子育ての失敗を広く浅く、ゆるやかに追跡。

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『春の祭典』


第1部 大地の礼賛

序奏
リトアニア民謡をベースにしたファゴットの非常に高音域のイ調独奏で始まる(C2)。古典的な楽器法に精通したサン=サーンスが酷評したこの部分は演奏が大変困難であり、田村和紀夫はドビュッシーの『牧神の午後への前奏曲』冒頭のフルート独奏と共に、楽器の得意でない音域を敢えて使用するという作曲家の意思を読み取っている[31]。既に変拍子の幕開けとなり、様々な管楽器が異なる調性で全く違うニュアンスのメロディーを激しく演奏する。高潮しきった所で曲は途絶え、ファゴットが再び最初の旋律を嬰ト調で演奏する。ブーレーズは論文『ストラヴィンスキーは生きている』において「最も異様、かつ興味深い語法」と評した。

春のきざし(乙女達の踊り)
ホ長調主和音(E, G♯, B)と変イ長調属和音第1転回形(G, B♭, D♭, E♭)が複調で弦楽器を中心に同時に力強く鳴らされる同じ和音の連続とアクセントの変化による音楽。この和音構成は平均律上の異名同音で捉えると変イ短調和声短音階(A♭, B♭, C♭, D♭, E♭, F♭, G)と同じであるが、初めて聴くものには強烈な不協和音の印象を与える。また木管楽器によって対旋律として現れる(E, G, C, E, G, E, C, G)というスタッカートのアルペジオはハ長調を示し、これによって五度圏上で正三角形を成し長三度ずつの移調関係にあるハ長調、ホ長調、変イ長調が結ばれる。これはベートーヴェンの後期三大ピアノソナタ(あるいはもっと前の『ヴァルトシュタイン・ソナタ』や『ハンマークラヴィーアソナタ』なども)においても転調の過程で順次提示されるように既に援用が見られる調関係だが、同時に鳴らすのは音楽史上この曲が初めてであろう。

誘拐

春の輪舞

敵の部族の遊戯

長老の行進

長老の大地への口づけ
極めて短い。激しい不協和音が弦楽器のフラジオレットで奏される。

大地の踊り
音楽は絶頂の中、終結句を伴わず突然終止する。

第2部 生贄の儀式

序奏

乙女の神秘的な踊り

選ばれし生贄への賛美

祖先の召還

祖先の儀式

生贄の踊り(選ばれし生贄の乙女)
最も難曲かつ作曲学上システマティックに書かれた部分。5/8, 7/8などの変拍子が組み合わされて徹底的に複雑なリズムのポリフォニーを作り上げる。オリヴィエ・メシアンはこの部分を「ペルソナージュ・リトミック(リズムの登場人物)」[32]、ピエール・ブーレーズは「リズムの細胞」と、クラウス・フーバーは「リズムのクラスター」と呼んでそれぞれ分析結果を発表している。メシアンによればこの曲は、複雑な変拍子の中でそれぞれ提示されたリズム動機について、拡大する動機、縮小する動機、発展せず静的な動機の3つの類型のリズムから成り立つという。

版による違い

1913年版
自筆譜。初演に用いられた。
1913年版(4手ピアノ版)
1913年5月、初演に先立ちロシア音楽出版社より出版。1952年にブージー・アンド・ホークス社よりリプリントが出版された。
1921年版
管弦楽版初の出版譜。初演版から一部改訂されている。1922年2月にロシア音楽出版社より出版。
1929年版
1921年版の誤りを修正したほか、『祖先の召還』と『生贄の踊り』を大きく変更。ロシア音楽出版社より出版。
1943年版
『生贄の踊り』をさらに大きく改訂。『生贄の踊り』の部分のみを1945年にAMP社より出版。
1947年版
1929年版の誤りを修正。1943年版での変更は戻されている。1948年にブージー・アンド・ホークス社より出版。
1965年版
1947年版の誤りを修正。ブージー・アンド・ホークス社より出版。
1967年版
一部修正したうえで新たに印刷版を作成。ブージー・アンド・ホークス社より出版。
1968年版(4手ピアノ版)
主に『祖先の召還』と『生贄の踊り』を改訂。ブージー・アンド・ホークス社より出版。

楽譜


その他の編曲

ストラヴィンスキーの自作自演が聴ける作品




ストラヴィンスキーに関する書籍


自著

ストラヴィンスキー 『音楽とは何か』(佐藤浩訳、ダヴィッド社、1955年) 
『音楽の詩学』(笠羽映子訳、転換期を読む:未來社、2012年8月刊)
※大学での講義をまとめたもので、原題はPoétique musicale(音楽の詩学)。
『ストラヴィンスキー自伝』(塚谷晃弘訳、全音楽譜出版社、1981年)
『私の人生の年代記 ストラヴィンスキー自伝』(笠羽映子訳、転換期を読む:未來社、2013年)
ストラヴィンスキー談 『118の質問に答える』(ロバート・クラフト編、吉田秀和訳、音楽之友社、1960年)

参考文献

深井史郎『ストラヴィンスキイ』(普及書房/1933年)
柿沼太郎『ストラヴィンスキーの音楽と舞踊作品研究』(新興音楽出版社/1942年)
エリク・ホワイト『ストラヴィンスキー』(柿沼太郎訳/音楽之友社/1955年)
宗像喜代次、河野保雄『音楽とは何か ストラヴィンスキー論』(垂水書房/1963年)
ロベール・ショアン『ストラヴィンスキー』(遠山一行訳/白水社/1969年)
ミシェル・フィリッポ『ストラヴィンスキー』(松本勤、丹治恒次郎訳/音楽之友社/1972年)
船山隆『ストラヴィンスキー 二十世紀音楽の鏡像』(音楽之友社/1985年)
C・F・ラミュ『ストラヴィンスキーの思い出』(後藤信幸訳/泰流社/1985年)
ヴォルフガング・デームリング『ストラヴィンスキー』(長木誠司訳/音楽之友社/1994年)
『作曲家別名曲解説ライブラリー25 ストラヴィンスキー』(音楽之友社/1995年)
遠山一行『「辺境」の音 ストラヴィンスキーと武満徹』(音楽之友社/1996年)
ロバート・クラフト『ストラヴィンスキー友情の日々(上下巻)』(小藤隆志訳/青土社/1998年)
黛敏郎 「イゴール・ストラヴィンスキー印象記」 『音楽の友』 1959年7月号、音楽之友社、1959年
山崎浩太郎 「ストラヴィンスキー来日のころ」 『DVD・大阪国際フェスティバル1959』(ライナーノーツ)、TDKコア、2004年
Mark McFarland. “Igor Stravinsky.” In Oxford Bibliographies Online: Music. Edited by Bruce Gustavson. New York: Oxford University Press, 2011. http://oxfordbibiographiesonline.com.

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