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Hello, Again 18



287 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/10(水) 03:26:09 ID:F3Vq2bci


*  *  *



フェイトが長い眠りから目を覚まして以来、フェイトはたくさんの人と出会い微笑み合うことが出来た。
以前とは少しずつ違う形で、以前と変わらない愛情がそこにはあった。

処分開けから漸く訪れた最初の休日。
なのはが二階の書斎の窓を拭いていると、フェイトが庭でエリオとキャロと何やら楽しげに遊んでいるのが見えた。
キャロに手渡された小さなフリードを抱き、無邪気な笑顔を見せるフェイト。
実に微笑ましい光景だった。
なのはは手を止めじっとその様子に見入った。

暖かな家族の風景――
それはなのはに色々な感情を起こさせた。

フェイトはいつのまにあんなふうに微笑むようになったのだろうか。
エリオとキャロはなんと幸せそうなんだろうか。
なんとなのはの心を穏やかにしてくれるのだろうか。
そして……
なんとなのはの心を痛めるのだろうか……


――ヴィヴィオ……


……ここはあなたの居場所なのに……
私、あなたを追い出したんだね……

きっといっぱい傷付けたよね
もうヴィヴィオの母親では居させてくれないかな……?

だけど……

またヴィヴィオのママになりたい
ずっと大切に想ってる
いつでも心配してる
会いたい
ここにきっと連れて帰りたい
いつかエリオやキャロのようにフェイトちゃんと笑ってほしい――



外には相変わらず睦まじく過ごす笑顔が見える。
フェイトと、そしてフェイトが大事に育てた二人の笑顔。



――フェイトちゃん……

――ねぇ今なら……ヴィヴィオにも笑ってくれる……?



288 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/10(水) 03:28:10 ID:F3Vq2bci



やがてなのはは深呼吸すると、迷いながらも通信装置を起動させた。

モニターに呼び出されたのはアルフ。

『どうしたんだい?なのは』
「急にすいません」
『何かあったのかい?』
「……お知らせしたいことがあって」
『うん?』
「フェイトちゃんにヴィヴィオのこと話そうと思います……」
『……へ?』
「まだ……正直言って迷ってはいます……私の気持ちに整理がついても実際フェイトちゃんと
ヴィヴィオ本人たちの気持ちがどうなるか解りませんから……けどそれでも……時間はかかるかもしれないけど、
いつかは理解してもらえるように、ちゃんとヴィヴィオのことを知ってもらいたいって思うんです。
どうでしょうか?アルフさんやリンディさんは構いませんか?」
『…………なのは、それ本当かい!?』
なのはが頷くとアルフは満面の笑みを浮かべ、二つ返事で首を大きく縦に振った。
『それでいいよ!あたしたちだって本当はそうして欲しいって思ってたもの!』
それを聞いてなのはは安心したと同時に、重くのしかかるものを感じる。
「……ヴィヴィオにもフェイトちゃんのこと話さなきゃ……」
それが問題なんですけど、となのはは苦い顔をするが、一方のアルフは先ほどから尻尾をバタバタさせて興奮している。
『うんうん!!それでいつ!?』
「え」
『いつ迎えに行くんだい!?』
「……えっと……まだフェイトちゃんに何て言うべきか考えられていないから、すぐには無理なんだけど……
きっと今月中……ううん、一週間後にはちゃんとフェイトちゃんに説明――」
『なのは!!きっとうまくいくよ!安心しな!!』
なのはが言い終える前にアルフは目を輝かせてそう言った。
「……ええ、だといいです」


通信が終わると、なのはは窓に視線を戻した。
フェイトがこちらに気づき、なのはに向って手を振った。


ヴィヴィオを迎えに行ける日が訪れるのか正直言って自信がない。
けれどこの笑顔がいつかヴィヴィオにも向けられるように、覚悟を決めなければ。
そう思いながらなのははガラスに額を当てて溜め息をついた。





289 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/10(水) 03:30:31 ID:F3Vq2bci


*  *  *



なのはの勤務中のこと。
フェイトはこの数ヶ月間ほとんど足を踏み入れることのなかった書斎の扉を開いた。
ここはあらゆる世界の歴史や法律、魔法に関する本やデータが置かれた、元々は自分の部屋だったらしき場所だ。
フェイトは本棚にずらりと並んだ本の中から数冊を選び、整頓されたデスクの上にそれを置くと椅子に座った。
今家の中に居るのはフェイト一人。
静かな空間でフェイトは暫しの間本に集中していた。
数時間が経ち、幾つかフェイトの理解出来ない内容が目立ち始めると、
その箇所については誰かに教えてもらおうと、何か栞の代わりになるものを探して辺りを見渡した。
そしてデスクに備え付けられた一番上の引き出しを引いた。
中には万年筆が一本、花の模様が隅に入ったシンプルな便箋が数枚、その対になる封筒が数枚が入っていた。
綺麗なデザインだなと思い、未使用のそれらを何枚か手に取って眺めた。
するとふと掴んだ封筒の一枚に何か入っているような違和感を感じた。
「なんだろう?」
フェイトはすぐに封筒の中に手を入れた。
出て来たのは封筒と同じデザインの白紙の紙。
そこには何も書かれていなかった……


そこに何が記される予定だったのだろうか?



「……ん?これは……」

そのときフェイトが思い浮かべたのはなのはの姿だった。

フェイトのことを見ているなのはの姿。
プレシアの話をするとフェイト自身よりも悲しそうだったなのは。
ドライヤーを取ろうとフェイトが手を伸ばしたとき耳まで赤くなったなのは。
フェイトが気づかないように、本当は気づくように、何度も『大好き』と言葉にしてくれたなのは。


抱きしめると心地よくて華奢で温かい人。
優しくて強くて、とても綺麗な人。
触れたくて、一緒に居たくて、フェイトの胸をいっぱいにした人――



フェイトは便箋を落とさぬよう注意を払いながら折って戻し、大事そうに封筒を胸に当てた。
それから目を閉じ、長い間じっと座ったままでいた。
じわじわと込み上げて来る不思議な、幸せな気持ちを感じながら。





290 名前: Hello, Again [sage] 投稿日: 2008/09/10(水) 03:32:30 ID:F3Vq2bci


*  *  *



『フェイトちゃん、ずっと隠してたんだけど、私たちには娘がいます』

――駄目駄目、この言い方は絶対マズい

『私には一緒に住んでいた娘がいるんだけど』
『私が保護責任者になって育てている子どもがいるんだけど』

……うん
……まだマシかな……


「もう一人でちゃんと洗えるからいいよ」
「え?」

考えごとをしながらなのはが掌にシャンプーの液を垂らしているとフェイトが言った。
毎日洗ってあげているうちにもうすっかり慣れてくれていたと思ったのに
フェイトがまた距離を取り始めるようなことを言い出したので当然なのはは理由を尋ねた。
「え〜洗ってあげたいのに何で?」
するとフェイトはこう言った。
「なのはに頼ってばかりは嫌だ」
その抗議するような困った顔を見れば、そっか、と引き下がるしかなかった。
前はなのはに髪を洗われるのは嫌じゃないと言ってくれたのにな、と思いながら
若干傷心気味のなのははフェイトが自分で髪を洗うのを湯船の中から眺めた。

それからやがてフェイトがお湯に入ろうとバスタブの中に足を伸ばす。
チャポンとその足が浸かったのはなのはの背後で、フェイトの腕はなのはの腰に回される。
髪を洗わせてはくれないけれど、こうして触れ合うのはいいんだ?と、なのはは眉をひそめた。
しかしそれよりも、邪魔も入らず落ち着いて二人で居れる今の状況のうちに
話さねばならないことがあったと思い出す。
なのはは意を決してフェイトの正面に振り返った。
「あの!」
「うん?」
フェイトはなのはの顔をマジマジと見つめた。
「えっとね…………」
なんだか痛いくらいに見つめられ、どうも話し辛く感じるなのはだったが
こんなことではいけない、と気を引き締めてフェイトを見つめ返した。
「……」
「……」
「……フェイトちゃん……」

五秒後。
赤い顔のフェイトは、逆上せたから、と早々と脱衣所へ出て行った。

「な、なんで……?」
結局何も言えなかったなのははブクブクとお湯に顔を沈めた。


Hello, Again 19
2009年08月30日(日) 17:45:21 Modified by coyote2000




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