失敗の研究

　

目次

まえがき≪ゴルトベルク変奏曲≫を聴こう ~オペラのごとき物語~　003

■【序章】バッハはピアノを知らない ~音のアルデンテを目指せ~

　第16変奏 輝ける飛翔　014

　　<<ゴルトベルク変奏曲>>の謎
　　狂おしいトリル
　　音のアルデンテを目指せ
　　アラ・ブレーヴェ（Alla breve）とは
　　4分の4拍子
　　アラ・ブレーヴァと4分の4拍子の見分け方
　　「音符として」書かれる装飾音
　　軽快なフゲッタ
　　テンポ・リレーションシップ
　　バッハの時代の演奏者たちと演奏習慣
　　北ドイツの17世紀の鍵盤音楽作品の装飾音について
　　モルデントとトリル
　　バッハのトリルについて
　　不協和音を作るトリル
　　楽譜に忠実に？音楽に忠実に？

　第28変奏 音符の万華鏡　025

　　「悪魔のトリル」登場？
　　支えるのは8分音符
　　バッハの「エンタメ」力　コントラストの達人
　　牧師たちとカントール　バッハの熱きバトル
　　密集形と乖離形
　　パイプオルガン的響き？
　　小節線の呪縛からの解放
　　時代の先どり
　　お気に入りの音楽を詰め込んだオルゴール時計
　　メンデルスゾーンがもらったクリスマスのプレゼント
　　なんと素敵なサプライズ！

　第29変奏 仮面舞踏会　033

　　<<ゴルトベルク変奏曲>>のクライマックス
　　ナゾな音の対処法
　　音符の説明力　言語性
　　単旋律の即興的パッセージ

■【第1章】オスティナートの陶酔 ~究極のリフレイン~

　優雅で感傷的なアリア　040
　　お手持ちの鍵盤楽器で
　　サラバンドのアクセント
　　テンポとアクセンチュエーション
　　バロック音楽のスイング
　　アリア旋律とサラバンド
　　美しい掛留
　　<<ゴルトベルク変奏曲>>のテーマ
　　旋律のボディ
　バス主題こそ、をかしけれ　046
　　「長大な」バス主題
　　32小節のアドバンテージ
　　シャコンヌとパッサカリアの大ブーム
　　バッソ・オスティナートの陶酔
　　重低音の反復はクセになる
　　会衆を思う教会オルガニストたち
　　文字の読めない民衆にもわかる礼拝―ドイツ讃美歌運動―
　　悠久の音楽的時間を作る
　　ハンザ同盟の町、リューベック
　　ナポレオンとリューベック
　　若きバッハが訪ねた聖マリエン教会
　　ムーンサイクル
　　リューベック、聖マリエン教会の日時計
　　月の満ち欠けを小節数で表す
　　月の満ち欠けを音で表現する
　　バッハのキーワード「先人を超えろ」
　　バッハの自由オルガン作品はどのように演奏されたか
　　<<ゴルトベルク変奏曲>>の原型？

■【第2章】第1幕第1場 デュアルモードを使いこなせ ~チェンバロ脳とオルガン脳~

　第1変奏 ウサギのダンス　060

　　眠れぬ夜の悩ましさを忘れよう
　　冬の日のドイツ
　　足鍵盤が省略されたトリオ・ソナタ？
　　ユニゾンについて―倍音を聞く―
　　バッハの作曲思考モード
　　スイングするアクセント
　　ピアニッシモは美しい

　第2変奏 ひとすじの流れ星　066

　　「動」と「静」のコントラスト
　　チェンバロならではの対位法

　第3変奏 おやすみの子守唄　069

　　<<ゴルトベルク変奏曲>>の数学的論理―カノン―
　　コラール前奏曲の様式で書かれた第3変奏
　　8分の12拍子はゆったりとエレガント
　　アンダンテ
　　トリプレット Triplet
　　舞曲は「ゆったり」
　　テンポとスピード―感覚の温度差―
　　オルゲルビュッヒライン
　　オルガンコラールの言葉遊び的メタファー
　　主役は、人間

　第4変奏 若者たち　076

　　バッハ流サプライズ
　　ニューウェーブ　8分の3拍子
　　1小節をひとつの拍のように
　　8分音符のアーティキュレーション

　第5変奏 うさぎとかめ　079

　　最初の関所―鍵盤交差―
　　奏法は、つねに音符のなかに示される
　　音符は「言語」
　　テクスチュアの薄さ
　　音型（フィギュア）に即したフレージングを
　　ヴァイオリンを模倣したパッセージ

■【第3章】第1幕第2場 すべての音符には意味がある

　第6変奏 森の古城　086

　　静寂は語る
　　テンポのイニシアチブをとる音符たち
　　カノンの妙

　第7変奏 妖精の踊り　088

　　ピアニッシモが紡ぎだす寓話的世界
　　またまたテンポ・リレーションシップ

　第8変奏 きらめく星たち　090

　　テンポ・プリモ Tempo primo

　第9変奏 つれづれなるままに　092

　　第9変奏は気張らずに

　第10変奏 新しいアイディア　094

　　アラ・ブレーヴェで端正にしめる
　　さりげなく予告
　　バロック音楽には、リタルダンドはあり得ない

■【第4章】第2幕第1場 音符のチカラを読み解け

　Intermezzo:シンメトリーの美 ヨーロッパの審美眼　098

　　<<ゴルトベルク変奏曲>>の構成について、再考
　　<<ゴルトベルク変奏曲>>の序破急の美？
　　バッハさん、「３」が好きらしい
　　<参考><<ゴルトベルク変奏曲>>を2部構成で分ける場合
　　人間バッハにせまろう
　　ヨーロッパは広場文化
　　巡礼ブームはお陰参り？
　　バッハはレストランを知らない
　　揺りかごから墓場まで―貧しかったヨーロッパの庶民にとっての教会―
　　集会場、公民館としての機能を果たしたヨーロッパの教会
　　慰めの音楽が鳴り響く教会―非日常的音楽世界への誘い―
　　祈りにドラマ性を盛り込む―アフェクテンレーレ（Affektenlehre）―
　　バッハの楽譜へのこだわり

　第11変奏 切ない夜のつれづれ　111

　　不思議な記譜法
　　音符にメッセージを託す
　　楽譜も音符も見た目が大事？！
　　ゆったりと歌う、トリル

　第12変奏 メリーゴーランドのポニーたち　114

　　戯れの3拍子
　　妙に気さくな反行カノン
　　音楽的時間のなかで

　第13変奏 天使のサラバンド　118

　　天使のフレージング
　　表情豊かな音の壁紙
　　パイプオルガンのコラール旋律を彷彿とさせる第13変奏
　　旋律の揺れをテンポの中で感じて

　第14変奏 百花繚乱　121

　　ロングトリルは美しく
　　協奏様式と音の独立性の両立
　　劇的な場面転換というサプライズを音で表現する

　第15変奏 迷える羊たちの、ためいき　124

　　短調という媚薬
　　ためいきのモチーフ

■【第5章】第2幕第2場 カイザーリンク伯の心の旅

　第17変奏 安らかな闇　128

　　輝ける飛翔から安らかな闇へ
　　豊かなピアニッシモ
　　2音の美しいステップ、素材の旨み

　第18変奏 自由の翼　131

　　調に託したイマージュ

　第19変奏 ささやき　134

　　アクセントに遊ぶ
　　バッハが愛した、音色の向こう側

　第20変奏 つがいの鳳凰　137

　　突き抜ける爽快さ

■【第6章】第3幕第1場 バッハを肌で感じよう

　Intermezzo:教会以外の仕事の依頼 ~コーヒー・カンタータ~　142

　　バッハは珈琲がお好き？
　　報酬は現物支給？
　　音楽と珈琲
　　ツィマーマン・コーヒーハウス
　　日本へのコーヒーの伝来
　　オランダ人は無類のコーヒー好き

　第21変奏 憂愁の霧　148

　　ためいきの音楽、ふたたび
　　カタルシスの美

　第22変奏 哀しみの向こう側　150

　　全音符が推進力
　　シンコペーションに遊ぶ

　第23変奏 水の戯れ　152

　　はじめの一歩ならぬ、「はじめの一音」
　　古典運指法
　　音のアルデンテを目指せ

　第24変奏 陽だまり　156

　　3連符にこだわれ
　　見えない糸
　　バッハの時代の季節感覚

　第25変奏 死の予感 -生と死の対話-　159

　　アダージョ Adagio について
　　装飾音ニモ負ケズ

■【第7章】第3幕第2場 バッハからの挑戦状

　第26変奏 秋風にだなびく黄葉　164

　　名人芸のオンパレード
　　16分の18拍子のメッセージを見落とすな

　第27変奏 追想、小春日和　168

　　唯一バス声部をもたない変奏

　第28＆29変奏 アヴァンギャルドなバッハ　170

　　3拍子について
　　すべての音符には意味がある
　　「16分音符、32分音符＝最速で弾け」
　　コラール・パルティータ　VS　<<ゴルトベルク変奏曲>>
　　<<ゴルトベルク変奏曲>>はそういうわけにはいかない
　　「そうだ！眠れぬ夜を超える、長大なパルティータを書こう！」
　　ルールからの、確信犯的逸脱
　　カスタムメイドの<<ゴルトベルク変奏曲>>

　第30変奏 愛の食卓、お気に召すまま　176

　　アズ・ユー・ライクの音楽
　　即興の妙を愉しむ芸術
　　ふたつの民謡
　　長い夜をしめくくる、さらりとしたクライマックス
　　ベルガマスカ旋律

あとがきにかえて アリア・ダ・カーポ あさきゆめみし　180

　　終焉を告げる鐘？
　　時間のうつろいを感じさせる<<ゴルトベルク変奏曲>>
　　ふたつのアリア
　　リピートについて

あとがきのあとがき バッハがつまった魔法の壷　184

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