ラブライブ!派生キャラ チュン(・8・)チュンのまとめwikiです。

チュンチュンは、実にみにくい鳥です。
顔は、ところどころ、(・8・)をつけたようにまだらで、くちばしは、小さくて、縦に伸縮します。
足は、まるでよぼよぼで、一間とも歩けません。
ほかの鳥は、もう、チュンチュンの顔を見ただけでも、いやになってしまうというぐあいでした。
たとえば、ひばりも、あまり美しい鳥ではありませんが、チュンチュンよりは、ずっと上だと思っていましたので、
夕方など、チュンチュンにあうと、さもさもいやそうに、しんねりと目をつぶりながら、首をそっぽへ向けるのでした。
もっとちいさなおしゃべりの鳥などは、いつでもチュンチュンのまっこうから悪口をしました。

「ヘン。また出て来たね。まあ、あのざまをごらん。ほんとうに、鳥の仲間のつらよごしだよ。」
「ね、まあ、総排出腔じゃなくてマンチュンがあるとかさ。あれ絶対鳥じゃないんだよ。」

 こんな調子です。おお、チュンチュンでないただのことりならば、こんな生はんかのちいさい鳥は、
もう歌声を聞いただけでも、脳トロになって、プワプワーオになって、ラブライバーと化したことでしょう。
ところがチュンチュンは、ほんとうはことりの兄弟でも親類でもありませんでした。

かえって、チュンチュンは、あの醜い実装石や、虐待キャラの中の癒しのようなゆっくりの出来損ないでした。
それにチュンチュンには、するどい爪もするどいくちばしもありませんでしたから、
どんなに弱い鳥でも、チュンチュンをこわがる筈はなかったのです。

 それなら、チュンチュンという名のついたことは不思議なようですが、
これは、一つはチュンチュンの断末魔が無暗に強くて、身を切られて死ぬときなどは、

「ヂュゥゥゥゥン。シニタクナイチュン、シニタクナイチュン!」

と悲痛な鳴き声をあげること、も一つはスピカテイブユで留めた髪型が、やはりどこかことりに似ていたためです。
もちろん、他のあらゆる種類の鳥は、これをひじょうに気にかけて、いやがっていました。
それですから、チュンチュンの顔さえ見ると、肩をいからせて、早く名前をあらためろ、名前をあらためろと、いうのでした。

 ある夕方、とうとう、雀がチュンチュンのうちへやって参りました。

「おい。居るかい。まだお前は名前をかえないのか。ずいぶんお前も恥知らずだな。
 お前とおれでは、よっぽど人格がちがうんだよ。たとえばおれは、青いそらをどこまででも飛んで行く。
 おまえは、音ノ木坂か、虐待スレでなくちゃ、出て来ない。
 それから、おれのくちばしやつめを見ろ。そして、よくお前のとくらべて見るがいい。」

「スズメサン。ソエハアンマリムリチュン。チュンチュンハチュンチュンダチュン。GODキミノセンセイガチュンチュントナヂュケタチュン。」

「いいや。ことりの名なら、神さまから貰ったのだと云ってもよかろうが、
 お前のは、云わば、南ことりと雀と、両方から借りてあるんだ。さあ返せ。」

「スズメサン。ソエハムリチュン。」

「無理じゃない。おれがいい名を教えてやろう。糞鳥(くそどり)というんだ。糞鳥とな。いい名だろう。
 そこで、名前を変えるには、改名の披露というものをしないといけない。
 いいか。それはな、首へ糞鳥と書いたふだをぶらさげて、私は以来糞鳥と申しますと、口上を云って、みんなの所をおじぎしてまわるのだ。」

「ソンナコトハデキナイチュン。チュンチュンハミンナノアイドユチュン。」

「いいや。出来る。そうしろ。もしあさっての朝までに、お前がそうしなかったら、もうすぐ、つつき殺すぞ。
 つつき殺してしまうから、そう思え。おれはあさっての朝早く、鳥のうちを一軒ずつまわって、お前が来たかどうかを聞いてあるく。
 一軒でも来なかったという家があったら、もう貴様もその時がおしまいだぞ。」

「ソンナノヒドイチュン。チュンチュンヲイジメユノハマチガッテユチュン。クソドリトイワエユクヤイナヤシンダホウガマシチュン!」

「まあ、よく、あとで考えてごらん。糞鳥なんてそんなにわるい名じゃないよ。」

雀は小さなはねを一杯にひろげて、自分の巣の方へ飛んで帰って行きました。

チュンチュンは、じっと目をつぶって考えました。

チュンチュンハドウシテミンナカニイジメラエユチュン。チュンチュンハカワイイミンナノアイドユチュン。ナンニモワユイコトハシテナイチュン。
メジヨ(注※メジロ)ノピヨチュンガスカヤオチテイタトキハタスケテアゲタチュン。ソシタヤ メジヨ(注※メジロ)ハ、
ピヨチュンヲマユデドヨボウカヤトリカエスヨウニヒキハガシタチュン。ソエカラヒドクオコッテタチュン「チュンチュンといると赤ちゃんに危険が降り注ぐ」ッテ
ソレニチュン、コンドハクソドリダナンテ、ヒドスギユチュン。。。

 あたりは、もううすくらくなっていました。日課のお散歩を忘れていたので、
チュンチュンは巣から飛び出しました。雲が意地悪く光って、低くたれています。
チュンチュンはまるで雲とすれすれになって、その辺をお散歩してまわりました。
それからにわかにチュンチュンは口を大きくひらいて、はねをまっすぐに張って、
お歌を歌いながら歩き出しました。すると、何か黒い影がチュンチュンの前をよこぎりました。
そして、あっという間に土の中に呑み込まれて行きました。
運が悪かったそのチュンチュンは狭い冥い穴の中で、麻痺毒を注入され卵を植え付けられ、
小さな毒虫が幾匹も幾匹もそのお腹にはいりこんで、チュンチュンを生きたまま食い尽したのでした。
・・・・。
・・・。
・・。
・。
 何メートルかすすむかすすまないうちに、チュンチュンがひらりとそらへはねあがりました。
正確に言うとその首だけが舞い上がりました。電動草刈機の鼠色の刃が一閃し、
向うの草にはチュンチュンの血がまっ赤です。
・・・。
・・。
・。
 チュンチュンがお散歩に出る時は、大体数分以内に惨劇に見舞われるように思われます。
一本の茸の胞子が、チュンチュンのお腹にはいって、ひどくもがきました。
チュンチュンはすぐに絶命しましたが、その時何だかせなかがぞっとしたように思いました。
・・。
・。
 雲はもうまっくろく、東の方だけ山やけの火が赤くうつって、恐ろしいようです。
チュンチュンはむねがつかえたように思いながら、又お散歩へ出ました。
 また一疋の毒虫が、チュンチュンのお腹に、はいりました。そして
まるでチュンチュンのポンチュンをひっかいてばたばたしました。
チュンチュンはそれを無理に引きはがしてしまいましたが、その時、
急に胸がどきっとして、チュンチュンは大声をあげて泣き出しました。
泣きながらぐるぐるぐるぐる地べたをのたうち回ったのです。

ピィィィィィィィィ!! ナンデマイカイコンヤメニアウチュン! チュンチュンナンニモワユイコトシテナイチュン、ヒドイチュン!! ムシニイキタママタベヤエユノハアンマリチュン!
コンドハマタコヨサエユチュン! ツライチュン! ヒドイチュン!! チュンチュンハモウチーユケーキヲタベナイデウエテシヌチュン! ヤッパリソレハナシチュン。。。
ソノマエニトオクノトオクノムコウヘニゲユチュン!


(中略)
 羊歯の葉は、よあけの霧を吸って、青くつめたくゆれました。チュンチュンは高くチュンチュンと鳴きました。
そして巣の中をきちんとかたづけ、きれいにからだ中のはねや毛をそろえて、また巣から飛び出しました。

 霧がはれて、穂乃果ちゃんが丁度東からやってきました。チュンチュンは
ぐらぐらするほどまぶしいのをこらえて、よちよちと、そっちへ歩いて行きました。

「ハノケチェン、ハノケチェン。。。チュンチュンヲハノケチェンノトコヨヘツエテイッテホシイチュン。モウコンヤノヤンヤン」

 行っても行っても、穂乃果ちゃんは近くなりませんでした。かえってだんだん小さく遠くなりながら穂乃果ちゃんが云いました。

「ごめんねチュンチュン。私には応援してあげる事しか出来ないよ。
 今度そらを飛んで、星にそうたのんでごらんよ。ファイトだよっ!」

 チュンチュンはおじぎを一つしたと思いましたが、急にぐらぐらしてとうとう野原の草の上に倒れてしまいました。
そしてまるで悪夢を見ているようでした。からだがずうっと猫の爪で引き裂かれたり、
どこまでも蟻に追われたり、又鷹が来てからだをつかんだりしたようでした。

・・・。
・・・。
・・・。

「チュンチュンハソヤヲトベナイチュン!!」

 つめたいものがにわかに顔に落ちました。チュンチュンは眼をひらきました。
一本の若いすすきの葉から露がしたたったのでした。もうすっかり夜になって、
空は青ぐろく、一面の星がまたたいていました。チュンチュンはそとへ駆けあがりました。
今夜も神田明神の社殿はまっかです。チュンチュンはその火のかすかな照りと、
つめたいほしあかりの中をかけまわりました。それからもう一ぺんかけまわりました。
そして思い切って西木野のあの美しい真姫ちゃんの方に、まっすぐに歩きながら叫びました。

「ピィィィィィ!!!! ドウカチュンチュンヲツエテイッテホシイチュン。 モウコンヤノヤンヤン!!!」

 真姫ちゃんは作曲をつづけながらチュンチュンなどはてんで気付きませんでした。
チュンチュンは泣きそうになって、よろよろと倒れて、それからやっとふみとまって、
もう一ぺんかけまわりました。それから、南のことりちゃんの方へまっすぐに歩きながら叫びました。

「ピィィィィ!!! ドウカチュンチュンヲツエテイッテホシイチュン。 モウコンヤノヤンヤン!!」

 ことりちゃんはうつくしくせわしくまたたきながら云いました。

「うーん、ちょっと難しいかな。うちでは飼えないし。」そしてまた別の方を向きました。

 チュンチュンはがっかりして、よろよろ倒れて、それから又二へんかけまわりました。
それから又思い切って絵里ちゃんの方へまっすぐに歩きながら叫びました。

「ピィィィ!! ドウカチュンチュンヲツエテイッテホシイチュン。 モウコンヤノヤンヤン!」

 絵里ちゃんはしずかに云いました。

「余計なことを考えては駄目よ。少し頭をひやして来なさい。そういうときは、氷山の浮いている海の中へ飛び込むか、
 近くに海がなかったら、氷をうかべたコップの水の中へ飛び込むことね。」

 チュンチュンはがっかりして、よろよろ倒れて、それから又、四へんかけまわりました。
そしてもう一度、東城の希ちゃんに叫びました。

「ピィィ! ドウカチュンチュンヲツエテイッテホシイチュン。 モウコンヤノヤンヤン」

 希ちゃんは大風(おおふう)に云いました。

「うちにも出来る事と出来ない事があるんよ。堪忍やけど不浄のものの願いを聞いたら
 神様を怒らせてしまう。それに神様にお願いする時はお賽銭もいるんやで。」

 チュンチュンはもうすっかり力を落してしまって、はねを閉じて、石段を落ちて行きました。
そしてもう一尺で地面にその弱い足がつくというとき、チュンチュンは俄かにのろしのように
そらへとびあがりました。烏に攫われたのです。
そらのなかほどへ来て、チュンチュンはまるでデブチキンの服がはじけ飛んだように、
ぶるっとからだをゆすって毛をさかだてました。それからチュゥゥゥゥゥゥゥンンン!! モウコンナノイヤチュゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!
と高く高く叫びました。その声はまるで断末魔でした。
ベッドでねむっていた花陽ちゃんは、みんな目をさまして、ぶるぶるふるえながら、いぶかしそうに星空凛ちゃんを見あげました。

 チュンチュンは、どこまでも、どこまでも、まっすぐに空へのぼって行きました。
もうお焚き上げの火はたばこの吸殻のくらいにしか見えません。チュンチュンは
のぼってのぼって行きました。寒さにいきはむねに白く凍りました。
空気がうすくなった為に、はねをそれはそれはせわしくうごかさなければなりませんでした。
それだのに、ほしの大きさは、さっきと少しも変りません。
それはそうでしょう。実際の高度は大して高くありません。
飛び抜けて甘ったれた体質のチュンチュンが十数メートルの高さでも成層圏のように感じているだけです。
一瞬、締め上げられる苦しみが途絶えたと思うと、次の瞬間にするどい痛みが
まるで剣のようにチュンチュンを刺しました。うっかり烏が掴んでいた足を緩めてしまったようです。
地面に叩きつけられたチュンチュンは全身がすっかり砕けてしまいました。
そしてなみだぐんだ目をあげてもう一ぺんそらを見ました。そうです。これがチュンチュンの最後でした。
もうチュンチュンは落ちているのか、のぼっているのか、さかさになっているのか、上を向いているのかも、わかりませんでした。
ただこころもちはやすらかに、その血のついた小さなくちばしは、横にまがっては居ましたが、たしかに少しわらって居りました。
それからしばらくたってチュンチュンははっきりまなこをひらきました。
そして自分のからだがいま燐の火のような青い美しい光になって、しずかに燃えているのを見ました。
すぐとなりは、痛絵馬でした。お焚き上げの炎が、すぐうしろになっていました。

そしてチュンチュンの脂肪は燃えつづけました。いつまでもいつまでも燃えつづけました。
今でもまだ燃えています。



おしまい

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