2台目膨大なペ一ジ数 Wiki*

「………。」
死んだ魚のような目でヒイラギシティを徘徊する一人の少女。

彼女の名前はてぃろるーな。10代目の◯馬鹿を襲名した実績()を持つコテハン……なのだが、何やら様子がおかしい。
元から無口であるてぃろるーなだが、こ↑こ↓数日はゲームも勉強も殆ど手を着けず、毎日ログインを欠かさないでいるソシャゲも起動さえしていない。ツイッターにも顔を見せなくなっていた。
そして…

「害悪ハンター様に従うことこそが幸福です。さて、仮面ライダー信者をどう殲滅すべきか……」

普段の彼女であればこんな台詞を言わない。
彼女が様付けで呼びうる者といえば、相互で絵師でYouTuberである［編集済み］氏だけである。なんなら仮面ライダー界隈にも普段なら無関心。

何を隠そう、彼女はつい先日"オモイッドオリロッドG87"と呼ばれる洗脳兵器の餌食となったばかりだった。

かつての香ばしさはすっかり消え失せ、今や彼女は害悪ハンターの手駒としてこき使われているだけの存在となっていた。

ﾋﾟﾋﾟﾋﾟｯ

「…！」

すると、てぃろるーなが装備するエネルギーレーダーが反応。
このレーダーは魔力や気力、生命力などといったあらゆるエネルギーを検知できる。作者は彼女自身。

てぃろるーながレーダーに誘導されて向かった先には、手のひら大の大きさの光る結晶体を持った一人の人物が。おそらくROM専だろう。

「あ…ち、違う…違うんだ…」

「……その物体から高エネルギー反応がありました。危険物鑑定にご協力ください」

「まっ待て！話せばわかる！」

「拒絶の意思を確認。これより対象を害悪とみなし、殲滅を開始します。」（ｼﾞｬｷｯ）（銃を構える）

「う……うわああああ！！」
ヤケクソになって結晶体を投げつけてくるROM専。

てぃろるーなは半ば脊髄反射で結晶体を銃撃し破壊するが…

「……？　……！？」

砕け散った結晶体の光から、てぃろるーな自身の記憶が流れ込んでくる。

膨大界隈とは無縁な場所で無自覚荒らしに加担しBANされたこと。
膨大でも迷惑行為を繰り返したこと。嫌われすぎたこと。
名無しになりすまして有期規制を受けたこと。
ツイッターアカウントを無断で作成しリプ凸を敢行したこと。
鍵垢から嫌いな人物に暴言を吐きまくったこと。
公開垢でも暴言を吐いて永久凍結されたこと。
本家膨大ともども避難所が消し飛び、みんつくに流れ着いたこと。
たった一人からの需要で、ルール的にグレーゾーンのキャラクターをネットの海に放り込んだこと。
嫉妬と劣等感で理性を失い、あろうことかその一人に対して当たり散らしてしまったこと。その余波からありもしない烙印を押してしまっていること。

…そうだ、
「害悪は他でもない私……」

そして最後に流れ込んできた記憶。

『これを見てニヤニヤするのが好きですw　ぼんだい民が私に服従してくれるのが最高…』

…何故こんなことを忘れていた？

何故あんな奴に？

気づくとそこにROM専の姿はなかった。

「私は…馬鹿はいつまでも馬鹿のまま……。あの頃から何も変わってないなホンマ……」

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ

「！」

独り言を遮るかのように、携帯型の通信機から着信音が鳴る。
てぃろるーなは一度だけ深呼吸をし、電話に出る。

「こちら、コードネーム：ルナティック。ご用件は？」

なるべく無機質な声で応対する。先程までの自分もそうしていたように。

『担当区域の状況を報告しなさい』

「…特に異常はありません。」

実際そうだった。先程のROM専と結晶体以外は、人がいないだけで全て平常だった。

『そうか、引き続き巡回を続けろ』

「了解です」

ﾋﾟｯ（通話を切る音）

「……。」

「…………。」

「お前なぁ……誰が『服従してくれるのが最高』？ふざけんなよ反吐が出る……！」

怒りに任せて通信機を握りしめると、彼女自身から漏れだした魔力が込められたことで脆くなった本体外装があっさりと破壊される。

このまま通信機を持ち歩くと、内蔵のGPS装置で居場所を掴まれてしまうので、大した問題ではない。むしろここで捨ててしまうべきシロモノなのだ。

「こうなったら、馬鹿でも馬鹿なりに……私なりに暴れてやる……！」

生気と殺意が籠った目で上空を睨み、てぃろるーなはその場から走り去っていった。

［好評だったら続くかもしれない］