スローライフ22


そういえば……と思ってしまった、思わなければよかったのに


「部活の友達とどんな話してるのかな…?」
お昼に聞いた話だと仲のいい友達が居ないって事だったケド…
「まぁ彼に限って…」
昔は本当によく外に連れていかれたし
…………
……………………
「……どんな事話すのかな?」
なんだか想像できなかった
私だっていつでも一緒にいるわけじゃない(ほとんど一緒にいるけど)。
趣味は無いらしいし…
「やっぱり学校の話かなぁ……」
ちょっとした期待を抱えて部室へと向かった
彼の事を知りたい
そんな気持ちも一緒に



あ、いたいた
声を掛けようとして
「……」
なんだか深刻な話をしているようだった
「…話しているのは部長さん?」
…もしかして…
全国大会までに治らないのではないか…
と不安が過る
私のせいであんな事になってしまった
気にするなと言われたけど、そんな事は絶対に出来ない

とても卑怯だけど後ろめたくなってしまったので近くに隠れてきき耳を立てた


「動かないだって!?」
部長さんが大声を出し、彼にたしなめられた
部長さんはまだ慌ててる様子だった
「動かないって…」
腕の…事…?
怪我した腕を見続けている
恐らくは間違っていない
彼が続ける
「これから先、ずっとか?」
「ずっと…になるかな……」
……
………………
…………
時が止まった
ずっと、これから


「はぁ…はぁ…」
気が付けば走って逃げ出してきた
どこをどう走ったのか
そんなこと全然覚えてない
ずっとずっと手が動かない
嘘だって、言って欲しい
だけど彼に直接会って聞く勇気なんか無い
どうせなら、罵倒して欲しかった
怒って、怒りに任せて私を襲って、犯してくれればよかった
そうすれば、彼の事を嫌えたかもしれないから


「…無理…だよ」
私は彼を嫌う事が出来ない
もう引き返せないって
よく、分かってた



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2008年02月19日(火) 19:58:26 Modified by ID:IrOa8HEmTQ




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