ゴッドイーターでエロパロスレの保存庫の避難所です

ガチャッ、ドンッ
プシュゥゥゥ
ゴクリ
「プハァーッ、ミッション直後のクールドリンクもなかなかいけますね!」
アナグラ内新人区画で、廊下の自動販売機前に突っ立つ一人の少女。
「だろっ?この体中がリフレッシュされていく感覚、病み付きになるって!」
応じて、隣の少年もドリンクを取り出し、一気に飲み干す。
「いやぁ、今日のミッションは本っ当に疲れたなぁ」
「地下街で『女師匠』が2匹ですもんね…リーダーは別ミッションで同行してくれませんでしたし、かなり骨が折れました…」
「まったく、リーダーがだめでも、リンドウさんでも手伝いにきたらいいのになぁ」
「リンドウさんは新人の面倒見を担当していますからね…きっと忙しくてこっちには手を伸ばせないんでしょう」
「むぅ…ったく、リンドウさんじゃないけど、本当に『体が持たないぜ』」
言い終えて、少年は空っぽになった空き缶を投げ出す。
手を離れた空き缶は綺麗な放物線を描き、見事、ゴミ箱に入る。
「ビンゴッ!」
嬉しそうに勢い良く腕を振り上げた少年は、そのままソファに倒れ込む。
「でもホント、リーダーって最近ずっとソロで行ってますよね、まるでリンドウさん救出の時みたいに…何か心当たりありませんか?コウタ?」
「さぁ…」
隣に座った少女の問いかけに曖昧な答えを返し、黙り込む少年。
「…そうですか」
……
しばらくたってから、少年――『コウタ』がいきなり喋りだす。
「リーダーと言えばさ、アリサ」
「へっ?」
「…リーダーって、無口だよな」
「え?」
記憶を探っているのか、顔に長く綺麗な人差し指を当てて、考え込む少女――アリサ。
「確かに…多分最後に、いえ、初めて聞いたリーダーの声が、『生きることから逃げるなっ!』でしたね。」
そう。ここ、フェンリル極東支部―通称アナグラ―のエース、第一部隊隊長及び第七部隊隊長兼任者、通称「リーダー」は
寡言なのだ。
勿論、戦闘時の呻き声や、掛け声などは発する。言葉を解せないわけでもない。だが、とにかく、戦闘中は勿論、日常生活においても、
喋らないのだ。一言も、一文字も。
「でさ、俺、考え付いたんだけど」
「?」
「リーダーに、喋らせてみない?一回リーダーが喋るとこ見たいしさ」

―――――アナグラドキュメンタリー・リーダーの声を追え!―――――

「で、何とかしてリーダーに喋らせようっていう話ですけど」
言いながら、アリサは少し窮屈な自室を見回す。
「何で、こんなに人が集まってきているんですか…」
「あら、私が混ざってきたらまずかったかしら?」
「いえそういうわけじゃないんですけど…サクヤさんはともかく、何故リンドウさんまで…新人教育はどうしたんですか?」
「ん?つまんなかったし、こっちの方が面白そうだったしな」
「堂々と職務放棄宣言してますよリンドウさん!」
「リンドウ、いくらお前が九死に一生を得たとしても、それに乗じて職務を放棄するのは良くないぞ。」
「でなんでツバキ教官も来てるんすか!」
「ウチのエースの生態だ。勿論気になるだろう。」
「生態って何ですか生態って!というかもうリーダーを人外として捉えていますよねツバキさん!」
「何を言ってんだアリサ。現第一部隊のリーダーは霊長目ヒト科リーダー種で独立種族だろ」
「元第一部隊隊長が誇らしげに言わないでください!」
「いや、正直言って前回のメディカルチェックの結果、リーダー君は一般的なホモサピエンス種と桁違いの身体能力を持っていることが判明していてね…」
「それは私達が偏食因子を取り込んでいるからって授業で説明しましたよね博士!」
「む、アリサ君は中々物覚えがいいね。」
「ごまかさないでください!代理支部長としてのデスクワークを放り出して大丈夫なんですか!」
「まあまあ。それにきっと天に居るヨハンも、アナグラの経営なんかより、リーダー君の生態のほうが気になっていると思うよ?」
「親父に…そんな悪趣味は、無い。」
「でソーマも何故なんだかんだ言って混ざっているんですか!」
「……///」
「そんなに怒鳴るとシワが増えて俺の姉上みたいになっちまうぞ?アリサ」
「貴方のせいだと思っているんですか!」
「まあまあアリサ、皆だってリーダーが気になって来たんじゃん」
終わらないボケと突っ込みの応酬。流石にこのままじゃキリが無いと察したコウタは、話の隙を見て口を挟む。
「心からこの計画にノッてくれるのなら、別に理由とかどうでもいいじゃん!寧ろ、人が多いと色々成功しやすいし」
「むぅ…」
「そうよ。私達だって、一応あの子が心配できたんだから。」
「サクヤさん…」
「あの子、色々と自分で溜め込みすぎなのよ…前の、リンドウを助けてくれた時も、最初から最後まで無言だったじゃない。
もし今後、また何かあったとしても、彼がこのまんまじゃ色々と彼に悪いわ。それに心配なのよ。全部一人で溜め込んで、いつかつぶれたりしないか、って。」
「そうなんですか?」
「ええ、勿論よ。私が嘘を言っているように見える?」
「いえ、サクヤさんが本当にリーダーを心配しているのはわかりますけど…他の人たちも、そうなんですか?」
「……」
一同、沈黙。
「さて関係のない話はさておいて」
(スルーですか!?)
「この、リーダーに喋らせる計画だけど、なんか皆いい案無い?」

「コウタ」
「何すかリンドウさん?」
「内容はなんでも、とりあえず喋らせりゃいいわけだな?」
「まあ、そうっすけど…」
「じゃ、簡単だ。アレをさせればいい。」
「アレって…何すか?」
「何ってそりゃナニだろ、俺とサクヤが毎」
ドゴォッ
まだ言い終えていないリンドウの顔にサクヤの鉄拳がめり込む。
「グハァッ!」
「放っておいて何を言い出すかと思えば、貴方って人は…」
「いやだって、喋るだろ!事後のピロードゥグッ」
地面に倒れ込んだリンドウに、ツバキのハイヒールが襲い掛かる。
「とりあえずリンドウ、後で事務室に来い。」
「いやだって甥の顔が見たいって言ったの姉上でうわらば!」
トドメと言わんばかりに、サクヤがリンドウの首を殴る。
「なんか、ゴメンね、見苦しいとこ見せちゃって…」
顔を赤くしたサクヤがぐったりとしたリンドウを寝かせながら、振り返る。
「いや、寧ろ若くお盛んなことで結構。こりゃあ君達の子供が楽しみだよ。」
「博士!冗談はよしてください」
「……」
話がの意味が読めず唖然としているコウタと、顔を真っ赤にしてうつむいているアリサ。
その二人に、ソーマが話しかける。
「おい、お前ら」
「へっ?」
「喋らせればいいんだな」
「えっ?」
「…アイツを、喋らせればいいんだな?」
「え、ええ。勿論ですが…」

―――――贖罪の街

「もう一度確認をします。」
作戦地域からおおよそ1km離れた大型輸送ヘリコプター内に、アリサの声が響く。
「まず、私とコウタが本部へ救援要請を送ります。要請を受け取った博士は、今日『偶然にも』非番だったリーダーとカノンさんを増援に来させます。
そこでなんとかH地域でカノンさんの誤射を利用し、リーダーを崖の下に突き飛ばします。」
「カノンが何もしなかったら俺が今日の為に特別用意した爆発バレッドでリーダーを吹っ飛ばすぜ」
「まあリーダーに後で怪しまれたら困るのでコウタはなるべく手を出さない方がいいんですけどね…」
意気揚々と神機を振り回している同僚にさっと冷や水を掛けてから、話を続けるアリサ。
「それで、後は博士が集めてくれたアラガミ達が次々とリーダーに襲い掛かり、耐え切れなくなったリーダーが崖上の私達三人に救援を頼む、というところですが…大丈夫なんですか、この計画」
「どういう意味?」
「まず、アラガミが大挙して押し寄せてくるのかどうかが問題ですよ?」
「その点に関しては問題ない。」
本部からの通信が割り込む。

「僕が昨夜徹夜で開発部と開発した新技術でね…弱い固体のアラガミなら呼び寄せることができるんだ。今回はその技術を予めリーダー君の神機に施しているよ。」
「何でこういうときに限って開発部は本気を出すんでしょうか…」
「こういう物こそ、本気を出すべきだと思ったから、じゃだめかな?」
「リッカさん?」
「面白そうだからね、あたしもつるませてもらうよ。」
「はぁ…じゃあその点はオーケーとして、リーダーが音声による救援ではなくて普通の救援信号を送ってきたら…」
「んなもん無視すりゃあいいだろ。」
ヘリの中で待機していたリンドウが声を挟む。
「無視…ですか?」
「ああ。いくら独立種族のアイツだって命が危険な時ぐらい生声を出すだろ。喋れないわけじゃないしな。」
「大丈夫でしょうか…」
「それに万が一のことがあったとしても、ほら」
いいながら、リンドウはモニターに向けて後ろに控えている人たちを指す。
「こいつらと俺が居るんだし、な。」
「ま、まあリンドウさんとソーマ、それにサクヤさんなら安心ですけど…」
「まあアリサも悩むなよ。行き当たりばったりっていうじゃん。まずやってみようぜ!話はそれからってことで!」
「うーん…そうです…ね。はい、じゃあとりあえずまずリーダーを突き落とすところまでやりましょう。しかしソーマ」
「?」
「一匹狼の貴方が、よくこんなプラン思いつきましたね。」
「…ああ。アイツ…シオを思い出してな。前二人っきりでミッションに行ったとき、良く喋ってたからな。」
「へぇ〜〜」
「あら〜〜あらあらあら〜〜〜」
意味ありげな目で見つめられるソーマ。流石に照れたのか、フードを引っ張り顔を伏せる。
「と、とりあえずだ、お前らさっさと実行に移れ」
「んじゃ、そろそろいくよ?救援ボタンをポチッとな!」
コウタが腕輪についているボタンを数秒間押し込む。
「さて、始めるとしますか!」

―――――

ドォン!
「射線に入るなって、私言わなかったっけ?」
カノンの罵声、バレットの炸裂音と共に、体制を崩し崖に落ちていく要に見えた第一部隊隊長。
しかし、その手はしっかりと崖っぷちを握っていた。
それを見たコウタはアリサに目配せをする。
「リーダー!待ってください、今助けます!」
上辺ではそう言いながら、アラガミバレットを一本コウタに託す。
「やばっ!シユウの『爆炎玉』がっ!」
叫びつつ、コウタは未だ強情にしがみついている手に向けてバレットを放つ。
「うっ!」
小さい呻き声と共に、崖から外れる手。
今度こそリーダーの墜落を確認したコウタは、額の汗を拭いて、アリサに近づき、小声で話し掛ける。
「よっしゃ!計画が半分成功したぜっ!」
「本当、吹っ飛ばされる前にリーダーが先にシユウを倒しそうな勢いであせりましたよ…」
「しかしカノン、気づいてないね」
「気づいていませんね」
言いながら、二人はお構いなしにシユウと激闘を繰り広げているカノンに目を向ける。
「ふふふ…その翼、グシャグシャにしてあげる!」
「…怖っ!」
「まあ、カノンさんですからね…」

―――――

「ええーっ!」
戦闘後、カノンは第一部隊隊長の不在に気づき、アリサから説明を受ける。
「そ、そんなぁ!あーもう私のバカッ!なんでこんなことを…あわわわわ…すすすすぐにでも彼の救出に行かないとっ!」
「いえ、寧ろこれでいいんですよカノンさん。」
「へっ?」
「実はかくかくじかじかで…」
「その言葉便利だよなアリサ」
「…というわけです。」
「つ、つまり今回は予めリーダーを落とすために仕組んだ、ということですか?」
「はい。だから別に心配なさらずに。まあとりあえず後でリンドウさんたちの乗ったヘリが来る手はずなので待ちましょう。」
その言葉が終わるや否や、ヘリコプターの音が上空から響いてくる。
「もう着いたぜ!」
「あっ、リンドウさん!」
「よっ。で、事の詳細はアリサから聞いたか?」
「はい!でも、大丈夫なんでしょうか…」
「奴なら問題ないだろう。」
言いながら、操縦席からツバキが降りてくる。
「あ、教官…」
「うむ。しかしカノン。いくらなんでも味方が誤射されて崖から落ちたのにそちらに振り向きもしないのは問題だぞ?」
「す、すいません…」
「あとコウタ」
「ヒッ!?」
「何だその悲鳴は…お前はとりあえず神機をもっと丁寧に扱えんのか!」
「ス、スミマセンッ!」
「大体お前は神機を何だと思っているんだ!戦場で命を託す相棒だぞ!なのに貴様は…」
「なんか教官、すごい怒ってますね…」
「まあ、コウタ君が使っている神機、元々はツバキさんのだったから。」
「そうだったんですか?」
「ええ。だからツバキさんも、思い入れが深いんでしょうね。」
「はぁ…」
「でも、リーダー君、まだ反応無いわね…大丈夫なの?博士」
「問題は無いと思うよ。しかしめまぐるしい活躍だねえリーダー君は。もう大、中型アラガミ原種を37匹、堕天種を26匹、高位堕天種を13匹倒している。流石本部のビデオ教材にノミネートされた事のだけはあるね」
「そうなんですか?」
「おっと、知らなかったのかい?リーダー君、結構本部から目を付けられているよ。記録によるとヨハンが在任していた頃も何度も人事変動要請があってね…まあ、全部断られているけど。」
「へぇ…リーダーって結構凄かったんだなぁ」
言いながらようやくツバキから開放されたコウタは腕輪に目をやる。
「しかし救援信号がもう6回ほど来ているけど…」
「だがなんだかんだ言って彼はかなり持ちこたえているね、もうアラガミのストックが無くなってきた」
「え?どういう意味なんすか博士?」
「ここら一帯直径数KMのアラガミは、ほぼ全部リーダーに撃退された、ということさ…おっ?」
「どうしたんだ?」
「うむ、最後のダメ押しみたいなものだが、ティアウス・ビターが四匹、リーダー君のところに向かったね。多分、そろそろ音声付きの救援要請が来るはずだよ。」
「よっしゃ!リーダーの生声くるかっ?」
ピピッ
「着信音、ですね…」
思わず小声になったアリサが、腕輪に左手をかぶせる。
「じゃあ私が回線を開けるので、コウタとカノンさんは念のため閉めて置いてください。」
期待と共に、全員の視線がアリサの腕輪に集まる。
「では…」

カチッ、ポワッ

突然、腕輪から光が漏れ出す。
「これは…立体投影…」
光は徐々に空中で形を成していく。十数秒後に、そこにははっきりと映し出されたいくつかの文字が浮いていた。
『アラガミに囲まれた。たすけて(´・ω・`)』
「……」
無音に包まれる中、ツバキがリンドウにたずねる。
「さて、どう思うか、リンドウ?」
「自分の境遇を直接的に表現しているな。ひらがなで『たすけて』と入力しているところも自分のあせっている心情を表している。チャーミングポイントは文末の顔文字、といったところですかね。」
「うむ、的確だ。お前も成長したな。」
「そりゃどうも。」
「って違うでしょ!何で二人とも冷静に分析しているんですか!リーダーがピンチなんですよ!」
「…あいつが本当に危険な状態になったら、声を使うだろ、流石に。」
「うむ。流石にいくら彼でも四匹のディアウス・ビター相手に…んっ!?」
「博士?どうしたのですか?」
「い、いや…ありえない…こんなこと、ありえるはずは…」
「一体どうしたんですか博士!」
「…ティアウス・ビターが、リーダー君に…全滅させられた。」
「……」
ピピッ
一同が沈黙する中、再度の着信音を確認したアリサが、腕輪を操作する。
ポワッ
『ヘリの着地地点は確保しておいた。この通信に気づき次第、迎えのヘリを回してくれないかな。ああ、あと皆にたっぷりお土産用意しておいたよ(`・ω・´)』
―――――

「で、あの日は単なるリーダー無双で終わっちゃったなあ。」
「結局リーダーの声、聞こえませんでしたね。」
ドリンクを片手に、新人区画の廊下で立ち話をする二人。
「まあ、楽しかったからいいけどね。」
「フフッ、そうですね。」
愉快そうに微笑んで、ゴミ箱に向けて空き缶を投げ込む。
「えーと、リンドウさんの番号は…あった!ぽちっと」
「何をしているんですか、コウタ?」
「え?ほら、プランを決める会議の時、リンドウさん何か言いかけて、サクヤさんに邪魔されてたよな?」
「!」
思い出し、赤面するアリサ。
「今度さ、リンドウさんが言おうとしていたプランを使ってもっかいチャレンジしてみようぜ!」
「え、ええっ!?」
「あ、リンドウさん?今暇?ちょっと話があってさー」
……

――――――――――つづくかもしれない

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