【設定】聖堂教会

 【聖堂教会】
 異端審問官などを束ねる、西洋退魔組織の総本山。

 発祥の地はローマであるとされているが、仔細が書かれた書物の類は残されていない。
 かつての名は「アジール(ギリシャ語で「守護領域」を意味する)」といい、教会から戦を請け負う信徒のみで構成された強硬派の集団に過ぎなかったが、これをルーツに神の名の元に公然と命の簒奪を行う武力集団へと変質し、徐々にその規模を大きくするが、神の名の元に行われる暴虐故に教会からの反感を買い、解散を余儀なくされたという過去を持つ。
 昔の名の名残か聖堂教会と書き「アジール」と読む者もいるが、それは禁忌とされている。

 かつてはプロテスタントを弾圧し、力を以ってキリスト聖教としてカトリック派を中心とした聖キリスト教統一宗派を作ろうとしていた。
 また、ピューリタン(会衆派)やバプテスト派に対する弾圧も盛んで、魔女狩りや異端審問などにも積極的に参加し、これに従事したという。
 特に、霊的事象に関してはプロテスタントの中でも頭ひとつ飛び抜けて造詣が深いとされるクェーカー(キリスト友会)を恐れ、彼らを潰すことに奔走したという。
 (結果的に失敗し、クェーカーは未だプロテスタントの一派としてその存在を残している)
 しかし、カトリック派の衰退によりその権力を失い、武力のみが残されたアジールは迷走することとなり、やがてそれは自らの信仰こそが正義であると錯覚する暴徒の集団へと成り下がっていったのだ。
 そこで教会から正式に粛清を受けることとなり解散、聖堂教会と名を変えて組織を再編成して教会上層の人間を聖堂教会の根幹に据えることで今に至る。

 現在はキリスト教に限らず多くの宗教(閉鎖された環境における宗教を除く)に携わる者が悪魔狩りになった際に所属する一組織となっており、信仰に篤い敬虔な信者が多く所属している。
 とは言え、儀礼的にキリスト教を原型としている事もあり、キリスト教関連が組織内において圧倒的なシェアを占めているのもまた事実ではあるのだが。
 彼らは按手礼を行うことで叙階(任命)されることになっており、儀を終えることで聖堂教会に属する退魔士の一員として正式な認可を受ける。
 逆に、信仰の欠片もない傭兵であろうと聖堂教会には退魔許可札(アストラル・マーダー・ライセンス)を発行し、組織に携わる者としての地位と権利を保証する。

 中枢にあたる≪法皇庁≫はヴァチカン市国に存在しており、法皇庁がその姿を隠す為に信徒達から≪大聖堂≫と呼ばれていることからこの名前がついたとされている。
 が、その名は自らの正当性を誇示する意味合いでの「正道」から来ているとも、異端審問の折に聖水で磨き上げた青銅の刃物を用いていたからだとも言われているが真相は定かではなく、その名に由来するものは口伝以外に残されていない。

 黄道十二剣聖を始めとする多くの退魔士を擁しており、その戦闘能力は極めて高い。
 また、信仰と「正義の執行」という理念によって束ねられる結束は固く、傍から見れば組織としても非常に堅牢であると評価されている。
 しかし、上層部では『世界を管理する』という題目を掲げる強硬派と『怪異から人を守る』という原初の理念を掲げる穏健派に二分されており、決して一枚岩な組織ではない。
 強硬派は聖堂教会こそが世界を管理し得る唯一無二の存在であると自負しており、穏健派はその考えこそが過去の過ちの再来であると強く批判している。

 現在は強硬派が音頭を取るような形で組織は運営されており、その強行的な理念故に他の退魔士集団(主に東洋)とは良好とは言い難い関係を築いている。
 が、近年は異端審問官である斬宮カルマの存在を通じて、日本の汎退魔士連合≪現世守≫との協力体制を確立、日本への本格的進出を試みているようだ。


 ≪関連事項≫
 黄道十二剣聖(異端含む)
 異端審問官
 悪魔狩り
2006年07月23日(日) 03:15:27 Modified by ID:og+RtB6xcg




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