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「なのは! 僕と結婚しろ!」
「え……えぇぇえええ!?」
それは、レヴィちゃんの一言から始まった。
突然の言葉に私は茫然自失。
レヴィちゃんに「おいっ!」と肩を揺さぶられて自我を取り戻した。
そんな私の口をついて出たのはただの常識論だった。
「……あの……同性同士では結婚できないんだよ」
「なんだとぉっ!?」
驚愕の表情と声で叫ぶレヴィちゃんだったけれど、
すぐに自信満々といった笑みを浮かべた。
「ふふん。この国ではそうなのかもしれんが、僕は絶対君主たる『王』! だからな!
法律だかなんだか知らんがそんなものに縛られはしない!」
「ぁー……えーっと……」
突っ込みどころは色々ある気はするけど、
自信満々で楽しそうなレヴィちゃんに水を差すのも気が引けて、
少し逡巡した後にこう答えていた。
「……うん、いいよ。レヴィちゃんと結婚する」
「そうか! うむ。当たり前だが、嬉しいものだな」
こんな感じで私とレヴィちゃんの結婚準備は進んでいった。
しかし、王とはいえ、流石に結婚、しかも9歳。
という事実に法を従えるのは難しいということで、
私とレヴィちゃんは結婚はひとまず置いておいて
『清く正しいお付き合い』というものをすることになった。
登下校のときもいつもとさほど変わらない。
違うことといえば、
レヴィちゃんがいつも隣にいて、手を繋いで歩く。
ただそれだけのこと。
そして、隣ではなく、後ろを振り向くとフェイトちゃんがニコリと笑ってくれる、
それだけのこと。ただ、それだけのこと、だったんだ。




それから数週間が経った。
「どうした、ナノハ。ぼーっとして」
「……あ……ううん、なんでも」
レヴィちゃんに言われて、ぼーっとしていた頭を揺さぶってこう答えた。
最近はいつもこんな感じだ。
誰といても上の空。
気になるのは……いつも後ろにいるフェイトちゃん。
彼女が、あまり目を合わせてくれなくなったことだ。
合わせても、すぐに目をそらしてしまうということのせいだった。
「…………このままじゃ、駄目だよね」
「ん?」
誰ともなしにつぶやいた言葉にレヴィちゃんが返答する。
こうして応えてくれるレヴィちゃん。
好きか嫌いかと聞かれたらもちろん好きだ。
けれど、私は――
脳裏に浮かんだのは寂しそうなフェイトちゃんの顔。
あんな顔はさせたくない。
あんな顔をしているフェイトちゃんを放っておけない。
「ごめん、レヴィちゃん。今日は先に帰ってくれるかな」
え〜、と不満声を上げるレヴィちゃんだったけれど、
どうしても外せない用があると説得して帰ってもらった。
そして、後ろを歩いていたフェイトちゃんに声をかけた。
「話が……あるんだ」
戸惑ったようにうつむくフェイトちゃんだったけれど、
繰り返し言うと小さく頷いた。

そうして、話す場所に選んだのは私の部屋。
私にとっては馴染みに馴染んだ場所。
フェイトちゃんにとっては少し久しぶりに訪れた場所だった。
いつものクッションに座るのも遠慮がちに落ち着かなそうにしている。
それが、私とフェイトちゃんの今の距離だった。
嫌だ。
フェイトちゃんと距離があるなんて嫌だ。
そう強く感じた。
そんな気持ちを押し隠してフェイトちゃんに問いかける。
「フェイトちゃん、私に言いたいことあるよね」
「え……?」
「私とレヴィちゃんのこと」
「…………」
一瞬何のことだかわからない、というようにぽかんとしたフェイトちゃんだったけれど、
すぐに思い当たったように目をそらした。
やっぱりだ。
フェイトちゃんが暗い顔をしている原因は私だったんだ。
申し訳ないという気持ち以上に感じるのは過去の私への憤りと決意。
もう逃がさない。
どんな言い逃れをしても明日からはあんな顔はさせない。
そう決意して、フェイトちゃんの顔を見つめた。
「…………なのはが、幸せなら、私が言うことなんて無いよ」
フェイトちゃんの口から漏れたのは優等生の台詞。
きっと嘘じゃない。でも……真実でもない。



「フェイトちゃんが幸せじゃないなら、私は幸せになんてなれない」
返す言葉に息を呑んだフェイトちゃん。
でも……とか、だって……とか口をもごもごさせる。
「本当の気持ち、言って。どんなことでも、それがフェイトちゃんなら受け止めるから。
本当のフェイトちゃんを知りたいから」
私の言葉にフェイトちゃんは顔を上げた。
ようやく視線が重なる。
綺麗な瞳。
出会った頃から悲しい色を浮かべていて、
もうそんな色を浮かべさせはしないと心に誓ったはずなのに。
今また悲しげな色が浮かんでいる。
許さない。
フェイトちゃんを悲しませるものは許さない。
たとえそれが神の御業によるものだったとしても、
悪魔の所業によるものだったとしても!
憤った私の視線に押されたように、フェイトちゃんは目を逸らし、滔々と語り始めた。
「……なのはが、幸せならいいんだよ。本当に。……でも、なのはがレヴィに笑いかけるたびに
なんで隣にいるのが私じゃなくてレヴィなんだろうって考えちゃって……。
よく似てるのになんでレヴィなんだろうって考えちゃって……」
フェイトちゃんの答えを頭の中で繰り返す。
フェイトちゃんによく似たレヴィちゃんが隣にいるということは、
彼女にとって大事な問題なのかもしれない。けれど、それを突き詰めれば――
「…………フェイトちゃんは私の隣にいたいの?」
「なっ!? あ……えっと……なのはが嫌じゃないなら」
私の問いかけに驚いて、そしてこくんと頷いた。
それだけで充分だった。
「分かった。レヴィちゃんとのお付き合い止める」
「だ、ダメだよ! レヴィ傷つくよ!」
慌てたように首を振るフェイトちゃん。
自分以外の何に対しても優しいフェイトちゃんにとっては当たり前の反応だ。
でも、
「私は、フェイトちゃんに隣にいて欲しい。フェイトちゃんが嫌じゃなくなるまで、ずっと」
「……ぁ……」
フェイトちゃんは私の台詞に言葉を失った。
本人の気持ちを第一に考えるフェイトちゃん。
主観的にも客観的にも言えることは何もなくなったのだった。
そんなフェイトちゃんに私は再度問いかける。
「フェイトちゃん、ずっと隣にいてくれる?」
「…………うん、なのはが許してくれるなら」
頷いたフェイトちゃんの手をとった。
これが一番自然で心地いいと思いながら、私は立ち上がるのだった。



おわりー。
2012年11月18日(日) 21:23:27 Modified by sforzato0




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