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38-407


「君を落として僕は飛ぶ!」
「……はい?」

とある休日の昼下がり。
これから親友の家に遊びに行こうとウキウキしていた少女、高町なのはの前に不振な人物が現れた。
黒く、生地の薄いレオタード風の衣装。風にたなびく漆黒のマント。
長く伸びる美しい髪を左右で分け、黒色のリボンで彩る。手には同じく黒を基調とした戦斧。
その姿はまさしく、なのはの親友であるフェイト・テスタロッサそのものだった。
ただし、鋭い目つきや髪の色等、本物との違いは一目でわかる。
青紫の双眸になのはを捉え、浮かべる不適な笑みもフェイトのものではない。
「フェイトちゃん……じゃないよね。あなたは確か……」
「ふふふ、久しぶりだね高町なのは」

「……えと、なんて名前だったっけ?」
――盛大にずっこけた。

「僕を忘れたと言うのか!? あれほど衝撃的な出会いだったと言うのに!」
「あなたのことは覚えてるよ。闇の欠片事件の時のマテリアルさんだよね?」
なのはからマテリアルの名が出たことに青髪の少女は幾許か安心したように笑い出す。
が、先の盛大なずっこけっぷりのせいでイマイチ迫力が出ない。
「そうとも! 僕はあの時の力のマテリアル! そこまで覚えていて何故名前が出ないんだ!?」
「だって、お名前聞いてないもん」
「え……あれ?」
それもそのはずで、なのはは以前少女と対峙した際、少女の名を聞いていなかった。
ただ、「構築体(マテリアル)」とだけ聞いていたのだ。
少女の個体名を知らなくとも無理はない。
「くっ……仕方ない、ならば教えてやる! 僕の名は――」
「別にいいよ。また悪さをするのならもう一回やっつけるだけだから」
言って、レイジングハートを留め具から外すなのは。その一挙手一投足は幼いながらにエースと呼ばれるに相応しい、隙のないものである。
対して台詞を遮られた少女は――
「ッ……!」
「……え?」
――目に涙を溜めていた。



台詞を遮られたことと、なのはに邪険に扱われたことがショックだったようだ。
少女の思わぬ反撃に、なのははたじろぐ。
「え、あ、ちょ、なっ泣かないで! ね!? ほら、ちゃんとあなたのお名前聞くから!」
「ほ、ほんと……?」
「うん、ほんとほんと!」
焦って何度も頷くなのは。
その姿に気をよくしたのか、青髪の少女は一度グシグシと涙を拭い、再び満面の笑顔に。
そして、大仰な身振りでポーズを取ると、ようやく名乗りはじめた。
「我が名はレヴィ・ザ・スラッシャー! 力を司るマテリアルであり、いずれは王になるものだ!」
ファンファーレでも聞こえてきそうな決めポーズ。小さく呟いた「フッ……決まった……」の言葉。どうだ参ったかとでも言わんばかりに自信満々な表情。
その全てが台なしにしていた。いろいろと。
「レヴィ・ザ・スラッシャーちゃん? 長いからレヴィちゃんでいいよね」
せっかく名乗った名前も、わずか3秒程で略されてしまうあたり、威厳は微塵も感じられない。
だがその呼び名に本人も異論は無いらしく、特に触れられることなく会話は進んでいく。
「で、そのレヴィちゃんは一体何しに来たの? また闇の書を復活させようとしてるなら容赦はしないけど……!」
「ふっふっふ、最初に言ったじゃないか。僕の崇高なる目的を!」
そう言った瞬間、レヴィの姿が消えた。
気がつけばなのはの喉元には雷刃の手が添えられており、ともすればなのはの首を絞めるくらい余裕な位置に、レヴィは現れた。
「うっ……はや……!?」
「君を落として、僕は飛ぶ」
レヴィの言葉に、なのははゾクリとする。

――殺される。

レヴィの手が、なのはの喉を撫でる。
動くことも出来ず、思わず目を閉じるなのは。恐怖の感情に支配され、脳裏に浮かぶ姿は最愛の親友。
(フェイトちゃん……!)
レヴィの手の平は喉を伝って襟首に。
そしてそのまま抱え込むようにして――
「そう、君の心を落とし、僕のものにしてやるのさ」
――唇を、唇で、塞がれた。



「――ん……? んんっ!? ん――ッ!!」
「んむっ、プハッ! 何を暴れているのさ」
たっぷり数秒、なのはの唇を堪能したレヴィは、ようやくなのはを解放すると、ペロリと己の唇を舐めた。
頬の紅潮と目つきの鋭さが相まって、その姿はどことなく妖艶に見える。
「あっ、あ、ああああ暴れるに決まってるでしょッ!? いきなり何てことするの!?」
エースと言えどもまだ年端も行かぬ少女。
その手の知識すら定かかも知れないというのに、突然行為に及ばれれば戸惑うのも当然だろう。
(初めてはフェイトちゃんにって決めてたのに……!)
前言を撤回する。戸惑っているのではなく、怒っているらしい。
それを知ってか知らずか、レヴィはニヤニヤと笑っていた。
「言ったろう? 僕は君を手に入れる。心を掴むにはまず身体からってシュテルも言ってたし、そうさせて貰ったよ」
「そういうのはちゃんと付き合いはじめてから……シュテル?」
聞き慣れない名前に、なのはは反論を途中で止め聞き返す。
「シュテルってまさか……」
「ああ、君の姿を写し取った僕らの仲間さ。君は会ったことがあるだろう?」
「あの子も、復活しているの?」
「僕らマテリアルは全員蘇ったよ。僕も、彼女も、王も。以前のような力はないけどね。
三人ともがそれぞれの目的を果たすために行動しているんだ」
「目的? あなた以外にも目的がある子がいるの?」
「王が何をしたいのかはよくわからないけど、僕とシュテルの目的は明確だ。……君たちを自分のモノにすることだから」
「君たち……? ッまさか!?」
「そう、シュテルの目的は僕の写し身たる存在。フェイト・テスタロッサさ」
なのはの顔色が変わった。
このままでは親友の身が、いや、貞操すらも危うい。
「レヴィちゃん、教えてくれてありがとう」
「ふふふ、どういたしまし……ってしまっ! い、今僕が言ったのは違っ……どこに行くんだ高町なのは!?」
「悪いけどいまあなたに構ってる暇は無いの!」
なのはは駆け出した。
親友を守るために。最愛の人を奪われないために。
対してレヴィは一人取り残され、思わず茫然とする。そして少しの間の後に我に返り、慌ててなのはを追いかけていった。




フェイト・テスタロッサはウキウキしていた。
今日は親友である高町なのはが家に遊びに来る。
何をして遊ぼうか、何を話そうか。夕食は食べていってくれるだろうか、ならば自分が腕を振るうのも悪くない。何なら泊まりでも構わない。一晩中話せるなんて素敵だ。
今日のことを考え出すともう止まらない。
なのはとは毎日会っていると言うのに、こうしてなのはと過ごせる時間が楽しみで仕方ない。
つくづく自分はなのはが好きなんだな、と自分に呆れてしまうが、好きなものは好きなのだから仕方ないじゃないか。
そう自己完結してなのはを出迎える準備をする。
「そろそろ来る頃かな?」
時計を見て、何となく思う。特に時間の約束はしてないが、なのはが来るならこれくらいの時間だろう、と。
果して、呼び鈴は鳴った。
家族はみな出掛けていて夜まで帰ってこないし、なのはに間違いない。
やはり自分となのはは心が通じているんだ、と少し誇らしげになりつつ、フェイトは玄関の扉を開けた。

――そこにいたのは、なのはとは似て非なる者だった。

「えっ? あれ……?」
「久しいですね、閃光の魔導師」
年相応のあどけなさを持ちながらも、端正な顔立ち。
亜麻色の艶やかな髪はなのはそのものだが、トレードマークである二房のおさげはなく、背中まであったはずの髪は肩のあたりまでに短くなっている。
白を基調としていた彼女の防護服は闇に染まり、愛杖までもが闇色に。
フェイトが特に好きだった大きく蒼い瞳は、鋭く吊り上がり、闇の深淵のような紅になっていた。
「なのは……じゃないね。君には見覚えがあるよ」
「片隅だとしても、記憶に留めていただけてたなら光栄です」
「闇の書の残滓が何の用?」
キッと睨みつけ、声色は低く。闇の少女を威嚇するように、フェイトは問う。
だが少女は気にした風もなく、しれっとしている。
「こんな玄関で話すようなことでもありません。よろしければ中に上げてはいただけませんか?」
「悪いけど、何をするかもわからない相手をはいそうですかと家に上げられるほど、私は愚かではないし、勇気も無いよ」
自分だけの家ならともかく、夜には家族が帰ってくる家だ。万が一にも戦闘は避けたい。
「……なるほど、一理あります。ならばここで構いません」
少女があっさり折れたことは少し意外だったが、ありがたかった。
「それで、何の用かな? 闇の書を復活させるつもりだって言うなら、私はあなたを叱らないといけないんだけど。えっと……」
「ああ、そういえば名を名乗っていませんでしたね。
私はシュテル・ザ・デストラクター。個体名はマテリアル-Sです。星光の殲滅者とも呼ばれますね」
フェイトの二の句を察して、名を名乗る少女。
聞く前に答えられてしまったフェイトは軽く拍子抜けしてしまった。
「……随分名前が多いんだね。それにどれも長い」
「あなたも大概でしょう、フェイト・テスタロッサ・ハラオウン。ああ、まだハラオウン姓はありませんでしたか」
「なっ……何で知ってるの?」
「私はあなたをずっと見ていましたから。長いというなら……そうですね、私のことはシュテルとでもお呼びください」
そう言って、会釈を一つ。
相手を不快にさせることのない、凜とした声と動作にフェイトは思わず見とれてしまう。敵意はもう、ほとんど消え失せていた。
シュテルは一度咳ばらいで間をおくと、問われていたたことに応え出した。
「本日はあなた個人に用があって参りました」
「……私に?」
改まって話を振られたフェイトは、つい畏まってしまう。
その様子にシュテルはフッと微笑み、そして告げた。

「あなたを、戴きに来たのですよ」




「……へ?」
意外過ぎる言葉に、硬直するフェイト。
そんなフェイトを見て、シュテルは微笑みを不敵な笑みへ。
――刹那、フェイトの肩を掴んだかと思うと、壁に押さえ付けていた。
突然の事態に混乱し、フェイトは反応もままならない。逃げ出すことも出来ず、ただ彼女にされるがままになるしかない。
それをいいことに、シュテルは両腕をフェイトの首に回し、ガッチリと捉える。
「目を、閉じていただきましょうか」
「――ッ」
耳元で囁くシュテル。その言葉の意味にフェイトが気付いたときには、あまりに遅かった。
両者の小さく薄い唇が、互いを求めて――

「ダメぇえええええええええッ!!!」

バンッ! という音と共に、玄関の扉が開け放たれた。
そして絶叫しつつ入ってきた人物に、二人は引き離される。
割って入られた二人は、片や怒涛の展開に頭がついていかず茫然自失な状態に、片や呆れたような顔で割り込んだ人物を睨みつけていた。
「全く、無粋なことをしますね。白き魔導師」
「そんな無理矢理しようとしてた人に無粋だとか言われたくない!」
入ってきたのはシュテルにうり二つな少女。だがその姿はシュテルと対象的に白を基調としている。
何故か防護服を纏った彼女の足には、急いで来たためか普段の倍くらいの大きさの羽がついていた。
シュテルにはない二つのおさげを上下させて、少女――高町なのはは杖を突き付けた。
「貴女のもとへはマテリアルL――レヴィを行かせたはずですが」
「私があの子に屈するとでも思ったの?」
「……それもそうですね。あなたの意思の強さを失念していました。――それで、彼女は今どこに?」
「え? あれ、そういえばどこに――」
その瞬間。
ハラオウン家の居間からけたたましくガラスの割れる音が響き渡った。
玄関にいた三人は驚き、顔を見合わせる。
「な、なに!?」
「ガラスの割れる音……まさかとは思いますが……」
「とにかく、見に行こう!」

居間は酷い有様だった。
割れたガラスが散乱し、辺りの家具は容赦無く傷つけられている。
フローリングの床に散らばったガラスの破片を踏み締め、さっきまで窓があったはずのところには一人の少女が立っていた。



ごめんまだ書きかけなんだ。
多分長くなるし完成したらまた投下するね


「ハーハッハッハッハ! 流石は僕、登場の仕方もこんなにカッコいい!」
犯人は言うまでもない。
無駄に風通しの良くなった窓の前に、仁王立ちして高笑いするレヴィがいた。
そしてそれを助走付きで殴り飛ばすシュテル。
その場で派手に錐揉みし、顔面から落下するレヴィ。
接地する瞬間、後ろ回し蹴りで拾い上げるシュテル。
蹴られた勢いで、配置された家具を綺麗に避けつつも飛んでいくレヴィ。
シュテルの初撃から、壁に激突してレヴィが情けない声を上げるまで、その間わずかコンマ八秒。神業である。
レヴィが床に崩れ落ちたのを確認すると、シュテルはフェイトに対して深々と頭を下げた。
「身内のバカがとんでもないことをしでかしてしまい、申し訳ありません。我々は金銭を持っていないため、時間はかかりますが必ず弁償はいたします」
「え……あっ、そんなっ、大丈夫だから気にしないで」
相変わらず怒涛の展開に置いてけぼりを喰らっていたフェイトは、ほぼ反射的に答えてしまった。
相手を安心させようとするあまり、つい遠慮がちになってしまうのはフェイトの悪い癖だ。
確かに結果、シュテルは胸を撫で下ろし、いくらかその無表情は明るくなった。
が、問題が解決したわけではない。
「……どうしましょうか、これ」
床でのびているレヴィを除く三人は同時に、割れた窓ガラスと傷ついた家具を見つめるのだった。
2011年12月10日(土) 01:03:06 Modified by sforzato0




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