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Hello, Again 1

277 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:18:05 ID:+ph6/0KN

>>244なのフェイ(orフェイなの?)シリアス長編冒頭から投下いきます。
>>245〜>>252辺り、答えてくれた人どうもありがと。



278 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:20:29 ID:+ph6/0KN



「ママーっ!これでいい??」

「はい、よく出来ました」

「えへへ〜 おいしい??」

「うん、おいしい。おいしくて味見が止まらなくなっちゃうくらい」

「あっ ダメだよ!なのはママ!フェイトママのだよ!!」

「ふふ、解ってるよ」

「フェイトママまだかなぁ」

「きっともうすぐだよ」






― Hello, Again ―







本日早朝、第107管理外世界より現地にて潜入捜査のため
長期出張していたF.T.ハラオウン、T.ランスターの二名が帰還。
現地ウィルスの感染等異常もなく任務は無事遂行された。
報告を終えた後、本局のF棟12階執務官室にて予定通りの時間に解散。
そのまま三日間の休暇に入る。

ティアナは既に通い慣れたいつもの執務官室に戻ると
二週間前に室内常備の冷凍庫に用意してあった
小さな紙カップとスプーンを取り出した。
表面の紙を剥がし、固いくらい冷えたアイスクリームを口に入れた。

「くぅ〜 生き返る」
やっぱりここのメーカーが一番おいしいなとパッケージを再確認。
そしてもう一口、と食べようとスプーンを動かしたその時
フェイトが荷物を整理しながら笑っているのに気づいた。

「はは、ティアナ準備いいね」
「管理外107は灼熱地獄だってリサーチしてましたから
戻って来たら一番にこれを食べたくなると思ってたんです!」
「そうだねー、相当暑かったね」
「ええ、死ぬかと思いました。日焼けしちゃったかな?」
「少し赤いね」
「やっぱり……これだから暑い所は嫌なんですよ」
「私はそんなに嫌いじゃないな」
「そういえばフェイトさんは暑さに慣れてる感じでしたね?」
どうかな、でも、とフェイト。




279 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:22:11 ID:+ph6/0KN


「私が育った第97管理外世界でもあんなふうに暑い年があるんだよ」

フェイトは海鳴市で過ごした猛暑の一夏を思い浮かべた。
小学校のプールや友人の家でした花火の記憶……
どれも大切な人たちと過ごした大切な思い出だった。

あのとき海に行ったな、それから夏休みに図書館にも……

なのはと友だちになってから――
起こる事全てが新鮮で楽しくて、そして嬉しかった。


懐かしくて思わず微笑んでしまう。

「へぇ〜そうなんですか?」
「うん、私もその夏は毎日ぐったりして
学校の帰りはなのはの実家のお店で出してくれるアイス食べてた」
「そっか、なのはさんの実家って喫茶店でしたね」
「そうだよ、駅に近い所でね、えっと……」


……?



「?どうかしました?」
「……」
「フェイトさん?」
「……あ、うん、なんでもないよ」
「大丈夫ですか?」


お店の名前……



「……やっぱり私も暑さで頭がボンヤリしてるみたい」
「え、日射病でしょうか?」
「どうかな」
「一応シャマル先生のところに行きましょう」
「報告書に体調不良等なしって記入しちゃったんだけどな」
「それなら報告書を書き直すなら今のうちなんですから、
先生に見てもらって診断受けておきましょうよ」
「んー……そうだね」





280 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:23:33 ID:+ph6/0KN



医務室には誰も居なかった。
通信を入れるとシャマルは今日は勤務日ではないとのこと。
代行の医師が、今から向いましょうか?と言ったが
フェイトはたいしたことないから大丈夫だと答えた。

「フェイトさん今日これから予定あるんですか?」

付き添って医務室まで来たティアナが尋ねた。

「いや?特には……うん、何もないよ」
「ならベッド借りて暫く休んだ方がいいですよ」

そこまで酷くは――と言いかけて、止めた。
なのはの家の店の名前を忘れるなんて、よほど暑さにやられてるとしか思えない。

「解った、夕方まで寝てるよ」

フェイトとしてはヴィヴィオが起きているうちに会いたいから、
夕方にはここを出たいと考えていたところだ。


そう――

フェイトとなのはは六課が解散して一年以上経った今でも部屋を共有していた。
何故なら二人は――

お互いが想い合っているから
思いが通じ合ったから
今はもう……

大切な恋人同士だから
かわいい娘がいるから

家族だから






281 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:25:34 ID:+ph6/0KN


「それがいいですよ。私は今から友だちと食事の約束があるんで
もう行っちゃいますが丁度夕方一旦戻って来るんで、
その時まだフェイトさんが寝てたらちゃんと起こしますよ」
「ご、ごめんね、私なかなか起きれなくて……」
「はーい、心得ております」

フェイトの寝起きの悪さは何度か長期任務に一緒すると嫌でも解る。
出先で朝フェイトを起こすのはティアナの習慣になっていたので
今回もあたりまえのようにその役を買って出た。
フェイトはフェイトで休暇に入った早々上司の面倒を見させて
申し訳ないと思いつつも、ティアナの言葉に甘えることにした。
この一年と少しの間に二人が築いた信頼が垣間見えるものだ。

「それじゃ、スバルと楽しんで来て」
「はい……って、なんでスバルと会うって解ったんですか!?」
「え?違うの?いつも出張から戻って来たときは会ってたんじゃなかった?」
「うっ、そ、そうですけど……」
「あのアイスもスバルのお勧めだったんでしょ?」
「それは、ほら、だっておいしいから」
「そんな照れなくても……」
「照れてませんっ!フェ、フェイトさんの方こそいつもは家族と
約束があるとかって速攻で帰っちゃうのに……今日は何もないんですね」

そう言われてふと考える。

……そうだよね? いつもは何かしらあるんだけどな……?

しかしやはり今回は約束をした覚えはない。





282 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:26:21 ID:+ph6/0KN



*  *  *



医務室のベッドで眠っていると、夢を見た。



『フェイト』

『こっちへいらっしゃい』

『私のかわいい子』

『私のかわいいフェイト』

『さぁ、こっちへ……』


――はい、母さん


美しい草原と広大な森が見える。
母に抱き寄せられ、微笑む自分。
アルフが流れる雲の影を追って駆け回っている。
リニスが手を振っている。

まるで自分とは思えないほど無邪気な笑顔だ。

みんな幸せそうだ。



それから一変して暗い無機質な空間。


『ジュエルシードを集めて来てくれるわね……?』


――はい、母さん





283 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:31:22 ID:+ph6/0KN



*  *  *



「フェイトさん、もう夕方ですよ」

目が覚めた。

…ただ、ティアナの声を聞いたとき、目は閉じていなかった……
まぁ夢を見ていたのだから眠っていたのに違いない。

「やっぱり起こさないと駄目でしたね」
時計を見ると時刻は午後四時半を過ぎたところだった。
今から帰れば夕食には充分間に合う。
丁度良い頃だろう。
ティアナに礼を言うと荷物を取りに再び執務官室に戻り、
それから車に乗った。

いつもの帰り道、最近話題になっているショコラ専門店で
二週間ぶりに会う二人のために好みに合いそうなものを買った。


二人は喜ぶかな。
帰ったら一番最初になのはを抱きしめたいけど、いいかな。
好きだと伝えて……恋人になってもう一年以上経つけれど
十四日ぶりに会うというだけで未だにドキドキする自分が可笑しい。
だけどいつまでも忘れたくない気持ち。

中学を卒業して、会えなくなって、やっと気づいたこの気持ち。
なのはに会えないと――
なのはが居ないと私は寂しくてたまらないんだって。
大好きだから。

玄関でヴィヴィオの前で抱きしめたらびっくりするかな?
それとも先にヴィヴィオを抱っこしようか?
あの子の笑い声を毎日聞きたくて暇さえあれば出張先から通信を入れてしまう。
キャロたちにも同じことをして注意されたというのに。
皆の言う通り、すこし過保護なのかもしれない。
とにかく今日は学校はお休みだから、待っててくれてるはずだ。

早く会いたい。



*  *  *



「どうして連絡くれないかな」
「えっ?」
「遅くなるなら連絡してほしかったって言ってるの」

玄関で出迎えてくれたのは二人ではなく、なのは一人だった。
しかもなんだか不機嫌な様子。




284 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:33:23 ID:+ph6/0KN


「そんな遅い時間かな……? 夕飯には間に合わせたつもりだったんだけど」

フェイトはチラリと靴箱の上の小さな時計を見た。
時刻は午後六時前。
いつも休日にいただきますを言う頃まで三十分以上あった。

「夕食じゃなくてお昼だよ!」

「お昼……?」

なのはの言葉にフェイトは訳が分からないといったふうに
目をパチパチとさせた。

「ヴィヴィオと約束してたじゃない」

え……ヴィヴィオと……?

何を??

「ヴィヴィオがお昼ご飯にサンドウィッチ作るって言ったじゃない。
デザートもフェイトちゃんが好きなのを作るからって。
フェイトちゃんも楽しみにしてたくせに」

……うそ、知らない……よ?

「そう……だっけ??」

「そうだよ!!もう知らないっ!」

……約束をすっぽかしたんだ?私……

まずい、なんてことをしたんだ、とフェイトは頭を抱えた。

「ごめん!!本当にごめんね?」
「謝るならヴィヴィオにだよ」
「そうだね、ごめん。ヴィヴィオ何処?」
「部屋に閉じこもってる……」

フェイトは怒っているだろうヴィヴィオの所に向おうと
思い切りそっぽを向いたなのはの前を通り過ぎる。
すると何故か急になのはがフェイトの腕を握ってそれを止めた。

「待って、フェイトちゃん」
「ど、どうしたの?」
「それって……手に持ってるのって……」
「あぁこれ、帰りにあの店で二人にと思って買ったんだ。
これでヴィヴィオも少しは機嫌直してくれるかな……?」

フェイトはショコラ店のロゴ入りの紙袋を持ち上げてなのはに見せた。
なのはも店の評判は知っているし、食べてみたいと言っていた。
それなのに……

「……機嫌悪くなると思うよ……?」





285 名前: 名無しさん@秘密の花園 [sage] 投稿日: 2008/06/21(土) 16:34:44 ID:+ph6/0KN


フェイトにはなのはが呟いた意味がよく解らない。

「ヴィヴィオが作ったデザート、チョコレートケーキだよ?」
「え……」

フェイトには自分がよく解らない――


今までこんなことはなかったのだ。
なのはやヴィヴィオとの約束を忘れることなど。
けして。


――あぁ自分のバカ!
何より大切にしていきたいと思っていたものを裏切るなんて……
二人のことはどんなに些細なことでも大事だったのに……


「ごめんね……ヴィヴィオ……」


私のバカ!忘れるな!

忘れるな!!

二度と忘れるんじゃない!!





その日からフェイトは毎日夢を見た。


そこにはやはり母が居た。
アルフが居た。
リニスが居た。


そして……


なのはもヴィヴィオも居なかった――




やがてフェイトは忘れていないことの方が少なくなった。



Hello, Again 2
2009年08月30日(日) 16:47:33 Modified by coyote2000




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