スローライフ13



ピッ…
「よかったじゃん、助けに来るってさ」
「……けほっ……くっ」
言葉を出せない代わりに男を睨み付ける
そんな私を笑ったあと、自分の携帯を取りだし電話をかけ始めた
………
「あ、うん、今からこれる?ははっ、そうじゃない。ちょっとムカつくやつがいてさ、うん、そうそう、……あ、一応いるよ?終わったら好きにしていい」
男の視線が私を見る
終わったら好きにしていいとはおそらく私の事だろう
「くっ……っ…うぅ」
「さ、行こっか」









………
指定された場所に向かう
…さっきの電話口でのやりとり
少なくとも仲間は来るのだろう
気ばかりが焦る
あの時、止めなかった自分が憎い
想像が悪い方向にばかり加速する
それを振り払うかのように全力で走った





「ここか…」
目的の場所
町外れの公園、隣には広大な自然林がある
…小さい頃はよくここで遊んだりしてた
この時間は誰も来ないような場所だ
………
…………
いた
気の焦りを隠しそこに向かう
「………」
「本当に来てくれたんだ、はは…彼女でもない女の為に律儀なやつだなぁ」
向こうの人数は4人
予想より多い…が、なんとかならない数ではない
…リーダー格の男は見覚えがある
…その手の中、アイツがいた
男がナイフを取り出す
「ッ……!」
全身が硬直した
今にも飛び出していきたい衝動を必死に殺す
「自己紹介はいらないよな?そして大会じゃどうもありがとう…ホント、腹が立つ」
「…まずはそいつを放せ、文句があるなら直接俺に……」
「黙れっ!!」
「…いいか、お前とお喋りするために呼んだんじゃないんだよ」
くそ……まずアイツがどうにかしないと…
逆を言えば人質さえいなければ絶対に勝つ自信がある
「じゃ、本題、動くなよ?」
取り巻きの男達が動く
…あぁやっぱり
……
…………
「げほっ……かは…うぐっ」男達は命令されるまま、執拗に俺を殴り、蹴る
…だめだ……
これじゃいつかこっちがバテちまう
なんとかアイツを引き離さないと……
「あー、殴るのはその辺で。そろそろ、さ」
男2人が俺を押さえつける。そして視線は…
「……っ…」
小さく、だけど確かにアイツが怯えた
鈍い俺にもすぐこいつらの考えが分かった
……クソ悪趣味な野郎どもだな!!
まずい、だが問題はナイフだ。ここで暴れたとしたらアイツが刺されてしまう可能性がかなり高い
あれを…どうにかしないと…


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2008年02月04日(月) 23:25:55 Modified by katzenveit_c0162




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