、ごめんっ、お手洗いに……」
と、誰とも目を合わせないまま部屋を出ていってしまった。
また四人で顔を見合わせる。
こうして集まれる機会はそう多くはない。自分が原因で終わりになってしまったとなればフェイトちゃんは気にするだろう。
逡巡するけれど、きっとこれを言い出すのは恋人の自分の役目だと口を開く。
「…………もう、お開きにしよっか」
「そやねー、口では平気言うても無理する子やから」
「ったくもう! 無理したら慰労会の意味ないじゃないの!」
「ふふ、アリサちゃん、心配だからってそんなに怒らないであげて」
「す、すずか。心配なんて大してしてないわよ! とにかく今日はもう終わり! 主役があの調子じゃどうしようもないでしょ。
戻ってきたら無理矢理にでも医者に診せるわよ!」
アリサちゃんの指示にみんなほっとしたように頷く。
きっとみんな内心少し嫌だったのだ。
フェイトちゃんがちょくちょく席を外すことが、
ではなく、フェイトちゃんに無理をさせているかもしれないのにパーティーを楽しんでしまっていることが。
「じゃあ、鮫島に言ってうちのかかりつけの医師を……ってそっか、あんた達の場合は……」
「うん、魔力の変調もあるかもしれんし、ミッドの病院で調べてもらったほうがええやろね。私が緊急用の転送陣用意しとくよ」
「ああもうっ、はがゆいわね! あんたらのこととなると……このアリサ様ともあろうものが、無力でっ」
フェイトちゃんのために何かしたい、と思いながらも何も出来ない自分を歯がゆく思い地団駄すら踏みかねない様子のアリサちゃん。
少し、昔の自分を思い出す。魔法と出会う前の、無力感で押し潰されそうな自分を。
「無力なんかじゃないよ。アリサちゃんがそうやって思いやってくれて怒ってくれるたびに心があったかくなって、
私達に力をくれる。魔法の力は、心の力、だからね。特にそういう想いの力が大切なんだ」
「なのは……」
「それに私は、優しいアリサちゃんが大好きだから、友達でいてくれてとっても嬉しいよ」
「ば、ばっ……なに小っ恥ずかしいこと言ってんのよ!!」
「ちなみにそれは私も、もちろんフェイトちゃんもやよ」
「はやて!!」
「ふふ、みんなアリサちゃんのこと大好きだもんね。でも……アリサちゃんを好きな気持ちでは負けないよ」
「す、すずか……ってもうっ! 今はこんな話してる場合じゃないでしょうが!」
と、しばらくは、フェイトちゃんの心配はしているけれど自然な、友達と居る時の何ものにも代えがたい雰囲気で過ごす。
でも――
「………………おっそいわね………………」
「もう二十分以上は経つよね……」
イライラと心配そうに口に出したアリサちゃんにすずかちゃんが続ける。
これを弾鉄に、
「私、見てくる!!」
と言い放ち、私は部屋を飛び出していった。
足音が聞こえるように小走りにいく。
突然のことに驚いてしまわないように。恥ずかしがり屋のフェイトちゃんが気にしないように。
私と一緒にトイレに行く時もいまだに消音するフェイトちゃんだ。
私にだって音を聞かれたくはないだろう、特にお腹を壊しているのなら。
「フェイトちゃん……フェイトちゃん! 大丈夫!?」
トイレのドアをトントンと叩きながら声を掛ける。
喉から出た声は思っていたよりもずっと必死だった。それに応えるようにか細い声。
「なの、は……」
「うん! なのはだよ! フェイトちゃん!」
目の前のドアにすがりついたようにして発した声に返事はなく、嗚咽のような声が聞こえた。
「……フェイト、ちゃん?」
「……………ぅ、ぅ、なの、は……」
「うんっ、フェイトちゃん! 私は、なのはは、ここに居るよ!」
「う、ぁ……」
胸が締め付けられるような泣き声がして必死に語りかける。
そうしているうちに、カチャリとドアが開いた。
「な、のは……」
震える涙声で私の名を呼び、フェイトちゃんはポロポロポロポロと零れる涙を拭おうともせずに俯いている。
「フェイトちゃん……お腹、痛いんだよね。病院、行こ? 今はやてちゃんが手配し――」
「ちが、うんだ……ごめん。あれは、嘘で……でも、でも、私。病気みたい、なんだ……」
「ッ……どこ、が悪いの……?」
やっとのことで搾り出したフェイトちゃんの言葉に、目の前が暗くなりそうな感覚を覚えながら問いかけた。
びょう、き? 命に関わるようなものじゃない、よね?
フェイトちゃんは答えずに私の手を引き、一緒にトイレの中に入ると、パタンとドアを閉めてしまった。
鼻腔をくすぐった香りにクラリとする。
悪臭、じゃない。トイレに立ち込めているそれの正体に気づく前に
フェイトちゃんが繋いでいた私の手を自身のスカートの中へと引き入れた。
「え……えっ?」
フェイトちゃんはどこに触れさせるでもなく、私の手はスカートの中の空間でとどまっている。
なんのつもりだろうと頭の中がはてなでいっぱいになるけれど、フェイトちゃんの表情は悲しげで苦しげで。
……ここ、が病気なのかな。
そっと手を動かしてみるとすぐにドロドロとした液体で汚れた下着に触れた。
今もとくんとくんと漏れているようで黒のオーバーニーソックスにも垂れ落ちてしまっている。
…………もしかして、生理を病気だと思ったなんてオチ?
いや、そんなわけない。二人ともとっくの昔に初潮は迎えているし、
急な生理で困ったのだとしても高町家の生理用品のありかだってフェイトちゃんは知っているのだから。
手をスカートの中から取り出してみると、案の定赤く染まってはいなかった。
「おか、しいよね……私の体……」
「え、あ、いや……ごめん。何がおかしいのかよく分からなくて……」
「ずっと……なのはに触れたくて、触れて欲しくて。他の友達も居るのに、そんなになっちゃって。
拭いて、ごまかしたり、自分で……したりしても収まんなくて……みんなに、心配かけてるのにどうにもならなくて……」
つまり、これって……愛液?
と考えたところで気づいた。トイレに入ったときに感じた匂いはフェイトちゃんの女の子そのものの私を誘うような匂いだと。
……病気、なのかな。よく分からない。分からないのに安易な慰めの言葉を掛けることなど出来ない。
だから、私が今取れる行動は、取りたい行動は一つだけだった。
ぎゅっと目の前で泣いている大切な人を抱きしめた。
「……私に、触れたかったの?」
「うん……でも、こんな私じゃ嫌なんじゃ……」
「フェイトちゃんが逆の立場だったらそんなふうに思う?」
「思うわけないよ!」
「うん。一緒だよ。私もおんなじ。フェイトちゃんのこと嫌だなんて思うはずがない」
「なのはっ……!」
フェイトちゃんは私の名を呼ぶと、遠慮がちに下にさげていた手を、私の背に回した。
ああ、落ち着くなぁ……こんな場合なのにフェイトちゃんに包まれて、眠ってしまいそうな心地良さに襲われる。
でもきっと、これだけだと駄目なんだ。少し震える体が伝えてくる。
震えるフェイトちゃんを落ち着かせるように、右手で背を撫でながらも左手で彼女のお尻に触れる。
反射的に身を硬くするフェイトちゃんだったけれど、すぐに力を抜いて私の愛撫を受け入れた。
やわやわと引き締まっていながら柔らかなそこを丹念に撫でていくとしゃくりあげる声がだんだんと熱くなっていく。
「う、く……はぁ、あ……あ、なのは……」
「気持ちいい? フェイトちゃん」
「うん……なのは、なのは……ずっとこうしたかった。こうして欲しくて……気がおかしくなりそうで……」
私を求めるフェイトちゃんの声にひどく申し訳ない気持ちになる。
もっと早くに気づいてあげればよかった。そうすればこんなに苦しめることもなかったのに。
すがりついてくるフェイトちゃんを抱きしめたまま、更に感じさせようと手を秘所へと移動させる。
「ひぁっ! あ、ああっ、なのはっ、声、我慢……出来な……」
「フェイトちゃん……んっ……ちゅ……」
口を塞ぐように軽く伸びをして唇を重ねた。
私の意図に気づいたのか、ただそうしたかったのか、フェイトちゃんは二度と離すまいと言わんばかりにぴったりと唇を押し当てる。
そうして、小さな個室に響くのは熱い息と微かな嬌声。淫猥な水音だけになり、その音で支配される。
きつく私の指を締め付けながらも潤滑液で満たされたそこをくちゅくちゅと音を鳴らしながら往復し、
手前のザラザラした部分と奥を交互に責め立てていると
「っ――ぁ、ふ……ぁあ……!!」
ビクンと大きく体を震わせてフェイトちゃんが私にもたれかかってきた。
イッたみたいだ。けれど、もう少しだけ続ける。
緩やかに秘芯をいじってビクンビクンと震え続けるフェイトちゃんの反応がなくなるまでそうしていた……。
「あり、がとう、なのは。……凄く、気持ちよかった」
「落ち着いた……?」
「うん……なんか、心も体もなのはでいっぱいで……」
「ふふ、そっか。よかった……」
再びぎゅっと抱きしめあいながら睦事を交わす。
結局、病気なのかなんなのかよく分からなかったけれど、フェイトちゃんが無事ならいい。
あ……でも……
「どうしよ。みんな、待ってるよ」
「え、あ、あ……そう、だよね。心配してるよね」
「えっと……はやてちゃんが、緊急転送の準備してくれてて……」
「あう……やっぱり、病院で診てもらった方がいいのかな……」
どうなんだろう? 正直良く分からない。
今は落ち着いているみたいだけれど、またこんなことになるとも限らないし、お医者さんに頼った方がいいのかもしれない。
「と、とりあえず……みんなに話すよ。その……出来るだけ具体的なことはぼかしつつ……」
「うん……」
フェイトちゃんの言葉を受け、ひとまず私の部屋で下着を替えて……ちなみに二人とも。
それから、みんなの待つ居間へと戻っていく。
すると、なんとも異様な空気だった。
はやてちゃんは宙空に視線をさまよわせ、アリサちゃんはぎゅうっと膝の上で手を握り締め、すずかちゃんは頬を軽くかいている。
そして、皆一様に頬が赤い。
「……もしかして、聞こえてた?」
「聞こえらいでか!! フェイト! あんた声、あ、ああいうときの声! 高いのよ!」
「ご、ごめんなさい……」
「えっとなー、私らもなのはちゃんのすぐ後で追っかけてったから……まー、だいたいのことは、その……」
「あっ! 始まってからはすぐに離れたよ!? ちょ、ちょっとは聞こえたけど……」
みんなして凄く反応に困ったように顔を赤くしていて居たたまれない。
けれど、一番大事なことを確認する。
「病気、だと思うかな……?」
「あー、どうなのかしらね。フェイトが異常なほどになのはを好きなのは今に始まったことじゃないし」
「今は大丈夫なんだよね、フェイトちゃん?」
「は、はい……おかげさまで……」
「とりあえずはええんやないかな。診察を受けたほうがえーかもしれんけど、昔っから
『恋の病は草津の湯でも石田せんせでも治せへん』って言うしなー」
「恋、の病……なのかな」
「……や、どっちかっつーと別のところに突っ込んで欲しかったんやけど、
まあ、このことに関してはなのはちゃん以上の特効薬も思い浮かばんし、なのはちゃんを好きじゃなくなるなんて無理やろ?」
「当たり前だよ……」
「ほんならこのまま適度になのはちゃん分を補充しておけば問題ないんと違うかな?」
「そう、だといいな……ごめんね、みんな今日は本当に」
はやてちゃんの言葉に頷きながら心底申し訳なさそうにフェイトちゃんは頭を下げる。
とアリサちゃんが腕組みをして返事をする。
「ま、無事ならいいわよ。で、本当に今は我慢してるとかそういうのないのよね?」
「う、うん……今は、凄く……えっと……」
「あああ!! みなまで言うな!! んじゃ! パーティー再開するわよ!!」
満たされた表情のフェイトちゃんの言葉を途中で遮ると、アリサちゃんは気勢を上げるように声を上げ、
みんなそれに応えるように「おー!」と手を上げるのだった。
2010年10月25日(月) 08:11:29 Modified by nanofeisuki