ラブライブ!派生キャラ チュン(・8・)チュンのまとめwikiです。

 テレビドラマの主人公が飼っていた影響で、チュン(・8・)チュンがペットとして大人気だそうだ。
前に営んでいた居酒屋を潰してしまった俺は、一も二もなくチュン(・8・)チュン養殖に飛びついた。
やり方はいたってシンプルだ。既存のブリーダーからチュン(・8・)チュンの家族を譲り受け、健康な子供を産ませてペットショップや飼育希望者に売るのだ。
俺は一羽のチュン(・8・)チュンを譲り受けた。一羽だけでは繁殖できないのではないかと聞いたが、何とチュン(・8・)チュンは単体生殖が可能だそうだ。何でも朝起きるといつの間にか子供を産んでいるらしい。神様も変わった生き物を作ったものだ。
始めは警戒しているせいか大人しかったチュン(・8・)チュンだが、一週間もすると慣れ始めた。次第に俺と会話もするようになった。犬や猫と違って、話が通じるのは何かと便利だ。糞をすれば「オトイレキタナクナッチャッタチュン、キレイニシテホシイチュン」と言うし、空腹になれば「ソロソロゴハンノジカンダチュン」と言って俺に知らせる。最近は「ソロゴシュジンサマモソロソロネルジカンダチュン」とまで言うようになった。まるで母親のようだ。

そんなチュン(・8・)チュンだが、ある日俺が目を覚ますと卵を産んでいた。噂は本当だったのだ。
チュン(・8・)チュンは「チュンチュンノタカラモノ~」といって卵を抱えて温めている。俺に気づくと「ウマレタラゴシュジンサマニモミセテアゲルチュン!」と言ったあと歌い始めた。チュン(・8・)チュンは気分が高揚すると歌を歌うそうだ。俺も初めて聴いたが、脳がとろけそうな歌声だ。本当にとろけてしまうと困るので別の作業に取り掛かった。

 三日後、卵が孵った。
 これがブリーダーとしての俺の商品第一号になるのだ。母親はもちろんだが、俺もしっかりと育てなければならない。赤ん坊のころのチュン(・8・)チュンはピヨピヨと鳴くので、「ピヨ(・8・)チュン」と呼ぶそうだ。白い産毛は大体生後一週間くらいで抜け始め、次の週にはほぼすべて抜けているそうだ。産毛が抜けた個体は「ヒナ(・8・)チュン」と呼ばれる。ヒナ(・8・)チュンとなった後二週間くらいが出荷時だ。ハムスターなどにも言えることだが、人間は小さいものをかわいらしく感じる。いわば「商品」としての一番の売り時なのだ。

 さて、チュン(・8・)チュンの子供が生まれて三週間がたった。ヒナ(・8・)チュンの出荷時だ。とはいえ、チュン(・8・)チュンの目の前で子供を奪ってしまってはその後の信頼関係に影響する。チュン(・8・)チュンはデリケートな生き物なので、信頼できない飼い主の下では卵を産まなくなってしまうこともあるのだ。
 俺はブリーダーを始める際に購入した薬剤をチュン(・8・)チュンの餌に混ぜて食べさせた。これはいわば睡眠薬だ。チュン(・8・)チュンを深い眠りに誘い、その隙にヒナ(・8・)チュンを回収するのだ。目が覚めたチュン(・8・)チュンには「子供は死んでしまった」と伝える。ここで重要なのは、「だから次の子供を産まなければ」と諭すことなのだ。子供を失って悲しむチュン(・8・)チュンにまた子供を産ませなければ商売は一度きりになってしまう。
俺はチュン(・8・)チュンが眠ったのを確認した後、ケージに手を突っ込んでヒナ(・8・)チュンを掴み上げた。
ヒナ(・8・)チュンは「チュン!?」と叫んで驚いた。そして「ママチン!ママチン!タシュケテチン!」と母親に必死に助けを求めた。少々心が痛んだが、生活のためだ。俺はヒナ(・8・)チュンを別のケージに移し、ペットショップへと車を走らせた。

 翌朝、やっと目覚めたチュン(・8・)チュンは「ヒナチュンガイナイチュン!ドコニッタチュン!?」と叫びながらケージの中を探し回った。
 俺は「実は昨日君が寝てる間に死んでしまったんだよ。俺が丁寧に弔っておいた。きっと今は天国にいるよ」と言ってチュン(・8・)チュンを慰めた、棒読みになっていなければいいが。
チュン(・8・)チュンは絶句した後、泣き始めてしまった。
 何とチュン(・8・)チュンは「チュンチュンノタカラモノガシンジャッタチュン…、チュンチュンモテンゴクニイクチュン」と言い出した。後を追われても困るので、俺は「それはいけないよ。また新しい子供を産んで死んだ子供の分も元気に育てなきゃ」といって説得した。チュン(・8・)チュンはまだ悲しみが言えないようだったが、納得して後追いは思い直したようだった。

 出荷したヒナ(・8・)チュンは思ったほどの値段はつかなかった。「毛並みが悪い」「大きすぎる」「母親がいないストレスのせいで我々の言うことを聞かない」と難癖を付けられ、予想を大きく下回る価格での買取になるとのことだった、さらに腹立たしいのは、代金支払いは出荷したヒナ(・8・)チュンが売れてからになるということだった。
 まあ初めてのことだから仕方ないさ、と自分を納得させ、次のヒナ(・8・)チュンが生まれるまで待つこととした。

 そうこうしているうちにチュン(・8・)チュンのブリーダー業を始めてから半年がたった。だが、手にした金はゼロだ。
 俺が出荷したヒナ(・8・)チュンはどれも売れる前に死んでしまったそうだ。チュン(・8・)チュンがデリケートな生き物なのは前にも述べたとおりだが、子供はさらにデリケートで、環境の変化や母親の不在によるストレスに耐えられずに死んでしまったとのことだった。さらに最近は産んだ子供がすべて死んでしまう(と俺が言っている)ことによってチュン(・8・)チュンもストレスを感じており、卵も以前ほど産まなくなってしまった。また、産んだとしても孵らなかったり、奇形の子供が生まれてきてしまうこともあった。奇形の子供が生まれた時には、何とチュン(・8・)チュンが自分で殺してしまった、これにはさすがの俺も驚いた。
 しかし、その後俺にとって更なる不幸が訪れた。

「チュン(・8・)チュンのペット販売を禁止へ」
 新聞でその記事を読んだとき、俺は卒倒しそうだった。ペットとして大人気となったチュン(・8・)チュンだが、単体生殖できるという特性によってトラブルを起こしているとのことだった。ある家庭では増えすぎたチュン(・8・)チュンが脱走し、近所の鳥を集団で襲って食い殺してしまい、裁判になったとその記事は伝えていた。しかも去勢の技術はまだ確立されていない。
 チュン(・8・)チュンのブームが終焉したことも影響したのだろう。今まで目を背けていた事実だが、俺が手こずっているうちにチュン(・8・)チュンのブームは去ってしまったのだ。
 これまでチュン(・8・)チュンの飼育にかけた費用は100万を超える。一羽も売れなかったので、全く元は取れていない。俺は行き場のない怒りにかられた。いや、行き場はある。売れる子供を産まなかったチュン(・8・)チュンだ。
 俺はチュン(・8・)チュンのケージを持ち上げると、床に叩きつけた、
 呑気に寝ていたチュン(・8・)チュンは「ビィィッ!」という叫び声をあげて飛び起きた。
 「イキナリナニスルチュン!チュン!?タマチュンガワレテルチュン!」
 どうやらまた卵を産んでいたようだが、割れたようだ。しかし、たとえ生まれていたとしても俺にとっては全く無意味なものだ。
 「ヒドイチュン!チュンチュンノタカラモノヲコワシタチュン!」
 チュン(・8・)チュンは毛を逆立たせ、飛び跳ねながら抗議した。しかし、それもまた俺の感情を逆なでした。
 「黙れ!」
 俺は今まで出したことがないような怒鳴り声を上げた。これにはチュン(・8・)チュンも驚いたようで、黙ってしまった。
 「今まで子供が攫われても呑気に寝てたやつがよく言うぜ!」
 もう隠し立てする必要はない。俺はチュン(・8・)チュンに今までの経緯を包み隠さず話した。チュン(・8・)チュンははじめ絶句していたが、俺の話を聴き終えてからしばらくすると、涙を流しながら叫んだ。
 「ビィィィィィ!ヒドイチュン!ヤサシイゴシュジンサマダトオモッテタノニチュンチュンヲダマシテタチュン!ヒナチュンヲカエセチュン!」
 「みんな死んだよ!おかげで一銭にもならなかったけどな!」
 「ビィィッ!?」
 「お前が甘やかしたせいでちょっと親と離れただけで死んじまうような甘ちゃんばっかりだったよ!どうしてくれんだ!俺はもう破産だ!」
 チュン(・8・)チュンは最早「ビィィッ!ビィィィィィッ!」と鳴くだけだった。
 俺はチュン(・8・)チュンを掴み上げた。チュン(・8・)チュンは「ナニスルチュン!ハナスチュン!」と言って俺の手を突っついた。
 俺は「今まで少しだけ夢を見させてくれた礼だ!」と言って、チュン(・8・)チュンの体を両手で雑巾絞りのようにひねり曲げた。
 チュン(・8・)チュンは「ヂュァァァァッ!」という叫び声を上げた後、「ベキベキ」という音とともに絶命した。

 結局俺の手元に残ったのはチュン(・8・)チュンの死体とケージ、それと負債だけだった。
 
終わり

このページへのコメント

面白かった!
チュンチュンは唯一の虐待しても許される生物だと思うの

1
Posted by ウォシュレット 2017年11月22日(水) 22:21:12 返信

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