「…はぁ…久々にたかりに来たな…まったく…」ゴクッ
公園のベンチでチーズケーキとショートケーキを食べ終わり、紅茶を飲みながら足元を見る…
そこには灰色や白いモノが大小あわせて四つ、地面に四散している…俺に餌をたかりに来ていた野良チュンチュン一家の変わり果てた姿だ、醜い顔で潰れている。
「…誰が糞鳥にやるかよ」ゴクゴク…
――数日前――
この公園は私の好きな場所だが、唯一の欠点が、野良チュンチュン一家にたかられる事、
最初は無視したが、余りにうるさいので、行動に移す事にした。
とは言っても、高圧ガス銃で撃ち殺す、単純な話しだ。
ダン!!
チュンチュン「ビィッ!!!」グチャ、アタマフキトビ
オトモチュン「チュンチュンンンンンンヲ!?!?」
ヒナチュン「マーピヨョョオオオオ!?!?」
ウブチュン「プワプワーオー!?!?」
「あ〜…うるせえ!!」
ダンダンダンッ!!
オトモチュン「チュビィ!!!」ハラカンツウ
ヒナチュン「ピァ!!!」アタマフキトビ
ウブチュン「ビッ!!!」カオハンブンフキトビ
「…ちっ…成仏しろよな…」
そんな感じで、しばらくは野良は来なくなったが、やはり生きるのに必死なのか、先程こんな感じだった。
オトモチュン「ソノチーユケーキヨコスチュン!!!」ユビサシ
チュンチュン「チーユケーキチュン、チュンチュンノタカヤモノ」タマチュンカカエテ
ウブチュン「ピュア~ピュア~」オウタヲウタイ
ピヨチュン「マーピヨマーピヨ」オトモチュンノウシロデ
こんな感じだ、こいつらはとことん苛つく、なまじ言葉が分かるから余計か?
私はとは言っても、何時もどうりでは芸が無い、だからやり方を変えた。
「……ほらよ…」ポイ
私はチーズケーキの欠片を投げてやった。
オトモチュン「サイチョカラダスチュン」チーズケーキニミサボリ
チュンチュン「マッタクチュン」チーズケーキヲワケ
ウブチュン「マーピヨ、オトピヨ」チュンチュンニチカズキ
ピヨチュン「ピュア~ピュ~ア~オ~」ヘンナオウタウタイ
早速貪っている、生きるのに必死とは言え、此処まで汚いとはな…
「……じゃあな…」
ジャキ!!!
ダンダンダンダンダン!!!
オトモチュン「ピィイガッ」ハラカンツウ
チュンチュン「ヂュッ!!」アタマハンブンフキトビ
ウブチュン「ビッ」カハンシンコナゴナ
ピヨチュン「マ゙ビヨ」クビダケノコリ
タマチュン「ウン・チュン・ベイビー」オトモチュンノウンチマミレ
とまあこんな感じで、私は野良チュンチュン一家を殺した訳だが、
まあ気まぐれなのか、柄にも無く良い気分の内に殺した。
―――――――――――
…チュン…
「…ん?…寝ちまったか…今何時だ?…まだ大丈夫か……」
いつの間にか眠ってしまっていみたいだ、まだ時間は大丈夫だが、周囲にはもう人影が無くなっていた。
…しかし、何かで目が覚めたんだが…?
…チュンチュン…
「!?…声…か?どこから…!?」
再び聞こえた声、眠気まなこをこすりながら良く見ると、先程の野良チュンチュン一家の死骸のとなりにヒナチュンが居た。
「ヒナチュンか?俺がチュンチュン一家を殺したの知らないのか?…いや知ってるみたいだ。」
「オイ!!!」
ヒナチュンに問いかけた、しかし、汚いな、さっきの一家の方がまだマシだったぞ…
ヒナチュン「チュン!?!?ニンゲンサン!!!」ペコリ
俺の声に気づいたヒナチュンは、ハッとした顔で俺を見て、深々とお辞儀をした。
「…お前…野良か?、野良ならお辞儀なんかしないはずだが…どうみても野良だし…親はどうした?」
ヒナチュン「チョットマエチュン、ノラニナリマチタ」
ヒナチュン「オカーシャンタチハ…イマチェン…チュン」ナミダポロ
親のことを話すときにヒナチュンの頬に…涙が流れた…
「…親がいないって事は、死んだのか?、何時だ?」
ヒナチュン「キョウ…デス…チュン…」ポロポロポロ
「…そうか…」
ちょっと前に野良になったって言ってたが、前の飼い主に捨てられた元飼いか、人間に対する話し方を知っているみたいだしな、
元飼いじゃ餌もろくに取れないだろうからな、親は多分だが別の野良チュンチュン一家との縄張り争いで死んだか、人間に殺されたって口かな…
…まあ、聞いてみるか…
「なあ…親は何時亡くなったんだ?」
すると、ヒナチュンは、身体を震わせながら俯いてしまった。
ヒナチュン「…コ…エ……」フルフルフル…
私は返事を待った、やがて搾り出すようにヒナチュンは言った。
ヒナチュン「コエガ…ソウ…デチュ…チュン……」フルフル…ポロポロ…
「…な!?」
そう言ってヒナチュンが指差したのは、俺がさっき殺した一家だった…
「おい、おいおい、マジかよ!?お前みたいな、チュンチュンにしてはマシなやつが、こいつらの家族!?信じられん…」
「いや逆か!?あんな糞鳥が、お前の家族だったって、訳が分からん」
ヒナチュン「…ホントデスチュン…」ポロポロポロ
「で、お前の家族を、俺が潰したと、それは、なんと言うか… 」
ヒナチュン「………」ポロポロポロ…
ヒナチュンはまだ泣き続けているが、私は時間を忘れてヒナチュンに質問をぶつけた。
長くなるので少しまとめてみる。
このヒナチュンは、潰れたチュンチュンと…潰れたのとは別のオトモチュンとの間に出来た仔だということだ、妹も居たらしい。
飼い主にも可愛がられていたが、ある日、オトモチュンが事故で死んでしまった。
主人に連れられて家族で散歩に出かけた時に、ヒナチュンとウブチュンをかばってクルマに轢かれたらしく、
ヒナチュンは奇跡的に助かったが、オトモチュンとウブチュンは運命を共にしたらしい、ヒナチュンは苦しそうに話した。
そんな事があって、ヒナチュンとチュンチュンは散歩に行かなくなったが、ある日、主人が新しいオトモチュンを連れてきた、それがさっき殺したオトモチュンだ。
主人はヒナチュン達が可哀想だったのだろうな
『チュンチュン元気出せ!ほら!新しいオトモチュンだぞ!ヒナチュンも!新しいオトモチュンだぞ!』
と言って連れてきたらしい
しかし、連れてきたオトモチュンがいけなかった、主人が言うには、公園でほのまんを食べてたら近寄ってきた、ちょうどいいと思い捕まえたらしい、
明らかに野良で糞鳥だ、しかもさっきの態度を見る限りかなりの糞鳥だ、恐らく餌を寄越せと言ってきたのだろう。
ヒナチュンは、自分の親だったオトモチュンは、チュンチュンと一緒に主人が店で買ってきたオトモチュンだと聞いていた、とても優しかったそうだ。
チュンチュンも最初は新しいオトモチュンを相手にしなかったが、オトモチュンの執拗なアタックに、ついに堕ちてしまった。
オトモチュンも必死だったに違いない、チュンチュンに気に入られなければ、主人に捨てられるかも知れないからな、それを見てヒナチュンは悲しい気持ちになったと言う。
一度堕ちてしまえば後は早かった、数日後には二匹の妹が出来、三匹目が出来そうだった、主人はとても喜んだということだ。
まんまと主人に気に入られたオトモチュンは味を占めて元々の野良根性を出し始めた、最初は遠慮がちに餌を貰っていたが…とうとう主人に命令するようになった。
それでも主人はまだ家族が可愛かったのか…『そんな言葉はダメだぞ』と言いながらちゃんと餌をあげた。
やがて、オトモチュンの影響は徐々にチュンチュンにも伝わっていき、捨てられる直前にはオトモチュンと同じように命令口調になってしまった。
そんな親に育てられた妹達ももちろん親の真似をする、ヒナチュンはそれがイヤだったみたいだが…
オトモチュンの方も、連れ子のヒナチュンには辛くあたった、人間の世界でもよくある構図だ。
だが、その日は突然やってきた。
夕方、餌の時間になってヒナチュン以外の家族が騒ぎ出すと、いつもは困ったような顔で餌を出す主人がニコリともせずに近づいてきた。
そして、主人はケージを乱暴に掴むと外に出て、家族はこの公園まで連れてこられた、そこでケージが開けられ…
ヒナチュン「…チュン…」フルフル…ポロポロポロ
ヒナチュンは震えながら話す、そして俺が質問しようとしていたことを自分から率先して話し出した…
もう暗くなってきた公園で、飼い主は家の中からチュンチュン一家を一匹ずつ掴み地面に投げつけるように捨てたそうだ。
投げられながらヒナチュンは…
ヒナチュン「ナゼチュン!?ドウチテチュン!?」
という言葉が頭の中を駆け巡り
ヒナチュン「マッテチュン!!オイテカナイデ…ナゼチュン?…ドウチテ、コンヤコトニ…」
地面に落ちた痛みも忘れて叫びながら、去っていく飼い主の後ろ姿を見るが、飼い主はけして振り返ってくれなかったそうだ。
ヒナチュンが呆然としていると、オトモチュンがウブチュンとピヨチュンを助けながら近づいてきた。
そしてこう言ったらしい。
オトモチュン「ナニシテユチュン!サッサトイエサガスチュン」ゲシ、コシニケリイレ!!!
ヒナチュンは意味が分からずに、オトモチュンの顔をじっと見る事しか出来なかったらしく。
「マッタクチュン!ツカエナイチュン!ミンナイクチュン!」ヒナチュンオイテ
そう言ってオトモチュンはヒナチュンに背を向けて、おろおろとしている、チュンチュンやウブチュンとピヨチュンに声をかけて歩き出した。
ヒナチュンもハッとして、ヨロヨロと立ち上がり、置いていかれたら死ぬと、思ったらしい。
それからしばらくして、家になりそうな箱やワンヤフルヤッチュンをオトモチュンが盗みだし、一家は中に入っていった、だが、そこにはもう、ヒナチュンの場所は無くなってしまっていたらしい。
ヒナチュンには見向きもしなくなった、チュンチュン、ウブチュンやピヨチュンも同じく、自分達の役に立たない存在として、ヒナチュンは視界に入っていないみたいな態度だったらしい。
それでヒナチュンはまた、家の隅っこで眠るようにならしい、腹が減ったらお家から出て、自分で取った虫や草を食べたそうだ。
ウブチュンとピヨチュンは、チュンチュンとオトモチュンが取ってきた食べ物を食べてたそうだ、
この間は大きなチーズケーキを持って帰って食べてたらしく、当然だが、ヒナチュンはひとかけらも無かったそうだ。
そして…昨日の夜…。
オトモチュン「イマヤイイチュン!コエカラ、チャムイフユクルチュン、タベモノアツメユチュン!」
急に、オトモチュンが言い出したそうだ。
チュンチュン「ソウナノ!」?
チュンチュンは動揺してた、ずっと飼われて生きてきたから、そんなこと知ってるはずも無く。
「イママデミタイニ、キノミトカアツメルチュン!イチバンハ、チーユケーキトカウバウチュン、ニンゲンナンテカンタンチュン!」
一家みんなが頷き、ヒナチュンも頷きかけてしまったらしい、オトモチュンの事は大嫌いだけど、言ってることは合ってると思ったからだそうだ。
ヒナチュンは飼い主がくれた食べ物が懐かしいとそう思ったらしい。
オトモチュン「ダカヤ!!アチタニナッタラチュン!ニンゲンカラウバウヨ!ダイジョブチュン、ニンゲンナンテカンタンニダマセルチュン!」
ヒナチュン「…ホントチュン?…ソンナニウマクイクチュン?」
って思ったけれど、ヒナチュンは何も言える立場じゃなかったし、他はオトモチュンに頼りきりだったらしい…
そうして、今日になった、オトモチュンはまだ眠いって愚図るウブチュンとピヨチュンを珍しく叩き起こし、
チュンチュンも連れて一緒に食べ物を探しに行こうとしてたらしい、
ヒナチュンは隅っこで寝てるフリをしてたけど、オトモチュンが出かける直前に、
オトモチュン「チャッチャトオキルチュン!タベモノサガスチュン!マッタクチュン!ヤクタタユチュン!」ゲシッ
って言いながら、ヒナチュンの背中を蹴ったり、ウブチュンやピヨチュンは笑ってたそうだ、すごく惨めな気持ちになって、オトモチュン達が出て行くまで泣いてたらしい…
チュンチュンはその間、タマチュンを抱え、ヒナチュンをジッと見てたけど、何も言わないでオトモチュンの後を追いかけてったそうだ。
ヒナチュンはチュンチュンの背中を見送ってから、家を出て、そうして一人で虫や草や木の実を探してたらしい…
日が頭の真上に来るまでは、人間がここにはあんまり来ないし、何回か他の人(チュンチュン一家?)に食べ物を横取りされたそうだ。
ヒナチュン「デモチュン…イッチョウケンメイニアツメタチュン!」
ヒナチュン「ヒナチュンノタベモノハヒナチュンノモノチュン!ゼエッタイオトモチュンタチニハアゲナイチュン!」
って思ってたらしい…
そうして食べ物を探しに夢中になってると、後ろから声をかけられたそうだ。
驚いて振り向くと…そこにチュンチュンが居たのらしい。
チュンチュン「ガンバッテルチュン///…ヒナチュンオオキクナッタチュン///」
そう言って、ヒナチュンの頭を優しく撫でてくれたそうだ、懐かしい母の感触に、ヒナチュンは、涙があふれて止まらなくなったそうだ。
ヒナチュン「…チュン…」ポロポロポロ
思い出したのか、ヒナチュンは泣き出した、しばらく泣いてから、小さな手でゴシゴシと目をこすり、また話し出す。
チュンチュンはヒナチュンの頭を撫でながら、こう言ったそうだ。
チュンチュン「ナカナイチュン…ヨシヨシチュン///サァ…モウダイジョブチュン?」
ヒナチュン「…チュン…」コクン
チュンチュン「イイコチュン///…ソレジャア、チュンチュンヤニンゲンニタベモノモラウチュン」
チュンチュン「ドウチタチュン!ダイジョブチュン///オトモチュンモイユチュン、ヒナチュンハアンマチ、オトモチュンスキジャナイチュン、タヨリニナルチュン///」
でもヒナチュンはなぜか胸騒ぎがした、それをチュンチュンに見透かされて…
チュンチュン「チンパイショウチュン、ジャアチュン、ヒナチュンモイッチョニクルチュン?」
一緒に行きたい、でも、オトモチュンには近づきたくない、ヒナチュンは返事に困った。
チュンチュン「ジャアコウシヨウチュン!ヒナチュンハスコシハナレテツイテクルチュン!オトモチュンニハナイチョニシテアゲユチュン///」
それなら、良いかと、ヒナチュンはチュンチュンの顔を見て頷いた…
チュンチュン「ヨシソレジャアチュン!サキイクチュン!チャントツイテクルチュン///…マア、エラソウチュン、オトモチュンマカセナンダケドチュン///」
そう言ってチュンチュンは先に歩き出して、ヒナチュンは少し離れて着いて行き、しばらく歩いたらオトモチュンとウブチュンとピヨチュンが居たから草の中に隠れたらしい。
チュンチュンとオトモチュンは何か話してたけど、ヒナチュンには聞こえなかった、それからオトモチュンが先頭に立って歩き出し…ウブチュン、ピヨチュン、チュンチュンの順に歩き出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「…その人間が…私だったのか?」
ヒナチュン「…チユュン……」コクン
まさか、このヒナチュンにそんな出来事があったなんて、いやいや参った…
私は大きくため息を吐き出して、またヒナチュンを見た、ヒナチュンはまっすぐに私を見返す。
…ん?…もう一つ…疑問がある…
「…なぁ…私はお前の家族を殺した人間だぞ…どうして逃げないで私の前に出てきたんだ?」
ヒナチュン「…チョレハ…」
「…それは?」
まさか、飼ってくれとか言い出さないだろうな?
でも、こいつなら飼ってやってもいいかもな、ヒナチュンの命なんざ知れてるが、こいつはちょっと可哀想だ…
しかしそれは、私の予想を大きく超える返答だった…
ヒナチュン「…チュン…」
……
…………
………………
チュンチュン「ワタチヲ…コロチテモラウタメチュン…ニンゲンニ……カゾクヲコロチタ…アナタニチュン…」
「…な!?」
私はあっけに取られてしまった、こいつらは毎日必死に生きるために、汚く浅ましくとも生きてるんじゃないのか!?それが殺せだと!?
いや、確かに生きるか死ぬかの怪我をしたチュンチュンなら、殺せと言うのはまだ分かるが、しかし、こいつは怪我なんかしていないぞ…
「なぜだ!?どうしてお前は、死にたいんだ?、どうして、私なんだ!?」
ヒナチュンは少し考えるような仕草を見せ…やがてこう答える…
ヒナチュン「…モウ…ワタチハ…ツカレチャッタチュン…ワタチノココロノナカ…ナンニモナイチュン…チュンチュンモ…ホントノイモウトモ…ゴチュジンサマモチュン…」
ヒナチュン「…イマ…ワタチノメノマエチュン…ダイチュキダッタチュンチュント…ワタチタチヲコンナニチタ…オトモチュン…コロチタニンゲンガイユチュン…ダカヤ…」
ヒナチュン「…ダカヤ…ジブンノサイゴハジブンデチュン……デキレバ…チャイゴニムカチニモドッテクエタチュン…チュンチュンノソバチュン…チュンチュントオナジヨウニチュン……チニタイ…」
ヒナチュン「…チャ…コロチテチュン…チュンチュンノソバデ…」
私は、ヒナチュンを見ているが、その姿が何故か霞んできたあれ!?…おかしいな…なんで…だよ…。
「私がお前を飼ってやる!!な!?な!?そうしろよ!!絶対にそうしろよっ!!!お前は、幸福になる権利があるからよ!!!」
さっき思った言葉をヒナチュンに投げかけるが、しかしヒナチュンは寂しそうに微笑んで、その小さな首を振った…
ヒナチュン「…アイガトウチュン…デモ…ソノキモチダケデ…イイチュン///」ニコッ
「…どうしても…ダメなのか?」
ヒナチュン「…ウン…コエガ…ワタチノ…イヂダカラチュン…イロンナコトニフリマワサレタ…ワタチノ…イジチュン!…」
「…私はさ…私は…お前の意思なんか関係なく…連れて行くことだって出来るんだぞ!!」
ヒナチュンはまた…寂しげに微笑んでいる…
ヒナチュン「…ソンナコトヤチュン…ヤラナイトオモユチュン……ナントナクダケド…チョウオモユチュン…」フフッ…
…私の…完敗だ……涙で顔をグチャグチャにした私にはもう…こいつの意思を踏みにじってまで連れ去るなんて事は…出来ない…
…こいつは…こんなに小さいのに……たくさん辛い事を味わってきたんだ…その意思を…尊重してやろう…
「…ちきしょう……分かった……本当に…良いんだ…な…?」
ヒナチュン「…ハイ…オネガイチマチュチュン…」ニッコリ///
ヒナチュンはさっきとは違う……満面の笑みでチュンチュンで有り母だった遺骸の横に立ち…スッと寝そべった…
「…なにか…言い残す事はないか?…聞いてやるぞ…」
ヒナチュン「…アリガチョチュン…ニンゲンサン…サイゴニ…ワタチノワガママ…キイテクエテアリガチョ…」ヤスラカナカオデ
笑みを浮かべたままそう言ってヒナチュンは目を閉じた…閉じた瞬間に…一筋の涙が零れ落ちた…
『…私の本当の家族……私もすぐに逝くから…待っててね…』
―――そんな声が聞こえた気がした…
…私は…ゆっくりと銃を向けた……ヒナチュンはもう動かない…
ダァン!!!
…チュピ…
……パアァン………
…銃声はこだまし…ヒナチュンの…小さな心臓が貫通した……ヒナチュンの顔は安らかな顔だった……
「…くっ…うぅっ!!」
…私は立ち上がり…ベンチを離れた…
…ふと夜空を見上げると……星と雲が形作り…それは…ヒナチュンと本当の家族が抱き合うように見えて……ヒナチュンとてもは幸せそうだった。
「終わり」
公園のベンチでチーズケーキとショートケーキを食べ終わり、紅茶を飲みながら足元を見る…
そこには灰色や白いモノが大小あわせて四つ、地面に四散している…俺に餌をたかりに来ていた野良チュンチュン一家の変わり果てた姿だ、醜い顔で潰れている。
「…誰が糞鳥にやるかよ」ゴクゴク…
――数日前――
この公園は私の好きな場所だが、唯一の欠点が、野良チュンチュン一家にたかられる事、
最初は無視したが、余りにうるさいので、行動に移す事にした。
とは言っても、高圧ガス銃で撃ち殺す、単純な話しだ。
ダン!!
チュンチュン「ビィッ!!!」グチャ、アタマフキトビ
オトモチュン「チュンチュンンンンンンヲ!?!?」
ヒナチュン「マーピヨョョオオオオ!?!?」
ウブチュン「プワプワーオー!?!?」
「あ〜…うるせえ!!」
ダンダンダンッ!!
オトモチュン「チュビィ!!!」ハラカンツウ
ヒナチュン「ピァ!!!」アタマフキトビ
ウブチュン「ビッ!!!」カオハンブンフキトビ
「…ちっ…成仏しろよな…」
そんな感じで、しばらくは野良は来なくなったが、やはり生きるのに必死なのか、先程こんな感じだった。
オトモチュン「ソノチーユケーキヨコスチュン!!!」ユビサシ
チュンチュン「チーユケーキチュン、チュンチュンノタカヤモノ」タマチュンカカエテ
ウブチュン「ピュア~ピュア~」オウタヲウタイ
ピヨチュン「マーピヨマーピヨ」オトモチュンノウシロデ
こんな感じだ、こいつらはとことん苛つく、なまじ言葉が分かるから余計か?
私はとは言っても、何時もどうりでは芸が無い、だからやり方を変えた。
「……ほらよ…」ポイ
私はチーズケーキの欠片を投げてやった。
オトモチュン「サイチョカラダスチュン」チーズケーキニミサボリ
チュンチュン「マッタクチュン」チーズケーキヲワケ
ウブチュン「マーピヨ、オトピヨ」チュンチュンニチカズキ
ピヨチュン「ピュア~ピュ~ア~オ~」ヘンナオウタウタイ
早速貪っている、生きるのに必死とは言え、此処まで汚いとはな…
「……じゃあな…」
ジャキ!!!
ダンダンダンダンダン!!!
オトモチュン「ピィイガッ」ハラカンツウ
チュンチュン「ヂュッ!!」アタマハンブンフキトビ
ウブチュン「ビッ」カハンシンコナゴナ
ピヨチュン「マ゙ビヨ」クビダケノコリ
タマチュン「ウン・チュン・ベイビー」オトモチュンノウンチマミレ
とまあこんな感じで、私は野良チュンチュン一家を殺した訳だが、
まあ気まぐれなのか、柄にも無く良い気分の内に殺した。
―――――――――――
…チュン…
「…ん?…寝ちまったか…今何時だ?…まだ大丈夫か……」
いつの間にか眠ってしまっていみたいだ、まだ時間は大丈夫だが、周囲にはもう人影が無くなっていた。
…しかし、何かで目が覚めたんだが…?
…チュンチュン…
「!?…声…か?どこから…!?」
再び聞こえた声、眠気まなこをこすりながら良く見ると、先程の野良チュンチュン一家の死骸のとなりにヒナチュンが居た。
「ヒナチュンか?俺がチュンチュン一家を殺したの知らないのか?…いや知ってるみたいだ。」
「オイ!!!」
ヒナチュンに問いかけた、しかし、汚いな、さっきの一家の方がまだマシだったぞ…
ヒナチュン「チュン!?!?ニンゲンサン!!!」ペコリ
俺の声に気づいたヒナチュンは、ハッとした顔で俺を見て、深々とお辞儀をした。
「…お前…野良か?、野良ならお辞儀なんかしないはずだが…どうみても野良だし…親はどうした?」
ヒナチュン「チョットマエチュン、ノラニナリマチタ」
ヒナチュン「オカーシャンタチハ…イマチェン…チュン」ナミダポロ
親のことを話すときにヒナチュンの頬に…涙が流れた…
「…親がいないって事は、死んだのか?、何時だ?」
ヒナチュン「キョウ…デス…チュン…」ポロポロポロ
「…そうか…」
ちょっと前に野良になったって言ってたが、前の飼い主に捨てられた元飼いか、人間に対する話し方を知っているみたいだしな、
元飼いじゃ餌もろくに取れないだろうからな、親は多分だが別の野良チュンチュン一家との縄張り争いで死んだか、人間に殺されたって口かな…
…まあ、聞いてみるか…
「なあ…親は何時亡くなったんだ?」
すると、ヒナチュンは、身体を震わせながら俯いてしまった。
ヒナチュン「…コ…エ……」フルフルフル…
私は返事を待った、やがて搾り出すようにヒナチュンは言った。
ヒナチュン「コエガ…ソウ…デチュ…チュン……」フルフル…ポロポロ…
「…な!?」
そう言ってヒナチュンが指差したのは、俺がさっき殺した一家だった…
「おい、おいおい、マジかよ!?お前みたいな、チュンチュンにしてはマシなやつが、こいつらの家族!?信じられん…」
「いや逆か!?あんな糞鳥が、お前の家族だったって、訳が分からん」
ヒナチュン「…ホントデスチュン…」ポロポロポロ
「で、お前の家族を、俺が潰したと、それは、なんと言うか… 」
ヒナチュン「………」ポロポロポロ…
ヒナチュンはまだ泣き続けているが、私は時間を忘れてヒナチュンに質問をぶつけた。
長くなるので少しまとめてみる。
このヒナチュンは、潰れたチュンチュンと…潰れたのとは別のオトモチュンとの間に出来た仔だということだ、妹も居たらしい。
飼い主にも可愛がられていたが、ある日、オトモチュンが事故で死んでしまった。
主人に連れられて家族で散歩に出かけた時に、ヒナチュンとウブチュンをかばってクルマに轢かれたらしく、
ヒナチュンは奇跡的に助かったが、オトモチュンとウブチュンは運命を共にしたらしい、ヒナチュンは苦しそうに話した。
そんな事があって、ヒナチュンとチュンチュンは散歩に行かなくなったが、ある日、主人が新しいオトモチュンを連れてきた、それがさっき殺したオトモチュンだ。
主人はヒナチュン達が可哀想だったのだろうな
『チュンチュン元気出せ!ほら!新しいオトモチュンだぞ!ヒナチュンも!新しいオトモチュンだぞ!』
と言って連れてきたらしい
しかし、連れてきたオトモチュンがいけなかった、主人が言うには、公園でほのまんを食べてたら近寄ってきた、ちょうどいいと思い捕まえたらしい、
明らかに野良で糞鳥だ、しかもさっきの態度を見る限りかなりの糞鳥だ、恐らく餌を寄越せと言ってきたのだろう。
ヒナチュンは、自分の親だったオトモチュンは、チュンチュンと一緒に主人が店で買ってきたオトモチュンだと聞いていた、とても優しかったそうだ。
チュンチュンも最初は新しいオトモチュンを相手にしなかったが、オトモチュンの執拗なアタックに、ついに堕ちてしまった。
オトモチュンも必死だったに違いない、チュンチュンに気に入られなければ、主人に捨てられるかも知れないからな、それを見てヒナチュンは悲しい気持ちになったと言う。
一度堕ちてしまえば後は早かった、数日後には二匹の妹が出来、三匹目が出来そうだった、主人はとても喜んだということだ。
まんまと主人に気に入られたオトモチュンは味を占めて元々の野良根性を出し始めた、最初は遠慮がちに餌を貰っていたが…とうとう主人に命令するようになった。
それでも主人はまだ家族が可愛かったのか…『そんな言葉はダメだぞ』と言いながらちゃんと餌をあげた。
やがて、オトモチュンの影響は徐々にチュンチュンにも伝わっていき、捨てられる直前にはオトモチュンと同じように命令口調になってしまった。
そんな親に育てられた妹達ももちろん親の真似をする、ヒナチュンはそれがイヤだったみたいだが…
オトモチュンの方も、連れ子のヒナチュンには辛くあたった、人間の世界でもよくある構図だ。
だが、その日は突然やってきた。
夕方、餌の時間になってヒナチュン以外の家族が騒ぎ出すと、いつもは困ったような顔で餌を出す主人がニコリともせずに近づいてきた。
そして、主人はケージを乱暴に掴むと外に出て、家族はこの公園まで連れてこられた、そこでケージが開けられ…
ヒナチュン「…チュン…」フルフル…ポロポロポロ
ヒナチュンは震えながら話す、そして俺が質問しようとしていたことを自分から率先して話し出した…
もう暗くなってきた公園で、飼い主は家の中からチュンチュン一家を一匹ずつ掴み地面に投げつけるように捨てたそうだ。
投げられながらヒナチュンは…
ヒナチュン「ナゼチュン!?ドウチテチュン!?」
という言葉が頭の中を駆け巡り
ヒナチュン「マッテチュン!!オイテカナイデ…ナゼチュン?…ドウチテ、コンヤコトニ…」
地面に落ちた痛みも忘れて叫びながら、去っていく飼い主の後ろ姿を見るが、飼い主はけして振り返ってくれなかったそうだ。
ヒナチュンが呆然としていると、オトモチュンがウブチュンとピヨチュンを助けながら近づいてきた。
そしてこう言ったらしい。
オトモチュン「ナニシテユチュン!サッサトイエサガスチュン」ゲシ、コシニケリイレ!!!
ヒナチュンは意味が分からずに、オトモチュンの顔をじっと見る事しか出来なかったらしく。
「マッタクチュン!ツカエナイチュン!ミンナイクチュン!」ヒナチュンオイテ
そう言ってオトモチュンはヒナチュンに背を向けて、おろおろとしている、チュンチュンやウブチュンとピヨチュンに声をかけて歩き出した。
ヒナチュンもハッとして、ヨロヨロと立ち上がり、置いていかれたら死ぬと、思ったらしい。
それからしばらくして、家になりそうな箱やワンヤフルヤッチュンをオトモチュンが盗みだし、一家は中に入っていった、だが、そこにはもう、ヒナチュンの場所は無くなってしまっていたらしい。
ヒナチュンには見向きもしなくなった、チュンチュン、ウブチュンやピヨチュンも同じく、自分達の役に立たない存在として、ヒナチュンは視界に入っていないみたいな態度だったらしい。
それでヒナチュンはまた、家の隅っこで眠るようにならしい、腹が減ったらお家から出て、自分で取った虫や草を食べたそうだ。
ウブチュンとピヨチュンは、チュンチュンとオトモチュンが取ってきた食べ物を食べてたそうだ、
この間は大きなチーズケーキを持って帰って食べてたらしく、当然だが、ヒナチュンはひとかけらも無かったそうだ。
そして…昨日の夜…。
オトモチュン「イマヤイイチュン!コエカラ、チャムイフユクルチュン、タベモノアツメユチュン!」
急に、オトモチュンが言い出したそうだ。
チュンチュン「ソウナノ!」?
チュンチュンは動揺してた、ずっと飼われて生きてきたから、そんなこと知ってるはずも無く。
「イママデミタイニ、キノミトカアツメルチュン!イチバンハ、チーユケーキトカウバウチュン、ニンゲンナンテカンタンチュン!」
一家みんなが頷き、ヒナチュンも頷きかけてしまったらしい、オトモチュンの事は大嫌いだけど、言ってることは合ってると思ったからだそうだ。
ヒナチュンは飼い主がくれた食べ物が懐かしいとそう思ったらしい。
オトモチュン「ダカヤ!!アチタニナッタラチュン!ニンゲンカラウバウヨ!ダイジョブチュン、ニンゲンナンテカンタンニダマセルチュン!」
ヒナチュン「…ホントチュン?…ソンナニウマクイクチュン?」
って思ったけれど、ヒナチュンは何も言える立場じゃなかったし、他はオトモチュンに頼りきりだったらしい…
そうして、今日になった、オトモチュンはまだ眠いって愚図るウブチュンとピヨチュンを珍しく叩き起こし、
チュンチュンも連れて一緒に食べ物を探しに行こうとしてたらしい、
ヒナチュンは隅っこで寝てるフリをしてたけど、オトモチュンが出かける直前に、
オトモチュン「チャッチャトオキルチュン!タベモノサガスチュン!マッタクチュン!ヤクタタユチュン!」ゲシッ
って言いながら、ヒナチュンの背中を蹴ったり、ウブチュンやピヨチュンは笑ってたそうだ、すごく惨めな気持ちになって、オトモチュン達が出て行くまで泣いてたらしい…
チュンチュンはその間、タマチュンを抱え、ヒナチュンをジッと見てたけど、何も言わないでオトモチュンの後を追いかけてったそうだ。
ヒナチュンはチュンチュンの背中を見送ってから、家を出て、そうして一人で虫や草や木の実を探してたらしい…
日が頭の真上に来るまでは、人間がここにはあんまり来ないし、何回か他の人(チュンチュン一家?)に食べ物を横取りされたそうだ。
ヒナチュン「デモチュン…イッチョウケンメイニアツメタチュン!」
ヒナチュン「ヒナチュンノタベモノハヒナチュンノモノチュン!ゼエッタイオトモチュンタチニハアゲナイチュン!」
って思ってたらしい…
そうして食べ物を探しに夢中になってると、後ろから声をかけられたそうだ。
驚いて振り向くと…そこにチュンチュンが居たのらしい。
チュンチュン「ガンバッテルチュン///…ヒナチュンオオキクナッタチュン///」
そう言って、ヒナチュンの頭を優しく撫でてくれたそうだ、懐かしい母の感触に、ヒナチュンは、涙があふれて止まらなくなったそうだ。
ヒナチュン「…チュン…」ポロポロポロ
思い出したのか、ヒナチュンは泣き出した、しばらく泣いてから、小さな手でゴシゴシと目をこすり、また話し出す。
チュンチュンはヒナチュンの頭を撫でながら、こう言ったそうだ。
チュンチュン「ナカナイチュン…ヨシヨシチュン///サァ…モウダイジョブチュン?」
ヒナチュン「…チュン…」コクン
チュンチュン「イイコチュン///…ソレジャア、チュンチュンヤニンゲンニタベモノモラウチュン」
チュンチュン「ドウチタチュン!ダイジョブチュン///オトモチュンモイユチュン、ヒナチュンハアンマチ、オトモチュンスキジャナイチュン、タヨリニナルチュン///」
でもヒナチュンはなぜか胸騒ぎがした、それをチュンチュンに見透かされて…
チュンチュン「チンパイショウチュン、ジャアチュン、ヒナチュンモイッチョニクルチュン?」
一緒に行きたい、でも、オトモチュンには近づきたくない、ヒナチュンは返事に困った。
チュンチュン「ジャアコウシヨウチュン!ヒナチュンハスコシハナレテツイテクルチュン!オトモチュンニハナイチョニシテアゲユチュン///」
それなら、良いかと、ヒナチュンはチュンチュンの顔を見て頷いた…
チュンチュン「ヨシソレジャアチュン!サキイクチュン!チャントツイテクルチュン///…マア、エラソウチュン、オトモチュンマカセナンダケドチュン///」
そう言ってチュンチュンは先に歩き出して、ヒナチュンは少し離れて着いて行き、しばらく歩いたらオトモチュンとウブチュンとピヨチュンが居たから草の中に隠れたらしい。
チュンチュンとオトモチュンは何か話してたけど、ヒナチュンには聞こえなかった、それからオトモチュンが先頭に立って歩き出し…ウブチュン、ピヨチュン、チュンチュンの順に歩き出した。
〜〜〜〜〜〜〜〜
「…その人間が…私だったのか?」
ヒナチュン「…チユュン……」コクン
まさか、このヒナチュンにそんな出来事があったなんて、いやいや参った…
私は大きくため息を吐き出して、またヒナチュンを見た、ヒナチュンはまっすぐに私を見返す。
…ん?…もう一つ…疑問がある…
「…なぁ…私はお前の家族を殺した人間だぞ…どうして逃げないで私の前に出てきたんだ?」
ヒナチュン「…チョレハ…」
「…それは?」
まさか、飼ってくれとか言い出さないだろうな?
でも、こいつなら飼ってやってもいいかもな、ヒナチュンの命なんざ知れてるが、こいつはちょっと可哀想だ…
しかしそれは、私の予想を大きく超える返答だった…
ヒナチュン「…チュン…」
……
…………
………………
チュンチュン「ワタチヲ…コロチテモラウタメチュン…ニンゲンニ……カゾクヲコロチタ…アナタニチュン…」
「…な!?」
私はあっけに取られてしまった、こいつらは毎日必死に生きるために、汚く浅ましくとも生きてるんじゃないのか!?それが殺せだと!?
いや、確かに生きるか死ぬかの怪我をしたチュンチュンなら、殺せと言うのはまだ分かるが、しかし、こいつは怪我なんかしていないぞ…
「なぜだ!?どうしてお前は、死にたいんだ?、どうして、私なんだ!?」
ヒナチュンは少し考えるような仕草を見せ…やがてこう答える…
ヒナチュン「…モウ…ワタチハ…ツカレチャッタチュン…ワタチノココロノナカ…ナンニモナイチュン…チュンチュンモ…ホントノイモウトモ…ゴチュジンサマモチュン…」
ヒナチュン「…イマ…ワタチノメノマエチュン…ダイチュキダッタチュンチュント…ワタチタチヲコンナニチタ…オトモチュン…コロチタニンゲンガイユチュン…ダカヤ…」
ヒナチュン「…ダカヤ…ジブンノサイゴハジブンデチュン……デキレバ…チャイゴニムカチニモドッテクエタチュン…チュンチュンノソバチュン…チュンチュントオナジヨウニチュン……チニタイ…」
ヒナチュン「…チャ…コロチテチュン…チュンチュンノソバデ…」
私は、ヒナチュンを見ているが、その姿が何故か霞んできたあれ!?…おかしいな…なんで…だよ…。
「私がお前を飼ってやる!!な!?な!?そうしろよ!!絶対にそうしろよっ!!!お前は、幸福になる権利があるからよ!!!」
さっき思った言葉をヒナチュンに投げかけるが、しかしヒナチュンは寂しそうに微笑んで、その小さな首を振った…
ヒナチュン「…アイガトウチュン…デモ…ソノキモチダケデ…イイチュン///」ニコッ
「…どうしても…ダメなのか?」
ヒナチュン「…ウン…コエガ…ワタチノ…イヂダカラチュン…イロンナコトニフリマワサレタ…ワタチノ…イジチュン!…」
「…私はさ…私は…お前の意思なんか関係なく…連れて行くことだって出来るんだぞ!!」
ヒナチュンはまた…寂しげに微笑んでいる…
ヒナチュン「…ソンナコトヤチュン…ヤラナイトオモユチュン……ナントナクダケド…チョウオモユチュン…」フフッ…
…私の…完敗だ……涙で顔をグチャグチャにした私にはもう…こいつの意思を踏みにじってまで連れ去るなんて事は…出来ない…
…こいつは…こんなに小さいのに……たくさん辛い事を味わってきたんだ…その意思を…尊重してやろう…
「…ちきしょう……分かった……本当に…良いんだ…な…?」
ヒナチュン「…ハイ…オネガイチマチュチュン…」ニッコリ///
ヒナチュンはさっきとは違う……満面の笑みでチュンチュンで有り母だった遺骸の横に立ち…スッと寝そべった…
「…なにか…言い残す事はないか?…聞いてやるぞ…」
ヒナチュン「…アリガチョチュン…ニンゲンサン…サイゴニ…ワタチノワガママ…キイテクエテアリガチョ…」ヤスラカナカオデ
笑みを浮かべたままそう言ってヒナチュンは目を閉じた…閉じた瞬間に…一筋の涙が零れ落ちた…
『…私の本当の家族……私もすぐに逝くから…待っててね…』
―――そんな声が聞こえた気がした…
…私は…ゆっくりと銃を向けた……ヒナチュンはもう動かない…
ダァン!!!
…チュピ…
……パアァン………
…銃声はこだまし…ヒナチュンの…小さな心臓が貫通した……ヒナチュンの顔は安らかな顔だった……
「…くっ…うぅっ!!」
…私は立ち上がり…ベンチを離れた…
…ふと夜空を見上げると……星と雲が形作り…それは…ヒナチュンと本当の家族が抱き合うように見えて……ヒナチュンとてもは幸せそうだった。
「終わり」
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近所のお爺さん「ゴミは持ち帰れんかーーー!!」
バズーカ砲、発砲。
俺君「ギャアアアアアアアア!!」チュドーーーン!!