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フェイトはなのはのことが好きだった。
それが他の友人に抱くものとは違うことを、すでにはっきりと自覚していた。
だけど、それはなのはが「特別」な友達だから。
そう思っていた。その気持ちの行き着く先を、フェイトはまだ知らなかった。

xxxx

「ホント、あんた達仲良いわね」
アリサが呆れ顔でこちらを向いて、フェイトが不思議そうなにすれば、さらに呆れられた。
友達同士だったらおかしくないと思っていたけれど、もしかしたらそうじゃないのだろうか。
「恋人みたいだね」
すずかが二人を見て微笑むとなのはが照れたように頬を小さく掻いた。
薄っすらと赤らんだほっぺたが可愛くて、フェイトの口元がほころぶ。
その様子にアリサが、付き合ってられないわ、と大きなため息をついて、すたすたと一人先に歩き出す。
「もう、アリサちゃんったら」
すずかが、アリサの後を追いかけていくと、そこに残るのはなのはとフェイトの二人きり。
目が合うと、なのはがはにかんで、
「えっと、わたし達もいこっか」
すっと差し出された手のひらをフェイトがそっと取る。どちらもごく自然な流れだった。
自分より少しだけ高いその温もりが訳も無く嬉しい。胸の奥がくすぐったい。



知らず知らずにのうちに、笑ってしまったらしい。
「フェイトちゃん?」
不思議そうに振り返ったなのはに、フェイトは小さく首を振った。
「ううん、なんでもない」

なのはと居ると自然と心が落ち着いた。いつだって、穏やかな気持ちになれた。
こんなにも安らげる存在を、私は他に知らない。

不意に、すずかの一言が脳裏によみがえる。
でも、とフェイトは思い直す。でも、恋人みたいであっても、なのはと私は恋人同士ではない。
なのはがあの日、「名前をよんで」と言ったあの日から、私達は友達になった。
それは今でも変わらない。私となのはの関係。――友達。それが、二人の間を示す言葉。

xxxx

やがて、フェイトは、なのはへ抱く「特別」が何を意味するのかに気がついた。
戸惑いは、それほどなかった。フェイトは、もともと自分が他の人と違うと思っていた。
一般的に、恋をする相手といえば異性をさすけれど。だけど、自分はなのはに恋をしている。
そこには何の不思議もなかった。
フェイトは、その事実をただすんなりと受け入れた。




恋を自覚してから、フェイトは行動や言葉で、その好意をなのはに伝えるようになった。
生来、隠し事のできるタイプではない。なのはへの想いが、フェイトの知らぬうちに身体からにじみ出るのだ。
その可愛さに見惚れ、ついぽつりと呟いてしまったり、ふとした何気ない瞬間に、口をついて出る。
「なのはが好きだよ」
フェイトが、自分の感情を誤魔化すことはなかったけれど、抱いた恋心はまだ幼かった。

xxxx

友達だったら、キスはしないけれど。ほっぺに、くらいだったら許されるのだろうか。
「ふぇ、フェイトちゃん?」
「あ、ごめん。いやだった?」
顔を真っ赤にして俯いてしまったなのはに、自分のしたことが間違いだと気づく。
「ごめんね、もうしな― 」
「ち、ちがうのっ。ちょっと、驚いただけで、嫌とかそんなんじゃないからっ」
急に顔を上げたなのはが、慌てたように否定する。
その様子に一瞬面食らったものの、フェイトはほっと胸を撫で下ろした。
けれど、驚かせてしまったことに、やっぱり悪かったと思い、フェイトがもう一度謝ると、
「ほんとに、嫌とかじゃなくて、だから――」
なのはが、目の前でぶんぶんと大きく手を振る。
違うの、と繰り返すなのはの上気した頬が可愛くて、悪いと思いながらもフェイトの口元が弛む。



潤んだ瞳はなんだか泣き出してしまいそうで。フェイトは手を伸ばして、なのはの頭をやさしく撫でた。
ピタリ、となのはの動きがとまる。
「今度するときは、なのはがびっくりしないように、ちゃんと先に言うね」
フェイトの言葉に、見つめるあどけない瞳が、何度か瞬きを繰り返した。
「ダメ...かな?」
たっぷりと十秒以上遅れて、ぽつりと聞こえた承諾の言葉。
フェイトが嬉しさに弾む声でありがとうと伝えると、なぜか下を向いて黙ってしまった。
しばらくの間、俯いたままだったなのはがふいに顔を上げて、
目が合うと、恥ずかしそうにはにかんだ。
「えっと、わたしがフェイトちゃんにしてもいい?」
もちろん、とフェイトが笑顔で頷くと、なのはの唇が遠慮がちに、フェイトの頬にそっと触れた。

xxxx

二人の距離は、そんな風に少しずつ、着実に近づいていったが、その関係が変わることはなかった。
フェイト自身が、なのはの「友達」である自分を望んでいたからだ。
なのはの伝えてくれた気持ちを、フェイトは、そのときもまだ大切に持っていた。
「友達になりたんだ」
はじめてだった。そんな風に言われたことも、他人に興味を惹かれたことも、フェイトにとっては初めてのことで、
だから、大切にしたかった。あの真っ直ぐな眼差しを、伝えられた想いを、フェイトはしっかりと抱きしめる。




恋をする相手に抱く欲望――その深さをフェイトはまだ知らなかった。

フェイトの心が微妙な変化を見せ始めたのは、中学も三年目を迎えたある日のことだった。
――友達という立場で、なのはの隣に立つことを、私は、はたして許されるのだろうか。

友達はみんな好きだ。その中で、なのはは特別に好き。そして、その特別は恋だった。
好きだから触れたくなるのは当たり前の感情で。手を繋いだり、抱き合ったり、頬にキスをしたり、
友達同士のスキンシップ。なのはに、友達として許される範囲で、フェイトは自分の好意を表していた。
だけど、あの日――
「なのはが欲しい」
そう思ってしまった、あの時、何かが確実に変わってしまった。
フェイトは自分が怖くなった。
なのはがその気持ちを知れば、フェイトを友達とは呼んでくれないだろう。
だからといって、どうしたらいいのかわからなかった。
恋をしている自分を、フェイトは生々しく感じていた。胸を何かが貫通して、鋭い痛みを与える。
フェイトを支配したのは、甘やかな感覚ではなく、暗闇の底にひきずりこまれるような恐怖感だった。

xxxx
ERROR:修行が足りません(Lv=1)。
2011年12月10日(土) 00:59:58 Modified by sforzato0




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